獅子王レオンとオーバーロード   作:野生の生蛇

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第11話

 

「これが枯れ木の森か」

 

 東へと進んだレオンたち一行は枯れ木の森に辿り着いた。

 其処は異様な森だ。

 大地には草が生え、花も咲いている。

 だが木だけが枯れている。細く、精々が薪にしか使えない程のやせ細った枯れ木になっている。

 

「前来た時よりも範囲が広がってる……これがザイトルクワエの力だよ」

 

 ピニスンの言葉にレオンとイビルアイ以外が恐怖する。

 森をここまで異変に陥れる存在とくれば、人間がどうこうできる存在ではない。

 出来るとすればそれは英雄、十三英雄のような者達の事だ。

 

「取り合えず進むか?」

「いや、進むと危ないよ! どこからザイトルクワエの触手が来るかわからないんだから!」

「そうか? だがここで待ってても進まんだろ」

 

 さてどうするか、とレオンは悩む。

 相手がワールドエネミー級ならばクレマンティーヌとブレインは役に立たない。範囲攻撃一発で死ぬ。それどころかレオンの特殊技術(スキル)の巻き添えになって死ぬだろう。

 

「しょうがねぇな。俺が一人で行ってくるわ」

「ちょっと待て。それは危険だ」

 

 イビルアイがいこうとするレオンを制止する。

 

「じゃあどうする? このまま待ってるのか?」

「私もついて行こう。私は転移魔法が使えるから、最低でも逃げれるはずだ」

「ならいいな、よし──」

 

 ドン、と地面が揺れた。

 震度に換算すれば五程の強い揺れだ。だが全員鍛えているので揺れる事はない。

 

「ただの地震じゃねぇな」

 

 轟音が鳴り響いた。

 全員が音の方、枯れ木の森の奥へと視線を向ける。

 

「……でっかぁ」

 

 ラキュースが阿呆みたいに口を開きながら呟いた。

 レオンも内心同意する。あれほどの巨体はユグドラシルでも中々お目にかかれない。

 

 現れたのはトレント系モンスター。

 枯れた木の胴体に六つの木の根の触手を持ち、木の腹には口が生えている。

 だがサイズがイカレている。木だけの部分が全長百メートルを超えている。

 横幅も当然非常に太い。木の根の触手に至っては六百メートルを越え、その巨体を支えている。

 封印の魔樹。破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)。ザイトルクワエが遂に封印を破り復活したのだ。

 

「世界の終わりだー!」

 

 ピニスンが絶叫し、レオン以外がその叫びに同意した。

 無理だ、あれは。人がどうこう出来る領域を超えている。

 

「はっ! 向こうから来てくれるとは楽でいいな!」

 

 レオンはそう言い、飛び出した。

 何を言っているんだ、と全員が疑問を抱く暇無くレオンは駆け出し、レベル百の馬鹿げた速度でザイトルクワエに接近し、跳躍する。

 ザイトルクワエの頭部分にまで飛び掛かる。

 そして拳を握り、殴打。まずは常時発動型(パッシブ)特殊技術(スキル)をオフにしアクティブ特殊技術(スキル)をも使わない通常攻撃。

 鈍い音が響いた。ザイトルクワエが揺れ、後ろに傾く。

 

「──雑魚じゃねぇか!」

 

 自身の攻撃でこうもダメージを受ける。その時点で雑魚だとレオンは判断する。

 ワールドエネミーであれば殆どダメージが入らなかった筈の一撃だ。それで大ダメージを負ってる時点でレオンの敵ではない。

 

 レオンは大地に落ちる。空を飛ぶ手段を持っていないので当然の結果だ。

 

 ズドンと地面にクレーターを作り着地。

 レオンが着地した瞬間を狙いザイトルクワエが触手を振り上げ攻撃する。

 真上からの振り落とし。レオンはそれに対しこぶしを握る。

 

 瞬間、拳と触手が衝突する。

 常識で考えれば潰れるのはレオンの方だ。三百メートルの触手ともなれば当然質量重量共に馬鹿げた数字を誇る。

 だがここは超常渦巻く異世界。常識など知らぬ。己が条理だ摂理だ。

 

 レオンは拳を持って触手を破壊する。

 木の根の触手の半分程から打ちこわし、罅が入って砕け散る。

 

「■■■■!」

 

 ザイトルクワエが声に成らない悲鳴を上げる。如何に痛みに鈍いトレント系モンスターと言えど触手一つ潰された痛みはでかい。

 触手の残骸が降り注ぐ。距離がある為青の薔薇の方には届かないが、割れた触手が落ちた轟音だけは響き渡る。

 

 レオンは再び跳躍してザイトルクワエに接近する。

 ザイトルクワエは触手を二つ使い挟み込むように攻撃。レオンが挟まれる──かと思いきやレオンは両腕を振るい触手を二つとも破壊した。

 レオンは触手の残骸を蹴って跳躍し、ザイトルクワエの顔面に迫る。

 

「オオオオオオオオ!」

 

 そのまま拳のラッシュ。構えもなっていない素人のラッシュだが速度は異常。

 マッハを優に超える拳の殴打はザイトルクワエの膨大なHPを削っていく。

 

「シャア!」

 

 レオンは蹴りを放ち、ザイトルクワエを吹き飛ばす。

 

 百メートルを超える巨体のザイトルクワエが数十メートル飛ぶ。その現実離れした光景に青の薔薇とブレインとクレマンティーヌは顎が外れるぐらい驚いた。

 

「■■■■■!」

 

 ザイトルクワエは再び攻撃をする。

 口を開き、種の弾丸の雨を浴びせんとする。

 

「しゃらくせぇ──ウォオオオォオオオオ!!!」

 

 レオンはハウリングの特殊技術(スキル)を行使する。

 レベルにして二十以下は即死させれるだけの威力を誇る特殊技術(スキル)は種マシンガンに浴びせられ種が破壊されていく。

 ザイトルクワエ本体にも多少はダメージが入り、ザイトルクワエが死に近づく。

 

 レオンが大地に落ちた、かと思いきや再度跳躍しザイトルクワエの前に移動する。

 

「死ねオラァ!」

 

 レオンは本気の拳を繰り出し──ついにザイトルクワエが真ん中からぼっきりと折れた。

 レオンはザイトルクワエを蹴り跳躍。仲間たちの元に戻る。

 ズドン、と大地を揺らしての帰還。

 

「勝ったぞ」

 

「…………何がなんだかわからない」

 

 多少付き合いの長いクレマンティーヌでも訳が分からなかった。

 流石にあんな化け物相手に勝てるか、と逃げ出そうと思っていたがそれよりヤバいのがレオンであった。

 何であんな化け物一人で倒せてるねん。キャラ崩壊しそうだった。

 

「……流石はプレイヤー、なのか? いや、にしてもちょっと常識はずれにも程があるように思えるんだが……」

 

 イビルアイがそう呟く。

 

「いや可笑しいでしょ?! なんであんな一方的に戦えるの?! ていうか一人で倒せるもんなの?! 世界を滅ぼせるの君の方じゃないの?!」

 

 ピニスンがそう絶叫した。

 

「知るか。俺があんな程度に負ける訳がねぇ。俺を殺したいならワールドエネミーでも連れてこいってもんだ」

「ワールドエネミーってのが何か知らないけど君ぐらいヤバいんだろうね! 考えたくもないよ!」

 

 ぎゃー! とピニスンは更に発狂する。

 

「取り合えず薬草取るが、どれがなんだかわからん。誰か着いてきてくれ」

 

 レオンがそう発言する。

 

「薬草採取なら任せろーばりばりー」

 

 ティナとティアがレオンに近づく。

 

「んじゃちょっくら採取してくるわ」

 

「いってらー」

 

 クレマンティーヌは全てを諦めレオンに手を振る。

 

 

 その後、レオンはザイトルクワエの頭まで忍者姉妹を連れていこうとし一瞬何処を持てばセクハラにならないか悩み、それを見抜かれ「エッチ」と言われるなどしたが、無事に薬草は採取出来た。

 

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