6話まで我慢すればFateするかっこいい主人公が見れますたぶん(当社比)。
走っていた。
逃げるために走っていた。
命からがら、生存をかけて走っていた。
「ちょ、いたっ。いたい!?痛いんですけど!!」
「うるせー!知らねー!Xのバカ!なんちゃってセイバー!マテリアル擦り切れるくらい確認してもアサシンじゃねーかおめー!」
「な、何という正論…ぎゃー!石が刺さりました!くっ、オフロードタイプのそりを買うべきでしたか…!」
「そりとかじゃなくてこんなかっこ悪い逃亡劇しなくていいようにしてくれよなぁ!!?」
ずるずると。
全力で走る俺に引きずられるように木製のソリみたいな物が音を立てる。
あくまでみたいなもの、だ。
たまに喋ったり、穴が急に空いて食事が取り込まれてたりするけど、宇宙基準ならソリなのだろう。
知らないけど。
俺なら絶対腰を落ち着けたくない危険物に乗せられ引かれている宇宙人こと青ジャージのアホ毛の生えた生命体、ヒロインXは小柄とは言え、俺よりは大人だ。
ソリ自体が小型なために、体の一部がはみ出てしまう。
体力切れでぶっ倒れたXの足が地面へと投げ出されていて痛そうだ(小並感)。
「事件解決のお祝いのためにお出かけしましょう!何をするかって?気持ちいいことですよ!とか言うから期待したのに!」
「えぇ…泣くほどですか。というか何想像してるんですかエロガキですね」
「裏切り者〜!Xのとんちきバカ!どうせ処女だろテメー!胸もねークセに!」
「な、ちょ───」
「普段から芋臭いジャージでほっつき歩いてるせいでホモ痴漢のおっさんに男と間違えられて触られてがっかりされて唾吐かれてたくせに!生活力ゼロのクソバカ!小卒未満のガキにできるロケットの修理もできない脳筋!」
「わざと勘違いさせる言い方をした私が悪かったにしても言い過ぎでは?」
「くっそー!!大人のお姉さんぶりやがって!返せよ、ぶっちゃけないと思ってたけどちょっとだけ期待した俺の純情を返せよ!おねショタ展開ヤッホイとか思ってたのに!」
「数多の暴言に関しては後できっちり暴力で返すとして…それより速く走ってください!後ろ、後ろ来てます!」
Xの言葉につられて振り向けば、SF剣士みたいな見た目の人たちが大量に追いかけてきているのが見える。
怖い。
全員同じ顔なのが怖い。
顔というか…マスク?ロボ?あれ何?
当方とか叡智とかなにやら記録された音声を垂れ流すだけの木偶かと思えば、その剣の冴えがとんでもなかった。
「くそー!Xが無意味に喧嘩売るから!」
「セイバーの抹殺は私のライフワークなんですぅ!というか宇宙の法則的にもセイバー量産計画とか見逃せませんよ!あれを放っておくとそのうち宇宙の危機的なあれに繋がると私の直感が告げています!つまり趣味と実益を兼ねたあいたぁ!?」
「あー!Xの顔面にモブセイバーが投げた剣が!…うわぁ、グロ。捨ててっていい?」
「
「人の心より俺の命だろうが」
それに宇宙人なんだから大丈夫だろお前は。
「でも親玉ぶち殺せたからオーケーです!」
「ほなええかぁ…」
いいのか?なんて疑問はとうに無い。
なにせこの世界はそういうもの、という諦めが俺にはあるからだ。
宇宙の危機とかマジ日常茶飯事。
●
「ふぅー…お風呂いただきました」
「さすが宇宙人。お風呂も食べるんだ…明日からどうしよ。敷居金出る?」
「あの、宇宙人呼ばわりは正直やめてほしいんですが…」
ほかほかと湯気をまとったXから目を逸らしながら、俺は今日の夕食の仕上げにかかる。
メニューは寄せ鍋。
昆布だしに鱈やお野菜を溶け込ませたやつ。
レシピは漫画で読んだ。
「ふっふっふ、やー…いい匂いです」
「じゃま」
にへら、と笑いながら無防備に近づいてくるXの顔にタオルを投げつけながら、火を止めてぬらした布巾をかませながら持ち上げる。
「あち」
「持ちましょうか?」
「うっさい。手当てもしないとだし下がってろよ」
「ふふっ、素直に優しくするのはずかしーんですか?見た目美少女なのに男の子ですねぇ?」
「くたばれババア」
「…今あなたが鍋を持っていたことに感謝することですね!気をつけるのは月のない夜だけじゃないですよ!!」
6畳一間のボロアパート。
キッチンは玄関から入ってすぐ横。
隙間風あり。
風呂トイレはかろうじて別。
そんな物件に、冬の幸せな匂いが満ちる。
「んー、どうです?大丈夫ですか?傷にならないといいんですけど…」
「…前が見えねえ状態だったのに次のセリフではたんこぶになってる異常生命体が何いってんだ」
「あいたっ」
傷の様子を見ながら冷えピタを貼る。
剣が突き刺さってたのになんでたんこぶになるのだろう。
目を瞑ってこちらに顔を突き出すXの顔に変な気を起こしそうになった俺は、貼り付けた冷えピタを軽く小突く。
「はいはい、手当おしまい。宇宙人はケガの治りが早くて羨ましいなおい」
「なんでか
「知らない」
なんででしょうと言われても。
債務者と書いてマスターと読むほうがなんでだよ感あるだろうに。
「ま、細かいことは置いておきましょう!鍋は冷める前に頂くのが一番です」
「まぁ冬は鍋、みたいなとこはある。日本人的に。じゃ」
2人揃って手を合わせて。
「「───いただきます」」
はふ、はふと。
しばらく無言で口の中のものを噛み締める時間のあと。
「ん~~~〜〜〜!今日も美味しいです!」
「あいあい」
弾けるような笑顔。
それを見て、俺は机の下で隠れるようにガッツポーズ。
この笑顔が見たくて、俺は料理を作ってると言っても過言ではない。
毎日のことだ。
ここ最近毎日やってるこんなことを。
バカかよ俺達は。
とはいえ、やはり嬉しいものは嬉しいので仕方がない。
「ひゃー…ほんと。勝ち組ですねぇ私。最近はお金なさすぎて学食にもありつけず、えっちゃんからの慈悲かネームレスレッドのまかないかで凌ぐ以外は日夜
「何言ってんの?」
「急に辛辣!」
今日の料理の出来栄えに満足して鱈のみをほぐしてたら、なんだかXがトリップしていた。
「おねショタ展開とか言ってたくせに!」
「……?ああ、もしかして恋人とかって話?」
「う、そ、そうです…」
「エロいことはしたいけど責任とかはちょっと…責任って言葉俺大嫌い」
「最低です、最低ですよこの男!将来絶対ろくなおとなになりませんね!!男の人っていつもそうですよね…!」
「うわ、唾かかった。きったねぇ」
「よーしそこに治りなさい!私が聖剣でその性根を叩き直してあげます!」
「ああおい菜箸振り回すなよ危ないな!ちょ、あつ!鍋の汁があつい!ごめんって!煽ったの謝るから落ち着けよ宇宙人!!」
「宇宙人差別反対!」
───これは、宇宙人を拾った(強制)過去のある俺が、なんやかんや最終的に世界を救う手伝いをすることになる話だ。
たぶん。
難しい話はない。
高度な考察とかもない。
網羅的に把握された数多の原典に基づいた、精緻で綿密な設定なども存在しない。
全てはサーヴァントユニヴァースに事を発する話でありますゆえという言葉を盾に適当にぐだくだと、好き勝手やる話である。
「待て、しかして希望せよ!みたいな!」
「Xうっさい」
「次回CB第一部第二話!え、これって劇場版じゃなくてただの二次創作?そんなー…を、お楽しみに!」
なお、プロットとかない模様。
「───それより、早く起きないと死んじゃいますよ?いや、直接的に死ぬわけじゃないですけど…うん。社会的に?」
「社会的地位のねー宇宙規模の放蕩女がなにいって───」
●
「───起きなさい、起きなさいってば!星野サボ郎!!」
「………………んあ?」
「あなたねぇ!説明中に寝るとはいい度胸じゃない!?」
「……っあー…なんだ、その。いきなり夢オチ展開は雑すぎないか」
懐かしい夢を見た。
もう届かない、優しい夢を。
FGОをユニヴァースノリで駆け抜けるクソミソ二次創作小説。
温かいコメントと鋭い設定ミスへのツッコミ、また男の娘主人公で下ネタおねショタ小説書いてんのかよという感想と評価ここ好きよろしくお願いします(乞食)。