全裸偽イリヤ先輩。   作:ひつまぶし太郎

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早速感想や評価をくださった皆様、本当にありがとうございます!本当にありがとうございます(土下座)!!!
男口調で主人公気質なクソガキイリヤって良くない?なんならおねショタしたら良くない?みたいな作者の妄想から生まれた作品です。



第五話。似てるだけ。

 

 

「はぁ…はぁ…とんでもない強敵でした」

「嘘でしょなんでこんな変態がサーヴァントと同格にやり合ってるのよ…」

「まぁサーヴァント初心者に簡単に負けるほど弱くはない…かな」

「地に伏せてなければカッコもついたのに…」

「ぐふっ」

 

痛い。

身体も心も。

まったく、さくっと殺しに来てくれたら話も早かったのに。

ギャグバトルに時間をかけるのはナンセンスな自覚はあるので、まったく、これっぽっちも(重要)!

本気出してないとはいえ、鈍器による殴打乱打は普通に痛いからやめてほしい。

こちとら生身やぞ、ちっとは手加減しろよな。

 

というかマシュはマシュでちんこ生えてるとは言え見た目幼気な美少女によくその鈍器振り下ろせたな。

あれか?

俺が面白半分に知り合いに見える敵を金的で泣かした話とかしたからか?

俺のせいか?

いや、やっぱそんな体験を俺に与えてきた宇宙人のせいだよな。

ったく許せねえぜ。

 

「容赦ないのはいいことだぜ3号。緊急回避からの瞬間強化のタイミングが最高に性格悪かった。才能あるよお前」

「褒めてます?」

「今から先輩顔は面の皮が厚いとかいうレベルではないのでは…?」

「なんだよマシュ。今日はやけにしゃべるな…いや、なんでもいいや。服くれよ服。最悪葉っぱでもいいけど、とりあえず後輩。焼きそばパンはいいからパンツくれ」

「嫌です無理です。私だって今履いてるやつしかないんですから!」

「使えねぇな」

「羞恥心どうなってんですか!?」

「羞恥心なんて生きてくのに必要か?」

「必要ですよ!!」

 

ぎゃおーん、みたいな効果音がつきそうなその後輩の様子に首を傾げる俺に、マシュが呆れたように話しかけてくる。

 

「そもそも借りられたとして女性物を履くつもりですか?」

「そうですよマシュの言うとおりです。ただの変態ですよ、なんか逆に似合いそうですけどね!!」

「…全裸よりマシくね?」

「いえ、より度し難い変態になるだけかと」

「そっかぁ」

「そっかぁじゃないんですけど。というかせめて手とかで隠してくださいよいい加減に!!」

「おまえがその上着脱いで渡してくれるだけで解決なんだけど…」

 

それはちょっと…なんか恥ずかしいですし…。

みたいな照れを見せられた所で俺にどうしろと。

 

『というかあの爆発の中でどうやってレイシフトしたのか聞きたいんだけどね。君のコフィンだけが稼働状態にあったからまさかと思って冷凍はまだしてなかったんだけど…』

「気合で耐えた」

『耐えたぁ!?』

 

通信機の向こうから驚愕の声が聞こえてくるがさもありなん。

俺も純粋に耐えたとは言い難いほどの爆発だったし、ぶっちゃけほぼ死んでたけど、まぁ、うん。

宇宙っていいよね(現実逃避)。

 

「だから俺のコフィンは冷凍しないでくれよ。中にいるから」

『するわけないだろ!?くそっ、帰ってきたら絶対無事かどうか検査するからね!ほんとに!』

「過保護おじさん」

『おじさんとか言わないでくれるかなぁ!?』

 

このあとの展開について、語るべきことはそう多くない。

道中お互いの情報を交換しながら、シャドウサーヴァントやら骨をぶちのめして道を進み、中途採用希望のフードキャスターからフードをもぎ取ってみたり。

 

「ふぅ…服は人類の叡智の一つだなぁ…」

「待て待て待て!それ俺の装備、俺の上着、つーか俺のフード!!!この状況じゃなきゃボコボコにしてたからなクソマスター!なに令呪使ってまでフード引きちぎってくれちゃってんだよおい!?」

「令呪使って服脱がせるのって定番かなって」

 

見覚えのある誰かさんをガンメタして圧殺したりしただけなので。

 

「その格好は正気かイリ…っ、カルデアのマスター!?慎みを持て慎みを…!キャスター貴様も何をやっている!」

「うるせーよ俺だって知らねーよ!むしろこれでもましになってんだよ!!」

 

ガンメタって言うか、射線に入り込む度に攻撃の手が緩まる相手の良心に付け込んだだけなんだけど。

 

「やっぱあんたはヒーロー稼業か学校教師か食堂のシェフがお似合いだぜ、ネームレスレッド」

「その顔……まさかな。…ふっ。覚えはないがどこぞの聖杯戦争での知り合いかな?だとしたら私もよくよく運のない…」

「まぁ、ちょっと宇宙的な出会いがあっただけだ、気にすんなようんうん。具体的に言うと妹に似ている…ってナンパしてきたんだけど。…話は変わるけど可愛い子ならみんな好きって言ってるヒーローって最悪だよな」

「なにを言っているか本当にわからないんだが!」

「つーか、覚えはないがとか言いながら手元が狂ってりゃ世話ねーぜお兄ちゃん。俺はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン…なんて噛みそうな名前じゃねえからな。宇宙でもよく間違えられたけど」

 

───そして、俺たちは大聖杯の前にたどり着く。

 

 

 

 

「これが大聖杯……超抜級の魔術炉心じゃない…。なんで極東の島国にこんなものがあるのよ……」

 

いっそ禍々しさすら感じるその迫力を前に、所長の額から一筋の汗が流れ落ちる。

隣で真剣な顔をする後輩もまた、少し休んだとは言え顔色は完全に回復はしていない。

 

『資料によると、制作はアインツベルンという錬金術の大家だそうです』

「大家っつーか、はぐれメタルの一族みたいなもんだよな」

『魔術協会に属さない、人造人間だけで構成された一族…と資料にはあるけど、何か知ってるのかい?』

「そう…あれは俺がまだ宇宙のトラック野郎だった頃…」

『はい解散解散!与太話に付き合うのはまた今度!』

「人の与太話は最後まで聞くのが礼儀だろうが。これだから最近の若者はさぁ!」

『与太話って自分でも言ってるじゃないか!あと年なら普通に君より上だけど!?』

 

頭の片隅が鳴らす警鐘を無視したくて軽口を叩いてはいるが、はっきり言って状況は芳しくなかった。

先ほどから感じるこの古傷の疼き。

この先にいるのは、竜だ。

それもきっと、俺がよく知る類の。

 

…援軍がないのが本当に悔やまれる。

 

「悪いな、お喋りはそこまでだ。奴さんに気付かれたぜ」

「なんて魔力放出───。あれが、本当にあのアーサー王なのですか?」

『間違いない。何か変質しているようだけど、 彼女はブリテンの王、聖剣の担い手アーサーだ』

「ついでに性別も反転してるな。ありゃ男だ」

『わかってて言ってないかい?彼女、だからね!女の子だよ!お家事情で男のフリをさせられてたんだよきっと。王様になるためにね!』

「え……あ、ホントです。女性なんですね、あの方。男性かと思いました」

「男装女子とお付きのイケメンたちとかなんかエロゲの設定みたいですね」

「後輩お前そこは乙女ゲーとか花男とかにしとけよ女の端くれなら」

 

そう言いながら、俺は覚悟を決める。

やるなら一瞬。

成功確率はきっと高くはない。

応えてくれる確証もない。

それでも。

 

「見た目は華奢だが甘く見るなよ。アレは筋肉じゃなく魔力放出でカッ飛ぶ化け物だからな」

 

キャスターの言うことを、俺はよく知っている。

凡俗が正面からまともにやって勝てる性能はしていない。

 

「一撃一撃がバカみてぇに重い。気を抜くと上半身ごとぶっ飛ばされるぞ」

 

上半身どころかなんなら腸ぶちまけたことだってある。

あれは痛かったなほんとに。

目の前にいるあの誰かとは別人だけど。

 

「───構えるがいい、名も知れぬ娘。その守りが真実かどうか、この剣で確かめてやろう!」

 

一挙一投足が宝具級の反則サーヴァント。

黒い王様、アルトリア・ペンドラゴン。

 

…端的に言ってムカついた。

その何もかも諦めたような、ただ使命に殉じてやがて死んでいくような、その無表情が。

その顔には、笑顔でいて欲しい。

たとえそれが無駄な感傷でも、別人だとわかっていても、俺はそれを認められない。

 

だから、俺は。

 

「なぁっ、戻りなさいサボ郎…!死ぬ気!?やめ、やめなさい…!お願いだからやめて…!あなたまで私を置いていくの!?」

 

俺は、マシュが星の息吹を耐え抜いたのを尻目にスタートダッシュを切る。

 

無茶だ、無謀だ。

ただの自殺と変わらない。

 

だからどうした、惚れた弱みだ仕方ない。

それに、後輩も所長も限界だ。

マシュはその気高い勇気を持って後輩のことを守り切れるが、逆に敵を打ち倒す決定力はない。

 

なら、やはりやるしかないのだ。

宇宙を何度か救ったことのある先達として、戦うことが怖いと思える善き後輩たちの先輩として。

 

 

さぁ、死に物狂いで踊ってみせよう───!

 

 

 




人間のくせにサーヴァントに向かってくとか頭士郎かよ。
もう既にちんちん見せてるけど、次回ようやく本当の意味で主人公の見せ場回です。
頑張って書くので感想や評価ここ好きどしどし頂けると幸いです。
どうかよろしくお願いします。
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