全裸偽イリヤ先輩。   作:ひつまぶし太郎

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評価投げてくださった兄貴姉貴、感想をくださった皆さん、本当にありがとうございます。
お礼にちんちんを出します。
あと予約投稿なので誤字とかはまた修正します。


第九話。初戦闘。

 

 

最初の戦闘はまぁ、酷いものだった。

キャスターが役に立つと思ってワイバーンに挑んだら普通に使えなくてぐだぐだになったのだ。

 

『さぁ、来たぜ初戦だ、やっちゃえキャスター!相手はワイバーン!つまり多分ライダーだけど、クラス相性とか持ってるやつだけが選べるやつだから諦めろ!』

───滲み出す混濁の紋章。不遜なる狂気の器。湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き・眠りを妨げる。

『おお…!』

───爬行する鉄の王女。絶えず自壊する泥の人形。結合せよ。反発せよ。地に満ち己の無力を知れ。

『おぉ…あれ、んん…?』

『つまりはスカ。無力な吾輩に戦闘とか任せないで頂きたい!』

『変に見栄はらずに最初からそう言えや!あと人の本棚のBLEACH読んでんじゃねえよ!いや名作だけど!ちょ、後輩ー!後輩助けて!!こいつ使えねぇ!』

『ははは!さぁ、マスター!どうします!?頼りになるサーヴァントは吾輩一人!もう一人のマスターはここにはいない!さぁ、窮地におけるあなたの選択は!?』

『だぁぁああ!楽しんでんじゃねえよくそが!初手後輩とはぐれたらやっぱこうなるよなぁ戦力的に!!…いいよやってやるよ!強化寄越せシェイクスピア!俺が前で、てめえが後ろだ!』

『邪悪なる竜は失墜する、全てが果つる光と影に、世界は今落陽に至る、撃ち落とす!───幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!!…くっ、今の俺ではワイバーンすら殺しきれずに地に落とすので精一杯か…すまない…!』

『しゃおらー!誰だかしらねーけど天の助けだ!あんたの体調はあとで俺がなんとかしてやるよ!てなわけで3分クッキングの時間だぜ!地面に落ちりゃお前らなんざ余裕なんだよ!!!……!…!?ぎゃー!熱い!燃えるぅ!ブレスは反則だって!───あ、服が』

『はっはっは!輝くもの、必ずしも金ならず!玉のような美貌、青褪めた月のような銀髪、雪のような柔肌、ルビーのように輝く瞳!』

『そんでもって燃える俺の身体(エンチャントファイア)ぁ!───これが、全裸の力だあああぁ!つーか服の恨みいいいい!』

 

呪いに蝕まれてぼろっぼろで、むしろなんで生きてるのか問いただしたいレベルの身体で無茶をした英雄のおかげで、俺たちはとりあえず初手ゲームオーバーという事態を免れた。

 

とは言え、大ボスらしきドラゴンとそれに乗る黒い鎧の誰かは去って、それでも相手はサーヴァント四騎。

 

キャスターは戦闘要員としては使えない。

死にかけの大英雄は、必ず後で必要になるという確信があるので無理はさせられない。

俺は自分一人で戦況をひっくり返せるような戦力では決してないし、前のように万夫不等の大英雄であるヘラクレスさんには頼れない。

後輩もいない。

マシュもいない。

 

誰にも頼れない。

 

でも、やるしかない。

 

「ああ、くそ。何度目だ、こういうの」

 

例えば宇宙にたどり着いたばかりの頃に、その原因となったクソ野郎に利用されて死にかけたりとか。

例えば敵の本拠地でヒーローと逸れたりだとか。

 

そもそも生まれた瞬間にゴミ溜めに廃棄されたりだとか。

俺の人生はいつだってピンチの連続だ。

 

「待て、無茶だ…!同じく消える命なら、俺が───!」

「だーってろ大英雄。あんたの見せ場はここじゃねーよ」

 

聖剣を心臓から引き抜く。

相も変わらず身ぐるみは全部なくて。

錆びついた聖剣一つで、自分より強い敵に挑むとか本当に馬鹿の所業だ。

 

「マスター、普通に死ぬ前になぜそこまでするのか教えていただいても?アントニーに駆り立てられたわけでもあるまいに!」

「お前嫌なこと言うよなキャスター。普通に死ぬとか」

「生憎とそれが性分ですので」

「なら、俺もそうだよ。こいつらを今ここで放置したらきっと良くないことになる。でもその良くないことってのはきっと、目をつむってられる程度の損害なんだろう…心は痛むけど、我慢できない痛みじゃない。人はきっと、そういう痛みを抱えて生きていくもんなんだろうさ」

「それでも助けるのが性分と?」

「ちょっと違う」

 

助けたいのではない。

俺はヒーローではないから。

 

でも、助けを求めてる誰かを無視することもできない。

胸糞悪い展開は御免被る。

ただそれだけで、崇高な理念も信念もない。

我儘なだけ、売られた喧嘩は買わずには居られないだけ、気に食わない生き方が嫌なだけ。

死ぬ最期の瞬間まで、後悔したくないだけ。

 

ただの自分を主人公だと思い込む精神異常者(バーサーク・マスター)

 

「諦めが悪いんだよ、俺は。生き汚くて、綺麗になんか死んでられない。…それに」

「なんでしょう」

 

言うかどうか迷ったが、まぁ死ぬ気はないけど死ぬかもしれないのだ。

恥も外聞もなく言ってしまおう。

 

「───好きな子には、自慢できる自分でいたいだろ」

「…ははは!はーっはっはっは!なるほど道理だ!運命とは、最もふさわしい場所へと、貴方の魂を運ぶ。ならば、貴方は素晴らしい出会いをしたのでしょう!」

「そういうこった。座に帰ったら一行くらいは脳内に刻んどけ。見栄っ張りなクソバカが、奇跡の逆転を見せたってなぁ!…あと、俺お前の物語が大嫌いなんでな。戦場で見たら勢い余って一発ぶん殴りたくなっちゃうからちゃんと隠れてろよ」

「ええ。ええ!勿論ですとも。ご武運を、マスター」

 

俺は、手先のワイバーンが落とされたという事実に釣られてきたであろうサーヴァント四騎に向かって、大きく足を踏み出した。

 

自分の人生の原点。

あの物語をみたあの日からの夢がようやく叶う。

そう思えば、悪くもない気分だった。

 

 

 

 

「さぁ、振り切るぜ───!」

 

広範囲を巻き込むように大量の矢が降り注ぐ。

死の豪雨。

幸いなことに、精密な射撃ではなくやる気の感じられない大雑把な矢雨のおかげで、なんとか隙間が生まれており、殺戮空間に存在するほんの僅かな蜘蛛の糸を辿っていく。

 

自分の頭蓋が脳漿をぶちまけるよりも速く、前へ。

 

そして、向けられた殺意が膨れ上がるのに合わせて、俺もまた聖杯としての機能を大きく引き出す。

それは可能性の拡張。

 

賽の目を全て1に書き換えてから振って、判定を無理やり成功に変更するようなチート。

ようは自分の幸運をEXに引き上げて、俺は血濡れの杭が次々と飛び出してくる地面を走り抜けていく。

本来なら幸運を上げた所で俺の足の速さでは既に死神に足を掴まれてあの世に逝っている。

だというのに上から降り注ぐ矢雨も、下から飛び出してくる夥しい数の杭も俺には届かない。

まさに韋駄天。

全裸での爆走とか人間の所業じゃないし、足の速さが人の業ではない。

つまり。

 

「あいつ人の恋バナ聞いて筆が乗りやがったなどちくしょーが!」

 

それが意味するのは、俺に強化を施したシェイクスピアの筆が乗ったという事実。

恥ずかしすぎる。

やめてくれ。

カッコつけなきゃよかった!

 

後悔しながら死の森を走り抜けて、矢雨が途切れた瞬間を狙って大きく飛ぶ。

ショートカットのために空中に浮き上がったことで的になったと見たのだろう。

 

矢雨ではなく、レーザーのような勢いで絶死の矢が空間を捻り、抉るように飛んでくる。

 

「こんにゃろっ」

 

それを、無理矢理聖剣の魔力放出(ジェット)で軌道を変えることで、俺は一命を取り留める。

とは言えそれで躱し切れるのなら苦労はない。

致命傷を免れただけ。

掠めた矢が、俺の脇腹を吹き飛ばし、俺は大きくバランスを崩す。

 

「───ッ、んのっ!容赦なしか!」

 

くるり、と。

減速した獲物の隙を狩る卑劣な杭を体を無理やり丸めてやり過ごし、勢いのままにパチモン聖剣を杭にぶち当てて、さらに前へ。

 

抜けた、とそう思ったその瞬間。

空間に直接生み出されたアイアンメイデンが俺を捕らえる。

 

ああ、なんて悪辣。

 

いよいよ完全に身動きの取れない状態に追い込まれた俺は、真っ直ぐその先を睨みつけながら、鉄の棺桶に食べられる。

 

残ったのは、撒き散らされた血飛沫と沈黙。

 

暗闇に閉じ込められる直前、俺はようやく見つけたアーチャーに向かって手を伸ばした。

 

俺に出来たのは、ただそれだけだった。

 

 

 

───彼の初めては吾輩でなくてはならない。

吾輩だ。

彼に必要なのは吾輩なのだ!

 

彼が自分を主人公だと思い込む精神異常者だと嘯くのなら尚の事。

書き手だ。

語り部だ。

作家がいてこそようやく彼は主人公たり得る!

彼の物語に彩りを加えて、道中を胸が弾むものにかえてみせるヒロインでもない。

彼の理想像そのものな万夫不当、一騎当千の英雄でもない!

物書きが来てようやく、彼の物語は始まるのだから!

 

そう叫ぶ、一人の人間を見た。

 

そんな、気がした。

 

 

 




主人公が死んだこの人でなし!(2回目)

今回も最後まで読んでくださってありがとうございます。
ところでいつになったらおねショタするんですか(現場猫)?

ちなみに全然関係ない話なんですけどライダーさんっておねショタ適正高いですよね。
普通に話しててもショタの目の間にはおっぱいがあって、ショタの目線が自分の顔を見てるようでその間にあるおっぱいに吸い寄せられてるのを自覚しながら薄く微笑んで、目線を合わせるかのように屈むライダーさん。
むしろその姿勢のせいで谷間が見えて赤面するショタを見て舌なめずりするライダーさん。
昼はクソガキのわがままを聞くお姉さんでありながら、夜になると魔力供給と称して無知なマスターを自分好みに調教するドスケベサーヴァント…。
そのうちマスターの少年もまたライダーさんの気配を感じるだけであたまがぼーっとするようになり、昼間っからずっと退廃的な快楽に溺れるようになる…。
いい…。
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