今章は、試験的に1日1話投稿にしてみます
予約投稿に慣れようと思います
それはそれとして誤字脱字が怖いです
1:てんしょく
迂闊だったと言わざるを得ないだろう。
単純にサプライズと言うか……というより、ここぞという時の打開策として、とっておこうかな、という考えだった。
そう考えていたのがまず迂闊だったし、私の<エンブリオ>のスキルはシアさんにも見えるという点も迂闊だったし──
「何で、勝手に、使ったんですか!?」
「だっ、だだだだってなんだかすごいスキルだな〜って思ったから、使わないっきゃない! ……って」
──何なら彼女が使えかねないのを失念していたのが、一番迂闊だった。
一応は《フルスロットル》などと同様、“装備品としての僕”のスキルではあるのだから、使えない訳は無かったのだ。
「まあ、まあ良いです。使ってしまったものは仕方ありません」
「そ、そうですよね? 仕方ないですよ」
「貴女が言うなよ???」
「ぐっ…………ごめんなさい」
「よろしい。そしてこちらも申し訳ありません。説明を怠りました」
本当に仕方ないし取り消しも効かない。あと単純に私の落ち度でもある。
今は増えたスキルについて考えよう。
《マナドライブ》
消費したMPの50%を、50秒かけて回復する。
この効果は重複せず、再発動時に上書きされる。
パッシブスキル
……さして考えることも無えだろこんなスキル。
◆
過ぎたことを一度忘れ、新たなジョブを携えに、一先ず僕らは転職クリスタルへとやってきていた。
療養に掛り切りでここ1週間手がつけられていなかったが、どうやらシアさんもキングの討伐でレベルがカウントストップしていたらしい。
溢れただろう経験値が惜しいが、贅沢は言っていられない。
戦闘中にジョブを増やせるわけじゃあるまいし。
僕が新しく就くのは【猛戦士】。
連続攻撃する能力に長けた、戦士系統下級職である。
■【猛戦士】[転職可能]
┣◯【戦士】レベル50達成
┗◯3秒間に10回以上の攻撃を行う
条件を見てもらうと判るかも知れないが、なんだかんだグラインダー形態での攻撃は僕の攻撃でもある。
それを悪用……有効活用した結果だ。
生身の状態でろくすっぱ攻撃なんてしてないから、そうでなければ就職出来ていない。
選択して、決定、と。
「よし、と。こちらは終わりました」
「……ちょっと、待っててください……いえ、やっぱり来てください!」
「はい」
呼ばれたので行ってみれば、小難しい顔をしたシアさんが唸っている。
「そんなに悩めるほど候補が多いんですか?」
「いえ、そういう訳ではないんですけど……【司教】に就きたくて」
ああ、なるほど。
【司教】の就職条件は確か、【司祭】のレベルカンストと、宗教施設のお偉いさんからの推薦、だったか。
【司祭】のカンストは達成したので、残す条件は推薦。
しかし、推薦を受けられるようなコネクションがない、といった所だろう。
「推薦を受けるには……教会の出すクエストをこなしていく必要があった筈です。地道に進めていきましょう」
「ああ、そこは大丈夫なんです。推薦については、一応頼りがあって」
あるんかい。
「でも、少し不安があって……一緒に来て下さいませんか?」
「それは全然構いませんよ」
え、あるんだ……えぇ? レジェンダリア出身では無かったのだろうか。
にしてはハーフハイエルフ、レジェンダリアでの有力種族だ。逃げ延びた理由については察せられているが、謎が多い。
無理に聞く理由もないとあまり深掘りしていなかったが、やはり聞き出すべきだったろうか。
……まあ、それをするにしても後だ、後。
◆
所を変え、アルター王国の大聖堂。
国教であるかの宗教は、総本山であるここアルター王国を始めとして広く信仰されている。
そのためこの聖堂も、国内外問わない多くの信徒で、そこそこの賑わいを見せていた。
なお、宗教としては正式名がない上、トップの称号である【教皇】のジョブを<マスター>に持っていかれているらしい。
それで良いのか、国教。
「おお、アレクシアさん。お久し振りです」
「お久しぶりです、神父様」
「そちらの方は……ああ、<マスター>様でしたか」
神父、と呼ばれる男に軽く会釈する。
教会辺りで働いている時の知り合いか、或いは上司か何かだろうか?
「お初にお目に掛かります、タカキ・ソウと申します。タカキ、が家名のようなものですので、どうかそうお呼び下されば」
「有難うございます。私は、アンドリューと申します。しがない身ではありますが、この聖堂の管理を、一部担わせて頂いております」
「そうでしたか」
妙齢の男性とあって、やはり立場もそれなりに上だったらしい。
誰であれ初対面なら礼儀を正すが、余計に正しておいて良かった。こういうのは、慇懃無礼との棲み分けが重要なのだ。
「して、アレクシアさん。今日も治療のお手伝いでいらっしゃいますか?」
「いえ、今日は……その」
何かを言い淀むシアさん。
深呼吸を一度して、意を決したのか、よしと呟いた。
「今日は、デイビッド・ロザリウスの娘、アレクシア・エルブンルードとして、お目通りに上がりました」
「……なるほど、そうでしたか」
娘……なるほど、こちらの国に親族がいらっしゃったのか。
先に言ってくれ。主に身柄を拘束しているものとしてかなり立場が危ういぞ。
「先導いたします。こちらへどうぞ」
「はい」
言われるがまま、聖堂内を歩いていく。
静謐な空気は現実のそれと遜色なく、寧ろこちらのほうが勝っている。
あちらの教会というものは、良くも悪くも現代の色が少し移っていて、味はあるが何か違う。
関係者以外は立ち入れなさそうな区域を通り、応接間のような場所へ。
「お連れ致しますので、どうぞお掛けになってお待ちください」
そう言って、アンドリュー神父は部屋を立ち去る。
残されたのは僕とシアさんは、言われるがままに席に着き、その……推定シアさんのご親族の到着を待つことになった。
「緊張なさってます?」
「まあ、それは、はい」
今のところ、緊張しかしていない。
「私もです。久し振りに、会えるかも知れないので。だから一緒に来ていただいたんですけれど」
「何年振り、なんですか?」
「私が……5歳の頃に会ったきりなので、52年ぶりでしょうか」
え……?
……ああ、そうか、シアさんはハーフとはいえエルフだ。見た目の若さとのギャップで思考が止まった。
なら? まあ、そのぐらいの期間が空いていることもあるか。
「……あっ」
「どうかしましたか?」
「今の話、忘れて頂けませんか?」
「…………ああ、はい」
なるほど。年齢か、そうか……57なんだシアさんって。
まあまあ歳食ってたし、バリバリ歳上かよ。
UAが500に届きそうです
零細な小説ではありますが、嬉しい限りです
追記:
タグが全然足りていませんでした
ゾーニングミス、大変失礼致しました
9/29 まえがきの位置修正
10/2 改行数を修正