系統樹に触れた物書きの話   作:ヘッドカノン

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短いです
何処に差し込むか考えた結果
ここになりました

絶対違う


※注意:
 直接的ではありませんが
 一部性的な描写があります
 だめな人は飛ばしてください
 次話まえがきに要約を載せます




EX1:あやまち

 ■

 

 

 社会人である灰川(はいかわ)流一(りゅういち)は、目下、眼前の女の処遇に悩んでいた。

 

「……うーん」

 

 双方、裸。見下ろせば、色々に塗れた上で乾いた、自分の分身がぶら下がっている。

 ベッドの上には見知った女。布団を被ってはいるが、おそらく裸。

 どうしてこうなったのかははっきり覚えがある。

 酔っ払い過ぎて介抱するしか無くなった上司に、勢いで食われたのだ。

 

「……まーじで、どうすんだこれ」

 

 どんな顔をして仕事に臨めばいいのか。

 死ぬほど鳴っている携帯を取るべきか否か。

 

 諸々の問題を抱え、流一は考えるのを止めた。

 

 ◆

 

「ほんっ……とうに、ごめん!」

「い、いやいやいやいいっすいいっす」

 

 風呂に入り、服を着て、気づけば起きていて土下座をかます目の前の上司……霧島(きりしま)美鈴(みれい)に、慌てどももう遅い。

 最早腹を切る勢いであり、携帯の着信すら最早ないのだ。逃げようにもどうしようもない。

 

「あんま、気にしてないっすから……まあ、凄かったっすけど」

「凄いって何……なによぅ……!」

 

 元はといえば、これはオフ会だった。

 パーティを組んではや1年。それは<Infinite Dendrogram>の中での話ではあるが、知り合って長いある女性。

 それに意を決して飲みを誘い、了承を貰い、意気揚々と向かった先にいたのは、上司だった。

 

(ベタすぎねぇかなぁ……?)

 

 そういうライトノベルは何度か読んだことがあったが、自分がそうなると笑えたものではない。

 通夜のような空気感で進む飲み。

 それに痺れを切らし、ボトル1本を一気飲みするという凶行に出たのが……目の前の上司である。

 

 案の定ぶっ倒れ、介抱のためにやむを得ず入った“休憩所”。

 部屋のベッドに寝かせ、全てを忘れて帰ろうとした矢先に、腕を掴まれ押し倒され……こう、なった。

 

(ベタすぎねぇかなぁ……!?)

 

 彼も男ではある。そういったシチュエーションの利用はしたことがあるし、憧れなかったわけではない。

 ただ、実際に起きて欲しかったわけでもないのだ。

 正に青天の霹靂だった。

 

「オレも、このことは忘れますんで……」

「……わす、れるの?」

「は?」

 

 絞り出した言葉に、思いもよらぬ返事が来て、呆気にとられる。

 

「忘れ、ちゃうの? あ、あんなに……」

「あの思い出さすの止めてくれませんかねぇ!?」

 

 暈して言うならば、ぴったり収まった。がっちり嵌った。

 何のとは言わないが、相性が良かった。

 n回戦(2<n<11)も続けられるとは思いもよらなかったし──

 

「……あっ」

「……あんま、見ないで下さい」

 

 ──今もいけるとは正直思っていなかった。

 

 ◆

 

 結局そこを出たのは昼過ぎ。

 nの範囲が11を超過し、式が成り立たなくなった頃だった。

 

「…………」

「…………」

 

 両者は無言。

 月曜なのにもかかわらず、私服で街に繰り出すのは、久しぶりのことだった。

 

「よし……霧島課長」

「……何?」

 

 意を決して、口を開く。

 

「指輪、買いに行きましょう」

 

 相手の死んだ目に、光が灯った。

 

 

 ■

 

 

「……なっつかしい」

 

 目を覚ませば、見知った天井。

 つい4ヶ月前の出来事だが、今も鮮明に思い出せる。

 サイドテーブルへ飾られた写真は、式にてはしゃぐ姿を鮮明に残す。

 寝所にまで香るコーヒーは、台所で朝食が作られる証左だった。

 

「あら、起きてたの」

 

 部屋の入口からひょこりと顔を出す愛しの嫁に、今起きたと告げてベッドを降りる。

 

 悩みの相談にも乗ったことのある、気心の知れた相手だったのだ。

 そうでなければ1年も続かなかっただろうし、こうする決心も付かずに、自然消滅していただろう。

 まあ、あそこからの流れは速かった。籍を入れ、式をして、美鈴は寿退社である。

 

「……なあ」

「なあに?」

「酒って怖いな」

「急にどうしたのよ……否定しないけど」

 

 酒は百薬の長と言うが、程度を過ぎれば劇薬となる。

 

「あの二人に会ったら、ちゃんと言っとかねぇと」

「言わなくても十分わかってるでしょ、タカキさんのことだし」

 

 脳裏に浮かぶのは、先日戦いを共にした2人の男女の、仲睦まじい姿。

 フレンド登録はすっかり忘れていたが、まあ元気にやっているだろう。

 

「それもそうか」

 

 嫁の言う通り、よっぽどのことはないと思う。

 でも万が一にも、劇薬によってその関係が壊れぬよう、少しばかりの願いを捧げる流一だった。

 

 ◆

 

 夫婦はまだ知らない。

 タカキという男の酒の弱さを。

 劇薬がいかにして引っ掻き回すかを。

 

 何も、知らない。




こえるんだやまを
よわくおとろえようとも

以上です
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