系統樹に触れた物書きの話   作:ヘッドカノン

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EX1要約:
灰流とミスティは夫婦である
馴れ初めは酒絡みワンナイト




7:めいおう

「もうお前は飲むな」

「文豪は酒乱って、マジなんですね」

「本当に僕は何を仕出かしたんですか……?」

 

 2人揃って首を横に振る。

 口に出すのも憚られる……か。そうか……。

 

『入るわよ!』

 

 ドアが乱暴に叩かれ、入って来たのはミスティさんと……顔を赤らめ、両手で覆っているシアさん。

 

「本当に何にも無かったみたいだわ」

「……よくやったって褒めるべきか?」

「甲斐性なしと罵るのもアリかと」

「バカ言ってんじゃ無いわよヤロー共……酒によっての間違いってねぇ、一番面倒くさいのよ! 一番!」

「それは……そうだな」

 

 ミスティさんの言葉に頷く灰流さん。姿に実感と重みが感じられる。

 ……なんかあったんだろう。多分。

 

「じゃあ結局、何があったんですか? ボクはシアさんを褒めちぎってそのままベッドへ持っていった所までしか見てないんですが」

「オレもだ」

 

 何してんだ僕。

 

「……言って良い?」

 

 コクリと頷くシアさん。耳まで真っ赤だ。

 

「その調子のまま、ずっと褒めちぎられ続けながら抱き枕にされたんだって」

 

 本当に何してんだ僕は。

 

「んで、途中で飲んだくれのバカが──」

「タカキ様は!」

 

 視線が一斉にシアさんへ向く。

 

「……ば、バカじゃない、です……」

「──はぁ。タカキさんが! ……途中で寝て、引き剥がして寝ても良かったんだけど、まあ、なんか一緒に寝ちゃったって」

 

 おい。

 

「奇跡か」

「奇跡ね」

「奇跡ですねー」

 

 ……止めろ。生暖かい目で見るな。止めてくれ。

 

 ◆

 

「はー、ようやく着いた!」

 

 カラッとした空気と、肌を焼く日差し。

 辺りは人の気配が多く忙しない。着いた時間が時間だから、というのもあるだろう。

 何せ、朝のバザール真っ只中だ。これで閑散としていたら、<貿易都市>の名が廃る。

 

 カルディナの初期地点、コルタナ。通称は<貿易都市>。

 砂漠の中心に位置し、オアシスを中心として発展した場所である。

 

 尚、こういう所で1番喜びそうなシアさんの声はない。

 ずっと隣には居る。ただ目を合わせてはいないし、言葉も交わしていない。

 

 ……ミスティさんが深呼吸を繰り返している。

 

「ふぅ、甘ったるい空気だったから気分良いわね! 空気が美味しいのなんの!」

「それはホントにそう。なんか変な甘さでしたから」

「青春だぁな」

 

 止めてくれませんかね。

 

「さて、このアイテムボックスを届けるんですよね?」

 

 シエンさんが抱える大型のアイテムボックスは、内部時間停止の効果があり、ナマモノを運ぶにはもってこいな代物。

 それを片手にここまではるばるやって来たのは、それがお使いの内容だからだ。

 取引先へのアイテム譲渡と、代金の引き換え。

 社外の人間にやらせることじゃなかろうとは思うが、まあその緩さがあいつらしい。

 

「中身については聞いてませんけど……違法な品では無いんですよね?」

「その筈です」

「ハズ、なのが怖ぇんだよなぁ……」

 

 それはそう。

 しかしあいつの営む<屍財工務店>は死霊術専門の店。

 各国にテナントを置き、どこの国にも所属せず、また深入りもせず、一定距離を保ちながら仕事をしている、と聞く。

 その割に王国に入り浸っている気はするが……僕が居るからか?

 

 閑話休題。

 

 上記のようなスタンスだからこそ、基本的にどの国でも違法な仕入れや販売は行っていないらしい。

 それを信じるならば、まあ、何かしらのモンスターの生体素材等であろう。

 信じるならば、であるが。

 

 ◆

 

 バザールを抜け、人気の少ない、閑散とした区域へ。

 スラムと言うにはまだ足りず、普通と言うには貧しすぎる。そんな具合の場所だ。

 

「……あ」

 

 ふと、シアさんが声を上げた。

 見れば寂れた教会が、ぽつんと立っている。

 アルターの国教と同じものを信仰しているようで、実質的な支部と言えよう。

 

「ちょっと、お手伝いに行ってきます……っ」

「あっ、ちょっと!」

 

 その場から逃げるように足早に教会へと向かうシアさん。

 

「……ごめん、取引任せて良い?」

「ああ、構わんぞ」

「僕が行った方が──」

「──状況考えなさいよアンタバカじゃないの?」

「……はい。ごめんなさい」

 

 付いて行った所で気まずくなるだけなのはそうだ。

 

「じゃ、任せたわよ!」

 

 ミスティさんが駆け足でシアさんを追っていく。

 それを見送ると、気づけば男3人所帯と相成った。

 

「……道覚えてるか?」

「いや、全然……」

「だろうな」

「あ、ボク覚えてますよ。こっちの方向でした」

「道合ってんなら良いんだ。たまに間違えっからな……」

 

 拙いな、ショックで色々抜けている。

 やはり呑むべきじゃ無かったのだろう。……それは当然か。

 少し気が浮いていた。何せ、懐かしい顔ぶれとの旅路だ。楽しいったらありはしない。

 ここにあいつも居れば、さぞ楽しかったろう。忙しいらしいので無理は言えんが。

 

「んで、ここ曲がって……ここです」

「ほーう……雰囲気あるな」

 

 物々しい空気の漂う集団墓地、そこが今回の目的地だった。

 こういった無縁仏の寄せ集めは貧困地域に多い。主に政府が主導であるが、どちらかと言えば防疫の観点から行わざるを得ないのだろう。

 行わざるを得ない。とどのつまりは嫌々。故に色々雑なのは、言うまでもない。

 

 そんな場所で、手を合わせる人が1人。

 

「……っと、多分あの人……うわ、ウソだろおい……」

「……やっぱそうだよな?」

「有名な方、ですか?」

「“冥王”だ」

「“冥王”です。知りません?」

 

 首を横に振る。

 生憎目新しさを大事にしたいせいで、Wikiでジョブについて漁る、以外の情報源があまりないのだ。

 新聞もこちらのものは稀にしか読まず、耳に入ってくる分の情報か、余っ程知りたい時ぐらいしか有名人についてのアンテナは無い。

 

 尚、前者は王国の“魔法最強"や皇国の“物理最強"。後者がこの前の【女教皇】である。

 そして件の<冥王>は、そのどちらにも引っかかっていなかった。

 

「<超級>ですか?」

「はい。心して商談に望みましょう」

 

 ……何かと最近、<超級>に遭遇している気がする。

 今月でもう2度目だぞ? 稀なんじゃないのか。

 

「あの、すいませーん」

 

 シエンさんが声を掛けると、男の顔がこちらへ向く。

 酷く痩せている。立ち上がった姿も含めて、余裕のあるローブを着ていても尚、痩せている。

 

「……お待ち、していました」

「ああ、やっぱりか。えーと、マルクスさんからの──」

「──それは、一先ず……後回しとしましょう」

「はい?」

 

 気の抜けた声を尻目に、視線はこちらへと向いた。

 

「タカキ・ソウさん、ですね?」

「……確かにそうですが」

「お会い出来て、光栄です。貴方に会うため、マルクスさんを通じて……ここへ来て頂きました」

 

 ……なるほど……?




冥王です
メイデン持ち片っ端から出てんな

因みに墓地ですが
色々あって作られました
なんででしょうね
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