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「《バレット──スロー》ッ!!」
使い勝手の良い直線軌道と高い弾速が特徴の、投手系統が獲得するスキル。
しかしその分読まれやすく、やはりと言うべきか軽々と躱される。
超音速の世界では、それが日常茶飯事だった。
「《バラージスプレッド》!」
近づいてきた相手へ向け、黒い砂……砂鉄を無数の針とし、眼前広範囲へと投げつける。
当たりはしたが、やはり無傷。
(これでいい……!)
突き刺さった針を変形させ、
「お?(゜-゜)」
「《
そのまま、針へと込めた電気を発散させた。
特性である“物体へ電気を蓄積させる”能力は、電磁気を帯びさせ粒子や流体に武器を模らせることや、そのまま放電させての攻撃手段として扱える。
槍の形成は前者、今回は後者だ。
相手の不死身のタネをC&は知っている。
というか、そもそも広く知られている。
彼女は決まってタネを明かし、その上で“どうしようもなさ”叩きつけるのが趣味なのだ。
「そうそう、物理以外^_^ ぼくには属性攻撃が効きやすいんだよね(*´ω`*)」
今本人が言った通り、物理攻撃は効かない。寧ろ相手の回復に繋がる。
彼女の持つ特典武具は2つ。
「このパーカーで物理が毒になって(^m^)」
あらゆる受けた物理ダメージを同量の毒ダメージへと変換する【毒侵装束 ランブラング】。
「毒のダメージの2倍回復する(・∀・)✧」
毒を倍の回復効果に、回復効果を倍の毒にする【薬毒一絡 トリプ・ト】。
「そんでもって──」
そして、彼女が<超級>足る所以の<エンブリオ>。
普通であればループして死ぬ、回復と毒のサイクルを断ち切る──
「──ぼくに毒は効かない(●´ω`●)」
──【悪疫滅殺 ナイチンゲール】。
常時発動型の必殺スキルは、病毒系状態異常を無力化し、接触した細菌類を死滅させるという、至ってシンプルな効果。
そしてそれ故に、出力は極めて高い。
病毒を、悪疫を、暴力的なまでに滅ぼし、殺し尽くす。
今は誰も知らぬことではあるが……後に“国絶やし”と呼ばれる男ですら、彼女の<エンブリオ>は突破出来ない。
故にその迂回は必須。
しかし……その上で、あまりそれらに効果があるわけでもないのだ。
(……やっぱり治るか)
傷が塞がる様子を見て、歯噛みする。
眼前の相手は、個人生存型。
生き延びることに特化したビルドの使い手である。
◆
戦況は芳しくない。
有効打を与えられるのは《放電》のみだが……。
(そんなぽいぽい使えるもんじゃ無いんだよなぁ!?)
心中でぼやきながら、相手の肥大化した腕を避ける。
カウンターに槍を横一閃するも、それは華麗に翻された。
槍は投げていただけで、別に槍の名手ではないのだ。
普段蓄積させる、槍を模る程度の電気の量であれば、さほどコストは不要。
しかしながら《放電》させるとなると話は別だ。磁力を持たせる以上に、しっかりと溜め込ませる必要がある。
ロスもその分大きくなり、残りは打てて十発が限度。燃費はかなり悪い。
これを打ち切れば、槍すら作れなくなる。
(やっぱ《
属性ダメージもあるにはあるが、それ以上の物理ダメージがあるせいで回復される。
(となると……クソ)
頭に過ぎるのは自爆技。
最終奥義程ではないが、それ以降の戦闘は望めなくなる奥の手。
「《ボーンブランチ》」
お返しと言わんばかりの骨の槍衾。後方に飛び退るも少し掠め……じわじわと体力が削れていく。
(与える物理ダメージも毒になるのかよ!?)
「聞いてないっての……!」
「言ってないもん(・へ・)」
そんなのありかと言いたくとも、それを言う暇などありはしない。
ぐるぐると振るわれ続ける槍衾。回転しながらのラリアット。
どうにか追いついてはいるものの防戦一方。
そして相手は有効打を持っていて、こちらにはないと来た。
思わず笑みが溢れる。
「ハハハ──逆境上等ッ!」
彼が此処に居るのは、腕を得るため。
とっくに死んだ心の火を灯す、そんな何かを掴むための、腕を。
「おっ……るぁぁぁっ!!」
思い切り砂地に義腕を突き立てる。
青い雷が走った砂漠が、うねりを上げて変形する。
「わあ聞いてない(●`ε´●)」
「お返し、だっ!」
普段は砂鉄……特典武具たる【鋼砂袋 ジオサンド】からMPの限り湧くそれを使っているが、一種のブラフ。
砂や流体であれば、何でもこうして磁力を与え、動かせる。
「ぎゃぼっ(´;ω;`)」
腕を、腹を、脚を砂の牙で縫われ、身動きが取れなくなっていく<超級>の犯罪者。
拘束は一瞬。しかし一瞬あれば十分。
「──ぉぉぉおおおおおおおっ!!」
引き抜いた義腕から、雷が迸り、槍が、義腕が赤熱する。
MPの全てと<エンブリオ>の破損を以て放たれるのは、奥の手たる必殺スキル。
「《
刹那、轟音が鳴り響く。
蓄積増幅された電気を基に、義腕との反発で電磁加速された投擲物は、プラズマ化しながら目標へ殺到する。
そして──
「──《
──槍が、爆ぜた。