系統樹に触れた物書きの話   作:ヘッドカノン

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UA2500超えました
ありがとうございます


11:けらうのす

 ■

 

 

「《バレット──スロー》ッ!!」

 

 使い勝手の良い直線軌道と高い弾速が特徴の、投手系統が獲得するスキル。

 しかしその分読まれやすく、やはりと言うべきか軽々と躱される。

 超音速の世界では、それが日常茶飯事だった。

 

「《バラージスプレッド》!」

 

 近づいてきた相手へ向け、黒い砂……砂鉄を無数の針とし、眼前広範囲へと投げつける。

 当たりはしたが、やはり無傷。

 

(これでいい……!)

 

 突き刺さった針を変形させ、()()()を付ける。

 

「お?(゜-゜)」

「《放電(ディスチャージ)》!」

 

 そのまま、針へと込めた電気を発散させた。

 

 C&(シエン)の<エンブリオ>、【霹靂蓄積 ケラウノス】の到達段階はⅥ。

 特性である“物体へ電気を蓄積させる”能力は、電磁気を帯びさせ粒子や流体に武器を模らせることや、そのまま放電させての攻撃手段として扱える。

 槍の形成は前者、今回は後者だ。

 

 相手の不死身のタネをC&は知っている。

 というか、そもそも広く知られている。

 彼女は決まってタネを明かし、その上で“どうしようもなさ”叩きつけるのが趣味なのだ。

 

「そうそう、物理以外^_^ ぼくには属性攻撃が効きやすいんだよね(*´ω`*)」

 

 今本人が言った通り、物理攻撃は効かない。寧ろ相手の回復に繋がる。

 

 彼女の持つ特典武具は2つ。

 

「このパーカーで物理が毒になって(^m^)」

 

 あらゆる受けた物理ダメージを同量の毒ダメージへと変換する【毒侵装束 ランブラング】。

 

「毒のダメージの2倍回復する(・∀・)✧」

 

 毒を倍の回復効果に、回復効果を倍の毒にする【薬毒一絡 トリプ・ト】。

 

「そんでもって──」

 

 そして、彼女が<超級>足る所以の<エンブリオ>。

 普通であればループして死ぬ、回復と毒のサイクルを断ち切る──

 

「──ぼくに毒は効かない(●´ω`●)」

 

 ──【悪疫滅殺 ナイチンゲール】。

 

 常時発動型の必殺スキルは、病毒系状態異常を無力化し、接触した細菌類を死滅させるという、至ってシンプルな効果。

 そしてそれ故に、出力は極めて高い。

 病毒を、悪疫を、暴力的なまでに滅ぼし、殺し尽くす。

 

 今は誰も知らぬことではあるが……後に“国絶やし”と呼ばれる男ですら、彼女の<エンブリオ>は突破出来ない。

 故にその迂回は必須。

 しかし……その上で、あまりそれらに効果があるわけでもないのだ。

 

(……やっぱり治るか)

 

 傷が塞がる様子を見て、歯噛みする。

 

 眼前の相手は、個人生存型。

 生き延びることに特化したビルドの使い手である。

 

 ◆

 

 戦況は芳しくない。

 有効打を与えられるのは《放電》のみだが……。

 

(そんなぽいぽい使えるもんじゃ無いんだよなぁ!?)

 

 心中でぼやきながら、相手の肥大化した腕を避ける。

 カウンターに槍を横一閃するも、それは華麗に翻された。

 槍は投げていただけで、別に槍の名手ではないのだ。

 

 普段蓄積させる、槍を模る程度の電気の量であれば、さほどコストは不要。

 しかしながら《放電》させるとなると話は別だ。磁力を持たせる以上に、しっかりと溜め込ませる必要がある。

 ロスもその分大きくなり、残りは打てて十発が限度。燃費はかなり悪い。

 これを打ち切れば、槍すら作れなくなる。

 

(やっぱ《帯電(ウェアリング)》で……いや、あれは物理ダメージのが高い)

 

 属性ダメージもあるにはあるが、それ以上の物理ダメージがあるせいで回復される。

 

(となると……クソ)

 

 頭に過ぎるのは自爆技。

 最終奥義程ではないが、それ以降の戦闘は望めなくなる奥の手。

 

「《ボーンブランチ》」

 

 お返しと言わんばかりの骨の槍衾。後方に飛び退るも少し掠め……じわじわと体力が削れていく。

 

(与える物理ダメージも毒になるのかよ!?)

 

「聞いてないっての……!」

「言ってないもん(・へ・)」

 

 そんなのありかと言いたくとも、それを言う暇などありはしない。

 ぐるぐると振るわれ続ける槍衾。回転しながらのラリアット。

 どうにか追いついてはいるものの防戦一方。

 そして相手は有効打を持っていて、こちらにはないと来た。

 

 思わず笑みが溢れる。

 

「ハハハ──逆境上等ッ!」

 

 彼が此処に居るのは、腕を得るため。

 とっくに死んだ心の火を灯す、そんな何かを掴むための、腕を。

 

「おっ……るぁぁぁっ!!」

 

 思い切り砂地に義腕を突き立てる。

 青い雷が走った砂漠が、うねりを上げて変形する。

 

「わあ聞いてない(●`ε´●)」

「お返し、だっ!」

 

 普段は砂鉄……特典武具たる【鋼砂袋 ジオサンド】からMPの限り湧くそれを使っているが、一種のブラフ。

 砂や流体であれば、何でもこうして磁力を与え、動かせる。

 

「ぎゃぼっ(´;ω;`)」

 

 腕を、腹を、脚を砂の牙で縫われ、身動きが取れなくなっていく<超級>の犯罪者。

 拘束は一瞬。しかし一瞬あれば十分。

 

「──ぉぉぉおおおおおおおっ!!」

 

 引き抜いた義腕から、雷が迸り、槍が、義腕が赤熱する。

 MPの全てと<エンブリオ>の破損を以て放たれるのは、奥の手たる必殺スキル。

 

「《雷霆(ケラウノス)》ッッッ!!!」

 

 刹那、轟音が鳴り響く。

 蓄積増幅された電気を基に、義腕との反発で電磁加速された投擲物は、プラズマ化しながら目標へ殺到する。

 

 そして──

 

「──《放電(ディスチャージ)》」

 

 ──槍が、爆ぜた。

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