メテオとジュリエット ~隣の席の月島くんは、頭に隕石が落ちておかしくなってしまった~   作:松山リョウ

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ネオリンク星人

 

【星原朱里】

 

「すると、月島くん、もとい月島くんを操っているアルガ氏は、逃げ出した宇宙生物を追って地球にやってきて、誤って墜落しちゃったってこと?」

 

 

 

「よきよき。今の説明で理解できるってマ?」

 

 

 

「だからその口調はやめてってば」

 

 

 

 目の前の月島くん――正確にはアルガが操っているわけだが――はほんの少し眉を曇らせたが、元の言葉遣いに戻してくれた。

 

 

 

「あらかじめ言っておきたいのは、月島氏の生命はいまだ健在だ」

 

 

 

 月島くんが胸に手を当てる。

 

 

 

「俺を乗せた脱出パックが運悪く彼の後頭部に直撃し、幸か不幸か神経系に接続された。おかげで肉体も精神も仮死状態を維持していて、俺が脳にアクセスして彼の肉体を操作している。思考と会話はできないが、微弱な念波は計測されているから、うまく処置してから脱出できれば彼に肉体も精神も返すことができる」

 

 

 

「逆に言えばうまく処置できないし脱出できない状態なわけだ」

 

 

 

 大げさなほど、がっくしと肩を落とす。

 

 

 

「宇宙船があれば心身ともに治療することは造作もない。だが、我が船は地球圏突入時の爆発で木っ端微塵に散らばってしまった。外殻はまだしも中枢部はこの星には存在しえない物質で構成されているがゆえに、破片を集めなければ宇宙船を再現できない。だから毎日探しているのだが、範囲が広く難儀している」

 

 

 

 あの馬鹿げた鉄箱は、宇宙船の破片を探す装置だったということか。

 

 

 

「どれぐらいかかりそうなの?」

 

 

 

「わからない。手持ちの探知機の周波が7ムーティスしかなくてな。限定解除も8セナももたなくて効率が悪い。オリカルクムさえ見つかれば240シアカムほどで終わるはずなのだが」

 

 

 

 なにもわからないということがわかった。

 

 

 

 私は宇宙生物の死体に目をやる。しゅうしゅうと音を立てて蒸気を上げており、その肉体はいまや半分ほどの大きさにまで縮んでいる。雨合羽のように見えた部分は、生物の皮膚だったというオチだ。

 

 

 

 しゅうしゅう、しゅうしゅうと溶けていく体から思わず目を背ける。

 

 

 

「あれは死んでるってことでいいんだよね」

 

 

 

「ああ。この星はアプルダム……この星の言語だと酸素だな。酸素は生命活動を維持している状態だと問題ないが、息絶えた状態、つまり物体となると地球外生命体にとって超即効性の毒になる。放っておいても月光が辺りを照らすまでには跡形もなく消えるだろう」

 

 

 

 その言葉ではっとする。話し込んでいて気づかなかったが、あたりがだんだんと薄暗くなり、公園内の電灯が灯り始めている。広場にある時計は十八時を過ぎようとしていた。

 

 

 

「やば、学校から寄り道せずに帰宅しろって口酸っぱく言われてんのに」

 

 

 

 私はリュックを担いで立ち上がる。

 

 

 

「ほら、月島くん……アルガだっけ? とにかく詳しい話は明日聞くからさ。協力するところは協力するけど、ひとまず今日は帰って――」

 

 

 

「残念だがそれは不要だ」

 

 

 

 私の言葉を遮って、月島くんが短く言い放つ。

 

 

 

「不要って……なにが? 帰らないってこと?」

 

 

 フルフルと首を横に振る。

 

 

 

「これは俺の問題だ。宇宙船の破片収集ともうひとつ、脱走したもう一匹の宇宙生物も探さねばならない。月島氏のみならず、君まで危険に曝すわけにはいかない」

 

 

 

 がくん、と唐突に眠りについたように月島氏の首が落ちる。

 

 

 

(ここまで巻き込んでしまってすまなかった)

 

 

 

 脳内に直接言葉が浮かんでくる。言語を超越した、地球外生命体によるコミュニケーションだとすぐに理解した。

 

 

 

 月島くんの頭がモゾモゾと動いている。後頭部に付けられたガーゼが、下から突き上げられるように揺れ動いている。顔を近づけて観察していると、ガーゼがペリペリと捲られ、髪の奥の頭皮が顕になった。本来傷口があるべき場所には、親指の爪よりも小さなドーム状の建物が埋まっていた。ガーゼを外した四本のアームがドームの底に折りたたまれた後、天井部が螺旋状に開き、中から半透明の触手が放射状に姿を現した。

 

 

 

 ゼラチン質の触手はやがて空中で丸まり、ピンボン玉ほどの球体となった。ドームから赤い球体が重力を無視してゆっくりと浮上し、小さな液体の星に飲み込まれていく。赤玉が球体の中心に据えると、球体の下部が形を変え始め、やがて人の形となった。

 

 

 

(君はすべてを忘れて、日常に帰るべきだ)

 

 

 

 頭部に据えられた赤い球体は、思念に呼応するかのようにちかちかと明滅する。

 

 

 

「だったらどうして話したの」

 

 

 

 アルガは徐々に宙に浮かび上がり、私の目線の高さで停止する。

 

 

 

(なぜだろうな。自己満足だが、君には知っていてほしかった。すぐになくなる記憶だとしても)

 

 

 

 アルガが右手からなにかを放った。

 

 

 

(ありがとう、星原さん。君のおかげで、俺の地球人生活には確かな彩りがあった)

 

 

 

 次の瞬間、視覚の許容を超えた眩しい閃光が私の網膜を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ネオリンク星人】

 

 俺は念波で月島さんの体を支え、長椅子に寝かせた。耳の下で結ばれた髪が揺れる。目が覚めるのにそう時間はかからないだろう。それまでに立ち去らねばならない。無事に家に帰還するまでは、秘密裏に跡をつけるようにしよう。

 

 

 

 不思議な人類だった。奇妙な言動をしていたのであろう俺に臆することはなかったし、フカドロンに飛び掛かられても悲鳴ひとつあげなかった。尋常ならざる訓練を受けた兵士でもあるまいに。

 

 

 

 好意に甘えてもう少し話を聞いてもよかったが、これ以上はやはり危険だ。行方不明者が消えたと推測される地点は、宇宙船の中枢部の破片が見つかった場所と合致していた。フカドロンが破片に付着する『コスモマター』に引き寄せられたのだとしたら、俺のそばに居続けるだけでリスクが高まる。残りのフカドロンを捕まえるまでは、学校内では『防幕鏡』をはって潜んでおいたほうがよさそうだ。

 

 

 

 それにしても不可解なことが多すぎる。振り返ると、フカドロンの死体はほぼ消えており、わずかに緑の水たまりを残すだけとなっていた。

 

 

 

 フカドロンは凶暴な見た目とは裏腹に、元来臆病な性格で他生物の前に堂々と姿を現すことは珍しい。しかも吸黒生物だ。流星峡で隕石や宇宙から帰還してきた宇宙船に付着したコスモマターを吸うだけの生物で、人類を襲うメリットがない。

 

 

 

 そもそも俺の宇宙船が墜落してしまったこと自体が原因不明だ。地球圏に近づいたときに、得体のしれないなにかに捕まれて地表に引き摺り込まれる感覚があり、気づいたら制御不能となっていた。ただの整備不良や別天体との接触の線も考えられるが、あの奇妙な感覚がその可能性を否定する。

 

 

 

 ゲリラ活動を行なっているジエイ星人による妨害だろうか。いや、考えても無駄か。我々ネオリンクはこの銀河一の大国だ。どこから恨まれていてもおかしくない。

 

 

 

 俺は月島氏に作り上げた緊急避難拠点に帰還する。急拵えにしてはうまく整備できた。月島氏には申し訳ないが、あとほんの少しだけ拡張して、研究スペースだけ確保させてもらいたい。俺は操縦室の起動装置を下す。

 

 

 

 兎にも角にも急がねば。こんな辺境の地で時間を浪費するわけにはいかない。本来の使命もはたさねばならないというのに。

 

 

 

 各感覚器官との接続確認が終わる。ブルー点灯。仔細なし。俺は紗幕帽を身につけ、視覚リンクを行ない、月島氏の瞼を開けた。

 

 

 

 目の前にしゃがみ込む星原さんと目が合った。

 

 

 

 慌てて月島氏の喉を震わせる。

 

 

 

「ほ、星原さん」

 

 

 

 考えに耽っていて、星原さんが覚醒したことに気づかなかった。想定外の早さだ。もう記憶の消去に使えるほど『リムドマター』に余裕はない。とにかくこの場を誤魔化さねばならない。

 

 

 

「星原さん、奇遇かよ。アゲアゲで散歩しちゃったパティーン?」

 

 

 

 いや違う。この言語表現が妥当性に欠くのを忘れていた。そもそも言語という通信手段が不毛すぎやしないか? すぐに修正をかける。

 

 

 

「というのは冗談だ。なに、忍者が現われて君に手刀を一太刀浴びせていてな。おそらく辺りが暗くなったから気絶させて家まで送るつもりだったのだろうが、俺が家まで送り届けることを伝えたら『ドーモアリガトウ』と言って去っていった。もう安心だ」

 

 

 

 我ながら冷静かつ完璧な釈明だ。この国が忍者という秘密組織によって影から操られていることは予習済みだ。一見不可解な出来事は「とりあえず忍者のせいにしておけば丸くおさまる」と巷の情報網に記録されていた。

 

 

 

「少し記憶が混濁している可能性があるが、手刀だからな。忍者の。しかもフジヤマにいる忍者だそうだ」

 

 

 

 星原さんは中腰のままじっとこちらを見つめてくる。ダメか? いや、焦るな、どんなときでも冷静なのが飛行士の第一条件だろう。あらゆる知識を絞り出す。

 

 

 

「いかん、あたりが暗くなってきた。急いで帰ろう。夜になると忍者だけでなく鎧武者たちが――」

 

 

 

「言い訳が下手すぎる」

 

 

 

 星原さんはすっと背を伸ばし、俺を見下ろした。

 

 

 

「やっぱり私が協力したほうがいいよ。このままだとアルガは宇宙船の破片集めの前に警察か医療関係者に捕まっちゃう」

 

 

 

「いや違うんだ、本当に一家相伝の忍者が――」

 

 

 

 咄嗟に釈明しようとして、口を閉ざす。

 

 

 

「――アルガ?」

 

 

 

「アルガって名前なんでしょ? でも、その姿のときは月島くんって呼んだほうがいいか」

 

 

 

 俺とリンクした月島氏の肌から汗が滲み出る。

 

 

 

「覚えているのか?」

 

 

 

「……やっぱり記憶を消す儀式だったんだ。覚えてるけど」

 

 

 

 俺は立ち上がり、星原さんから数歩分距離を置く。

 

 

 

「なぜ、記憶が消えない?」

 

 

 

「知らないよ。その記憶消去装置の故障じゃないの?」

 

 

 

 ありえなくはない。頑丈さを謳っていたダークマター探知機が壊れたのだ。忘却球になんらかの不足が生じてしまっていたとしてもおかしくはない。

 

 

 

 だがそれよりも、違和感がある。

 

 

 

「君は一体何者なんだ?」

 

 

 

 あらためて目の前の少女を観察する。

 

 

 

 背丈は月島氏よりも拳二個分ほど小さい。髪は黒色で、耳の下で二つに結んでいる。なで肩で脂肪分は低め。典型的なこの国の少女の姿をしている。

 

 

 

 だからこそ、異様なまでの冷静さが際立つ。そして、冷静でいながら、得体のしれない宇宙人に協力しようとする危うさも兼ね備えている。

 

 

 

 目的がわからない。地球のことをよくわからないまま、目の前の人類を信頼していいものか、判断がつかない。

 

 

 

 星原さんは肩をすくめる。

 

 

 

「別に。私はしがない一般人だよ。ただ……、そうだね。ひとつ付け加えるなら」

 

 

 

 節目がちに言葉をこぼす。

 

 

 

「私のお兄ちゃん、宇宙人に連れ去られたから。だから、宇宙のことをもっと知りたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんは、インドア派の私と違って活発でね。幼い頃は虫取り網を片手に野山を駆け回り、年を重ねるとドライブにのめり込んでた。年が七つも離れているから、兄妹喧嘩することもなく、可愛がってもらってた」

 

 

 

「ある日二人で湖に行ったんだ。まだお兄ちゃんも成人したてで、私もまだ黄色い帽子をかぶってたタイミングでね。二人だけのプチ旅行は初めてだった。だから、かなり浮かれてたのを覚えてる」

 

 

 

「湖について、湖畔に天幕を張ってさ。今日は焚き火をするから小枝をたくさんもってこいって指令を受けてね。私は敬礼してすぐそばの林のなかに入っていった」

 

 

 

「しばらく小枝を集めて、天幕のもとに戻ろうと踵を返したらさ。林の出口のほうが嫌に明るいんだよね。なんだろうと思って歩いていくと、ごおんごおんって音が響いてきて」

 

 

 

「冷たい予感がして、枝を放り投げて走っていったんだ。天幕が見える場所まで戻ると、空に浮かんでるんだよ。黒色の球体が」

 

 

 

「あんなに丸くて、凹凸がわからないほど黒い物体は、見たことがなかった」

 

 

 

「立ち尽くしていると、黒球から赤い光が放たれて、気づいたらお兄ちゃんはいなくなってた。宇宙船が浮いていたこと示す湖の波紋はすぐに消えて、ただ空を映し出す鏡に戻った」

 

 

 

「しゅうしゅう、しゅうしゅうと、しけった薪が焼ける音だけが辺りに響いていた」

 

 

 

「誰に言っても信じてもらえないけど、君だけは信じられるだろうさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ざわり。冷たい風が、長椅子に座る俺たちの横を通り抜ける。

 

 

 

 星原さんは疲れた様子でため息をつきながら立ち上がる。

 

 

 

「とにかく今日は帰ろうよ。さっきの光を浴びてから頭が痛くってさ。もう遅いし、今後のことは明日話そう」

 

 

 

 さも当然のように自分が協力することを前提に話を進め、出口の方へと向かい始めた。慌ててその後を追いかける。

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。家まで送る」

 

 

 

 公園を抜け、市街地を歩く。夜に煌めく色とりどりの光は、慌ただしい星空のようだ。

 

 

 

 横に並んで歩く星原さんはなにも話さない。兄への想いに耽っているのだろうか。

 

 

 

 俺は俺で考え込んでいた。

 

 

 

 星原さんが見たという、底なしの黒さをもつ、いっぺんの歪みのない真球。

 

 

 

 間違いない。星原さんが遭遇したのは、我々ネオリンクの宇宙船だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【星原朱里】

 

「私が囮になればいいんじゃない?」

 

 

 

 宇宙生物の襲撃を受けた翌日の放課後。校舎裏でアルガに提案すると、渋い顔をされた。

 

 

 

「君は怖くないのか? 昨日あんな目に遭っておいて」

 

 

 

「怖くないと言えば嘘になるけどさ。守ってくれるんでしょう?」

 

 

 

 何度か押し問答を繰り返して、ついにアルガが根負けした。フカドロンが人を大きく傷つけるとはやはり思えない、という判断らしい。

 

 

 

 作戦としては、私が破片を集めながら、後ろから月島くんがついてくるという至極シンプルなものだった。アルガが顔の横に探知機を掲げる。

 

 

 

「このダークマター探知機の操作方法について教えておく。なに、簡単だ。まずこのメモリはグロリアス基準といって空中のアヘンナスを検知してバイン星雲下での実数値を比較するのだが……」

 

 

 

 埒が明かないので簡単なボタン操作だけ教えてもらった。赤色のボタンを押すと計測スタート。範囲内にダークマターという宇宙船の破片に付着している物質を検知すると、音が出る。緑色のボタンを押すと音が止まる。これを繰り返す。

 

 

 

 やってみてわかったのだが、これは途方もない作業だ。まず宇宙船の破片が大きいもので手のひらサイズ、小さなものだと小指の爪ほどしかない。概ね傷ひとつないない漆黒の破片なので手に取れば破片だとわかるのだが、とにかく小さすぎる。すべて集める必要はなく、中枢部に該当する破片がある程度集まれば、研究によって残り破片分を再生することは可能らしいが、それがいつになるのか見当もつかない。中枢部の大きさがバスケットボ―ルほどの大きさらしいので、根気強く探す覚悟を決める。

 

 

 

 探知機の性能も悩みのひとつだ。精度の悪さもそうだが、とにかくうるさい。私のような麗しい女子高生が国語辞典のような鉄の塊を両手に持ち、時折ギョオンギョオンと音を奏でているのだ。怪しまれないほうがおかしい。私は月島くんほど愛想よく振る舞えないので、余計に変にみられていることだろう。

 

 

 

 そして、これが最大のストレスなのだが、アルガにストーキングの才能がなさすぎる。あまりにも露骨に電柱の影に隠れ、曲がり角ではぴたりと壁に張り付く。シュッシュッと効果音がつきそうな無駄に俊敏な動きを見せ、なんなら実際に「シュッシュッ」と口で言っていた。馬鹿でかいダンボールをかぶって追跡してきたときは、私が鉄の塊でギョオンギョオンと轟音を鳴らして衆目を集めた後に、足の生えた段ボールが「シュッシュッ」と呟きながらそのジグザグに駆け抜けるという珍妙なパレードを展開してしまった。「いい加減にして」とチョップをして怒ると「伊賀流なのに」と悲し気に段ボールを抱えていた。

 

 

 

 そんなこんなで、一週間が過ぎて見つかった破片は九つ、中枢部の破片はひとつだけ。

 

 

 

「すごいぞ、星原さんにはダウジングの才能がある!」

 

 

 

 疲弊している私とは対照的に、アルガは目を輝かせていた。

 

 

 

 一度は警戒されていたが、随分心を許してくれたようだ。クラスメイトがろくに話してくれないので、私との会話が癒やしなのだろう。破片探査の合間に色々と教えてくれた。

 

 

 

 星雲0831から来たこと。本来の仕事は異星の生物調査員であること。通信網もやられていて本星と連絡がつかないこと。おかしな言動を繰り返すアルガに月島くんの家族が影で泣いているのでどうにか一般常識を身につけたいこと。そのためにSNSを活用して知識を得ていること。忍者の知識などはそのアカウントから身につけているとのこと(そのアカウントをブロックするように提言しておいた)。

 

 

 

 ただ、自分の星のことについては口籠ることが多かった。ジエイ星人との星間戦争があり、一応の終結とはなっているが、情報戦で苦戦を強いられたので迂闊に本星のことを伝えられないようだ。

 

 

 

 兄のことについて心当たりはないか尋ねると露骨に目を泳がせる。嘘をつくのが苦手なのだろう。戦争時には前線にも駆り出されていたそうだが、これでやっていけるのだろうか。

 

 

 

 そうして和やかに日々は流れていった。宇宙生物は現れず、悪い意味で緊張感のない日々が続いていた。

 

 

 

 ことが起きたのは八日目のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 私の右腕が切断され、宙を舞った。

 

 

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