めのまえ が まっくらになる生活(白目) 作:ゴールドスプレー
実際にポケモン世界に行ったら手持ちはなつき進化、交換進化、石進化ばっかりになるんじゃないかなぁって妄想してみたり
青い空、白い雲。手を伸ばせば空にも届きそうだってのに。本当に。
「はー怠いねキュワワー」
「キュー?」
溜め息を吐きながら相棒に愚痴る。毎度のことながら大変なんだ。歩くだけで、息を吸うだけで一苦労。この世界に降り立って旅ができると思ったらこんなことになるとは思わなかったや。
「キュー! キュー!」
「はいはい、わかったわかった」
首元で怒る相棒を宥める。相棒はそうネガティブなことを考えるなとボクのために怒ってくれてるのだ。ありがたいことこの上ない。君がいなければボクは生きられないのだから。本当に……かわいいなぁお前は、と頭を撫でれば怒りが収まった。
「でもさ、こうしてスズの塔の最上階まで無理してやってきたのに」
手に入れられたのは、「にじいろのはね」だけ。街を一望できる絶景スポットにちょこんと落ちていたこれだけが戦果とだった。「にじいろのはね」が落ちているなんて"ツイ"ている。けども、
「どうせなら「せいなるはい」が欲しかったなぁー」
贅沢なのはわかっているけど、しょうがないのもわかっているけど。どうせなら噂の灰が欲しかった。不老不死の妙薬、伝説の産物と名高いアレが手に入ればボクの旅はひと段落できたかも知れない。何故なら、
ボクは体を治すために旅をしているのだから。
ポケモンの世界に降り立って、こうしてこの年まで生きることができた。今は相棒達にも恵まれて困ったことといえばこの体だけ。
…………まさか身体がこんなにボロボロだとは恐れ入った。ポケモン世界なんだからなんでもアリなんだろうけど生きているだけでフラフラするとか本当に勘弁して欲しい。何をおいても身体が大事とはよく言ったものだ。こうしてキュワワーに常に回復をかけてもらわないとまともに生きられないのは非常に辛い。
原因不明の病。兎に角辛く、特に寒冷地帯なんて行こうものならぶっ倒れるからまともに旅は出来ない。だからまともな旅が出来るように、相棒に頼らなくても一人で立てるように。体を治すために頑張っているのだ。
各地を巡り、色んなものを見て聞いて学んで、自分の体がをなんとかする。幸い知識は頭の中にある。伝説、幻なんのその。今日も今日とてがんばりましょー。
だからそのいつか助けて、神様仏様アルセウス。
「スズの塔、最上階とうちゃーく! と?」
「ん?」
「キュワ?」
ボクがぼんやりとエンジュの絶景を観ていると出入り口の方から声が聞こえた。見てみればそこには健康的なお姉さんがいる。お姉さんは絶景独り占めー! と楽しんでいたみたいだけど残念。ここには先にボクがいます。
「あ、先着がいたんですねー!」
向こうもコチラに気付いたみたいで大きな声をかけてくる。おおう、陽のオーラが強い。お姉さんは意気揚々にズンズンと歩いてくるとボクの隣にやってきて景色を見たり、ボクの相棒を見たりとキョロキョロしている。
「…………」
「すごい綺麗な景色ー。あと見たことないポケモンっ!? わー可愛いお花の妖精さん」
「可愛いでしょ」
「可愛いですっ! あ、どうせならしませんか? ここで出会えた記念に」
「──ポケモンバトル!!」
…………。
「いいよ、やろうか」
「!? キュワ! キュワ!」
「ややぁ? 妖精さんなんか怒ってるみたいですけどぉ?」
「あぁ。ボクは体が弱くてね。長い戦いはできないんだ。だから3対3「キュワッ!!!」……シングルマッチでお願いできる?」
キュワワーには悪いけど売られた喧嘩は買うのが主義だ。大声をかけ続け、注意し続けるポケモンバトルをフルバトルでやる元気は流石にないけどシングルマッチならやれるはず。
ウズウズしながら腰のモンスターボールに手を当てる。ボクらはポケモントレーナー。目と目を合わせたらバトルするのが作法だし、したくなるのが性ってやつだ。お相手さんも距離をとってやる気満々の構えである。
「わっかりました!」
ボールを同時に中央に投げる。シングルならば誰でも対応できる頼りになるやつを……キミならきっと答えてくれるっ!
「いけぇ、ヘルガー!」
「レッツゴー……カイリュー」
さぁ楽しい勝負の始まりだ。
お相手はヘルガー。
ほのお・あくタイプの前世のドーベルマンによく似たかっこいいポケモンだ。黒のボディがイカしてる。特性は……「もらいび」? 「きんちょうかん」だっけ?
コチラはカイリュー。ドラゴン・ひこうタイプのウチの大黒柱。こおりタイプが来たらまずかったかも知れないけどコレならまぁ五分五分かも? カイリューも意気揚々に身体を揺らしている。
……ヘルガー。特殊が基本的にメインだったよな。「かえんほうしゃ」や「あくのはどう」がメインウェポンになる筈。でも油断はできない。犬の咬む動作を気に入って物理型にする人もいればとんでもない変態型だってありえる。唯一気にしなくてもいいのはシングルだから「みちずれ」を気にしなくてもいいところかも。
結論。遠距離警戒の様子見で。何か変なことしてきてもヘルガーなら痛くない。突っ込んできたら肉弾戦。変なことしてきたら逆にこっちがハメてやる。「めざめるパワー」でこおりが来たらお相手が上手ということで諦める。カイリューもその指示で満足してくれている。
少しの間、両者の間で睨み合いが起こった。道は少し狭いからカイリュー的にはキツイかも。けどその時は空に逃げればいいや。
やがて静寂に耐えきれなくなったのかお姉さんは指示を出した。
「ヘルガー、まずは突っ込んでみましょうか!」
ヘルガーは闘志を抱いてコチラに突っ込んでくる。特殊ではダメージ的に薄いからかな、近接なら「かみなりのキバ」がある。けどヘルガーの攻撃ならカイリューは耐えるぞ。後の隙に致命的な攻撃を喰らわしてやる。
そんなことを考えているのがバレバレだったのか、お姉さんはニヤリと笑って指示を出した。
「そして、「どくどく」!」
「なっ!? 「まもる」して! カイリュー」
唐突の「どくどく」。辺りに飛び散る紫のエキス、しかし技で守ったカイリューには効かなかった。その間にカイリューに空へと下がらせる。「どくどく」が当たらない距離へと辿り着くと少し安心できた。
「いかにも接近戦上等と思わせて搦手とか。お姉さんやるね」
「へっへーん! いいでしょ! じゃあヘルガー、今度は警戒しながら攻めよっか。距離を大事にしてね」
「カイリュー。様子を見て何してくるか、わかんないよ」
お姉さんはしてやったりと笑っていた。確かにすごく上手い。近接技を警戒させながら状態異常技を使うなんて。それにあのヘルガー、これまで戦ったどのヘルガーよりも身軽だ。面白い。
けど、これでわかった。あのヘルガーはオールラウンダー系。よく言えば万能、悪く言えば器用貧乏。どこがで絶対にチャンスができる。そこを狙って決めてやればいい。
最悪、切り札として「メガ進化」でも切ってくるかも知れない相手。油断せずに構えた。
カイリューを空から展望デッキへと戻していく。相手もその動作に注意していつ来るか警戒しているが、カイリューは動かさない。また睨み合いが始まるが、
「……突っ込んできませんね」
お姉さんはそういうのが嫌いなのか突っ込んできた。
「なら、動きましょうか。ヘルガー! 「ちょうはつ」」
「オッケー! カイリュー、突っ込んで「しんそく」」
「なっ!?」
お姉さんは上手い。近寄りながらコチラの動きを探っていた。殴り合うようなら「おにび」、こっちが変な動きをするようなら「ちょうはつ」、ブラフや逃げの姿勢を見せるのなら「わるだくみ」とかだろうか? 一瞬の動きから自分が有利になる行動を判断出来るよう調教されたヘルガー。行動がワンテンポ早く、流れによってはタコ殴りにされそうだ。これは強い。
けど、そういうのはボクは得意だ。
ボクが出したのは「しんそく」。睨み合いで焦らしてボクが落ち着いた戦い方をすると予測させてみた。カイリューもそれに乗ってくれていた。けど決めるのは速攻。ここで決める。
何をしようとこの距離でカイリューの「しんそく」は避けきれない。「まもる」も「こらえる」も挟ませない連撃で一気に倒し切ってみせる。
「続いて「アクアテール」!!」
「上手いっ……」
「アクアテール」は確かにヘルガーに当たった。命中クソ外しとかもない。戦闘不能に持っていける一連の動き。けど、
「まだ立ってるっ!!」
それは、トレーナーの期待に応えるために……などではなく受け身。このヘルガーは受け身を取ってダメージを兎に角抑え込んだ。面白い、まだやる気満々でこちらを睨んでいるよ。
「ヘルガー大丈夫っ!? やりますねぇ、あなた」
「アマネ」
「へっ?」
「私の名前。天の音と書いてアマネだよ。いい名前でしょ?」
「……確かに。そして先ほどのカイリューの動きも見事です! これはより慎重に詰めていかなければなりませんね」
お姉さんも相棒の頑張りに戦意むんむんだ。楽しくなってきた。また、睨み合いの膠着状態になってきたので少し状況を整理してみよう。
(今までの戦い方から予想が出来る。「どくどく」や「ちょうはつ」といった搦手を好む相手。近接を匂わせているけど多分遠距離型。ならカイリューは近接で攻めていい)
さっきから近づいているけど、技の飛ばし方も遠距離的だ。予想だけど、本来は状態異常を飛ばしながら遠距離攻撃で相手を追い詰める猟犬のような戦闘スタイルかな? 鼻と目で相手を捉えて変化技を駆使しながら相手を嬲るオラオラ型。近接ブラフはもう無い。ここからは冷静に詰めてくるだろう。カイリューの近接能力はもう見せた。相手的には近寄りたく無い筈。こちらが変化技を使えない今、わざわざ近寄ってきたりしない!
「と思っているでしょうね?」
「っ!?」
予想を裏切り、ヘルガーはまたもやカイリューへと突っ込んできた。その走りには迷いなどかけらもない。大口を開けてカイリュー目掛けて技を繰り出す。
「さぁヘルガー! 「いかりのまえば」!」
「速いっ!?」
今までの走りはなんだったのかってくらいの速度で突っ込んでくる。体力を半分へと減らす「いかりのまえば」。こんな時に考えることでは無いがヘルガーが「こおりのキバ」を覚えなくてよかったっ!!
「そして「かみなりのキバ」!!」
「っ!! カイリュー!?」
カイリューに指示を出して振り解くように命じれば、ヘルガーは噛み付くのを止めて距離を離した。カイリューの腕は宙を掻く。さっきこちらがしたことと同じことをされ返している。
(まずいな)
「いかりのまえば」が上手い。もう「かみなりのキバ」圏内。「どくどく」もゲームで言えば2ターンってところか。次の行動でこの楽しいバトルが終わる。集中し過ぎて汗が目に入ってきた。ヤバい。
「一気にダメージレースで巻き返して見せました。さぁこれからが本番ですっ!」
(下手に近寄ると本当に負けちゃうなぁ)
「また動きませんね。ならばこちらから「どくどく」!」
ボクはまた動かない。さっきからお姉さんが攻めてボクが受けて立つ流れになっていた。先手を譲る。それでいい。もう全ての手は見えた。ポケモンバトルの技は四つまで。行動してくる癖も読みやすい。なら、
「それを待ってた!」
「っ!?」
「カイリュー、「アンコール」」
「ウソっ!? それは」
さっきから変化技の後、攻撃技の流れが自然と生まれていた。「アンコール」、技の効果によりこれからヘルガーは少しの間同じ技しか使えない。
お姉さんはとても驚いている。何故なら、
「「ちょうはつ」が切れているっ!?」
「これでもう「どくどく」しか使えないね」
カイリューにはまだ「ちょうはつ」が効いていると思わせるブラフを行うように指示を出していたからだ。まぁ現実となった世界での「ちょうはつ」は結構効いてるか効いていないかな見分けが難しい技だけど。使用者はフィーリングで見極めるしか無い。
そんなことよりも、
あとはこちらが突っ込むだけだ! それともヘルガーがトンデモ回避を繰り出して耐え忍ぶかなぁ!? 「しんそく」が使えるカイリュー相手に!!
お姉さんもこれがわかったのだろう。悔しそうな顔で両腕を上げた。
「〜〜〜ッ!?!!! サレンダーッ! 私の負けです」
「……いいの? このあと逃げ切って逆転できるかもしれないのに」
「「しんそく」カイリューと追いかけっこなんて冗談です」
お姉さんが先にヘルガーを戻し、その後でカイリューをボールへと戻した。GG。いい勝負でした、最後は握手をして試合終了。一対一だというのにかなり白熱して戦うことができた。まさかこんな場所でこんなバトルが出来るとは……
いいトレーナーとの出会いは思わぬところであるものである。
「楽しかったぁ〜。私、ユズリハっていいます。杠の方です。ねぇ、連絡先交換しませんか?」
「いいよ」
本当に楽しかった。
最初は「なみのり」とか「きあいだま」とか撃ってやろうと思ってたんだけど場所が場所だから大人しく近接勝負にしたんだよねぇ。変なところに当たって弁償とかは嫌だし。
けど「りゅうのまい」なんかの変な行動したら一気に勝負を終わらせてやるって気迫が良かった。カイリューのボールに触れると満足したようにフルフルと震えている。うん、「はねやすめ」して少しお休み。ありがとう、よくやったよカイリュー。
互いにバトルの余熱に浮かれながらお姉さんと世間話をしながら景色を見ることしばし。へぇーカメラマンなんだ。バッチ8個持ってるの? タンバシティ出身なんだぁ!! 少し教えてよ。
楽しく話していると、突如お姉さんは不思議な顔をしてキュワワーを指さした。キュワワーは笑顔で緑色に発光しながら辺り一帯にフィールドを展開している。あぁ、確かにこれは不思議だろう。これはね、
「キュワーキュワー」
「……あのお宅のキュワちゃん「グラスフィールド」展開し始めてませんか?」
「そう。ボクが限界みたい」
ボクがもう倒れる合図である。キュワワーは常にボクの首や頭に巻き付いて生命維持をしてくれている。相棒の「ヒーリングシフト」がなかったらボクは今頃生きていないんだぜ?
「へ?」
当然、お姉さんはそんなことを知らない。けど本当に時間がないので構わずカイリューを呼び出した。ちょっと休んでもう元気満タン。本当に頼りになるやつである。後、よろしくね。
「また、会おうね」
カイリューがボクを持ち上げる。その運び方は壊れ物を持ち上げるように優しい。バッサバッサと羽ばたいてスズの塔の頂上から「そらをとぶ」。落ち着いたら急にくる眠気に逆らいながら別れの挨拶をお姉さんにした。
「バイバイ」
「へぇ〜!? バイバイですぅ! また会いましょうねぇ〜!!」
空へと飛び立つボクらに向かって、お姉さんは身を乗り出しながら手を振ってくれている。本当にいい人だ。「にじいろのはね」の幸運ってこれのことなのかな、けどこの縁は自分のものでありたいな。なんて変なことを考えながら、
──ボクのめのまえは、まっくらになった!!
「あ゛ー熱出だ」
「キュワキュワ!」
「ハッピ!」
「タブンネ……」
「ごめんごめんいつものヤツ。じゃああとよろしくね。私寝るから」
起きたら日が沈み、夕方。多分熱の感じから……明日の朝には大丈夫かな! ベッドで看病されながら自分の具合を確かめる。相棒たちに総出で看病されながら私は熱を治すことに決めた。ポケモンがトレーナーの面倒を見るってなんか逆じゃね?
「いやぁ楽しいねぇ……」
こんな楽しいこともこの世界に来ることができたからだ。もちろん楽しいこともあれば、悲しいこともある。けれどもこの世界に来ることが出来た幸運に対して私は一つも思うところはない。明日はどこにいけるだろうか。そもそも明日生きているだろうか。それすらもわからないけれど。もし何処か行けるのなら……
「また、身体を治せるアテ探しかなぁ」
マジで見つかるとは思ってないけど。いやぁ相棒に構われるの最高ですわ!!! アッハッハ!!!
・アマネ
こんなでも女の子。
すぐに調子を崩して汗ダラダラ。調子が良くても3対3が限度
体調が悪いのは肉体と魂が合ってないから(ネタバレ)だから、伝説・幻クラスの奇跡じゃないと治せない。
ゴーストタイプがよく寄ってくる。相性が良過ぎてヤバいタイプ。
体調悪くなかったらエリートトレーナークラス。
・キュワワー
四番目に仲間になった。
常にアマネの首元に巻き付いて「フラワーヒール」をかけている。
戦闘には基本出ない。出れない。
アマネに対する感情は慈悲と慈愛。マジで天使みたいに優しいお方。
・カイリュー
二番目に仲間になった。
アマネの恩人。いや恩ポケモン?
普通に強い。テラスタルは出来ないが出来たら「はがね」
肌身離さず大切に、ある光る石ころを持っている。
アマネについてはトレーナーとしては背中を預けている。一人の人間としては守るべき弱者。
・ユズリハ
カメラマンの女性。糸目黒髪快活お姉さん。
この後出る予定はない。
ジムバッチ8個クラス。
アマネに置いて行かれた後、エンジュシティで浴衣着て観光を楽しむ。
・ヘルガー
流石にメガ進化は出来ない。
普段は「みちずれ」や「おにび」・「どくどく」を好み、相手を嘲笑ういやらしいタイプ。
普段はユズリハのボディガードを頑張る紳士