めのまえ が まっくらになる生活(白目)   作:ゴールドスプレー

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ポケモンバトル書くの楽しい。


2話 「ひでんのくすり」が欲しかったっ!!

 

 

「人間用の「ひでんのくすり」くださーいっ!」

「あいよー!」

 

 

 ボクはあの後、身体を治してタンバシティにやってきた。理由はもちろん、この薬。よーく効くと噂の「ひでんのくすり」だ。人間用に調合してもらい数日分用意してもらうためにここまで来たのだ。

 

 この薬、よく効く。でも薬屋のおじちゃんからは「すぐに慣れて効き目なくなっちまうから常用はやめときな」と忠告された。その後「そもそも普段から飲むもんじゃねぇよそんな強い薬」と大きな独り言を言ってた。確かにそうだ。

 

 

 ……けどこの薬があると相棒たちに迷惑かけなくてもいいもんねぇー!! 

 

 

「にしても体がラクー。ねぇキュワワー」

「キュ?」

 

 

 調子のいい体調、気持ちのいい波風。凝り固まった体を伸ばし、ボクたちはボンヤリと海を眺めていた。目を凝らせば見える「うずまきじま」。その周辺には気持ちよく泳ぐ「かいパンやろう」と楽しそうな「ビキニのおねえさん」。いいなぁボクも遊びたい。……だって。

 

 

「ジョウトに来たのに全然遊べないねぇ」

「キュワ」

 

 

 キュワワーは何言ってんだお前という目で見てくるがそんなのは知らない。当初の目的だった「せいなるはい」は手に入らなかったのだ。それならもう潔く諦めて次のところに行こうと思ったが……行く宛なんてそうそうなかった。

 

 灰が一番の有力候補だったんだ。灰で病気を治せないなら、後はどこに行くかなんて、特に予定を決めていなかった。遊ぼうったって都会や人の多いところはボク、無理だし。寒いところも同じく無理。というかポケモン世界、寒いところが多すぎる。おかげでボクは頑張ってバッジを集めてチャンピオンリーグで一花咲かせよー!! とすることが出来ない。絶対に、六つか七つで止まる。心がしんどい。

 

 

 

 ボケーッとしてるとクラブが寄ってきた。なんかボクを挟もうとしてキュワワーに追い払われている。あ、ツボツボもやって来た。……おージュースありがと。キュワワーもお礼言いな? ありがとうございましたーって

 

 

 キャンプ用のコップを取り出して二人でジュースを飲んで休憩する。思えば、こうのんびりする時間もなかったなぁ……ガラルからジョウト来るのも命懸けだったし。ボケーっとしてるのも楽しいなぁ。

 

 

 

 なんか、眠くない。いつも死ぬほど眠い(気絶)してるから調子いいと逆に眠くないわー……あっ、サニーゴだ。かわいいね。オマエはガラルの姿の方が好き(豹変)。

 

 

 

 にしても、やることがないなぁ。次行く場所も決めなきゃ……カイリューに頼んでチョウジタウンまで空を飛んでもらうか? そこでチョウジまんじゅうとか……でもボク、味とかわかんないからなぁ(白目)。いや、でもアソコ寒いし。

 

 

 ザザーンっと波の音がよく響く。目を凝らしてよく見れば「ビキニのおねえさん」に張り付くドククラゲ。嫌がるその姿を凝視する「かいパンやろう」。……楽しそうだな。ポケモン、野良トレ、ランダムエンカウント。

 

 

 …………そうだ。

 

 

「タンバシティかぁ、なら」

「キュワ?」

「寄り道してもいいかもね」

 

 

 

 そうと決まれば。

 きゅわーっとした顔をしている相棒がやけに可愛く感じて頭を撫でた後、ボクはアサギの北西へと歩き出した。珍しく歩くのが楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──バトルファクトリー28連勝ッ!! すごい、すごいぞ挑戦者ァ!!!」

「楽しいね、まったく」

「キュワ」

 

 

 

 ボクは今、ジョウトの西も西。バトルフロンティアの中で遊んでいる。バトルフロンティアはバトルに飢える者たちにとっては聖地。バッチ8個やエリートトレーナー。果てには殿堂入り経験者やジムリーダーまで挑戦することがあるとか。

 

 

 ボクは今手持ちにしている縁のある手持ちを全員外に出し調子の確認をしている。こういうメンタルコントールもポケモントレーナーの大事な仕事だ。特にバトルファクトリーではそれを如何に素早く性格に出来るかがモノを言う。

 

 

「次のメンバーはムクホークにムウマージ、そしてフライゴンだね」

「ピィ────ッ!!!」

「むま」

「ふりゃあ」

「元気がいいね、本当に」

「キュワ」

 

 

 

 三体の鳴き声はやる気ばっちり。なんか紛れて花冠の鳴き声も聞こえるが気のせいではない。キュワワーは特別に身につけたまま、入らせてもらっている。受付で「コイツいないとボク死ぬんです」って言ったら茶化さず真面目に対応してくれた。赤い札つけてフィールドに影響を及ぼす技が感知された失格らしい。それでも連れて来ていいとか、すごいモラル意識の高さだ。多分、補聴器や車椅子の人でもバトルファクトリーでは快適に戦えるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ボクは、「バトルファクトリー」で相棒に出会ったっ!! 

 

 最初はいけすかない奴だった。顔合わせのためにボールから出せばすぐさま「いかく」をしてくる嫌なヤツ。鋭い目付きでコチラを睨み凄い威圧感を感じさせる曲者と出会ったんだ。

 

 

 ──ヤナ奴っ!! ヤナ奴っ!! 

 

 

 

 ソイツと出会ったのは三回目。最初は三周目の選出の時。次は三周目の最後、ネジキさんの手持ち。そして最後に四周目の選出の時。

 

 

 

 最初は剃りの合わない同士だったボクらは競い争い、ぶつかることで奇妙な絆を結び……今こうして手持ちで先陣を切って頑張ってくれている。さっきのバトルも3タテ。ムクホーク……キミは強い! キミならやれる! キミがいればボクは勝ち星まで羽ばたいていけるよ! 

 

 

 

「さぁ今度のバトルも張り切っていくよ、ムクホークッ!!」

「ピィ──ッ!!」

「──ラプラスッ!! 「ぜったいれいど」!!!」

 

 

 

 意気揚々とムクホークを出せば、選ばれたのは一撃必殺でした。

 

 

 

「あぁ……?」

 

「いいぞ、ラプラス。その調子だ」

 

 

 

 

 ……なんでラプラスがここにいんだよ。というか改めてその型なんなんだよ。一体いつからファクトリーは脳死運ゲー施設に変わったんだ。最初からか? 運ゲーで全部勝てればトレーナースクールもPWCもいらないんだよ。あっ二連続はやめ

「キュワワー!!!」

 

 

 

 この後も一撃必殺で負けました。芸術点が高いので許します。いやごめん、やっぱツレェわ。

 

 

 

 

「……せんせいのつめ一撃必殺ラプラスとはね。運がないというか。三連ちゃんで当てるのは見事というか」

「きゅわわ……」

 

 

 

 キュワワーですら元気がないだなんて……どうすればいいんだ。トボトボと帰り道の喧騒を歩いていくオレたちには何もなかった。

 

 

 

「はぁ……」

「キュ……」

「BPの交換所でーす!! そこのキミ! 交換は忘れていませんかぁ!?」

 

 

 

 嘘だ。何もないわけじゃなかった。

 

 

「ん?」

「キュ?」

 

 

 店のお姉さんがいるところにはズラリと並んだわざマシンが揃っている。外で買おうと思えば高価で高級。それが外にズラリ。ちょっと見惚れちゃうかも。

 

 

「バトルフロンティアで戦った後はBPの交換ですっ! ご褒美ないと体が保ちませんからね」

「そうだね、お姉さん」

「何か欲しいものはありませんか」

 

 今別に欲しいものなんかないけど……こうして見せられると欲が出ちゃう。一つ一つじっくり見れば面白いものが見つかるじゃないか。貰っておこう。

 

 

「そうだな」

 

 

 一つ、指をさす。お姉さんはいやーな顔をしてそのわざマシンを見た。

 

 

「これかな」

「……じぶいとこつきますね」

「いいでしょ。人とは好みが被らないということは独占しても文句言われないんだ」

 

 

「わざマシンNo.6「どくどく」一つくださいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい買い物できたね、キュワワー」

「……キュワキュワ!」

「……え、もしかして別のポケモンの指揮をしたから妬いているのかい? 可愛いなぁオマエも」

「キューワキュワ!?」

「恥ずかしがらなくてもいいのに」

 

 

 

 

 

 にしても楽しかったなぁ。バトルファクトリー……あのムクホークは今頃どうしているだろうか。元気でやっているだろうか。

 

 

 

 ボクらは宛もなくアサギシティに向かう。ジョウトを代表する港町。そこに行けば旅のヒントがあると信じて。途中、疲れて動けなくなったのでカイリューに運んでもらったのはここだけの話である。

 

 

 

 

 

 

・アマネ

ハイになってる

バトルファクトリーは楽しいゾ(中毒)

 

・キュワワー

アマネがずっと元気でご機嫌

 

・ムクホーク

…………………










〜if〜

──バトルフロンティア48戦目。

俗に言う金ネジキまで後一歩。これまで巡り合った数多の仲間の力を借りて、数多くのポケモンを踏み台にしてやってきた勝利の栄光。

報われようとしていた。辿り着くことで。かのフロンティアブレーンの本気を打ち破ることで前世ですら成し得なかったバトルの一つの極地に辿り着こうとしていた。


スタッフに聞けば──『金ネジキを達成した者は存在しない』らしい。ならばパイオニアとして必ず成し遂げると心に誓ったのだ。


「──オマエら、行くぞーッ!!」
「ガァアアアッ!!!」
「ギャオオオオッ!!!!」
「ピィッーーーーッ!!!」
「キュワァアアアッ!!!」


勝ち進んできたポケモン達のモチベーションは上々。なんか参戦していないけど一緒に騒ぐ一般フェアリータイプもいる。一日休んで判断力もバッチリ。アマネはこのメンバーなら勝てると意気揚々とスタジアムに向かったッ!!





一進一退の攻防。目を瞑ったその瞬間に舞台は大きく動き出すような、片時も目を離せない熱戦が繰り広げられた。


お互いの一体目。バンギラスvsレジギガス。出た瞬間から「スロースタート」を思わせるぎこちない動きを見て、調子に乗って選んだバンギラスの「りゅうのまい」はレジギガスの「きあいだま」の急所により無駄となった。隙を作るための演技、急所を引き当てる勝負勘。怪物同士の睨み合いは一転して、無傷のレジギガスが残るという絶体絶命のピンチへと変わった。

積み重ねまくった勝利の重みが逆にプレッシャーとなりアマネの心にダメージを与える中、状況を巻き返したのは第四世代の英雄──ガブリアス。

彼は特性「すながくれ」をうまく使いながら、見事レジギガスの無傷突破という偉業を成し得たのだ!!粘りに粘ったレジギガス。「キーのみ」を美味しくいただき「こんらん」から回復するガブリアス。状況は五分。見ている審判の喉すら渇く。


後に出てきたのはクレセリア。


素早い動きで「かみくだく」を当てようとするガブリアスと「れいとうビーム」を一撃当てれば勝てるというクレセリアの一進一退の攻防は、最後クレセリアが自身の身を囮にしながら攻撃を当てるというやり方でダブルノックアウト。


攻撃している最中は「すながくれ」出来ない。クレセリアが見せた伝説の意地。ドラゴンの英雄が掻き回した戦場の行方は出たとこ勝負の1on1へと早替わりした。




そして、現れる。



「マジか……最後の最後に、ヒードランッ!!!」
「ピィッ……ッ!!!」

立ちはだかったのは、ヒードラン。

伝説のポケモン。ほのお・はがねタイプ。
確か特性「もらいび」。壁や天井を這い回る十字の鉤爪を持ち、怒り猛る様子は噴火の如くと言われた火山の支配者。高い耐性を持つ強敵。

ソイツが今、目の前にいた。



自分なら──選ばない。



ヒードランは確かに強力だが、バトルファクトリーで幅を効かせる「じめん」タイプに弱い。「じめん」タイプの技はサプウェポンとしてもよく愛用されており、「ふうせん」というアイテムを導入していないこの施設では4倍弱点の伝説の存在は勝ち上がるには悪手だと考えていた。

ソイツが今、目の前にいた。


「というかコレ、クロツグの手持ちじゃねーか!?」


もうまんま、お隣の「バトルタワー」の最高実力者「タワータイクーン」ことクロツグの手持ちまんまである。

事実上、やらされるバトルタワー最上階でのバトル。しかもコチラはランダム選出で選ばれた三体。伝説三体を打ち破る……しかも現実となった世界では奴らは格が上がっている。


ハード。いやベリーハード。ナイトメアやインフェルノ、ルナティックとも言える難易度。隠れて観戦していたファクトリー職員は無理だろと諦めていた。

ヒードランの熱が部屋中を焦がしていく。アマネは体力的にもキツイ。今もキュワワーが必死になって頑張ってくれている。キュワワーに「くさ」タイプがなくてよかった。


今にも、溶岩を流す火山のような威容。火河を量産する自然の暴虐の体現たるヒードラン。


そんなヒードラン相手に、アマネは、


────勝った。


と、ポツリと勝利宣言を行ったッ!!!


「ピィ」
「ムクホーク」


「頼む」


ここまで勝ち上がってきたムクホークは知っている。全力のトレーナーのエールというものがどれだけ力になるのかを。相手が伝説だと?なんぼのもんじゃい!今も「いかく」して目を離さず睨みつけている。

知識を持っているアマネは知っている。ヤツにB()()()……防御に努力値を振っている個体はないと。大体体力と攻撃。その程度では特化した「こだわりハチマキ」ムクホークの「インファイト」は受けきれないッ!!


ポケモンはトレーナーを信じた。

トレーナーはポケモンを信じた。


二つの絆は絶対の力へと変わり、それは決して伝説にも負けないものとなったッ!!!



「頼む。突っ込むだけだ。突っ込んで殴る、それだけで()()()は報われる」
「ピィ……」
「任せたぜ」



ムクホークは脚へと力を溜めて最後の一撃に備える。そう、ムクホークは自分が走った瞬間に勝負は決まるとわかっていた。歴戦の俊鷹である。勝負の最中にある……絶対に逃してはいけない場面というものを経験している。

集中の極地に至るムクホーク。文字通り、きあいをためているのだろう。ムクホークの集中は異次元へと至り自身の口元から涎が垂れていることにも気付かない。


──ZONE。



プロのスポーツ選手、アスリートらが経験するという集中の最終到達点。自分の実力を120%出すことができると言われる瞬間の美学に今、足を踏み込んだのだ。


──そして今、脚を蹴り込む。


ムクホークの速さは実に見事なものだった。ヒードランの眼前へと迫り、その脚を勢いよく蹴り出す途中。ヒードランの発する熱にも怯まず、ヒードランの備える鋼の硬さすら突破する一撃が繰り広げられる()()()だった。




ムクホークの視点は突如、まっくらとなる。


何も見えない視点の中で、緩やかに流れる意識の中、ムクホークは考える。無念にも考えることしかできない。

自分は蹴りを入れた筈なのに。もう再起することが出来ないように真っ直ぐ顔面にぶっ放した筈なのにと思っていた。


否、ムクホークは知っている。自分が()()()()()()()()ことを。突如、意識外から飛び出した石の杭が己の脚よりも速いスピードで繰り出され、身体を貫いたことを。

アレはなんだったのだ。己のスピードを超えられる俊足を持っていたのか、あの熱の化身は。ムクホークは自問自答する。答えは出ない。それは、ポケモンだからだ。答えは、こうだ。



確かに、先手「こだわりハチマキ」「インファイト」にヒードランは耐えられなかっただろう。それは()()()()の話だ。もしもの話だ。


そう、当たらなかった。もっといえば当たるよりも先に"()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()"である。


散々勿体ぶったので、書かせてもらおう。


──ヒードランが持っていたもちものは、「せんせいのつめ」。確率で相手よりも技が早く出せるという代物である。


運が悪かった。勝負の結果は如何様にも変わった筈だ。見ていたものは皆思うだろう。が、


()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。もっといえば運もポケモンバトルの要素の一つである。


ムクホークはわかっていた。運も実力のうち。勿論それも実力のうち。それこそ実力のうちであると。

天晴れだった。あの状況で己に会心の一撃を繰り出したヒードランが。絶対に決めたと思った近距離打撃を打破する実力を持つ溶鉄の怪物が。


悔いはある。恥もある。それを押し流す賞賛の念があった。ムクホークは刻んだ。──オレは、あのマグマの化身に押し流されたのだ。

そして、──息を合わせた相棒に勝ちを与えることが出来なかったのだ、と。













「は?」


アマネは浮かれた気分が引き戻され、膝から倒れ込んだ。聞こえたのは対戦相手の、

「ヒードラン、「ストーンエッジ」!!」


と叫ぶ先ほどの早技勝負と比べればあまりにも間伸びした声。そして吐き気すらストレスの中で、突如「ストーンエッジ」に胸を撃ち抜かれ倒れ伏すムクホークの()()()()()という忸怩の思いの込められた瞳を見た。



……………………これも、ポケモンバトルである。



アマネはムクホークをボールに戻し、「お疲れ様」と労ってからファクトリーを飛び出す。ファクトリーの職員の引き止める声すら無視して黙々と歩いて行き、ズンズンと進んだ後。サファリゾーンのだだっ広い草原まで来るとここならいいかと思いを吐き出す。





「このっ、運ゲー施設がぁあああーーーーっ!!!!!!!!」


大声の後、アマネは倒れた。キュワワー達の頑張りの末なんとかなったが、アマネは一週間目を覚まさなかった。よほどショックだったのであろう。



一番可哀想なのは、来場者に倒れられ問題となったサファリゾーンの関係者一同である。本当に可哀想。








・ムクホーク
天晴れだヒードラン。生涯貴様を忘れることはないだろう。

・ヒードラン
はー危なかったぜ。おれはレジギガスやクレセリアと比べて俗っぽい性格でな〜〜。バトルで負けそうになると相手をブチのめすことで冷静にすることにしているのだ


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