正実モブの奮闘記録。   作:Mrふんどし

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不意の接触

トリニティ総合学園内にある訓練場、そこでは今日も正義実現委員会のメンバー達が訓練を行っていた。

 

「よし!当たったー!」

 

「えー、全然当たらないんだけど」

 

それぞれ銃を持った少女達が的への命中で一喜一憂する中、コソコソと人目を避けるようにして移動する一人の少女がいた。

 

自身の銃をギュッと抱くピンク髪の少女....コハルである。

 

「よ、よし...今日こそ」

 

彼女はそう意気込みながら、手元の銃を構えると視線の先の的に狙いをつける。

そして軽く引き金を引き発射された弾は....的に命中する事なくそのまま右斜め上へと消えていった。

 

「べ、べつにまだ一発目だし...」

 

誰に言い訳するでもなく、恥ずかしそうにしながら再度銃を構えるコハル。

彼女は入部してから今日までの間、連日この訓練場に通い続けているのだが未だに的に当てる事が出来ずにいた。

 

エリートを自称している彼女も流石にこのままでは不味いと思っているのか、日に日に訓練の時間を増やしているのだが、気持ちが焦り余計にそのせいで余計に狙いを定める事が難しくなっていく。

狙おうと必死になり焦って失敗、その繰り返しという負のループ...わかっていてもそう簡単に道を外れる事は出来ないものだ。

 

そんな中、彼女が何度目かになる挑戦をしようとした所で

 

「あ、コハルちゃん!」

 

「ひゃあ!?」

 

突然背後から自身の名前を呼ばれ、思わず銃を落としてしまった。

慌てて振り返るとそこに立っていたのは背の高い一年生ハツネ...彼女はコハルを見て笑顔を浮かべながら彼女に手を振っている。

 

「い、いきなり話しかけないで!」

 

「ご、ごめん...たまたま遠くからコハルちゃんを見つけたからつい...」

 

ハツネの言葉にコハルは内心焦る、まさかさっきの失敗を見られていたのではないかと。

今この場所には自分の他にも多くの生徒達がいる、彼女達に比べてまともに弾を当てられていない姿を見られたのだとしたら....

 

「さ、さっきのはたまたま当たらなかっただけだから!今日はちょっと調子が悪かっただけで....!」

 

コハルは恥ずかしそうに顔を背けながらそう言葉を続ける。

そんな彼女の様子を見てハツネは何かを察したのか、僅かに微笑むと徐にコハルへと近づいてきた。

 

「ねえコハルちゃん、ちょっとだけ銃を借りてもいい?」

 

「え、う、うん....」

 

ハツネにそう言われたコハルは素直に持っていた銃を渡すと、彼女はそれを大事そうに受け取り銃の表面を軽く撫で、サイト越しの視認性や引き金の硬さなど様々な箇所をチェックし始める。

 

そして、そのままコハルの隣のレーンに立ったハツネはそのまま銃を構えると引き金を引いた。

ドンッという銃声が響くと同時に、弾は中央からはズレているとはいえ奥の的に見事に命中する。

 

「わっ...」

 

コハルは思わず小さく声を漏らすが、一発撃ち終え満足そうに頷いたハツネは彼女に借りていた銃を返すと首を傾げながら

 

「多分、コハルちゃんは撃つ時に少し身体の軸が曲がっちゃってるんだと思う。それで撃った瞬間に銃がぶれて思ったように飛ばないんじゃないかな?」

 

「えっと...」

 

「ああごめん!急に言われても難しいよね、うぅん....」

 

いきなり話をふられたコハルは困惑するが、その困惑は次の瞬間その更に上の衝撃が訪れた事で全て吹き飛んだ。

 

「へ?」

 

それもその筈、何かと思えばハツネが自身の背後から突然抱きついてきたのである。

 

「!?!?!?」

 

「まずこうして構える時に...」

 

正確には背後から手を伸ばしコハルに直接持ち方などを教えているというのが正しい、現にハツネは特に気にする事なく彼女の手を直接取りアドバイスを送ってるのだが....肝心のコハルは全く集中出来ていなかった。

 

背後から覆い被さる様に腕を回され事で密着した背中や、掴まれた手から伝わる熱。

顔を真横まで寄せられた事で聞こえる耳元で囁かれる声。

 

それら全てを無駄に研ぎ澄まされた感覚で味わっていた彼女が落ち着いてアドバイスを聞けるはずも無く、混乱したコハルはその場でプルプルと震え固まることしか出来ない。

 

「肩が動かないようにしっかり固定して....あれ、コハルちゃんどうかした?」

 

その様子に流石のハツネも気がついたようでそのままの体勢で顔を彼女に向け尋ねてくるが、そこでとうとうコハルの心が限界に達した。

バッと彼女の腕を取ると下から這い出るように抜け出し、すぐさま距離を空ける。

 

「や、やっぱりエッチなのは駄目!!!」

 

「ええ!?」

 

そうして真っ赤になった顔のまま、コハルはビシッと指をハツネに突きつけながら叫ぶと急いで銃を抱えてその場から逃げ出したのだった。

 

 

後日、その件を謝ろうとコハルが再び奔走することになるのだが、それは別のお話。

 

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