正実モブの奮闘記録。   作:Mrふんどし

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正義へ向けて

「ふぅ...」

 

小さな溜息と共に覗き込んでいた照準器から顔を遠ざける少女。

トリニティ訓練場から少し離れた場所に建てられた塔の上で今日もまたマシロは一人訓練に勤しんでいた。

 

(命中率も上々、もう少し精度を高められれば更に....)

 

遠くの的に狙いを定めては撃つ...ひたすらにその繰り返しの毎日を過ごす中で彼女の狙撃の腕前は着々と良くなっており、本人もそれは実感していた。

 

そんな彼女は気持ちを切り替えると弾の装填を行っていく、それからすぐに次の的に狙いを定めトリガーに指をかけようとした所で

 

「ま、マシロちゃん!」

 

唐突に背後から声が聞こえてきた。

どこか聞き覚えのあるその声に反応し振り返ると、そこには予想通り同期のハツネが息を切らして立っている姿が。

 

「ハツネさん、どうかしましたか?」

 

「マシロちゃんまた気づいてなかったでしょ?もうお昼休みだよ」

 

「ああ....すみません、つい夢中になってしまって」

 

ハツネの言葉に携帯の画面を見てみると、彼女の言う通り時刻はとっくに休憩時間を示していた。

訓練にのめり込みすぎて時間を忘れてしまう、この前もそれで彼女に心配をかけさせてしまった事を思い出したマシロは苦笑いを浮かべながら頭を下げる。

 

「教えてもらってありがとうございます、では片付けをするので」

 

そう告げながら黙々と動いていくマシロ。

ライフルを持ち上げ装填用の弾を拾い上げる彼女だったが、その最中にふと背後から浴びせられる視線を感じ取った。

 

「...どうかしましたか?」

 

「え、ああごめんね!じろじろ見ちゃって」

 

「別に良いですよ、何か気になることでも?」

 

純粋に気になったマシロはそう彼女に問いかけると、ハツネは少し悩んだ素振りを見せ、それから申し訳なさそうな表情を浮かべ話し始めた。

 

「そのライフル少しだけ触ってみてもいいかな....?」

 

「触る?」

 

「うん、実は前に見た時から気になってたんだ。そんなに大きいのにマシロちゃんなんて事ない様に扱ってたから、見た目より使いやすいのかなーなんて...それで良かったら持ってみたいんだけど...」

 

「成る程、そう言う事なら全然良いですよ」

 

「本当?ありがとう!」

 

驚いたマシロだったが、特に駄目な理由も見当たらない為快く彼女の提案を受け入れた。

そうして足元に片付け途中だったライフルを置くと、ハツネに場所を譲る。

 

「へ〜やっぱり他の子達の銃と違うんだね、私の身長よりも大きいなんて....どれどれ、じゃあ早速...」

 

興味深そうに銃を観察し始めたハツネ、それから一通り見終えた彼女はワクワクとしながらマシロの銃を持ち上げようとして....

 

「うっ...!お、重い!?」

 

一瞬にして笑顔が消え去り、代わりに驚愕の表情を浮かべた。

 

「え、ま、マシロちゃん普段からこんなに重いものを使ってたの!?」

 

「はい、訓練にもなりますし一石二鳥です。流石に私もまだ軽々と持ち運びは出来ませんが」

 

「す、凄いね...私は持ち上げるだけで精一杯なのに」

 

ハツネはマシロの凄さに感心しながら、プルプルと腕を震わせつつライフルをゆっくり床に下ろしていく。

 

「任務や状況によってはエレベーター無しで高所に登らないといけない事もあるかも知れませんし、いつかはそれを持ちながら自由に移動出来るようになりたいんです」

 

「成る程....」

 

「はい、その為に射撃訓練の他に毎日の体力作りももっと頑張らなければ...」

 

マシロはそうハツネに答えながらライフルを持ち上げると、塔を降りる為に歩き始める。

 

「ねぇマシロちゃん」

 

だがその時、不意に彼女に自身の名を呼ばれ振り返ったマシロ。

視線の先に立つハツネは、マシロの目を見るとそのまま口を開く。

 

「もし迷惑じゃなかったら、マシロちゃんが普段からやってるトレーニングメニューを私にも教えてくれないかな?」

 

「トレーニングメニュー...ですか?」

 

「うん、今のマシロちゃんの話を聞いて他人事じゃないかもって思って。ほら、私も任務の時に必要な物資とか沢山運んだりするかもしれないから、その時役に立つかなって」

 

ハツネはそう告げると小さく笑いかけた。

 

「.....」

 

そんな彼女を見ていたマシロは一瞬ポカンとしてしまうが、それからどこか嬉しそうに微笑むと

 

「わかりました、ではお互い正義の為にこれから頑張っていきましょう」

 

「うん!よろしくね!」

 

そう言って目の前の少女に手を伸ばし、同じ志を元に互いに固く握手を交わしたのだった。

 

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