特務中尉と幼女   作:ファンノヒトリ

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今回は皆仲良く訓練回です

それではどうぞ!


特務中尉と幼女 大隊とダキア編 
第八話 教育とダキア


 

第八話 教育とダキア

 

 

あれからしばらくして

 

結局大隊長として少佐になったターニャは雪山の訓練地に一人上空に待機していた

 

「午前6時丁度か…時間だな」

 

(さて大隊諸君…君達にはせいぜい足搔いて貰ってから精鋭としての能力皆無として原隊復帰にしてやろう 私の後方勤務の足ががりになってくれたまえ)

 

ニヤッと笑う幼女はこれからの事について思考を巡らせた

そして

 

眼下で眠りについている大隊の隊員らがいる小屋を見つめる

その中にはラインの死神や番犬達の姿もある

 

ライフルを構え最低限度の爆裂術式で屋根を吹き飛ばそうとする

 

殺意や悪意そう言った事に一番敏感なキリコは僅かに目を開け小屋の外に幼女が浮いて術式で吹き飛ばそうとしている所を見た

 

(デグレチャフ少佐?なんだ?…まさか!)

 

「逃げろ!」

 

そう大声で叫びフィアナを抱いてすぐさま外へと掛けだした

イプシロンはその声に反応して飛び起きセレブリャコーフ少尉を両手で持ち上げ掛けだした

 

「失礼する!」

 

「はぇ?え? え! えええ!!」

 

そんなイプシロンにヴィーシャは驚愕したが直ぐに黙ってしまった

 

(かお!顔近い!)

 

完全にイプシロンに気を取られていたのだった

メロウリンクも一足遅れて彼等に続く

 

そうして五人はすぐさま小屋の外の岩陰に伏せる

 

大隊の隊員は眠そうな顔で気だるげにさけぶ

 

「五月蠅いなぁ…何時だと思ってるんだ!」

 

そうして二度寝を始めようとしたその時

 

 

 

 

バァン!!!!

 

 

 

 

そんな音が鳴り響き小屋の屋根が吹き飛んだ

その弾みで壁さえも倒れていく

 

いきなりの事に隊員は驚きを隠せずベットから飛び出した

中にはベットから落ち地面に転がる者もいた

 

 

 

「なんだ!」

 

「攻撃だ!」

 

「誰の仕業だ!」

 

 

そんな動揺が広がる中声を上げる者がいた

 

「私だ!」

 

全員がターニャの方を見つめる

 

「諸君目覚めの気分は如何かな?」

 

呆然とターニャを見つめる隊員達

 

「しっかりと目が覚めたようだな 諸君らにはこれから山岳での進軍を行って貰う 参謀本部からはどのように扱っても構わんと指示を受けている 一人でも脱落するようなら連帯責任で全員不合格だ」

 

ある隊員が反論する

ヴァイス大尉次席指揮官第二中隊長である

 

「少佐殿!このまま我々に行軍せよと!」

 

「あぁ?」

 

幼女は睨みつける

 

(なるほどヴァイス大尉の言いたい事は分かった ようは万が一何かあれば私の責任になってしまうと言いたいのだ)

 

「心配することはない 私は上空から危険がないか確認しているとも これが目的地の地図だ 夕刻までには到着したまえ 今回の行軍は他の部隊の者達に協力して貰っている 今から野砲部隊の砲撃が始まる 演習弾だが気をつけたまえ」

 

そういって信号弾を打ち上げる

 

既にその言葉を聞いたセレブリャコーフ少尉以下五名は既にたこつぼを掘りはじめている

 

(少佐のことだ…何かまだあるに違いない)

 

と言うのが彼等のまとまった心境である

 

「さぁ 演習を始めよう せいぜい足搔いてくれたまえ」

 

そういって幼女は上空に飛んでいく

そして

 

ヒュルルルルル

 

砲弾が大隊の頭上から雨の如く降り注ぐ

 

「演習弾なら防殻で!」

 

一人の隊員が防殻術式で防ごうとする

だがその試みは失敗に終わった

 

実弾が爆発し薄かった防殻にひびを入れて隊員は余波で吹き飛ばされたのである

 

「おやぁ?!何の手違いか実弾も交じっているようだ…!防殻で防ぎきれるとは思えんなぁ!諸君らもイプシロンやメロウリンクのように隠れなくて平気かね?」

 

薄ら笑いを浮かべて彼等を見下ろしている

その姿を見て誰もが思う

 

((((((((絶対わざとだろ!!!))))))))

 

だがそんなことを言っている暇はない

 

直ぐにスコップ(エンビ)を取り一心不乱に掘りはじめる

 

「くそっ!この地面固いぞ!」

 

「術式で対処しろ!近接術式を使うぞ!」

 

術式を用いて何とか地面に穴を掘る

砲弾の雨がやむことを知らず降ってくる

 

何発かに一発は爆発を伴って自らを粉砕すると言う恐怖に誰も彼もが恐怖していた

 

そして一時間余りがたちようやく砲弾の雨は収まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

キークはボイル教官とこれからの訓練の日程について話し合っていた

 

「魔道士としての訓練はデグレチャフ少佐より直接指導する予定となっておりますがボイル教官に兵士としての体力基礎について強化して欲しいとのお達しです 期間はひとまず三週間みっちりとお願いします」

 

ボイル教官は前世ではメロウリンクを抹殺しようとしたキークの前に立ちはだかり逃す事に成功したが自らはキークに撃ち殺されてしまった

 

この世界では同じ軍に所属しておりかつ前世の事でありそこまで揉める事は無かった

 

メロウリンクに返り討ちにされパイルバンカーで串刺しにあっていた事を知るとボイル教官はそれ以上追求する事をやめたのだった

 

「なるほど 短期間に集中的に訓練をして欲しいと仰るのですな 特務中尉殿は」

 

「はい それがデグレチャフ少佐のご意向であります」

 

腕を組みカレンダーに目をやる

 

「承知した 週に一日は休ませ魔道士としての訓練の前に半日の間体力強化と武器整備の訓練とする」

 

「ではそのように」

 

隊員にとって地獄はまだまだ続く

 

ボイル教官は無理せず堅実に出来る範囲で教育してくれるために多くの兵士達から人気がある人物である

 

気配りも出来る優れた教官

 

ボイル教官が飴ならば幼女はまさしく鞭…

 

いや悪魔である

 

「アポリーとロベルトを手伝わせてよろしいか?」

 

「ご随意に 教官殿にお任せ致します」

 

そういって席を立ち窓を開いて外で新兵の教育をしている二人を呼び寄せる

 

「アポリー!ロベルト!話がある!少しよいか!」

 

二人は振り向き応える

 

「は!了解であります!」

 

「諸君一次休憩としよう 暫く身体を休めておきたまえ」

 

「「「「「はっ!了解です!」」」」

 

そうして二人は室内に入ってくる

一人は金髪短髪の若い男

もう一人は黒髪で巻き毛の若い男

 

「紹介します彼等が私と共にここで教官を務めている…」

 

「自分がアポリーであります」

 

「私がロベルトです」

 

二人は敬礼して着席する

 

「お二方も新設される大隊の訓練にお付き合い頂けますかな?」

 

キークは新設される203魔導大隊に関して説明する

 

「自分は協力致します 精鋭に鍛えあげてみせましょう」

 

「私達はマニュアル通りの訓練だけやっている訳ではありません 三週間もあれば特別メニューで精鋭に鍛えあげることができます 自分達もそうして生き残って来たのですから」

 

「ほぅ 頼もしい限りだ 少佐殿もお喜びになるだろう」

 

「はっ!光栄です!」

 

それからキークは席を立ち帽をかぶる

 

「それでは私はそろそろお暇させて貰う 来週からということでよろしかったですかな ボイル教官」

 

ボイルも立ち上がり返答する

 

「来週からといわず今日からでもよろしいですが?」

 

ニヤッと笑って冗談交じりに返した

 

「準備は十分と…分かりました その旨お伝えします では」

 

そう言って退出していく

 

(アポリーにロベルトどちらも赤い機体の男と肩を並べて飛んでいた空軍のベテランパイロットか…)

 

一人考えながらキークは演習している少佐殿の元へと向かった

そろそろ終わっている頃合いだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさに実戦さながらの訓練に一同は目的地にへと行軍していた

 

山の峰を越えて行かなければならない上に敵役の歩兵部隊や軍犬部隊に偵察機と多くの障害を何とか乗り越えあと少しの所まで来ていた

 

先頭を率いるのは我等が特種小隊の番犬に死神そして他の部隊員達である

 

彼等は隊列を作り進軍していた

 

メロウリンクが歩みを進めながらカタルーニャ

 

「この調子なら夕刻前にはつきそうだ…」

 

「あぁ…このままいければな」

 

「この坂を上りきれば越えられるわ」

 

「後は下りのみですね…」

 

「だが油断はするべきでは無い」

 

そんなことを話して歩いていたが一人がいきなり大声を上げる

 

「くそぉ!ふざけるなぁ!」   キラだ!!

 

その瞬間その声は谷間に響きわたる

そして轟音と共に雪の波が押し寄せてきた

 

「うぁああああ!」

 

「はしれ!はしれぇ!」

 

雪崩によって彼等は押し流されていく

 

 

 

 

 

 

暫くして

 

 

 

 

「エホッ!ハァハァ…」

 

「誰か助けてくれ!」

 

「全員いるか?」

 

雪崩に流され埋まった者達を捜索していく

 

「おおい!どこにいる!」

 

隊員達は探すが見つからない

 

「全く見ていられないな…」

 

天使がいや悪魔が空から舞い降りる

 

「世話の焼ける奴らだ」

 

そして雪の中にうまった者達を引きずり出していく

 

その中には呼吸の止まった者もいた

 

「おや?こいつは息が無いようだな」

 

「そ…そんな」

 

愕然とする者達の前でターニャは掴んでいた手を離して回し蹴りを食らわす

 

「少佐殿!いくらなんでもそれは!」

 

「ゲホァ!!ゼェゼェ…」

 

「「「!!!」」」

 

「この程度の痛み死を味わうよりはずっと良いだろう?まぁ腹の骨が数本折れたかも知れんが問題なかろう さて諸君ここでリタイアするかねそれとも続けたいね?」

 

(((こ…殺される!やめるだなんていったらそれこそライフルで撃ち殺されかねない!士官学校の話は本当だったんだぁ!)))

 

彼等の中にあるのは逆らってはいけない

そしてこの地獄から解放されるには一刻も速くゴールしなくてはならないということだけだった

 

(なるほど 随分と荒っぽいな)

 

(出来れば目を付けられたくないな)

 

これには番犬も猟兵もドン引きだった

 

「「「我々は行軍を続行します!!!」」」

 

「そうだろう!そうだろう!リタイアして当たりまぇ…はっ?」

 

ターニャが呆然とするのも束の間

 

「行くぞ皆!一刻も速くゴールするぞ!」

 

「「おおおおお!」」

 

ザッザッザッザッ!

 

あっという間に先程の弱気が嘘のように背筋を伸ばして行軍を再開していく

 

セレブリャコーフ少尉がデグレチャフ少佐の顔を見ると苦虫を噛み潰したような表情であった

 

「じじじ 自分も行軍を再開します!」

 

そう言ってすぐさま駆けだしていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして一名足りとも欠けることがなく終了した

 

ターニヤャは顔を引きつらせ皆の前で演説していた

 

(どぉして!誰一人としてリタイアしないんだ!普通リタイアするだろ!此奴らMなのか?!正気なのかこいつらは!)

 

自分自身明らかにヤヴァイ内容にしたのに嬉々としてこの場にいる彼等部隊員に恐怖する

 

勘違いすれ違い戦士達

 

「諸君らは私の試験を見事に合格した!よって大隊の一員として認めよう!軍は戦友は諸君らを見捨てない!その命尽きるその時まで!」

 

「「「「帝国万歳!!デグレチャフ少佐万歳!!我等に勝利を!!!」」」」」

 

一部の者達を除き大隊の隊員達はもはやある意味正気では無かったのである…

 

かくして彼等は帝国一の名の知れた部隊として語り継がれることになるのであった

 

それからアポリーにロベルトとボイルの三名による堅実かつ斬新な基礎訓練を半日とタ一二ャによる三週間の追いかけ回され撃墜される訓練を終えて部隊としてここに誕生したのである

 

発足してすぐ幼女の元に任務が舞い込んできた

 

「ダキアが動いただと!!!」

 

大隊の初任務が今始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告 銀河な人

 

 

 

青い空 枯れた大地

 

空に浮かぶは魔道士達

 

大地を埋め尽くす兵士の群

 

ここは帝国の南方の小国

 

ダキア

 

今日ここは骸で埋まり

 

明日一つの国が地図から消える

 

組まれる円陣 高まる戦果

 

消えゆく命 生まれた力

 

後に残るは何事か

 

次回「消滅」

 

生き残りたくば武器を捨てよ





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