吸血鬼だけの世界で、人間ただ俺独り   作:やーなん

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叙勲

 

 

 

 戦いは、本当に呆気なく終わった。

 この場には何が起こったのか分かっていないも多かった。

 

 だが、リーチが完全に死亡したと理解すると、歓声が沸き上がった。

 

「ヨコタ様、お怪我を!!」

 

 すぐに妹君が俺の手を取り、治癒の祈祷を始めた。

 

「止めてッ!!」

 

 しかし、俺の手首の傷から血を夢中で舐めていたサキュート卿はそれを振り払う。

 

「もっと、もっと飲む、飲むのッ!!」

 

 半狂乱じみた鬼気迫る表情で、彼女が叫んだ。

 彼女の瞳が光る、マズいッ。

 

「……あれ」

 

 しかし、あの強力無比の魔眼は、発動しなかった。

 だが、発動しなかったどころではなかった。

 

「ど、どうして、なにも、何も見えないッ」

 

 サキュート卿は、視力を失っていたのだ。

 当然だ、視線で人は殺せない。その条理を覆した代償は、反動となって使用者に返って来る。

 

「す、スーロは、よ、ヨコタ様は、みんな、どこッ!?」

 

 そのショックで狂乱状態から我に返ったようだったが、今度はその身に起こった以上に取り乱しているようだった。

 

「落ち着けッ、それは一時的な物だ!!」

 

 キュリアさんが駆け寄って来て、彼女の肩を揺すった。

 その間に、妹君が治癒の祈祷を再開する。

 

「強力な異能には反動や代償が付き物だ。

 恐らく、しばらく経てば視力が回復するはずだから、気をしっかり持つんだ」

「ほ、本当ですか?」

「俺もラノベ……伝記で読んだことが有る。

 初代リーリスに付き従った混血の夢魔も強力な魔眼を持っていたが、一度使う度に24時間ほど視力を失っていたとある」

 

 俺もキュリアさんのように彼女を励ますべく、ラノベの描写を引用してそう言った。

 

 それにしても、24時間か。

 一日に一人殺せる能力と言えば、たったそれだけの反動なのか、とも思える。

 

「……何も見えない、怖い、怖いよ」

 

 だが、彼女は膝を抱えて震えだしてしまった。

 

「サキュちゃん……」

 

 すると、バリケードの側まで、元の姿に戻ったスーロが腕の力だけで這ってきた。

 彼女の怪我も酷い有様だ。それこそ歩けないほど。

 いくら吸血鬼として肉体のダメージが人間ほど深刻ではないとは言え、見ていて痛々しかった。

 

「スーロ、無理をしないでください!!」

 

 俺の治癒を終えた妹君が、スーロの治療するべくバリケードを乗り越える。

 

「スーロ? そこにいるの?」

「うん、そうだよ」

「スーロ、これを舐めろ」

 

 俺はサキュート卿の剣を運び、そこに付着していた俺の血をスーロに舐めさせる。これで少しはマシになると良いのだが。

 

「え、えへへ、おいしい、おいしいよぉ、頑張った甲斐があったっす……」

「ああ、ああ、本当にお前はよく頑張ったよ!!」

 

 実際、彼女が前衛として戦っていなければ、どうなっていたか分からなかった。

 彼女の成した戦果は、その階級以上の高潔なものだった。

 

「ああ。リーリスの従者に相応しい、名誉ある戦いに生き残ったんだ」

 

 キュリアさんも太鼓判を押してそう言った。

 たとえその名誉や騎士道やらの概念も、人間から奪い、真似た物に過ぎなくても、それを貫いた者を称えない理由にはならない。

 

「でも、でも、結局、サキュちゃんに守って貰っちゃったっす」

「そんな、そんなこと、無いよ」

 

 サキュート卿は、光の無い瞳でスーロの方を見ながら呟いた。

 

「昔からずっと、スーロには敵わなかったよ……」

 

 

 

 サキュート卿のことをスーロに任せ、残った俺達は自警団の面々と犠牲者の弔いを行った。

 

 遺品を埋葬し、集落の牧師が駆けつけてきて、その魂の安寧を月の女神に祈った。

 ただ、宗派の違う妹君だけは、離れた位置で祈りを捧げていたが。

 

 さて、問題はリーチの遺骸だった。

 これを処分する前に、キュリアさんが検分を行っている。

 

「今回、街中で突如としてリーチが発生した。

 状況的にあり得なくはないが、限りなく偶然とは言い難い」

 

 彼女はそう判断した。

 

「多くの場合、リーチになる状況とは、極限に飢えるなどしたり、身体機能の停止が長時間続いた場合が多い」

 

 身体機能の停止とは、先ほどの自警団の怪我人みたいな状態のことを言うのだろう。

 

「つまり、街中で発生する状況は限りなく低いと言うことですか」

 

 そう言えば、俺が最初に出会ったリーチも、森の中にいた。

 あれは森の中で迷い、彷徨っていた誰かなのかもしれなかった。

 

「うむ、リーチになった彼は、聞く限りお金に困って、食事に困っている様子は無かったそうだ」

「人為的、ということですか?」

「その可能性を排除できる理由は今のところ無いね」

 

 しかしそうなると、別の問題が発生する。

 

「では、下手人に心当たりはありますか?」

「わからない、としか言えないね。村民をリーチにして、誰が得すると言うのかね」

「……俺も、同感です」

 

 俺はまた別の理由で、他の吸血鬼が原因だとは思っていなかった。

 

 吸血鬼の戦いは、もっと堂々としている。

 勿論勢力を拡大する為に水面下で人間を襲ったりするが、それは静かな準備段階の話だ。

 

 そもそも、同胞を怪物にして敵にけしかける、なんて発想は無いだろう。余りにも迂遠すぎる。吸血鬼らしくない。

 

「或いは……」

 

 彼女の優れた頭脳は、こんな可能性を見出した。

 

「実験、か」

 

 俺は考え込むキュリアさんから、リーチの死骸に目を向ける。

 その可能性を排除する理由を、俺も思いつかなかった。

 

 

 

 §§§

 

 

 村内リーチ事件から数日後、お嬢様は目を覚まされた。

 

「皆、よく集まってくれました」

 

 メインホールの奥にある、二階へ行ける階段からお嬢様は臣下の礼を取る今回の功労者五人にそう告げた。

 

 当然、俺もその中に入っている。俺は辞退しようとしたのだが。

 

「君は己の役目を果たしたじゃないか」

 

 と、含みのある笑みでキュリアさんに言われた。

 俺は、こいつ、と思った。初めからサキュート卿の異能を当てにしてたな、と。

 

「此度の働きにおいて、褒賞を与えます」

 

 階段を降り、まず第一功として俺たちが推したスーロの前にお嬢様が立つ。

 彼女の肩に、抜き身の剣が置かれた。

 

「我が従者スーロ。貴女に我が騎士を名乗る名誉を与えます」

「あ、有難き幸せ!!」

 

 それは騎士の叙勲だった。

 混血の吸血鬼、最低位階の一代限りとはいえ貴族の地位を与えられるのは5000年前にはあり得ないことだった。

 サキュート卿を騎士に任命したのもお嬢様だと伺ったし、妹君と同じで現状を変えようと思っているのかもしれない。

 

「次に、我が騎士サキュート」

「はッ」

「あなたには、我が従者として供に侍る栄誉を与えます」

 

 それは、門番としての仕事しか与えられなかった彼女が望んでいたことだった。

 サキュート郷の身体が震えた。

 

「あ、ありがたき、幸せ……」

 

 彼女の涙が冷たい城の大理石にこぼれる。

 

「私は、この日をずっと待っていました。あなたは期待に応えてくれましたね」

「はッ……はッ」

 

 サキュート卿は臣下の礼のまま、更に頭を下げた。

 

「次に、我が友キュリア25世よ。あなたが先日申請された資料や文献を交易先に請求しておきました。これからも研究に打ち込みなさい」

「勿体無いお言葉です……三年越しでようやくか

 

 キュリアさんはぼそりと何かを言ったが、俺達は空気を呼んで何も聞かなかったことにした。

 

「次に、我が客人ヨコタ」

「はい」

 

 さて、俺の番だった。

 

「あなたには我が公爵家の家令として雇用される権利を与えます」

「はッ、有難き幸せ!! 謹んで拝命致します!!」

 

 家令って、多分執事の上位互換的なあれだよな?

 勿論俺に拒否権は無いので、そう言うしかなかった。

 

「次に……」

 

 お嬢様が、口ごもる。

 この場の空気が凍るような、そんな錯覚を覚えた。

 

「邪神官トゥーリよ。あなたには……我が家からの勘当を、撤回致します」

「お嬢様!?」

 

 側で見ていたメイド長が、驚愕の声を挙げる。

 それも当然の反応だろう。異教徒を我が家で受け入れる、そう言ったのだ、お嬢様は。

 

「ただし、領内で布教その他聖職者としての活動は認めません。以上です」

「はッ、寛大なる配慮、痛み入ります」

 

 しかし、妹君は定型文以外は何も言わなかった。

 ただ頭を下げるだけだった。

 

 俺はホッとした。

 あのラノベには、兄弟姉妹で殺し合うなんて展開はザラだった。

 敵対する家に兄や妹が居たり、それに比べれば本当に穏当な関係なのだろう。とにかく、良かった。

 

 こうして、無事に褒賞会は幕を閉じた。

 

 

 

 §§§

 

 

 さて、騎士として叙勲を受けたスーロではあったが、城の中の役割は変わっていなかった。

 と言うか、こいつは別に褒賞会で仕事の際にお嬢様に同行しろ、と言われていない。

 なので、普段はメイドとして活動している。

 

 でも、騎士になったことは無駄ではない。なにせ、給料とは別に俸禄が出る。

 スーロの実家は子だくさんらしく、これに彼女は喜んだ。メイドの給料の殆どをそっちに仕送りしているからである。

 

 だが、真面目なスーロは騎士としての鍛錬も始めるようになった。

 

 その相手は勿論、サキュート卿である。

 

「さあサキュちゃん、今日も鍛錬するっす!!」

 

 俺も家令に命じられたとはいえ、特に指示も無いのでやることも無いままで日々を過ごしている。

 だから最近の趣味として庭いじりを始めたのだが、これが奥深い。

 

 結果的にブラック企業から離れ、こうしてのんびり生活するのが性に合っているのかもしれなかった。

 唯一の悔いは、両親を悲しませてしまっていることだろうか。

 そんな感傷に浸りながら、枝切りばさみで生垣の手入れをしていると、今日も彼女らは鍛錬をするようだった。

 

「……ねえ、スーロ。やっぱり止めようよ」

「うん? どうしたっすか?」

「私、この力を使うのが怖いよ」

 

 今更のように、彼女はそんな心情を吐露した。

 

「私が私じゃなくなるみたいで……」

「ああ、そんなことっすか」

 

 スーロは屈託のない笑みで、こう言った。

 

(あきら)めちゃえば、ラクっすよ?」

 

 サキュート卿は目を見開き、細い尻尾をピンと張らせてから、力無く落ちた。

 そして、視線を横に逸らした。

 

「もう少し、もう少し、私で居させて。

 力を使う度に、もう一人の私が囁くの。私の知らない、淫蕩で、おぞましい、欲望に忠実な私が……」

 

 俺は居た堪れなくなって、その場を立ち去った。

 

 

 

 城内に戻ると、キュリアさんが抱えるほどの資料や書籍を運んでいる最中に遭遇した。

 

「キュリアさん、手伝いますよ」

「ああ、ありがとう」

 

 俺は彼女の荷物の半分を持つことにした。

 

「これは、この間の褒賞ですか?」

「そうだよ。前々から欲しかった資料や文献、書籍が盛りだくさんさ」

 

 図書館までは距離が有るので、そんな雑談をして間を持たせる。

 

「私も力不足を感じてね。

 自分の力は、恐らく目覚めただけだ。

 もっともっと、本来の吸血鬼としての力を取り戻せるはずなんだ」

「……」

 

 恐らく、その認識は正しい。

 初代キュリアは騎士階級の敵を難なく蹴散らしている描写を、先日また確認した。子爵階級としては弱い部類の彼女が、だ。

 

 吸血鬼にとって、階級差はそれほどまでに隔絶している。彼女がリーチ程度に苦戦するなんて、本来ならあり得ないのだ。

 

「キュリアさんは、自分の力が怖くはないんですか?」

「なぜ? ああ、サキュート卿か」

 

 くすくす、とキュリアさんは可笑しそうに笑った。

 

「本来の自分に戻ろうとしているのに、何を怯えているのかねぇ?」

「……俺は、とんでもないことをしてしまったんじゃないか、って」

「なるほど、それが人間の価値観って奴かな。

 瞬く間に死んでしまう、君たちらしい女々しい価値観だ」

 

 俺は咎めるように、彼女を見た。

 真っ当に会話できるだけで、彼女は残虐で傲慢な、吸血鬼そのものだった。これでも大分マシな方だが。

 

「俺は、サキュート卿を巻き込んだこと、怒ってますからね」

「あの時はあれが最善だっただろう?」

「キュリアさん!!」

「……ふふ、ごめんごめん。私も君に嫌われたくないから、そう言う発言は控えるよ」

 

 俺だって、キュリアさんの判断が正しかったのは分かっているのだ。

 ただ自分が納得できないだけで、サキュート郷が苦しんでいるのが見ていられなくて。

 

「でもまあ、今の自分に別れを告げる時間くらいは必要か。

 彼女の力は本当に強力だからね。その分……」

「……」

「おっと、いけないいけない」

 

 俺の視線を感じたのか、キュリアさんは肩を竦めた。

 ……俺だって分かっているのだ。

 

 お嬢様に付き従えば、否が応でもあの異能を使わなければならない。

 むしろ、吸血鬼どもは異能が、血脈が本体まである。

 誇張だと信じたいが、真祖は血の一滴から復活する描写さえあるのだ。

 

「……人間は」

「ん?」

「どうして吸血鬼に勝てたんでしょうね」

 

 こんな常軌を逸した怪物に、あの女神が率いる人間達は、どうやって勝利し、このスカーレットガーデンに追いやったのか。そこは詳しくあのラノベに描かれていなかった。

 

「ああ、君もそんな当たり前を聞くんだね」

「え?」

「それは簡単な話さ」

 

 キュリアさんは、悪戯っぽくこう言った。

 

「人間が我々ヴァンパイアに勝てたのは、人間が我々より傲慢で、残虐で、容赦が無かったからに決まってるだろう?」

 

 俺は、それに何も言い返せなかった。

 

 

 

 §§§

 

 

「えーと、ここは『くくく、貴様の命も今宵の満月が沈むまでよ……』でいいのか?」

「ええ、合っていますわ」

 

 俺は城内に移り住んだ妹君に、文字を教わっていた。

 聖堂に併設されている小部屋に彼女は済んでいる。

 

 ちなみに教材は、『吸血乙女の円舞曲(ヴァンパイア・ワルツ)』だった。

 幸い、文法は英語に近い。書き取りをしながら翻訳すれば、俺がラノベ好きだったのもあって、習得までそう長い時間は掛からないだろう。

 

 しかし、改めて読んでもいいラノベだ。

 昔のラノベを懐かしむスレ、みたいなのでも、度々続編を切望されていた。

 ラノベ全盛期らしい尖った作風だったが、そう言うのを読むのが俺は好きだった。

 

 それに比べ最近のラノベはやれハーレムだのやれチートだの……ぶつぶつ。

 

「ヨコタ様? 手が止まってますよ」

「あッ、すみません」

 

 俺は意識を目の前に戻した。

 

 ……ダメだ、集中できない。

 

「このラノベ、いえ伝記に書かれている吸血鬼は、信じられないくらい強いですけど……トゥーリさんはその力を取り戻したいですか?」

 

 俺は、お嬢様と同じ公爵位階の吸血鬼である彼女に問うた。

 本当なら、一挙手一投足で天変地異すら起こせる力を持って生まれたはずだったのだ。

 

「どうでしょうか、私は失敗作だったので」

 

 しかし、対面に座っている妹君は儚く微笑んだ。

 

「あ、すみません……無神経でした」

 

 貴族階級の吸血鬼達は、同じ異能を持った者同士で婚約し、血の濃さを深める。

 そうやって、お家の血脈を維持するのだ。

 

 だがどうしても、望みの異能を引き継いで生まれない場合もある。

 この『吸血乙女の円舞曲(ヴァンパイア・ワルツ)』にも、その悲哀から兄弟姉妹同士で憎み合っている描写があった。

 

 でもだからこそ、俺は訊かねばならなかった。

 

「……お嬢様が、憎くはないのですか?」

 

 でもその言葉は彼女の顔を見ては言えなかった。

 ふふッ、と妹君は上品に笑った。

 

「愛しているからこそ、こうして自ら離れたのですわ」

「……妹様」

 

 俺は感服して、彼女をそう呼んだ。

 

「たとえそれが、人間の神に縋ることになったとしても」

「妹様が奉っているのは、邪悪の女神だったのでは?」

「それは、かの御方の慈悲によって表向きの信仰を許されているからですよ。

 実際のところ、あなた方人類を創造した、女神メアリース様に(こうべ)を垂れているのです」

 

 俺はその事実に、ショックを受けた。

 

「六公爵の中にも、一度かの御方に恭順し、我ら吸血鬼全体の為にスカーレットガーデンに自ら身を投じ、中立を取る家がありますわ。

 私も、それに習ったのです。おかげで、交易での取引量が増えました」

「でも、それは……家族を裏切っていることになるのでは?」

 

 俺は、彼女の献身にたまらずそう言った。

 

「ええ、皆はそれを分かっているのです。直接メアリース様を信仰しないのは、お家の世間体と言う奴ですから」

「……宗教って、難しいですね」

 

 きっと隠れキリシタン的な奴なのだろう、と俺は解釈した。

 

「しかし、そのお陰で領内の異変に即座に対応して下さりました。

 メアリース様はどの神と比較しても本当にフットワークが軽い。

 でもまさか、ヨコタさん、貴方が独り送られてくるなんて……」

「ッ、そう言えば、あの女神は、報告を受けたって」

「ええ、恐らく私の奏上でしょう」

 

 俺は、言葉を失った。

 

「本当に、申し訳ありません。

 貴方がここに居るのは、私の所為なのです」

 

 妹君は、俺に深く頭を下げた。

 

「本来なら貴方は、豊かで何不自由ない人生を謳歌できていた筈なのに……」

「頭を上げてください、妹様」

 

 俺は不思議と、彼女を恨む気にはなれなかった。

 

「もし仮に俺が何不自由ない来世を得ても、そこにスーロやお嬢様たちは居ませんよ」

 

 例えば仏教には、輪廻転生の概念がある。自殺を否定はしていない。

 なぜならそれは、自殺するような人間は、また来世でも自殺するからということだ。

 

 きっと俺は、何度転生しても同じだったはずだ。

 

「あの女神……メアリース様は正しかった。ただ、それだけのことですよ」

「ええ、ええッ……」

 

 俺は涙を流す彼女を慰めた。

 

 この世界は、地獄である。

 だが、俺にとってはふさわしい地獄だったのだろう。

 

 それに、あの女神は本当に何もしてくれなかったわけでは無いようだった。

 文字と発音を学べば、彼女らが日本語を喋っているわけではないことはすぐに気づいた。

 言語チートとは、なんともありきたりな、と思わなくもないが。

 

「やはり、あなたは()()救世主に違いありません」

「はは、俺はそんなんじゃないよ」

 

 俺は笑って否定した。救世主なんてガラじゃない。

 だから、彼女が俺を見る視線がジットリしていたことをわからなかったのだろう。

 

 

 

 





プロローグと第一章はこの辺りで終わりになるでしょうか。主に主要メンバーの紹介みたいな感じでしたけど。
ちなみにストーリーは、主人公が度々引用するソシャゲを意識しています。

この後の構想は全く無いので、次回以降は需要次第ってことになりますね(笑)
いやいや、まだ本格的にヤンデレってないので、まだまだ終わりませんよ!!

ではまた、次回!!
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