Re:ゼロから始めるワールドトリガー   作:はみゃ

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リゼロとワートリのクロスオーバーです
一応、ナツキ・スバルは6章ラストからこちらに転移してきた上でリゼロ世界での記憶がない、という設定になっています
その為、身体や持ち物の変化があります
何か不都合があればコメントしてください


No.1 :始まりの雨音

 

「愛してる」

 

 

それは終わりの合図

 

そして、ナツキ・スバルにとっては始まりの鐘でもあった

千切れ、ひしゃげ、貫かれ、潰れ、そして途切れる

ナツキ・スバルは死を認め、そして抗う。大切なものの為に

 

そうして、訪れる『死に戻り』のやり直しに身を委ねる

 

 

「愛してる」

 

 

そうして、またゼロからの始まりが訪れた

 

 

 

 

──────────

 

 

 

視界が広がる

脳に視覚情報が行き渡り、冷えきった脳は、今現在、道路に寝転がって雨に打たれている己の体を認識した

 

雨は冷える

道路も真夏のコンクリとは比べ物にならないほど冷えており、濡れている

そう、己も濡れているのだ

 

「...は?」

 

 

道路でつっぷすこの男、ナツキ・スバルは先程までコンビニで買い物をしていた引きこもりの男子高校生であった

 

 

 

「いやいやいや!おかしいだろ!」

 

勢いよく起き上がり、そして周囲を見渡す

ついさっきくぐった自動ドアの陰などどこにも見当たらず、思考は困惑が埋め尽くしていく

しかし、困惑している頭でもこの状況で悠長なことをしている暇はないと理解している為、例え回せない頭であろうと情報は取り込むべきだ

 

再び見渡す

どうやら普通の住宅街のようだ

特にコンビニなどもなく、オマケにどんよりとしたドス黒い雲は闇をプレゼントしてくれた、余計なお世話だ

真夜中ではないようだが、昼なのか朝なのか具体的な時刻は把握出来そうにない

 

そうして、ひとまず得られた役に立ちそうもない情報たちを整理するために一息着く

 

「…よく良く考えれば時間はケータイ見ればよくね?」

 

ようやく冷静になってきた頭は早速思考の穴を認識する

パニックとは恐ろしいものだ

 

そうして、伸ばした手は空を切った

手元がもつれたと思い、もう一度手をポッケへと伸ばす

しかし、ズボンは華麗に手をスルー

ズボンにここまで嫌われた記憶はない

可愛い可愛い愛しのジャージは年季と共に思い入れもある

そして、ポッケがあるはずのジャージを見下ろせば、

 

────そこには見たこともないズボンと見たこともないようなおぞましい手が己の右腕として機能していた

 

「おわああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

斑に黒の血管が走る肌、どくどくと脈打っているそれはまさしく毒々しいと表現できるだろう

そしてその異様な腕を認識した途端、腕に違和感が走る

そしてその違和感は別の部位にも感じられた

 

「嘘だろ…、足もかよ」

 

そう、右足もまた同様におぞましい斑な黒の血管が巡っていたのだ

コンビニに行っただけなのに、何がどうなってるのか

それも考えたいが、もう1つ

 

「んで、右足右腕のインパクトに負けたこの服はどこ産だよ」

 

忘れてはいけないのはこの服である

生地は普段着なれたポリエステルから麻寄りの質感となってはいるものの、普通の服である

しかし、色は地味目であり、抹茶色の薄い上着に鼠色のシャツ、オマケ程度の赤いベルトに茶色のブーツにINした黒いズボン

砂漠に出かけるような服装だ

実際に行ったかのように、すこし砂汚れが着いてる

 

引きこもりと言えど外出用の服は少なからずある己の記憶にこのようなラインナップは1ミリたりとも存在しない

ついでに買ったはずのスナック菓子やカップ麺、おまけにケータイや財布も見当たらない

 

「俺、何したの?」

 

ここまで行けば別人格の自分が突然暴れだしてここで行倒れたと言われた方が現実味のある様体である

しかし、行倒れたのが土砂降りの住宅街なあたり、ナツキ・スバルクオリティと言えようか

 

そこまで考えたが、現在裸一貫な菜月昴はとりあえず立ち上がり辺りを散策することを決めた

 

「ここで蹲ってても何も無いしな。とりあえず交番でも探すか」

 

そうして恐ろしい姿へと謎の変貌を遂げてしまった右手をつき、恐ろしい姿へと変貌しているであろう右足をたてて立ち上がる

すると、不意に後ろから足音が聞こえた

 

「──お!もしかしてここの住民か!」

 

運がいい、まずは第1住民にここがどこか教えてもらおう

そう思い、足音のする方へと走る

 

曲がり角から覗いた住民の姿はメガネをかけた少年であった

 

「!?」

 

傘をさして袋を片手に歩いていた彼はパッと見の雰囲気で真面目と言える人物であろう

土砂降りの中傘もささずおまけに乾燥帯にでも出かけるような格好でその上走ってきたのだから驚くのは当たり前だ

 

「驚かせて悪い、俺は菜月昴!

天下不滅の無一文の漂泊者だ!」

 

「…ここに海はないぞ、、」

 

冷や汗を垂らしながらも反応してくれるあたりいい人なのだろう

真面目そうだし、事情を話せば交番まで案内してくれると思い会話を続行する

 

「漂泊っつっても、記憶も雨に流されて大冒険したレベルで何も覚えてねぇんだな、これが

…もし良かったらなんだけど、交番まで案内してくれね?」

 

「──あまり見ない格好だけど、本当に何も覚えてないのか?

それに、こんな土砂降りの中で交番まで歩いたら風邪をひくぞ」

 

「雨は汚れを流してくれるからむしろwelcomeだ!

てか、交番そんなに遠いのか?」

 

「そうだな、ここは辺境って程でもないがそれでも都心とは言い難い。

交番までは結構歩いたはずだ」

 

交番が近くにないのは想定内だ

残念ではあるが、公共機関はなにも警察だけではない

どこか大通りにでも出て病院にでもいこう、とまで考え、早速行動に移すことを決める

住宅街は歩いていればいつかは表に出るはずだ

歩いていればそこらに地図があるかもしれない

そして、感謝を述べることを忘れずに

 

「そっか、ありがとな!じゃ、俺は──」

 

…撤収の言葉はメガネの言葉にかき消されてしまった

 

「──ー僕の家に来て少し温まった方がいい」

 

「……は!?」

 

驚愕

自分の可愛らしい右足右腕がグレた時以上に驚いた

何を言っているんだこのメガネは

そんな菜月昴の心境も知らずにメガネは続ける

 

「天気は明日も雨と予報が出ている

今は夕方だし、気温はどんどん下がっていくぞ

母さんがどうかは分からないけど、僕からお願いしておく」

 

「いや、まてまてまて!こんな偏屈な格好で傘も持たずに道訪ねるとかどう考えても不審者だろ!

いい人そうとは思ったけど、危機感が足りてない!」

 

自分で言ってて悲しくなるが、事実である

菜月昴は傍から見れば高校生と言えども不審者であった

その菜月昴を見て家にあげるなんて、いい人やお人好しの度を超えている

高校生ともなれば、一般家庭の父母を襲う程度出来るようになってくる

菜月昴は引きこもりだが、それでもハゲとデブだけにはなりたくなかったので筋トレは欠かさず続けてきた

ある程度の力はあるのは過信ではなく事実だ

仮に力のなさそうな小学生だったとしても、大人に対抗できる手段は法をまたげば幾らでも出てくる

偏屈な格好で、傘も持たずに道を訪ねてくる高校生は不審者なのだ

これもまた、厳然たる事実である

 

「…交番まで連れていくのはいいが、僕は自分が案内する人に風邪を引いて欲しいとは思わない。記憶が無いとなれば交番に行っただけで解決するような事でもなさそうだし、歳も近そうな菜月をここで放って置きたくは無い。」

 

「────」

 

「────」

 

このメガネは馬鹿なのか?

気遣ってもらってでこの言い草は如何なものかと思うが、それでもおかしいのは事実だ

記憶が無いのだって嘘かもしれないし、同行してる間に誘拐でもする可能性は優にある

人は優しくされすぎると疑うものだ

現に、路頭に迷った菜月昴にとって都合のよすぎる優しさは菜月昴を困惑、疑惑へと陥らせている

 

しばらくの間を降り注ぐ雨音が支配する

 

…こいつは本当に言っているのか?

出会って数秒の菜月昴の話を信じて、その上で自分の家にあげ、その上さらにもてなすというのか

 

雨音は沈黙に比例し音を増す

5分なのか、はたまた1時間たったのか、

真っ直ぐに、ただお互いに見つめ合う

手助けされる側の菜月昴がメガネの彼を怪訝の目で見つめ、手助けする側のメガネは澄んだ視線を送り付ける

 

 

そうして、永遠にも続くかと思われた雨音の沈黙は、ゆっくりと目を閉じたメガネの彼の口により破られる

 

 

「────ー僕がそうすべきだと思ったからだ。」

 

まっすぐ、そう言った

開いた目は菜月昴をしっかりと捉えており、そして意志の強さを映し出している

 

馬鹿だと思う、こんな出会って数秒の菜月昴に、そんな真っ直ぐな目で見つめながら手を差し伸べるのだ

 

 

「、っは、はは」

 

つい口から笑いがこぼれる

何故だろうか、こんなことにデジャブを感じた

 

たかが高校生同士の見つめ合い、物語にするほどの価値はないようなこの数刻の一時は2人にとって壮大な何かを感じさせた

それが何かは分からない、けれど、この出会いは運命であった

 

「…おとなしく、もてなされるとするか。

ありがとな!」

 

「…とりあえず、まずは体を拭いておけ」

 

そうして袋から出されたタオルは心做しか暖かった




書き終わった後に思ったけど、なんだか菜月昴が慎重すぎるというか自己肯定感が死んでる気がします、、
まあ、6章を乗り越えた菜月昴なので多少精神面に変化があったのでしょう!
次はもう少しテンポを良くします
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