潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
「で? どこを焼くんだって?」
シアンは、楽しげに首を傾げた。
まるで、今日の夕食は何にしようか、とでも聞くかのような気軽さで。
レオンの背中を、冷たい汗が流れ落ちる。
十万の命。
それは、レオンたちが滅ぼした魔物の数だ。
つまり――イザベラは、魔物たちに街を襲わせ、そこで殺した人間の命を
イザベラの計画は阻止した。
しかし、皮肉なことに、レオンが滅ぼした魔物たちが贄となってしまっていた。
結果として彼女の術式を完成させてしまったのだ。
運命の皮肉に、レオンは歯噛みした。
「せ、
レオンは、必死に情報を集めようとした。
相手を知らなければ、対処のしようがない。
「そうそう、女神さまのお手伝いをするお仕事。天界のぶっ壊し屋だよ? きゃははは!」
シアンは、無邪気に笑った。
その笑顔は子供のように純粋で、花のように可憐で――。
けれど、その言葉の意味は、あまりにも恐ろしかった。
天界の、ぶっ壊し屋。
つまり、女神の命令で世界を破壊する存在。
星を砕き、大陸を焼き、文明を灰燼に帰す、終末の使者。
そんなとんでもない存在が、今、目の前に立っているのだ。
しかも、楽しそうに笑いながら。
レオンは、頭の中が真っ白になりそうだった。
どうすればいい。
何を言えばいい。
こんな存在を相手に、いったい何ができるというのか。
「と、とりあえず……」
レオンは、震える声を絞り出した。
「スタンピードは滅ぼしましたので、頼むことはもうなくなってしまいました……のですが……」
沈黙が、落ちた。
空気が、凍りつき――シアンの笑顔が、ゆっくりと消えていく。
「は?」
その一言に、空間そのものが
途端に――シアンの身体から、鮮烈な青い光が噴き出した。
それは、憎悪のオーラだった。
純粋で、混じりけのない、剥き出しの怒り。
肌を刺すような冷気が、さらに深まる。呼吸すら苦しくなるほどの、圧倒的な威圧感。
少女たちが、息を呑む気配がした。
「何? この僕を追い返そうっての?」
シアンの碧い瞳が、ギラリと光った。
その瞳の奥に、星が爆ぜるような激しい光が渦巻いている。
「ふざけんじゃないわよぉぉぉ!」
シアンは、ブン! と腕を振った。
ただ、それだけ。
腕を振っただけ。
けれど――。
刹那、青い閃光が辺り一帯を駆け抜けた。
ズン! という衝撃音が、腹の底まで響く。
エーテルの結晶が割れ、大地が裂けた。
まるで紙を引き裂くように、あちこちに壮大な地割れが走っていく。
数百メートルはあろうかという亀裂が、蜘蛛の巣のように広がっていく。
地面が隆起し、岩が砕け、土砂が舞い上がる。
「うひぃ!」「きゃぁぁぁ!」「な、なに……!?」「いやぁぁぁ!」
少女たちの悲鳴が、轟音にかき消される。
腕を振っただけで、大地はズタズタ。
その圧倒的な破壊力に、一行は完全に圧倒された。
これが、
これが、世界を創った存在の、ほんの気まぐれ。
レオンは、全身が震えるのを止められなかった。
滅ぼされる――――。
本能が、そう叫んでいる。
この存在の怒りを解かなければ、大陸もろとも文字通り消し飛ばされる。
「あ、い、いや……っ」
レオンは、必死に言葉を探した。
冷や汗が、顎を伝って落ちていく。
心臓が、破裂しそうなほど激しく脈打っている。
何か言わなければ――――。
「お、お願いしたいことは山ほどあってですね! こ、こんな機会二度とないんですから!!」
声が裏返った。
情けないほど必死な声だった。
けれど、それでも、レオンは叫び続けた。
「そうよ? あったり前じゃない!」
シアンは、フン、と鼻を鳴らした。
「僕が出てくる時は、たいてい星ごと焼き払う時なんだから。こんなふうに願いなんて聞かないわ」
星ごと、焼き払う――――。
その言葉にレオンは背筋が凍りついた。
この存在にとって、星を一つ滅ぼすことなど、日常茶飯事なのだ。
人間が虫を踏み潰すように、彼女は数多の命ごと星を焼き払う。
それが、
「お、お願いできるのは破壊……だけなんですか?」
レオンは、震える声で問いかけた。
シアンの眉が、ピクリと動いた。
青いオーラが、わずかに和らぐ。
怒りが、少しだけ収まったようだった。
「うーん……」
彼女は、人差し指を顎に当てて考え込む。
その仕草は、どこか人間臭くて、不思議と親しみを感じさせた。