潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します   作:月城 友麻

127 / 185
127. 赤ちゃんの先取りっ!

 妹と妻というかけ離れたイメージがルナという存在の中で一つになる。

 

 その全く想定外の事態に困惑するレオン。

 

 だが――――。

 

「兄妹で結婚したって、別に構わないんじゃないの? きゃははは!」

 

 シアンが、楽しそうに笑い飛ばした。

 

 そうだ。

 

 愛しい存在という意味では妹も妻もレオンの中では同じだった。

 

 それにもう一緒に寿命を捧げ、魂を繋ぎ、永遠の絆を結んだのだ。

 

 妹だからといって、今更それを覆すなどあってはならないが……。

 

 ふと、レオンの脳裏を『ちゃんと子供が産めるのか?』という不安がよぎった。

 

 兄妹間の赤ちゃんに問題がある話は聞いたことがある。

 

 すると、シアンは悪戯っぽい笑みを浮かべ、レオンの耳元で囁く。

 

「それなら安心していいよ。くふふふ……」

 

「なっ! 考えも読めるんですか!?」

 

 レオンは真っ赤になった。

 

「僕は熾天使(セラフ)ダゾ? 全知全能なんだからさ。まぁ、君みたいな男の考えそうなことは読まなくたって分かんだよね。あれならもう赤ちゃん登場させちゃおうか?」

 

「へ……? あ、赤ちゃん?」

 

「二人の間に生まれる赤ちゃんの先取りっ! 可愛い女の子だよ? くふふふ……」

 

「ま、まだ何もしてないのに?」

 

 レオンは唖然とした。もうルナとの間に生まれる赤ちゃんは決まっているらしい。

 

「でも、やるでしょ?」

 

 シアンはニヤリと楽しそうに碧眼を光らせる。

 

「い、いや、まぁ、それは……」

 

「顔見たいでしょ?」

 

「えっ!? いや、それは……」

 

 その時、ルナが怪訝そうに二人を見上げた。

 

「何の話してるの?」

 

「い、いや、何でもない! 大丈夫! 寿命を四十年も出してもらったんだし、いまさら結婚を撤回なんてしないよ。安心して!」

 

 レオンはシアンと距離を取ってルナの緋色の瞳を覗き込んだ。

 

「ほ、本当……?」

 

「本当さ、ルナは妹だったかもしれないけど、今は僕の大切なお嫁さんだもん」

 

「よ、良かった……」

 

 ルナは、レオンの胸に顔をうずめ、くぐもった声で言った。

 

 その耳が、真っ赤に染まっている。

 

 その姿が、どうしようもなく愛おしかった。

 

 レオンは、そっとルナの頭を撫でる。

 

 柔らかな赤髪が、指の間をすり抜けていく。

 

 七年前、よく撫でていた、妹の頭。

 

 あの頃とは、髪の色も、感触も違う。

 

 けれど、その温もりは、確かに同じだった。

 

「……ありがとう、リナ」

 

 レオンは、静かに呟いた。

 

「生きていてくれて、ありがとう。また会えて、ありがとう」

 

 ルナの肩が、びくりと震えた。

 

 そして、また泣き始める。

 

 今度は、声を上げて。

 

 子供のように、わんわんと。

 

 レオンは、そんなルナをそっと抱きしめた。

 

 もう二度と、離さない。

 

 今度こそ、守り抜く。

 

 そう、心の中で誓いながら。

 

 

      ◇

 

 

「寿命四十年? 結構払ったわねぇ」

 

 シアンは、感心したように目を丸くする。

 

 そして、大地のえぐれたクレーターの続く風景を、感慨深そうに眺めた。

 

「それで、これをね?」

 

「人生を半分かけちゃいましたよ……」

 

 レオンは、苦笑した。

 

 八十年の寿命のうち、四十年。

 

 五人で分け合ったとはいえ、全員四十年もの命を差し出したのだ。

 

 けれど、後悔はなかった。

 

 この選択のおかげで、世界を救えたのだ。

 

 ところが――。

 

「ふーん。じゃあ、面白いことやってくれたら、元に戻してあげるよ。ふふっ」

 

 シアンは、ニヤリと笑った。

 

 碧い瞳が、悪戯っぽく輝いている。

 

「へっ!? お、面白いこと?」

 

「王都の人たち殺さないんでしょ? 何か別なこと叶えてあげるケド、それでなんか面白いことやってよ」

 

 その言葉に、レオンは息を呑んだ。

 

「へ? 何でも叶えてくれるんですか?」

 

「おぅ! 何だっていいよ。面白いことならね!」

 

 シアンは、胸を張った。

 

「なんたって僕は全知全能の熾天使(セラフ)だからね。山も割れるし、黄金の山だって築けるよ? 世界征服でも、不老不死でも、何でもござれ!」

 

「す、凄い……」

 

「ほわぁ……」

 

 少女たちが、圧倒されたように声を漏らした。

 

 全知全能。

 

 何でも叶えられる。

 

 それは、夢物語のような話だった。

 

 けれど、魔の山を吹き飛ばした光景を見れば、それが真実だと分かる。

 

 彼女には、本当に何でもできるのだ。

 

 レオンは、静かに目を閉じた。

 

 何を願うべきか。

 

 何を望むべきか――――。

 

 レオンは大きく深呼吸をした。

 

 胸の奥に、ずっと燃え続けている炎がある。

 

 幼い頃から、ずっと抱き続けてきた想いがある。

 

 追放され、裏切られ、すべてを失っても――消えることのなかった、一つの夢が。

 

「ぼ、僕は……」

 

 レオンは、ゆっくりと目を開けた。

 

 翠色の瞳に、確かな意志の光が宿る。

 

「みんなが幸せに暮らせる世界を、創りたいんです」

 

 その言葉は、静かだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。