潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
けれど、その言葉の奥には、燃えるような情熱が秘められていた。
王侯貴族に理不尽に支配され、多くの人が貧困にあえいでいる現実。
借金のかたに奴隷として売られ、悲惨な目に遭っている人々。
生まれた家柄だけで、人生のすべてが決まってしまう世界。
そんな社会を、レオンはどうしても受け入れることができなかった。
自分自身、奴隷に落とされかけたのだ。
首に刻印を押され、人間としての尊厳を奪われる寸前だった。
今、こうして自由に生きていられるのは、たまたま運が良かっただけに過ぎない。
そして運が悪かった人などごまんといるのだ。
運が悪いだけで地獄へ突き落とされる社会など、間違っている。
【運命鑑定】が初めて発動して見せてくれた未来の輝きには、そういう腐った社会すら浄化していく力を感じたのだ。
だから、落ちこぼれの彼女たちと出会った時、一緒にそこを目指そうと思った。
この世界を、変えたかったから。
誰もが笑顔で暮らせる世界を、創りたかったから。
「ふーん」
シアンは、興味深そうにレオンを見つめた。
その碧い瞳の奥で、何かが動いたように見えた。
退屈そうだった眼差しに、ほんの一瞬——微かな光が宿る。
「まぁ、それは
「みんなが平等で、貧困がない世界を……作りたいんですけど……」
レオンは、そこで言葉を詰まらせた。
理想はある。
胸の奥で、確かに燃え続けている炎がある。
けれど、それを実現する方法が分からない。
どうすれば、貧困をなくせるのか。
どうすれば、平等な社会を創れるのか。
そんな答えを、レオンは持っていなかった。
「……って、無理ですよね? そんな社会、作りようがない……」
自嘲気味に、そう呟いた。
人は皆、富を、権力を求める。
そうしなければ蹴落とされるのが人の世だ。
だから必死に利権構造を作り、それを脅かすものを徹底的に排除する。
権力者の首を
庶民は常に搾取され、虐げられ、踏みにじられる。
それが、人間という生き物の本質なのかもしれない。
肩が、落ちる。
視線が、地面に向かう。
握りしめた拳が、力なく開いていく。
ところが――――。
「ははっ! 無理じゃないわよ?」
シアンは、楽しげに笑った。
その碧い瞳が、悪戯っぽく輝いている。
まるで、面白い
そして、パチン、と指を鳴らした。
軽やかに。
まるで、電気のスイッチを入れるかのように。
その瞬間、世界が、歪んだ。
「へ?」「はぁっ!?」「こ、これは……!?」「な、何が……!?」「きゃっ!?」
視界が
色が溶け、形が崩れ、上下左右の感覚が消失する。
一瞬の浮遊感。
胃の底から何かがせり上がってくるような、激しい違和感。
世界そのものが、万華鏡のように回転している。
そして――――。
ブワっと、見たことのない景色に包まれた。
レオンは、呆然と周囲を見回す。そこは、見たこともない世界だった。
夕暮れの茜色に染まる空。
燃えるような赤から群青色へと壮大なグラデーションを描いている。
そして――眼下に広がる、想像を絶する光景。
ガラスと鋼鉄でできた、巨大な建造物の群れ。
天を衝くような超高層の塔が、無数に立ち並んでいる。
王城よりも高く、教会の尖塔よりも巨大な建物が、数えきれないほど。
その窓という窓から、煌びやかな光が溢れ出している。
まるで、地上に降りた星々のように。
まるで、夜空を逆さまにしたように。
一行は、その超高層ビルの一つの屋上に立っていた。
足元には、見たこともない素材でできた透明の床が広がっている。
吹き抜ける風が、髪を
高い。
とてつもなく、高い。
足がすくむような高さだった。
眼下に広がるのは、宝石を散りばめたような、壮大な夜景。
赤、青、緑、黄色——無数の光が、まるで生きているかのように瞬いている。
道という道を赤いテールランプとヘッドライトの光の川が流れ、建物という建物が宝石のように輝いている。
それは、まるで地上に創られた、もう一つの銀河だった。
「な、なんだ……これ……」
レオンは、声を震わせた。
言葉が、出てこない。
目の前の光景が、あまりにも現実離れしていて、脳が処理を拒否している。
これは夢か。
それとも、死後の世界か。
どちらとも判断がつかなかった。
「ほわぁぁぁ……」
ミーシャが、呆然と呟いた。
いつもの余裕ある微笑みはどこにもなく、ただ純粋な驚愕だけが、その空色の瞳に浮かんでいる。
金色の髪が、夜景の光を受けて、神秘的に輝いていた。