潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
「馬鹿だったわ。仕事のことしか考えてなくて、自分の身体のことなんて、全然気にしてなかった……」
その言葉には、深い後悔が滲んでいた。
「でも……」
エリナは、眼下に広がる夜景を見つめた。
その黒曜石の瞳に、無数の光が映り込んでいる。
懐かしさと、切なさと、そして――微かな誇りが、その眼差しに宿っていた。
「ここはいい国よ。貴族もいないし、奴隷もいない。とても平等な国だわ」
声が、少し震えていた。
「餓死する人なんていない……。生まれた家柄で人生が決まることもない。努力すれば、誰でも夢を叶えられる……そういう国よ」
エリナは、少し寂しそうな顔で微笑んだ。
それは、郷愁の笑み。
あの光の海の中で、かつての自分が生きていた。
笑い、泣き、怒り、喜び――そして、命を落とした。
その記憶が、今、鮮やかに蘇っている。
「そ、そうか。そんな国が……できるんだね」
レオンは、感慨深げに呟いた。
貴族も奴隷もいない世界。
誰もが平等に生きられる世界。
それは、レオンがずっと夢見てきた理想郷そのものだった。
幼い頃から、ずっと胸の奥で燃え続けてきた炎。
けれど、誰に語っても鼻で笑われた。
夢物語だと。
現実を見ろと。
お前のような落ちこぼれに、何ができるのかと。
いつしか、自分でも諦めかけていた。
実現不可能な
けれど――それは、確かに存在した。
目の前に、こうして広がっている。
「そう、できる。見渡す限り……四千万人の人が、そうやって幸せに暮らしているわ」
「よ、四千万人!?」
「ひぇっ……!」
「ほわぁ……」
レオンたちは、その数字に絶句した。
四千万人。
王国最大の都市、王都ですら四十万人なのだ。
それが、百個分。
王都が百個も並んでいるような、途方もない規模の都市。
それが、目の前に広がっている。
想像すら、追いつかない。
光の海の中で、四千万もの命が、今この瞬間も息づいている。
笑っている人がいる。
泣いている人がいる。
愛し合い、また、夢を追いかけている人がいる。
そのすべてが、この光の一つ一つなのだ。
それが、四千万。
レオンの翠色の瞳が、潤んだ。
胸の奥で、何かが熱く燃え上がる。
できる。
本当に、できるんだ。
誰もが幸せに暮らせる世界は夢物語なんかじゃない。
人の手で、創り上げることができる。
レオンはぎゅっと拳を握り、その奇跡の街をじっと見つめた。
瞳に映る無数の光が、まるで彼の決意を照らし出しているかのようだった。
◇
「で、レオン君? キミの願いは?」
シアンは、ニヤッと笑って言った。
その碧い瞳が、期待に輝いている。
まるで、面白い答えを待ちわびる子供のように。
「えっ? ね、願い事……」
「そうよ、そのためにわざわざ連れて来たんじゃない!」
シアンはジト目でレオンを睨んだ。
しかし、レオンは夢をどう願い事にしたらいいのか、皆目見当がつかなかった。
見劣りのする小さな街で
そのギャップの大きさに、完璧に
石造りの家々と、泥だらけの路地。
飢えに苦しむ民と、それを見下す貴族たち。
それが、レオンの知る世界のすべてだった。
いったい何をどう願ったらこの光の海に、天を衝く塔の群れにできるのだろう?
あまりにも違いすぎて、どこから手を付けたらいいかすら分からない。
しかし、何か答えねばならない。
何を――何を願えばいい?
「くぅぅぅ……。そ、それは……こんな国を……創りたい……」
レオンは、震える声で答えた。
それしか、思いつかなかった。
目の前にある理想郷。
それと同じものを、自分たちの世界にも――――。
しかし、シアンはあっさりと肩をすくめた。
「それじゃダメね」
その声には、一片の容赦もなかった。
「えっ?」
レオンは、目を見開いた。
ダメ?
なぜ?
「だってもう日本はあるのよ? これと同じものを作ることの何が面白いのよ?」
シアンは、退屈そうにため息を漏らした。
その碧い瞳には、失望の色が浮かんでいる。
「そ、そう……ですね……」
レオンは、言葉を失った。
なるほど、
これを超える世界を創れと言っているのだ。
既存の正解をなぞるだけでは、神の使いは喜ばない。
彼女が求めているのは、まだ誰も見たことのない、新しい答え。
しかし、そんなこと、どうやれば……?