潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
レオンはふと、自分の姿を見下ろして絶句した。
白いタキシード。
銀糸で刺繍された、豪華なジャケット。
胸元には、深紅の薔薇のコサージュ。
まるで、王族の結婚式に出席するかのような正装だった。
「結婚! おめでとーう!」
シアンが満面の笑みで両腕を大きく広げ、祝福する。
「あ、ありがとうございます」
レオンは、まだ状況に追いついていなかった。
さっきまで、焼け野原での国づくりの話をしていたはずなのに、気がつけば結婚式の衣装を着せられている。
「そしたら記念撮影と行きますか! ハーイ! こっち向いてー!」
シアンが、見慣れない薄い黒い板のようなものを構えた。
その背面に、光る窓のようなものがある。
どういう仕組みかは分からないが、この板でこの光景を描き取るらしい。想像を絶する神の技である。
「はい、笑ってー!」
しかし、みんな慣れない状況に表情が硬い。
エリナは照れくさそうに視線を泳がせ、ミーシャは微笑んではいるが、どこかぎこちない。
ルナは顔を真っ赤にして俯き、シエルは緊張で肩に力が入っている。
シアンは、不満そうに口を尖らせた。
「おーい、キミたち、結婚したんでしょ? 幸せなんでしょ?」
みんな顔を見合わせる。どういう顔をしたらいいのかピンとこないのだ。
「じゃあ聞くけど、キミたち子供何人作るの?」
シアンはニヤリと、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「へっ!?」
「そ、それは……」
視線が、一斉にレオンに集まった。
四人の花嫁の視線が、まっすぐに彼を貫いている。
期待と、恥じらいと、そして――ほんの少しの挑発が、その瞳に宿っていた。
レオンは顔を真っ赤にしながら、しどろもどろに答えた。
「そ、そんなこといきなり聞かれても……ねぇ」
「私は三人!」
シエルが、凛とした声で宣言した。
その碧眼が、真剣に輝いている。
「なら四人!」
ルナが、負けじと声を張り上げた。
「あらあら、なら私は十人……ね。ふふっ」
ミーシャが、いつもの微笑みを浮かべながら言った。
その言葉が、本気なのか冗談なのか、誰にも分からない。
「じゅっ、十人!? じゃ、じゃあ私は二十人なんだから!」
エリナは目をぎゅっとつぶると言い切った。
その声には、珍しく子供っぽい対抗心が滲む。
「きゃははは! いいじゃない、一族繫栄だわ!」
シアンの笑いにつられてみんな一斉に笑う。
緊張が、一気にほぐれていく。
夜空の下、五人の笑い声が響き渡る。
みんな幸せだった。
こんなにも、幸せだった。
絶望に突き落とされた中からつかみ取った幸せ――。
今、こうして、大切な人たちと一緒に笑い合っている。
それだけで、みんな胸がいっぱいだった。
「おぉ、いいねいいね! はいチーズ!」
パシャーーッ!
軽やかな音が響いた。
その瞬間、五人の幸せな笑顔が永遠に切り取られた。
「おぉいい笑顔だ。ほら」
シアンはiPhoneの画面をみんなに見せて微笑む。
「えっ! こんな風に……写るんですね……」
レオンは初めて見た『写真』を感慨深そうに見入った。
「ふふーん。後で額に入れてプレゼントするよ」
「へっ!? そ、それは嬉しいです!」
レオンは目を輝かせた。
「うわぁ!」
「楽しみ!」
少女たちの声が、嬉しそうに弾む。
思い出の瞬間に、美しく正装した集合写真。これは、きっと一生の宝物になるだろう。
どんなに辛いことがあっても、この瞬間を思い出せば、また前を向けるに違いない。
◇
「さて、お腹空いたわねぇ。何食べたい?」
シアンはニコニコしながら、みんなを見回した。
その問いかけに――。
「肉ーーッ!」
ルナは、勢いよく腕を突き上げた。
ウェディングドレス姿で、まるで戦士のような雄叫び。
そのギャップが、どうしようもなく可愛らしかった。
「私もー!」
シエルも嬉しそうに同意した。
お嬢様育ちのはずなのに、その目は完全に肉を欲していた。
「なら、和牛が……」
エリナはちょっと気が引けながら言った。
あの美味しい霜降り肉の記憶がよみがえったのだろう。
「きゃははは! みんな若いねぇ。じゃぁいつもの焼肉屋にするかな」
シアンは目を輝かせ、楽しそうに笑った。
「おっ! いいですねぇ!」
レヴィアも、珍しく嬉しそうな声を上げた。どうやら行きつけの店があるらしい。
「じゃ、レヴィア、僕らを乗せてひとッ飛びヨロシク!」
シアンはポンポンとレヴィアの肩を叩く。
「は? わ、我が運ぶん……ですか?」
レヴィアは渋い顔で口を尖らせた。