潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
兵士全員が揃うのを確認し、ガルバンが声を張り上げる。
「聞け諸君! 我が軍に【神】が味方した!!」
ざわめきが波のように広がる。みんなポカンと口を開け、何を言い出したのか? という雰囲気。
ガルバンがミーシャに目配せした。
ミーシャは内心でニヤリと笑う。
(うふふ、出番ですわね)
優雅に前に出ると、両手を天に掲げた。
「皆さま! 神は我々に勝利を約束してくださいました!」
瞬間――。
ぶわぁぁぁぁ!と、黄金の神聖力が、まるで太陽が降臨したかのように爆発的に解放される。
「おぉぉぉ!」
「ま、まさか……」
「す、凄い……聖女様だ!」
兵士たちの死んだ瞳に、光が宿り始める。
ミーシャは完璧な聖女の微笑みを浮かべながら、高々と宣言する。
「明朝、偉大なる神の炎によって、魔物たちは全て灰と化すでしょう!」
うぉぉぉぉぉ!
歓声が、希望の雄叫びが、中庭を震わせた。
ブラッドが前に出て、豪快に拳を天に突き上げる。
「おい! お前らラッキーだな! 神の御業をこの目で見られるなんて、一生に一度あるかないかだぜ!」
「そ、そうだ!」
「奇跡が見られる!」
「俺たちは選ばれたんだ!」
死を待っていた兵士たちが、まるで祭りの前夜のように騒ぎ始める。
ガルバンはミーシャの効果に驚きながらも安堵の息を漏らす。気持ちで負けてたら、どんな策も無意味なのだ。
「後ほど、神の力を最大限に活かす作戦を伝える! 各自、全力で遂行せよ!」
ガルバンはそう叫ぶと大きくこぶしを突き出す。
「イェッサー!」
「イェッサー!」
「イェッサー!」
三百の敬礼が、力強く揃った。
「我々は神とともにある!!」
「おぉぉぉぉ!」
地響きのような雄たけび。もう、死人の眼ではない。戦士の眼だ。
空は、不気味に赤く染まり始めていた。
魔物の群れが巻き上げる土煙が、夕日を血の色に変えている。
そんな死の砦に、小さな灯が宿った。
それは崖っぷちで灯った狂気という名の希望。
五人の若者が運んできた、最後の光――――。
エリナが剣の柄を握る。「いよいよ、本番ね」
ルナが震えながらも杖を抱く。「で、できるよね?」
シエルが深呼吸する。「大丈夫、レオンを信じよう」
ミーシャが眉をひそめながら本音を漏らす。「うふふ、面白い賭けですわね」
レオンはそんな四人を静かに見つめる。
【運命鑑定】が示す未来は、確かにある。
でも、それを掴むためには――。
(俺たち全員が、限界を超えなければならないだろう)
レオンはキュッと口を結んだ。
向こうの稜線が、完全に黒く染まる。
明日の朝、この砦は蹂躙されているか。
それとも、伝説となっているか――――。
賽は、投げられた。
もう、後戻りはできない。
◇
それは、三つの戦場で同時に奏でられる、壮大な逆転劇の序曲――――。
運命の糸が複雑に絡み合い、少女たちの覚醒が始まろうとしていた。
最初に動いたのはエリナ。
月光が森を銀色に染める中、黒髪の少女は砦の精鋭二十名と共に、死の行軍を始めた。
隊を率いるのはAランク剣士ブラッド。その筋骨隆々とした背中を追いながら、エリナは【運命鑑定】が示した未来を反芻する。
(火砕流は魔物の大半を飲み込む。でも、ボスは逃げる)
(奴がリッチたちを動員して死者を蘇らせれば、三万のアンデッドが――)
ぞっとする未来。それを阻止するため、退路を断つ。シンプルだが、困難極まりない作戦だった。
暗い森を静かに進む一行。足音一つ立てない行軍。
しかし――。
「グルルル……」
赤い眼が、闇の中で光る。
「敵だ!」
ブラッドの剣が、月光を反射して弧を描く。
シュッ!
最小限の動きで、ゴブリンの喉を切り裂く。斬撃音すら上がらない、完璧な太刀筋。
「すげぇ……」
誰かが息を呑む。
エリナは、その動きを瞳に焼き付けた。
(あの足運び、あの重心移動、あの呼吸――)
次の敵。コボルトの群れ。
「行きます!」
エリナは赤い剣をスラリと抜き、ブラッドの動きを真似ようとした。
頭では分かっている。足を這わせ、腰を落とし、最短距離で――。
だが。
「くっ!」
剣が重い。体が追いつかない。
まだレベルが低い身体は理想の動きを拒絶する。剣に振り回され、バランスを崩し――。
「危ない!」
コボルトの爪が、エリナの頬をかすめる瞬間。
ガキィン!
ブラッドの剣が、横から敵を両断した。
「……ったく」
冷たい視線が、エリナを射抜く。
「おい、お嬢ちゃん」
侮蔑と苛立ちが混じった声。
「リーダー様のお気に入りなのかも知らんが、足を引っ張るなよ」
その言葉が、胸に刺さる。