潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
直後、十キロメートルはあろうかという巨大な腕を振り回し、あっという間に音速を超えると、そのまま
パァァァァァン!
この国の象徴であり、生命線でもあった
刹那、全てのデジタルシステムが沈黙した。
空中に浮かんでいたスクリーンが消え、エアモンたちが光の粒子となって消滅し、アリスたちの動きが止まった。AR眼鏡は単なるガラスの塊と化し、この国を支えていたすべてのテクノロジーが、一瞬で機能を停止してしまう。
「あぁぁぁぁ!」
レオンは絶叫した。
十五年かけて築き上げたすべてが、たった一撃で崩壊していく。
そして、砕けた
巨大な破片の数々が、風に吹かれながら山脈の方へまるでスローモーションのように落下していく。
会場はパニック状態に陥った。
キャァァァ! 逃げろ! 助けて!
人々は我先にと逃げ惑い、悲鳴と怒号が入り乱れる。
「何するんですか?! 止めてください!!」
レオンは声の限りに叫んだ。
しかし、シアンは鼻で嗤うだけだった。
「やめて欲しかったら止めてみな。きゃははは!」
その笑い声には、先ほどまでの無邪気さはなかった。純粋な悪意と、圧倒的な力を持つ者だけが発することのできる傲慢さが滲んでいる。
続いて、シアンはその巨大な脚を振り上げた。
そして、アルカナタワーに蹴りを入れる――。
ズガァァァン!
すでに上層部を吹き飛ばされていたアルカナタワーだったが、その中腹部分が完全に砕け、千メートルの巨塔は真っ二つに折れて湖に落ちていった。
「がぁーーはっはっは!」
超ド級の重低音の笑い声が辺りに響き渡る。
キャァァァ!
絶望の悲鳴で会場が埋まる。
「あ、あぁぁぁ……」
レオンは頭を抱えた。
終わりだ。
すべてが、終わる。
十五年間の努力が、夢が、希望が、すべてが――。
◇
その時だった――――。
パウッ!
円形ステージの方から、不思議な電子音が響いた。
そして、まばゆい閃光がほとばしる――。
ゴフッ!
シアンが目を見開き、胸を押さえて固まった。
数十キロメートルもの巨体が、まるで時間を止められたかのように動きを止めている。
「……へ?」
レオンは、一体何が起こったのか理解できなかった。
あれほど圧倒的だったシアンが、何かに撃たれた? 誰が? どうやって?
「な、なんだコレ?」
シアンの声が、苦悶に歪んでいた。
胸を押さえた手の隙間から、青い光が漏れ出している。まるで、体の中で何かが爆発しているかのようだ。
「そ、そこかぁ?!」
シアンは怒りの咆哮を上げ、腕に青い眩しい輝きを纏わせた。そして、ステージに向かって一気に振り下ろす。
数十キロ上空から振り下ろされる、巨大な腕。
それは、山をも砕く一撃、大陸を揺るがす破壊の権化だった。
しかし――。
パゥパゥパゥッ!
再び電子音が響き、閃光が走った。
そして、シアンの腕は――爆散した。
うぎゃぁぁぁ!
シアンの絶叫が、天を震わせた。
腕があった場所から、青い光が噴き出している。まるで、血のように。
「止めたらいいのよね? ふふっ」
その声は、どこか聞き覚えがあった。
レオンは慌てて声のした方を見る。
すると、ステージの上に、一人の女性が立っていた。
チェストナットブラウンの髪を風に揺らし、白いワンピースを身にまとった、若い女性。
アルカナ大学三年生の、シンガーソングライター。
美奈だった。
彼女は嬉しそうに笑いながら、右手で銃の形を作っていた。人差し指を立て、親指を立て、まるで子供の遊びのような仕草で――。
しかし、その指先には、確かな力が宿っていた。
パゥパゥパゥッ!
美奈が指を動かすたびに、閃光が走った。
その光は、シアンの巨体を次々と撃ち抜いていく。肩が、腹が、脚が、爆発し、崩壊していく。
そして最後に――。
パゥン!
美奈の指が、シアンの頭を撃ち抜いた。
ごほぉぉ……
シアンの声にならない声が、かすかに聞こえた。
そして、その巨体は――まるで空気の抜けた風船のように萎み始めた。
数十キロメートルあった体が、急速に縮んでいく。縮みながら、ゆっくりと
「あ、あぁぁぁ……」
レオンはその予想だにしなかった展開に言葉を失い。ただ、落ちていくシアンの残骸を見ていた。
ボシャァァァン。
巨大な水柱が上がり、そしてシアンの姿は、湖の底へと消えていった。
今度こそ、完全に。
静まり返る会場――――。
一体何が起こったのか、誰にも理解できなかった。