潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
レオンは口をポカンと開けたまま、ステージの上で腰に手を当てて悦に入っている美奈を見つめる。
あれほど圧倒的だった
それは、もはや奇跡などという言葉では説明できない光景だった。
彼女は、いったい何者なのだ。
◇
「おい! 何しとる! 行くぞ!」
突然、レヴィアの声が響いた。
彼女は宙を飛びながら放送席へやってくると、レオンの腕を掴み、そのまま空へと引っ張り上げた。
「あわわわ! い、行くってどこへ?」
「女神様のところじゃ」
「め、女神様って……へ?」
レオンの思考が、再び停止した。
「まさかあの娘が?」
「まさかもクソもあるか。
レヴィアの声が、震えていた。いつも飄々としている彼女が、明らかに緊張している。
「へ? な、なんで? 女神様が?」
「知らんわい! あのご尊顔、間違いなくヴィーナ様じゃ。この宇宙の創造神、シアン様の上司――真の神じゃ」
レオンは混乱した。
女神。
この世界の最高神。
シアンですら従わざるを得ない、絶対的な存在。
そんな者が、なぜこんなところに? なぜ女子大生の姿で? なぜ収穫祭で歌など歌っていた?
疑問が次から次へと湧き上がってくるが、考える暇はなかった。レヴィアに引っ張られるまま、レオンはステージへと降ろされた。
美奈は――いや、ヴィーナは、チェストナットブラウンの髪を優雅に風に揺らしながら、厳かな雰囲気で微笑んでいた。
さっきまでの「♡3じゃないなんて許せない」と喚いていた女子大生の姿はどこにもない。そこにいるのは、圧倒的な威厳と美しさを兼ね備えた、神そのものだった。
レヴィアは美奈の前に降り立つと、うやうやしくひざまずいた。
「ヴィーナ様にご挨拶申し上げます」
その声には、普段の軽薄さは微塵もなかった。純粋な敬意と、畏怖が込められている。
レオンも慌ててレヴィアの真似をして、ひざまずいた。膝が震えている。呼吸が乱れている。この存在の前では、王という肩書きなど何の意味もなかった。
「あら、レヴィア。久しぶりよのぅ、息災か?」
ヴィーナの声は、穏やかだった。しかし、その穏やかさの奥に、底知れぬ深淵が見え隠れしている。
「はっ! 日々、お力になれるよう、邁進しております!」
「ふむ、大儀であった。さらに励めよ?」
「ははぁ、御心のままに……」
ヴィーナはにこやかにうなずいた。
「して、レオンとやら?」
ヴィーナの鋭い視線が、レオンに向けられる。
その瞬間、レオンは全身が金縛りにあったかのように動けなくなった。深淵な琥珀色の瞳に見つめられると、魂の奥底まで見透かされているような気がする。
「はっ!」
レオンは何とか声を絞り出した。
一体何がどうなっているのか、まったく理解できない。しかし、一つだけ確かなことがあった。
この女性は、シアンを指先一つで葬り去った。
この女性こそが、この宇宙の創造者――真の神なのだ。
「シアンはああ言ってたけど、私は割と気に入ってるのよ? この街……」
ヴィーナは、穏やかな微笑みを浮かべながら言った。
「ありがたきお言葉……。でも、全て壊れてしまいました……」
レオンは、悲痛な声で呟いた。
もう一度やり直すには、また十五年かかるかもしれない。いや、十五年で済むかどうかも分からない。あの頃の自分たちには若さがあった。情熱があった。今の自分に、同じことができるだろうか。
絶望が、レオンの胸を締め付けた。
「あら、そんなことないわよ? ほら……」
ヴィーナはそう言って、優雅に上空を見上げた。
その仕草につられて、レオンも空を見上げる。
「……え?」
そこには、見慣れた光景があった。
雲の向こうに、いつもの
「へっ!?」
レオンは目を疑った。
振り返ってアルカナタワーを見る。
そこには、白亜の巨塔が夕暮れ空に屹立していた。壊れる前よりもさらに白く、さらに美しく、千メートルの高さを誇って立っている。折れた跡など、どこにもない。
「こ、これは……」
言葉が出なかった。
あれほどの破壊が、なかったことになっている。馬鹿な――――。
まるで、時間を巻き戻したかのような事態にレオンは言葉を失った。