潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
「しばらくまだ住まわせてもらおうと思って……」
ヴィーナは、悪戯っぽく微笑んだ。
「だから直しておいたわ。ふふっ」
「ほわぁ……」
レオンは、間抜けな声を漏らすことしかできなかった。
世界を創った神の力。
壊れたものを直すことなど、造作もないのだろう。
これが、神か……。
レオンは、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます……本当に、ありがとうございます……」
声が震え、涙が溢れそうになっている。どう感謝を伝えればいいのか分からなかった。
◇
「あなたぁ!」「レオーン!」
王妃たちの声が響いてきた。
振り返ると、四人が戦闘服のまま駆け寄ってくる。
みんな疲労の色が濃く、その顔には困惑が浮かんでいた。
「おぉ、お疲れ様。もう大丈夫だ」
レオンは四人を迎え入れ、肩を叩き、手を取り、ねぎらう。とても頑張ってくれた自慢の妻たちに涙がにじむ。
「ふふっ、皆さんの戦いっぷり、なかなか良かったわよ」
ヴィーナはにこやかに微笑む。
「シアンを相手にあそこまで戦えるなんて、大したものだわ。人間にしておくのはもったいないくらいよ」
その言葉に、四人は初めてヴィーナの存在に気づいたようだった。
「あ、あれ……さっき歌っていた……」
エリナは、神々しいオーラを纏うようになった女子大生に、戸惑いを隠せない様子だった。さっき、歴代最高評価に「なんで満点じゃないの!?」と怒っていた人物と同じとは思えない。
「このお方はこの世界の頂点、最高神の女神様だ」
レオンは、厳粛な声で告げた。
「この街を救ってくれた恩人だよ」
「えっ!?」
ルナが素っ頓狂な声を上げた。
「えぇぇぇぇっ!」
シエルが目を丸くした。
「め、女神……様?」
ミーシャが、珍しく言葉を失った。
「ほわぁ……」
エリナは、完全に思考が停止したようだった。
四人は石像のように固まり、目の前の女子大生を凝視している。あの「美奈ちゃん」が、この世界の創造主。その事実を、脳が処理しきれないようだった。
「こ、神々しい歌声、素晴らしかったです!」
なんとかミーシャが言葉を紡いだ。
「♡2.93だったけどね」
ヴィーナは口を尖らせ肩をすくめた。
「も、申し訳ございません。うちの住民が……」
レオンは冷や汗をかきながら頭を下げた。
「いいのよ。満点入れなかった奴はハゲにしておいたから。ふふっ」
ヴィーナはニヤリと笑った。
さっきまでの威厳ある態度から一転して、親しみやすい笑顔を浮かべるその切り替えの早さに、レオンは目眩がしそうだった。
「ハ、ハゲ……ですか……」
「最高神にケチ付けるとかいい度胸してるわ。ふんっ!」
ヴィーナは思い出したように怒気をはらむと鼻を鳴らした。
「申し訳ないです。ああいう評価システムは良くないかもですね。来年は少し考えます。」
「まだしばらく大学には通うからね。来年もよろしくね? ふふっ」
「で、でも女神様ってバレてしまっているのでは?」
レオンは心配になって聞いた。あれだけの力を見せつけたのだ。観客たちは皆、美奈の正体に気づいたはずだ。
「ここ、会場からは見えないようにしてるから大丈夫よ」
ヴィーナは涼しい顔で答えた。
「私たちの姿は、外からは見えないし、声も聞こえないわ。観客の皆さんは、
「あ、そ、そうなんですね……」
神というのは、本当に何でもありなのだな、とレオンは改めて思い知らされた。
◇
その時だった。
「美奈ちゃん酷いよーー!」
湖の方から、青い光が飛んできた。
ずぶ濡れになったシアンだった。
髪からは水が滴り、シルバーのボディスーツは湖水で光っている。いつもの神々しさはどこへやら、まるで水に落ちた猫のような惨めな姿だった。
シアンはステージに降り立つと、ヴィーナに向かって頬を膨らませた。
「めっちゃ痛かったんだから!」
「あんたはいつもやりすぎなのよ」
ヴィーナは呆れたように肩をすくめた。
「お祭りを壊す、タワーを壊す、
「だって、こいつが言うこと聞かないんだもん!」
シアンはレオンをビシッと指さした。その碧眼には、まだ不満の色が残っている。
「人口が少ない、成長が遅い、他の国を征服しない。ぬるいぬるいぬるい! こんなペースじゃ、いつまで経っても面白くならないじゃん!」
「無理言わないの」
ヴィーナは、諭すような声で言った。
「彼なりに頑張ってくれてるんだから。人間には人間のペースがあるの。あなたみたいに、思い立ったら即実行、なんてできないのよ」
「でも……」
シアンは納得いかない様子で口を尖らせ、ジト目でレオンを睨んだ。