潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
レオンは、その視線を正面から受け止めた。怖いが、逃げるわけにはいかない。この
しかし、何と言えばいいのか分からなかった。「もっと頑張ります」と言っても、シアンの求める「頑張り」と自分の「頑張り」は違う。「他の国を征服します」とも言えない。それは、自分の信念に反する。
嫌な沈黙が続くかと思われたその時――。
◇
「きゃーーっ!」「キャハハハ!」「あたしが先ー!」「まってぇ!」
ドタドタと、小動物の群れのような小さな足音が響いてきた。
その音は、緊張感を一気に吹き飛ばすような、無邪気で愛らしいものだった。
金髪、銀髪、赤い髪、黒い髪。
四人の幼い少女たちが、一目散にこちらへ走ってくる。
レオンの娘たち――四人の姫君たちだった。
三歳になったばかりの彼女たちは、ママたちの言いつけを守らず、突っ込んでくる。子供の好奇心は止められないのだ。
一番乗りで到着した黒髪の
「ケンカはダメーっ!」
その声は、三歳児とは思えないほど真剣だった。エリナ譲りの黒曜石のような瞳が、まっすぐにシアンを見上げている。
銀髪の
「仲良くしてーっ!」
「いや、喧嘩じゃなくてね?」
シアンは渋い顔で説得を試みた。
しかし、相手は三歳児だ。「理想の世界づくり」についての意見の相違など理解させるのは難しい。
彼女たちにとっては、争っているという事実だけが大ごとなのだ。
赤毛の
「仲良くするのが一番いいんだよ?」
その純真な言葉に、シアンは言葉に詰まった。
世界を滅ぼす力を持つ
金髪の
「いい子にしてたらお菓子もらえるよ?」
「お、お菓子……ね」
「そうよ? お姉ちゃんはいい子?」
「……んん――それは……」
シアンは苦笑した。
いい子かどうかと問われれば、答えに窮する。さっきまで、この国を滅ぼそうとしていたのだから――。
宇宙最強の
そんな光景を見ながら、レオンは不思議な感慨を覚えていた。
神族ですら、子供の純真さには敵わないのかもしれない。
「ははっ! そうよ、仲良くしなさい」
ヴィーナは嬉しそうに笑う。その笑顔には、母親のような温かみがあった。
「子供たちの言うことは正しいわ。少なくともこの星では『喧嘩より仲良く』してちょうだい」
レオンは、この好機を逃すまいと、深々と頭を下げた。
「まだ至らぬところはあると思いますが、僕らなりに頑張っているので、温かい目で見守っていただけると……」
もう少しだけ時間が欲しい。もう少しだけ、この国を育てる機会が欲しい。そして何より、この子たちが大きくなるまでは、平和を前提に話を進めたい。
シアンは、しばらく黙っていた。
四人の幼児たちが、期待を込めた目で見上げている。
その純心な八つの瞳に、シアンは何を思っただろうか。
「……うーん、分かったわよ」
シアンはそう言うと、ニカッと笑った。
さっきまでの不機嫌さは消え、そこにはどこか照れくさそうな笑顔があった。負けを認めたわけではない。ただ、この子たちの願いを聞いてやりたくなった。それだけだ。
「仲良くするわよ? ふふっ」
そう言いながら、シアンは四人の幼児を一気に抱き上げた。
「やったぁ!」「なかよし!」「わーい!」「きゃははは!」
四人は大喜びで歓声を上げ、シアンの首に抱きついた。小さな手が、シアンの青い髪を掴み、柔らかな頬が、シアンの肩に押し付けられる。
シアンは幼児たちのぷにぷにのほっぺたに頬ずりをしながら、幸せそうに目を細めた。
「あんたたち、いい子ね……」
「ふふふ……」「くすぐったいぃ」
その光景は、まるで絵画のようだった。ステージのライトの中で、熾天使と子供たちが抱き合っている。破壊と創造を司る存在が、小さな命に心を溶かされている。
しかし、次の瞬間――。
「そうだ! あんたたち、僕の弟子になりなさい!」
シアンはニヤリと笑うと、とんでもない提案をしてきた。
「僕にシマエナガをけしかけてきたり、なかなかない芯の強さがある。適正あって面白そう!」
「んん?」「でし?」
幼児たちには弟子という言葉の意味が分からない。小首を傾げて、不思議そうにシアンを見上げている。