潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
『空が裂けた 青い閃光~♪』
『神の怒りが 世界を震わせる~♪』
その歌はたった今起きた出来事をそのまま歌詞にした即興の新曲だった。シアンの降臨、
「みーなーちゃーーん!」
ヴィーナは掛け声の方ににこやかに手を振り、さらに歌声に情感を込めていった。
『小さな翼が 飛び立った~♪』
『凍えそうな シマエナガ~♪』
あの瞬間を観客たちは思い出していた。最初に立ち向かった幼女が、泣きながらそれでも「いじめちゃダメ!」と叫んで自分のエアモンを放った、あれがすべての始まりだった。
虹色の花びらが会場全体に降り注ぎ始めた。それは驚くべきことにARではなく実体を持っており、手を伸ばすとひんやりと冷たく、触れると雪のように消えてしまう。神の奇跡が目に見える形で降り注いでいるのだ。
花吹雪の舞う中、ヴィーナの歌声はボルテージを上げていく。
『We Are Arcana 立ち上がれ~♪』
『ゼロだった僕らの掌が 神すらも 貫く刃になる~♪』
その歌詞に観客たちは涙した。そうだ、自分たちは立ち上がったのだ。ゼロだった、武器など何も持っていなかった、しかし想いを一つにした時、神族すらも倒す力になった。それは奇跡ではない、自分たちの意志だ。
◇
その頃、レオンたちは修繕されたアルカナタワーの自宅へと戻っていた。
「ほわぁ……。本当に全部元通りだ……」
レオンはヒビ一つ入っていないコーヒーカップを持ち上げながら、首をかしげる。
さっきシアンに蹴り飛ばされて吹き飛んだはずの場所が、今は何事もなかったかのように傷一つない完璧な姿になっている。神の力とはかくも理不尽なものなのかと、改めて思い知らされた。
四人のレオンはそれぞれの妻と子供を連れてテラスに出ると、女神のリサイタルを見下ろす――。
夜風が心地よく、戦いの熱気が冷めて穏やかな夜の空気が肌を撫でていく。眼下には湖を囲むように広がる街並みが花火の光を受けてきらめき、タワーマンション群の窓には明かりが灯っていた。
「みんなありがと~う!」
うぉぉぉぉ!
ヴィーナの声がのびやかに響き、観客たちの歓声が夜空に呼応する。
「では、最後の曲いくよ! 『響けArcana』!」
うわぁぁぁ!
みんな惜しむように声援を送った。この夜が終わってほしくない、この幸せがずっと続いてほしいという想いが、その響きに込められていた。
◇
『崩れ落ちた朝
その歌声は昼間のコンテストの時とは違い、少し編曲されてテンポを落とし、シックで落ち着いた雰囲気になっている。しかしその分、歌詞の一つ一つがより深く心に染み込んでくる。
『たった一人 膝を抱え震えていた♪』
レオンは目を閉じた。昔の自分が瞼の裏に浮かんでくる。
カインに捨てられ、絶望に突き落とされたあの朝、全てが始まったのだ。
みんなが信じてくれたから、共に泣いて、共に笑って、共に立ち上がってくれる仲間がいたから今があるのだ。
『響け Arcana この空の果てまでー♪』
『「ゼロ」だった僕らの
その歌詞がレオンの心を揺さぶり、涙が勝手に溢れてくる。
『誰もが「不可能」だと
『それでも君は 諦めなかったね♪』
まるで自分のための曲だ。十五年間の苦闘をすべて見ていてくれたかのように暖かく心に響く。
「なんか、凄く心にしみる歌詞だね……」
四人のレオンは同じ言葉を呟き、声が重なってまるで一人の人間が言っているようだった。四人いても心は一つなのだ。そして妻たちもゆっくりとうなずいた。
エリナはレオンの手を握りしめた。あの日、復讐に燃えていた自分に「一緒に世界を救おう」と手を差し伸べてくれた人、その手は温かくて強くて、決して離さないと言ってくれた。
ルナはレオンの肩に頭を預けた。暴れ馬のような自分を決して見捨てず、どんなに我儘を言ってもどんなに暴れてもいつも笑って受け止めてくれた人。
シエルはレオンの腕に手を回した。家出した自分を「絶対守る」と約束してくれた人、あの言葉がどれだけ心強かったか。
ミーシャはレオンの背中に寄り添った。腹黒い部分もそのまま受け入れて「それも含めて君だ」と言ってくれた時、どれだけ救われたか。
四組の夫婦が四つのテラスで同じ空の下、女神のねぎらいの曲を聴き、その腕の中には眠りかけた子供たちがいる。言葉にできないほど幸せだった。
『めくれ Arcana 星の海へ漕ぎ出せ♪』
『ルール飛び越え 世界を描け♪』
いよいよ曲も終盤に差し掛かり、すっかり日も暮れた宵闇の中で美しい花吹雪がヴィーナを彩っている。彼女の周りだけがまるで別世界のように輝き、神の光が女神を包み込んでいた。
『僕たちが選び取った 最高の
『さあ、行こう 新しい夜明けへ♪』
『
最後ののびやかな歌声が会場いっぱいに響き渡り、その声は湖を越え森を越え山を越え、大陸中に届いているような気がした。