潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します   作:月城 友麻

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20. 封印解除

「ルナ?」

 

 レオンが、優しく声をかける。

 

「君なら、できる」

 

「で、でも! 私、前に……」

 

「知ってる」

 

 レオンは静かに頷く。そして、ルナの肩にそっと手を置いた。

 

「君が苦しんでいることも、怖がっていることも、全部知ってる。でも、今の君は、あの時の君じゃない」

 

「違わないわよぉ! あれから練習したこともないのよ? 私は……私は変わってない!」

 

 ルナが叫ぶ。涙が頬を伝う。

 

「魔力が強すぎて、制御できなくて……。また、全てを台無しにしてしまうわ!」

 

 自己否定の言葉が、(せき)を切ったようにあふれ出す。

 

 その時、ミーシャが一歩前に出た。

 

「ルナさん、その力を持って生まれたことには、きっと意味があるはずですわ」

 

「え……?」

 

 いつもの微笑みを浮かべながら、ミーシャは続ける。

 

「神様は、必要のないものはお創りになりません」

 

 ミーシャの言葉に、嘘はなかった。普段は腹黒い彼女も、この時ばかりは本心から語っている。

 

「でも、私は……」

 

「失敗を恐れるのは当然ですわ。でも、その恐怖に負けて力を使わずにいることこそが、本当の失敗ですわ……よ?」

 

「使わないことは……失敗……?」

 

 その時だった――――。

 

 ポゥ……。

 

 三人の身体が虹色の輝きに包まれた。

 

「えっ!?」「こ、これって……」

 

「シエルだ」

 

 レオンがニコッと笑った。

 

「きっとシエルが頑張っているんだよ」

 

 同じミッションに就いているアルカナのパーティには、いくばくかの加護の分配があるのだ。

 

「シエル……すごい……」「やりましたわね……」

 

 ルナは湧き上がってくる魔力、一段と研ぎ澄まされる魔法センスに信じられないというような顔をした。

 

「ルナ……。シエルだって【運命鑑定】通り活躍出来ているんだ。君にだってできるんだよ? 大丈夫……心配しないで」

 

「本当……?」

 

 ルナは涙目でレオンを見上げる。

 

「本当さ、僕を信じて……」

 

 そう言いながら、レオンはそっとルナをハグした。

 

「!? な、なに……!」

 

 ルナの顔が真っ赤に染まる。だが、次の瞬間、不思議な感覚に包まれた。

 

 暖かい。

 安心する。

 そして何より――魔力が、穏やかに流れ始めている。

 

「レオン……」

 

 涙が、止まらない。でも、今度は恐怖の涙じゃない。

 

 信じてくれる人がいる。

 支えてくれる人がいる。

 自分を、必要としてくれる人がいる。

 

「……うん。やる。私、やってみる!」

 

 ルナが決意を固めた瞬間、彼女の全身から紅蓮の魔力が立ち上った。

 

「ありがとう……」

 

 レオンはにっこりとほほ笑んだ。

 

「やってみる。みんなのために……やってみる!」

 

 ルナはグッと気合を込めると噴気孔の方へと杖をブンと振った――――。

 

 杖の先端に埋め込まれた紅玉(ルビー)が、彼女の決意に応えるように真紅の輝きを放ち始める。

 

「我が内なる力よ、今こそ目覚めよ――封印解除(ラグナ・リベレイト)!」

 

 瞬間、小さな体から信じられないほどの魔力が噴出する。

 

 空気が歪む。

 岩が溶ける。

 大地が震える。

 

 周囲の温度が、一気に上昇する。

 

「こ、これは……」

 

 ミーシャが息を呑む。これほどの魔力を、こんな小さな少女が秘めていたとは。

 

紅蓮の龍(ぐれんのりゅう)よ――」

 

 魔力が渦を巻き、炎の粒子が激しく踊り始める。まるで、太陽の欠片が地上に降りてきたかのような、圧倒的な熱量。

 

咆哮(ほうこう)せよ!」

 

 グォォォォォォ!

 

 深紅の炎が湧き出して、巨大な竜の形を成して天に昇る。

 

 全長三十メートルを超える炎の龍が、薄明の空を真昼のように照らし出した。その威容は、まるで神話の時代から蘇った古代龍のよう。

 

「す、凄い……これが、ルナの本当の力……」

 

 ミーシャが畏怖の念を込めて呟く。

 

 だが――。

 

「あ、あれ? ちょ、ちょっと待って……」

 

 炎龍が制御を離れ、狂ったように暴れ始める。灼熱の尾が岩壁を溶かし、炎の息が大気を焼き尽くしていく――――。

 

「こ、このぉ! 言うこと……聞きなさいって……」

 

 ルナが必死に杖を振るうが――――。

 

「ダ、ダメ! 言うことを聞かない!」

 

 炎龍はもはや彼女の制御下になく、その暴走は激しさを増していく。

 

「やっぱり無理だったのよぉぉぉ!」

 

 絶望の叫びが、火山に響き渡る。

 

 炎龍が、ゆっくりと首をもたげる。その瞳が、三人を見下ろす。まるで、創造主である少女すらも焼き尽くそうとするかのように。

 

「みんな、逃げて! 私から離れて!」

 

 ルナが涙声で叫ぶ。

 

 しかし、レオンは一歩も動かなかった。

 

 むしろ、ルナに向かって歩み寄る。

 

「レオン!? 何してるの! 死んじゃう!」

 

「大丈夫だ」

 

 レオンは微笑む。その表情に、恐怖はない。

 

「君を、信じてるから」

 

 その時――。

 

 レオンがすっとルナの背後に回り込み、優しく後ろから抱きしめた。

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