潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します   作:月城 友麻

21 / 185
21. 剥き出しの本性

「大丈夫……落ち着いて……君なら、できる」

 

 ジュゥゥゥ!

 

 ルナの全身から溢れ出す炎の魔力が、容赦なくレオンの肌を焼く。服が焦げ、皮膚が赤く腫れ上がっていく。焼けた肉の匂いが、硫黄の臭気と混じり合う。

 

「えっ!? ダメっ! 離れて!」

 

 ルナがパニックに陥る。振り返ろうとするが、レオンの腕がしっかりと彼女を支えている。

 

「レオンが焼けちゃう! 死んじゃう!」

 

「大丈夫だ」

 

 レオンは激痛に顔を歪めながらも、決して手を離さない。額から汗が滝のように流れ、それすらも蒸発していく。

 

「ルナ、君は炎龍を操れる。焦らず、ゆっくりと……心を鎮めて」

 

「やってるけど、言うこと聞かないのよぉ!」

 

 涙と汗で顔がぐしゃぐしゃになりながら、ルナは必死に杖を振るう。

 

「深呼吸してごらん……本当の自分を取り戻そう……」

 

 ジュゥゥゥ……。

 

 肉の焼ける音が、より一層激しくなる。レオンの腕は、もはや真っ赤に腫れ上がっている。それでも、彼は微笑みを崩さない。

 

「できると信じてごらん? 本当のキミには簡単なことなんだから……」

 

「本当の……私……? くっ!」

 

 ルナは涙を拭い、大きく息を吸い込む。レオンの吐息が、痛みと共に確かな信頼を伝えてくる。

 

 何度か大きく深呼吸を繰り返すと上空で暴れる炎龍を睨みつけた。

 

 緋色の瞳が、竜殺し(りゅうごろし)の魔力を宿して妖しく輝く。その瞬間、少女の中に眠っていた真の力が目覚める。

 

炎龍(えんりゅう)よ!」

 

 小さな体から、神をも畏怖させる威圧感が放たれる。大地が震え、空気がきしむ。

 

「戯れはこれまで! 我が命に従え!」

 

 そして、凄まじい殺気を込めて叫んだ。

 

「従わなければ……ぶっ殺す!」

 

 その瞬間、ルナの殺意が紫電となって炎龍を貫いた。龍を殺すために生まれた魔力が、その本性を露わにする。

 

 ギョワァァァ!

 

 炎龍が怯えたような咆哮を上げる。まるで天敵に出会った獣のように、身を縮こまらせる。そして、主人に従う忠犬のように、素直に噴気孔へと突っ込んでいった。

 

「ヨシッ!」

 

 ルナが小さくガッツポーズ。

 

「ルナ! やったぁ!」

 

 レオンも焼けただれた腕を震わせながら上げて喜ぶ。

 

 それを見たミーシャは、一瞬の躊躇もなく前に踊り出た。全身から黄金色の聖なる光が溢れ出し、まるで女神が降臨したかのような神々しさ。

 

聖なる封印(ホーリーシールド)!」

 

 両手を天に掲げ、全魔力を解放する。黄金の光が巨大な盾となって、炎龍が突っ込んでいった噴気孔を完全に塞いだ。

 

 噴気孔の奥深くで炎龍が大爆発する轟音が響き、凄まじい衝撃が聖なる盾を揺るがす。

 

 山全体が、巨人が目覚めるかのように震動し始める。火山が、三百年の眠りから目覚め始めていた。

 

「ぐっ……!」

 

 ミーシャの顔が苦痛に歪む。あまりの衝撃に聖なる封印(ホーリーシールド)が割れそうになっているのだ。しかし、彼女は決して引かない。

 

「いいぞ、ミーシャ!」

 

 レオンは焼けただれた肌を痛そうにしながらも、励ましの声を上げる。

 

 ミーシャは歯を食いしばり、シールドが破れないよう、必死に魔力を注ぎ続ける。額から汗が流れ、聖女の仮面の下から、彼女の真の表情が覗く。

 

「こんなところで……負けるもんですか!」

 

 炎龍のエネルギーと噴気のエネルギーは出口を失い、噴気孔内で激しく渦巻き、亀裂を次々と広げていく。そこに流れ込む地下水が一気に蒸発し、水蒸気となってさらに圧力を上げていく。亀裂が徐々に広がり、マグマ溜まりへの道が開かれていく。

 

 ゴゴゴゴゴ……。

 

 地震が徐々に大きくなっていく。小石が跳ね、岩壁に亀裂が走る。

 

「もう少し……もう少しよ!」

 

 額から汗を垂らしながらミーシャが叫ぶ。聖なる光が、限界まで輝きを増す。

 

「いいぞ!」「いけいけぇ!」

 

 だが、次の瞬間だった――――。

 

 パァン!と、聖なる障壁が、まるで薄氷のように粉々に砕け散る。虹色の破片が、薄明の光を受けてキラキラと舞い落ちた。まるで、希望が崩れ去るように。

 

「え?」「あ……」「あぁぁぁぁ!」

 

 三人の顔が、希望から絶望へと塗り替えられる。

 

 限界近かったミーシャの魔力が一瞬途切れてしまったのだ。

 

 押さえつけていた圧力が全部抜け、盛大な水蒸気のキノコ雲が上空へと飛び去って行く――――。

 

 地震が徐々に収まり、火山の鼓動が急速に弱まっていった。

 

「し、失敗……?」

 

 ルナの顔が死人のように青白くなる。全身から力が抜け、杖を取り落としそうになる。

 

「あぁぁぁ! 何よこれ!」

 

 ミーシャの震える声が、悲鳴へと変わる。

 

「どうなってんのよ! 十万人が……みんなが死んじゃうじゃない!」

 

 ミーシャの空色の瞳が、怒りで燃え上がった。

 

 聖女の仮面が完全に剥がれ落ち、本性が剥き出しになる。普段は「あらあら、うふふ」と微笑む顔が、鬼のような形相に変わる。

 

「お前! あたしでもできるんじゃなかったんかよ!?」

 

 ドスの効いた低い声。まるで別人のような凄みのある表情でレオンを睨みつける。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。