潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します   作:月城 友麻

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26. 想定外の上限突破

「クッ!」

 

 もう棍棒では間に合わない。オーガジェネラルは慌てて巨大な足をブン!と振り、蹴りを放つ。

 

 だが――。

 

 三万体分の経験値で潜在能力を開花させたエリナはゾーンに入っていた。

 

(見える……)

 

 オーガジェネラルの動きが、まるでスローモーションのように見える。筋肉の収縮、重心の移動、蹴りの軌道。全てが、完全にイメージできていた。

 

 地を這う蛇のようにスライディングで蹴りをかわしたエリナは、そのまま巨体の股をくぐり抜けながら、一気に太腿を斬り裂いた――。

 

 ズバッ!と、赤い剣が、鋼鉄の筋肉を紙のように切り裂く。緑の血飛沫が、朝日を受けて宝石のように輝いた。

 

「グハァ!」

 

 オーガジェネラルが苦痛の咆哮を上げ、思わず膝をつく。巨体が、地響きと共に傾く――。

 

 だが、エリナはそこで止まらなかった。

 

 倒れかけた巨体を一気に駆け上がる。黒髪が、朝日を受けて流れる。

 

 オーガジェネラルはエリナを振り払おうとしたが、その動きすら読んでいたエリナはかわしながら首筋に剣を突き立てる――。

 

 グェッ!

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 全力で剣を引くエリナ。

 

 ザシュッ!

 

 刹那、首は一刀両断された。

 

 巨大な頭部が、ズン!と墜ち、地面を転がる――――。

 

 邪悪な瞳から――光が消えていった。

 

 ポゥ!

 

 エリナの全身が虹色の光に包まれる。

 

 ボスを撃破した功績が、神々の祝福となって降り注ぐ。

 

 その姿を見つめる兵士たちは、言葉を失っていた。

 

「あの娘が……倒した……」

「Sランクの魔物を……」

「まさか、伝説の……剣聖?」

 

 ブラッドが、複雑な表情でエリナを見つめる。嫉妬、畏敬、そして諦観が入り混じった眼差し――。

 

「エリナ……」

 

 ブラッドが歩み寄り、その肩に手を置く。

 

「見違えた……悪くない。もう、俺が教えることなど何も無いな。はっはっは!」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 エリナは目を潤ませながら頭を下げた。

 

 朝日が噴煙の間から顔を出す――――。

 

 黄金の光が、戦場を照らした。

 

 隘路に散らばる魔物の死骸。

 

 見ればオーガジェネラルの死に混乱した魔物たちが隘路で群衆雪崩を起こし、自滅している。

 

 こうして、対魔物戦は『アルカナ』の奇跡的な活躍により、完全勝利を収めたのだった。

 

 だが、これは始まりに過ぎない。

 

 『アルカナ』の名は、この日を境に、畏怖と共に大陸中に轟くことになる。

 

 英雄か、災厄か。

 

 その答えを知る者は、まだいない。

 

 

       ◇

 

 

 井戸みたいになった避難所で火山弾から避難している三人(レオンたち)――――。

 

 噴火も落ち着いてきた頃だった。

 

 ポゥ……。

 

 突如、三人の身体が虹色の輝きに包まれる。それはまるで天界から降り注ぐ祝福の光に見えた。

 

「えっ?」

 

「こ、これは……?」

 

 驚きに目を見開く少女たちの横で、レオンの視界にいきなり文字が浮かんだ――――。

 

 

【ストーンウォール死守】

【ミッション・コンプリート】

【オメデトウ!】

 

 

「おぉ! やったぁ! エリナもボスに勝ったみたいだ!」

 

 レオンの顔がぱっと明るくなる。仲間が無事に困難に打ち勝ち、十万の命が救われた。その事実が、何よりも彼の胸を熱くした。

 

「凄い……」「見事ですわ……」

 

 ルナとミーシャも心から喜びの声を漏らすが――その声音には、どこか甘い響きが混じっていた。

 

「じゃあ、そろそろ帰ろう」

 

 レオンは何気なく立ち上がろうとした。

 

 実のところ、この窮屈な避難所から一刻も早く逃げ出したかったのだ。美少女二人と身を寄せ合い続けるという、夢のような、しかし同時に拷問のような時間は、さすがに限界に達していた。

 

「えぇ……?」

 

「ダメ! まだ危ないですわ!」

 

 少女たちはぎゅっとレオンの腕を掴んで渋った。

 

 ピロン! 

 

 その時、脳裏に驚くべきメッセージが浮かんだ。

 

【システムメッセージ】

【好感度上昇】

 ミーシャ:20→120【ラブ】※要注意

 ルナ:15→115【ラブ】※要注意

 エリナ:25→85【強い関心】

 シエル:30→90【好意】

 

(……は?)

 

 レオンは固まった。

 

 好感度120や115とは一体どういうことだろうか? 

 

 一般にこの手の属性ステータスは100が上限のはずだ。つまりこれは、上限を突破して自分に好意を寄せているということ――――。

 

 それは、つまり――――まずくないだろうか?

 

 気づけばミーシャはその豊満な双丘(そうきゅう)をぎゅっと押し付けてきているし、ルナに至っては自分の胸に顔をうずめたまま、荒い息をしている。

 

 華やかな女の子の匂いで穴の中は満たされ、フェロモンに誘われるように頭がくらくらしてくる。甘い香り、柔らかい感触、そして静かに響く少女たちの吐息――――。

 

「ほ、ほら、みんな待ってるからね?」

 

 レオンは慌てて身をよじり、何とか逃げ出そうとする。このままでは、自分の理性がどうにかなってしまいそうだった。

 

 

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