潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します   作:月城 友麻

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45. 多感な生理現象

 レオンは涙を拭いながら、焦げた肉を――そして、ガタガタに切られた野菜を、一つ残らず食べた。

 

 こんなに心にしみる料理は、今まで食べたことがない。

 

 温かさが、胸に満ちていく――――。

 

 温かい――。

 

 カインと違って『役立たずは追放』なんて、少しも考えない純真な優しい少女たち。

 

 未来を視る力を失っても――この絆があれば、きっと道は開けるはずだ。自分にだってできることがきっとある。

 

 レオンは、少女たちの顔を一人一人見つめた。

 

 そして、ようやく――小さく、笑った。

 

「ありがとう……みんな」

 

 その笑顔は、まだ少し弱々しかったけれど。

 

 それでも確かに、希望の光が――そこには宿っていた。

 

 

        ◇

 

 

 夕暮れの陽光が、屋敷の窓辺を琥珀色に染めていた。

 

 レオンは独り、浴室の扉を開ける。白い湯気が立ち上る湯船を見つめながら、そっと息を吐いた。

 

 胸に手を当てる。そこには、もう何も宿っていない。エリナを庇って、セリナの呪いを受けた時――あの禍々しい光が全てを奪っていった。

 

(さて、僕は何を頑張ればいいんだろう……)

 

 仲間たちは「私たちがいる」「レオンは一人じゃない」と笑ってくれた。けれど、お荷物になるわけにはいかない。何かで貢献しなくては――。

 

 自分は戦えない。血を見れば体が動かなくなる。自分にできることなんて何があるのだろう?

 

 ゆっくりと衣服を脱ぎ、湯船に身を沈める。

 

「ふはぁ……。いい湯だなぁ……」

 

 温かいお湯が、疲れ果てた心と体を優しく包み込んでくれる。少しだけ、ほんの少しだけ、心が軽くなった気がした。浴室に立ち込める湯気が、レオンの不安を隠してくれるようで――。

 

 その時だった。

 

 バーン!と扉が勢いよく開け放たれた。

 

「おじゃましまーす! ふふーん!」

 

「お背中流しに参りましたぁ!」

 

「ふふっ。いいでしょ?」

 

 少女たちの弾むような声が浴室に響き渡る。

 

「な、な、な――!?」

 

 レオンが慌てて振り返ると、体にバスタオル一枚を巻いただけの四人の美少女たちが次々と入ってくるではないか。

 

 バスタオルの下から覗く、しなやかな脚線。そして、透き通るような美しく張りのある胸元――。

 

 ドクン、と。レオンの心臓が激しく跳ねた。

 

「な、な、何で入ってくるんだよ!? 今、僕が入ってるんじゃないかぁ!?」

 

 顔を真っ赤にして叫ぶレオンに、ミーシャが優雅な微笑みを浮かべる。その笑顔は聖女そのものだが、碧眼の奥にはいつもの悪戯っぽい光が宿っていた。

 

「あらあら、いいじゃありませんの。気分がすぐれない時には、スキンシップが一番の良薬ですわ?」

 

 そう言うと、ミーシャは当たり前のように浴槽に足を踏み入れ――。

 

 ぼちゃんとレオンの隣に、何の躊躇もなく湯船へと身を沈めた。

 

「おわっ!」

 

 お湯が大きく波打ち、その反動でレオンの体がミーシャの方へと寄せられる。それに合わせてミーシャもわざと寄りかかってくる。ミーシャの柔らかな肌が二の腕に触れ全身がドクンと反応した。

 

「お、おい! エリナ! こういうのはキミが止めないと……!」

 

 レオンは必死に助けを求めた。一応監視役なのだから止めてくれないと困る。

 

 しかし――。

 

「だ、だって……レオン、元気なかったんだもん……」

 

 エリナは口を尖らせ、頬を真っ赤に染めながらそっぽを向いている。いつもの凛とした雰囲気とは違う、妙に初々しい反応だった。

 

「ちょ、ちょっとぉ……」

 

「いや……なの?」

 

 シエルが小首をかしげながら、レオンの顔を覗き込んでくる。その碧眼が不安そうに揺れていた。男装を解いた彼女は、驚くほど可憐で――思わず守ってあげたくなるような儚さを漂わせている。

 

「あ、いや、心配してくれるのはありがたいんだけど、ちょっと、刺激が強すぎる……よね?」

 

 レオンは必死に理性を保とうとする。視線をどこに向ければいいのか分からない。

 

「別に嫌ならいつだって逃げられるし? ほら」

 

 ルナは無邪気な表情で、ドアを指差しながら言う。

 

 しかし、レオンの身体にはすでに生理現象が起こっており、とてもじゃないが立ち上がって外に出られるような――いや、絶対に立ち上がってはいけない状態になっていた。

 

(まずい……まずいぞこれは……!)

 

「に、逃げは……しないよ……」

 

 レオンは前かがみになって、顔を真っ赤に染める。膝を抱えて、できるだけ体を小さく丸めた。

 

「さて、背中流して差し上げますわ。ほら、上がって?」

 

 ミーシャが悪戯っぽい笑みを浮かべながら、レオンの腕を引っ張る。その柔らかな手の感触に、レオンの心臓はさらに早鐘を打った。

 

「やっ、やめて!」

 

 レオンは慌てて腕を振り切る。

 

「まだ入ったばかりなの! 放っておいて! 頼むから!」

 

 そう叫ぶと、レオンは必死に向こうを向いた。

 

(静まれ、静まれ、静まれ……! えーと、何か悩んでたよな? そ、そうだよ! スキルのこと! そうだ、失ったスキルのことを……)

 

 しかし、スキルを失った絶望を思い出そうとしても、目の前の刺激的すぎる状況がそれを上回ってしまう。

 

(なんでだよぉ……)

 

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