潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
一行はエリナを先頭に警戒隊形を維持し、薄暗い森の中を慎重に進んでいく。
木々の間から不気味な呻き声が聞こえ、湿った土の匂いに微かな腐臭が混じっていた。
足元には、濡れた落ち葉が積もっている。
一歩踏み出すたびに、ぐちゃり、という不快な音が響く。
(……気持ち悪い)
ルナが、顔をしかめた。
けれど――それを口には出さない。
音で位置がバレれば、奇襲の意味がなくなる。
散発的に襲いかかってくるゴブリンの斥候は、攻撃を仕掛けてくる前に――。
ヒュンッ!
とシエルの放つ矢の音だけを残して、沈黙していった。
薄暗がりの中、わずかな気配だけで敵の位置を察知し、確実に仕留める。
その技術は、既に神業の域に達していた。
シエルはその手ごたえにキュッと口を結び、うなずく。
信じてくれた人がいたから。
その信頼に応えたいと思えたから――ここまで来られた。
弓を構える手が、震えない。
恐怖も、迷いもない。
ただ――仲間を守るという、確かな意志だけがあった。
この境地にたどり着けたのはレオンが居てくれたからこそ――――。
シエルはそっと胸に手を当てた。
◇
やがて一行がたどり着いたのは、崖にぽっかりと口を開けた、ゴブリンたちの巣穴だった。
入り口を見張る数体のゴブリンを素早く処理すると、エリナが中をうかがう。
洞窟の奥から、無数の気配が感じられた――。
そっとのぞきこむと松明の明かりが、ちらちらと見える。
そして――何かを
「どうする? 中に突入するか?」
エリナの問いに――。
「いえ、その必要はありませんわ」
ミーシャの言葉に、ルナへと視線が集まる――――。
「ふふーん!」
悪戯っぽく笑ったルナが、一歩前に出る。
その小さな背中が――今は、とても頼もしく見えた。
「こういうのは、派手にやるに限るのよね!」
その言葉に――全員が、笑った。
魔物の巣は、中に入るよりも外から一気に殲滅する方が効率的だ。
ルナは、杖を天に掲げた。
その瞬間、杖に埋め込まれたルビーに閃光が走り――。
彼女の小さな体から想像もつかないほどの魔力が、渦を巻いた。
大気が震え、灼熱の風が巻き起こり、ルナの赤い髪が、炎のように舞い上がる。
その瞳には――紅蓮の光が宿っていた。
「我が名はルナ・クリムゾン! 竜殺しの血を継ぐ者!」
詠唱が、森に響き渡る。
「我が命に従え、炎の化身よ! 現れよ――」
次の瞬間、彼女の頭上に顕現したのは――。
燃え盛る鱗を持つ、巨大な炎の龍だった。
その威容に、全員が息を呑む。
それは噴火を引き起こした龍よりも一回り大きく見える。
これが――ルナの力。
「いっけえええええええ!」
ルナの号令一下、炎龍は咆哮と共に洞窟内へと突撃した。
グオオオオオオオオォォォォォーー!!
大気が、振動する。
大地が、揺れる。
内部からゴブリンたちの断末魔の叫びが響き渡り――。
刹那。
ドオオオオオオオンッ!!
地を揺るがす大爆発が起こった。
入り口から、崖にひび割れから、まるで火山の噴火のように炎が噴き出す。
凄まじい熱波と衝撃波が、森の木々を激しく揺らした。
ゴオオオオォォォ――。
あちこちから噴き出した炎の柱が、天高く昇る。
その光景は――まさに、地獄の門が開いたかのようだった。
「……すごい」
シエルが、呆然と呟いた。
「ルナ……あなた、いつの間にこんなに……」
ミーシャも口をポカンと開いた。
「当然でしょ!」
ルナが、得意げに胸を張る。
「あたしたち、もう――あの頃とは違うんだから!」
その言葉に――全員が、微笑んだ。
ポゥ……。
一行の身体に聖なる光が満ち、力が漲るのを感じた。
これは――神の加護。
大量の魔物を倒したことで得られる、力の奔流。
「よし……これで――」
エリナが、剣を鞘に収めようとした――その時。
グルルルルルルァァァァァァァァ!!!!
洞窟の奥から、炎をかき消すほどの、怒りと憎悪に満ちた咆哮が響き渡った。
ドガアアアアンッ!!
洞窟の入り口辺りが内側から吹っ飛び、岩の破片が四方に飛び散る。
「キャァ!」「うわぁ!」「何よこれぇ!」
黒煙の中から姿を現したのは――。
全身に火傷を負いながらも、殺意の光を爛々と宿す、巨大なゴブリンロードだった。
その体躯は通常の個体の二倍以上。
手にした巨大な石斧が、不気味に赤く光っている。
全身から立ち上る湯気。
焼けただれた皮膚。
けれど――その瞳には、まだ生命の炎が燃えていた。