潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します 作:月城 友麻
一瞬の静寂の後、店内が爆笑の渦に包まれた。
「ぶはははは! カルロスの野郎、鍋に頭突っ込みやがった!」
「これがCランクの実力か!」
「煮込み料理に負けた男! 伝説になるぞ!」
「くっ! 何やってんだよ!」「情けねぇ……」
「ち、治療院に連れてってくれぇぇぇ!!」
顔を真っ赤に腫らしながらカルロスが泣きながら叫ぶ。
仲間たちは恥ずかしさと怒りで顔をしかめながら、トマトまみれのカルロスを引きずって出ていった。
四人の少女たちは、呆然とレオンを見つめる。
「今の……見えてたの?」
エリナが震える声で問いかけた。
「ああ。【運命鑑定】は、こういう時にも役立つんだ」
レオンが肩を竦める。
「戦闘力はゼロだけど、戦わずに勝つこともできる。これが、僕なりの戦い方なんだ」
エリナがゆっくりと剣から手を離した。その瞳に、新しい理解の光が宿る。
「……戦わない強さ、か」
ミーシャの仮面の下で、本物の興味が輝いた。
「うふふ、とっても面白いわ。あなた、本当に面白い人ね」
ルナが子供のように目を輝かせる。
「すごい! まるで予言者みたい!」
シエルも感嘆の息を漏らす。
「ボクたち、とんでもない人と組んだんだねっ!」
レオンは照れくさそうに頭を掻いた。
「まぁ、自分でも驚いているよ」
少女たちの瞳に宿った信頼の光は、強まるばかりである。
温かい料理、予期せぬ奇跡、そして生まれたばかりの絆。
『腹ペコグリフォン亭』の喧騒の中で、新生パーティの物語が、確かに動き始めていた。
◇
満腹の幸福感が漂う中、レオンは革袋をドサッとテーブルの中央に置いた。
金貨二百枚。ずっしりとした重みが、木のテーブルを軋ませる。
チャリ、チャリン――革袋の中で金貨が奏でる音が、まるで運命の鐘のように、五人の間に響き渡った。
「さて、分配の話をしよう」
レオンが次の言葉を紡ぐより早く、ミーシャが優雅に両手を組み合わせた。その仕草は完璧に計算され、まるで舞台女優のようだ。
「あらあら」
聖女の微笑み。だが、その空色の瞳の奥では、冷徹な観察者が獲物を値踏みしている。
「ここは公平に五等分がよろしいのではありませんこと?」
当たり前のような提案。しかし、その甘い声音には、毒蜜のような試練が潜んでいた。
「私たちはまだ、お互いをよく存じませんもの。ただ……」
ミーシャは意味深な微笑みを深める。
「賞金首を見つけたのはレオンさんですし、あなたが多く取りたいとおっしゃるなら、それも一つの考え方ですわね」
――罠だ。
エリナもルナもシエルも、その真意に気づいていない。だが、レオンの瞳が密かに金色の光を宿した。
【ミーシャ・ホーリーベル】
【思考:値踏み中】
【本音:この男が強欲な豚か、偽善者か、それとも本物か。ここで正体が分かるわ】
レオンは静かに微笑んだ。そして、ミーシャの挑戦を真正面から受けて立った。
「君の言う通り、五等分が正解だ」
「あら? いいんですの?」
――本音を言えば、高利貸しへの返済を考えると、一枚でも多く欲しい。
だが、レオンは心の奥で理解していた。今、最も大切なのは、この傷ついた少女たちとの信頼関係。そこに一片でも私欲を混ぜれば、全てが崩壊する。
それに――。
彼女たちは無限の可能性を秘めた原石なのだ。磨けば世界を照らす宝石になる素晴らしい素材。
自分はその輝きを間近で見届けたい。そのためには、透明な関係であった方がしっくりくる感じがしたのだ。
「え? レオンが多く取ればいいじゃない。 あなたが賞金首を見つけたんでしょ?」
エリナが不思議そうに首を傾げる。
レオンは静かに首を振った。
「こういうのは、シンプルが一番なんだ」
脳裏に、『太陽の剣』での記憶が蘇る。カインが報酬の七割を独占し、残りをメンバーで分ける。誰も文句は言わなかったが、あの重苦しい空気、押し殺された不満――。
「不公平は、必ず恨みを生む。恨みは不信を生み、不信は崩壊を招く」
レオンは革袋を開き、金貨を五つの山に分け始めた。他の客に見られないように死角を使って慎重に――――。
「僕たちは、互いが不可欠な存在だ」
一枚、また一枚。正確に、丁寧に。まるで神聖な儀式のように。
「最高の楽譜があっても、演奏者がいなければただの紙。最高の演奏者がいても、楽譜がなければ音楽は生まれない」
四十枚ずつ、五つのナプキンで包んだ黄金の塊が完成した。
「だから、対等でなければ未来はない」
レオンは少女たちを真っ直ぐに見つめた。
「上下関係でも、利用関係でもない。真の仲間として、同じ地平に立つ」
【運命鑑定】の指示ではなく、レオンは本心から言い切る。その
「五等分は、僕たちの未来のための、唯一の選択なんだよ」
沈黙が流れる。