ダーウィンズゲーム-千葉事変   作:黒霧 氷

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・原作のダーウィンズゲームキャラは出るか

ある程度別の話にしたいので、一部キャラ出たり出なかったり。
出すにしても名前ぐらいなら可能性がアリ。


game4:『直線』

 

 

「ここか……」

 

自転車を止め、鍵をかけて何とか到着したのは……

見事な工場だった。特に作業員もおらず、監視カメラはあるがフードを被っている俺にとっては多分大丈夫だろう。

工場の入口には『気にしないで入ってきてね♡』と書かれた張り紙が。

……なんかこう、イラッとくるな。舐められてる感じがしてムカムカする。

衝動を抑えつつ工場の入口を上手く昇って、工場内に入っていく。

凄く犯罪をしている感じが半端なく、心臓がドッドッドッと鳴り響いてきる気がする。

懐中電灯を使って周囲を照らすと、特に罠的なものは仕掛けられていない。

プロプレイヤーなら仕掛けてると思って警戒していたのだが、なんだか生きてる心地がしなくなってきた。

暫く歩くと、工場の室内に入れそうな扉を見つけた。

 

 

「『こっちだよ〜』って、本当に大丈夫かよ……」

 

 

扉は横へ動かすタイプの扉であり、軽く動かしたらすぐに中に入れた。

しっかりと開けっ放しにしておいて、少し歩いてから口を開いた。

 

 

 

「ハルノさん……だっけか!俺だ、ハチマンだ!よかったら出てきてくれないか!」

 

 

 

工場内に響く俺の声に凄くドギマギしながら、暫く待っていると靴を鳴らす音と共に何者かが工場の機械の上に乗って現れた。

見えたのは、俺より年上の女性だった。見た目もなんだかお姉さん感がある。

いや、正直シギルで見た目を偽装してる可能性だってあるから油断は出来ないし何時どこに尖兵が潜んでいてもおかしくない。

 

「あんたが、ハルノさんでいいのか?」

「そうだよ。いや〜……なんというかハチマン君はアバター通りって感じの見た目だね!」

 

あはは、と軽く笑っている女性は俺の予想通りの女性だった。

自分の周りの事に面白がっているような、退屈しのぎでこのゲームをやっているプレイヤーなのは間違いなかった。

 

「ダーウィンズゲームについて教えてくれるって本当か?」

「うん、本当。けどその前に答えてもらいたい事が幾つかあるから……それに答えてもらおうかなー?」

「…………」

 

答えてもらいたいこと、ね。

何を答えよってんだ。年齢身長体重特技出身校とかか?

学生の合コンみたいな選択肢しか出てこなかった(完全に俺の想像だ)が、相手は大学生。そんな事を質問してきても何ら問題はない。

聞かれたら困るのは……家族は何人構成とかそこら辺か?

 

「ただー、ハチマン君も夜遅くまで私に付き合ってくれるんだから無条件で一つ教えてあげる。何が聞きたいかなー?」

 

そうやって俺を見下ろしながら笑顔を浮かべるハルノさんの言葉に一旦思考を停止させる。

………………そうだな。

 

「このゲームを終わらせる方法……せめて戦いにでも巻き込まれない方法を教えてくれ」

「えー、それ近い質問前された気がするよ?」

「俺はこのゲームにやる気がないんだよ……」

「はぁー……まぁ教えてあげるかな。このゲームをやめる方法は前伝えた通り死ぬかゲームマスターに聞くしかないんじゃない?

ゲームマスターの居場所なんて私にはわかんないけどね」

 

やっぱりそう返ってくるよな。何となく察してたが、質問が一つ犠牲になった。

だがこれでハルノさんがゲームマスターの回し者ではない可能性がグッと減った。

彼女なら『知りたかったから戦って聞き出してみてよ』とか言ってきそうなのは間違いない。

 

「くそ、やめられないならどうしろって言うんだよ……人殺しなんて……」

「えー?そんな嫌がることじゃないよ。ああ、人殺しを許容してる訳じゃないよん。

『殺して、生きて、勝つ』んだよ。殺すのは手段。目的と思っちゃダメなの。最後に勝つのは生き残って相手を打ち負かした時なんだし」

 

そう言われて、納得しかけてしまう。

おそらく『このゲーム』ではそういうルールを守ってる奴が一番生き残るんだろうな。

だがこんなゲームなんてとっととやめさせたい。小町が巻き込まれたら、俺は俺で責任を取らなければならない。

小町や俺を平気で殺すようなヤツを、臆病な俺が殺せるのか。

例え孤高のぼっちでさえも、人殺しは出来ない。

人は『そういう風』に育ってるから。

 

「やめる事が難しいなら、せめて襲われない方法ないのか?」

「そうだねー、ない訳じゃないよ」

「(あるって事だな。おそらく簡単に出来るが……教えてくれはしないだろう)それってなんなんだ?」

「それはー、ハチマン君が信用できる子なら教えてあげようかな」

「信用……」

 

信用……

 

「信用させれる方法は?」

「待ってました!それはねー、君の『異能(シギル)』をこの場で実演してもらう事。

分からない能力を持っている時はね、一番情報がないタイプのシギルかもしれないし。

それが自動攻撃系で、私が防げないタイプだったら私はこの場で君に殺されて終わっちゃうの。それは嫌なんだよねー」

 

よく言うな。それを確かめる事なく俺を殺せそうな人が言うと説得力があるような気がするぜ……

 

「シギル……生憎ハルノさんにメールをする為にあのアプリを開いたのと、ガチャ程度しか回してない。深くは調べる気すら起きなかったのが本音だが……シギルってなんだ?このゲームの専門用語か?」

 

正直大体は分かってる。だが一プロプレイヤーが持っているシギルについての見解が知りたいから一旦無知を装う。

 

「シギルはダーウィンズゲームの蛇があなたに与えた『進化』の際に手に入れた力だね」

「進化……生憎シギルなんか使った覚えなんかないし、あの時は本当に逃げてばかりだった」

「使った覚えがない?……そんな筈はないよ。シギルはね、誰にも教わらなくても使えるようになるもの。

まるで生物が呼吸するかの様に、手足のように使える。知らないのはおかしいよ」

 

確かに知らないのはおかしいかもしれないが、俺はやりたくてやった訳じゃないんだよ!

やりたくてやった奴は分かるんだろうが、蛇に噛まれて意識も朦朧としてた俺がそんな事分かる訳ないだろ!

 

「まぁ仕方ないか。ダーウィンズゲームの詳細プロフィールって項目あるでしょ?そこにシギルが書いてあるはずだよ」

 

そう言われて項目欄を確認してみるが……

 

「エラー……解析不能って、書いてあるな。

運営のミスかもしれない、ここは仕方ないって事で見逃して」

「うん。決めた、君はここで消しておいた方が良さそう」

 

ですよね……!通りで冷静な訳だ、最初から危険分子は殺しておきますかって事かよ!

俺はすぐさま鞄を整え、後ろに下がる準備をするが……

 

「なぁ!本当に戦う気はない!見逃してくれ!」

「じゃあ、その鞄の中身を見せてくれる?」

「……護身武器が入ってるって言ったら」

「うん、無理だね」

 

そう言ってハルノさんは、スマホを弄ると俺の携帯からチーバくんの時と同じ効果音が流れてきた。

エンカウントバトル、おそらく今この状況だろう。

すぐに後ろを振り向いて駆け出して行き、扉に走っていく。暗闇で目が慣れてるかは分からないがとにかく逃げるだけだ!

 

「逃げちゃうんだ!意外と臆病君かなー?」

 

「うるせ……!」

 

すぐそこまで扉が待っているが、ガコンという音と共に勝手に閉まっていく。

後ろを振り返ると、ハルノさんが止めたであろう扉の自動ボタン。

クソが!とことん逃がす気ないって事か!

 

 

「(だが、いける!このまま真っ直ぐ行けば)」

 

 

行けば……

 

なんだ?何も迷う必要はない、その筈なのに……!

凄く嫌な予感がする!いや、言葉には出来ないがヤマカンがそう言ってる!

けどなんでだ、後真っ直ぐ行けばすぐに脱出できる!けど他の逃げ道なんて確保してないし、唯一の逃げ道のここしか……

 

「(唯一の逃げ道……!!!)」

 

咄嗟に横転すると、思いっきり扉に対して高速で何かが飛んでいき扉を轟音で貫いた。

よく見ると、それはボルトだった。

工具で使うデカめのネジと言ったところだが、問題はそれではない。

音速で飛んできたのだ。それが。

 

「あれー、外しちゃった!」

「(外しちゃったじゃねぇよ!なんだあの威力!)」

 

ボルトに何の変哲もない。何か確実に能力がある筈だ!

そのシギルさえ見分ければハルノ自身が勝手に逃げ道を作れる筈……!

 

 

「クソが!」

 

 

とっとも脚を動かして逃げていく。工場内は機械だらけで簡単には攻撃を当てれない、金属を操るシギルだったら不味いが、その時はあいつも巻き込まれるだろう。

その為には、こいつを使わなければならない……

 

 

「いけるのか、俺……!?」

 

 

そう言いながら鞄から取り出したリボルバーを握る。

けど銃火器なんて撃ったことないぞ!?撃てるのか、人を!

 

 

「やっぱり銃を隠し持ってたんだねー!」

「げっ……!」

 

ハルノは機械を飛び越えながらこっちに迫ってきていた。流石場馴れしてるんだろうなと感じさせる。

こっちに飛んできた謎の物体を避けながら銃を構える。めちゃくちゃ重くて仕方ないし、多分あんまり、怖くないと思う。腕がブレッブレだし。

このリボルバー重すぎだろ……!

 

「けど残念♡私に銃は効かないよ〜?」

「そりゃどうか、なっ!」

 

リボルバーの撃鉄を引いて、引き金を引くと轟音と共に銃弾を放つが……

 

 

「言ったでしょ?」

 

 

銃弾は、ハルノに当たらなかった。彼女の顔面には弾丸が間近に迫っていた。

弾丸の回転は目に見えるくらいなのに、彼女に接近できてない。

 

「まさかあんたのシギル、金属操作だな!?」

「えー、どうしてそう思うのかな!」

「うぉっ!?」

 

そして、大体思惑通りに飛ばした弾丸がこっちに向かって直線上に飛んできた。すぐに横に移動して回避していく。

確信した!おそらく彼女の能力は金属操作だ!

射程が何処までか分からないが、自身に最も近い金属を操作できる!……追尾してこない辺り、手加減してるのかそれとも曲線のような攻撃はできないのか。

だが、ある意味最悪でもある。彼女の乗ってる機械が飛んできたら流石に俺でも避けようがない……

全体攻撃してきたら機械の上に飛び乗るしかない。上下移動出来るかがネックだがそこまで大した問題ではない。

 

「ほらほらー!」

「っだぁ!?」

 

と、今度は何やら分からないものを投げてくると共に肩に激痛が走る。

コロコロと転がるものを見ると、ビー玉だった。なんだこれ!?金属しか操れないんじゃないのか!?

 

「どうどうー?痛いでしょ」

「クソッ……!なら」

「あ、それはダメ。えいっ!」

 

パァン、という音と共にビー玉が俺の小さな鞄にぶち当たると、簡単に鞄が千切れて鞄に叩き付けられる。あの中には万が一のスタンガンやボイスレコーダーが入っていた筈だ。

彼女が機械から降りると、俺の鞄を拾い上げて中を物色し始めた。俺はすぐに距離を取りながら片手でリボルバーを構える。くそ、ガチで重い……

 

「えー、これだけ?そのリボルバーはどうせガチャで当てたんだろうけど……ま、いっか。どうせろくに当てられないし、そもそも私に効かないし〜」

 

そういうハルノが手を上げると、レンチやビー玉がこっちに向かってジリジリと距離を詰めてくる。

金属操作じゃないならなんだ、重力操作?いや、それなら最初から俺を捕まえれるし重力は横に作用しないだろ……!

じゃあなんだ、後……あと何がある!?

 

 

「せっかくハチマン君のシギル楽しみにしてたんだけど……興味失せちゃった。

もういいや、死んで」

 

そう言いながら、こっちに向けてビー玉とレンチが高速で迫ってくる。

俺は駆け出して二つと駆け引きするようにチェイスするが、脇腹に痛みが走る。

クソ、クソ、クソ!

シギルとかどうでもいいんだよ!

俺はここで死ぬ訳にはいかないんだ、そもそもなんで俺がこんな事で殺されないといけないんだよ!

プロプレイヤーなら何やってもいいのかよ……!

 

例えビー玉やレンチの攻撃を避けてもいつかは追い込まれて殺される。これじゃあおじゃんだ。

そもそも能力がよく分からない相手に対して全く無知のまま戦いに行く俺が馬鹿だった!

いや、こんなもんか……そもそも戦う気ぶりすらなかった時点で生き残れないのは分かってたさ……

厚木先生を殺したのは当然だし、俺も死んで当然……

はは、寧ろ笑えてくる。

 

 

「(納得いかねぇ!)」

 

 

つってもどうするんだよ。攻撃は直線上に飛んでくるんだ、角まで追い込まれたら死ぬんだぞ?

ていうか、もう諦めろよ俺……こんな無理して走る必要ないだろ。

 

 

「(ふざけんじゃねぇ!)」

 

 

どうせ銃撃も効かない。映画の俳優が演じる射撃技術がバケモンみたいじゃない俺じゃあハルノは倒せないし殺せねぇ。

俺には武器があるのに技術がない。

 

 

「(ははっ……)」

 

 

けど、その言い方じゃあまるで『技術さえあれば』あいつを倒せるって言ってるもんじゃねぇか。

……いや、俺は……

俺って、こんな諦めが悪かったか?

ああそうだよ。

俺は諦めない。逃げて逃げて、逃げ回る。

けど逃げるのは最悪の選択肢を取らない為だ。

孤高のぼっちになったのは、何も期待したくないから。

嫌な思いも嬉しい思いも一瞬で、一度きり。どうせそこで終わる。

だけど。

こんな所では、期待してもいいだろ!

 

 

 

「(技術さえあれば、誰にでも勝てるような強い力があれば!

あんなクソ女ぶっ飛ばすことだって出来るんだよ!クソッタレ!)」

 

 

 

そう思いながら、リボルバーを突き付ける。

瞬間的に突きつけた拳銃を撃ち込む。思考がぐちゃぐちゃになる前に、すぐさまビー玉とレンチを蹴り飛ばしながら2回目の銃撃。

 

「マジ!?」

 

ハルノは危機感を覚えたのか、すぐに攻撃を回避した。

しかもリボルバーの弾丸は、適当に撃ったのか跳弾してハルノの方に反射して軌道が逸れていた。

 

 

「生き、残った……」

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

なんとか、機械の上に飛び乗って弾丸を回避できた。

驚いた。急に目付きが変わったと思ったらリボルバーを撃って『跳弾』させて私に当ててこようとしてきた。

更にレンチとビー玉を目で見て全部払い除けた。

私の目からでも分かる。あれは場数を積んだ人間の動き!

 

 

「初めてのニュービーにしては、動きが違かったねハチマン君!やっと本気になってくれたんだ!」

 

「ふざけんな!お前に殺されてたまるかって思いで撃っただけだ!」

 

 

そうやって彼が言うけど、あれは間違いなく普通の人間じゃ出来ない動き。

シギルの可能性だとしてもよく分からない。まぐれだったらカッコつけ?

でもどっちでもいいの。

面白そう。それだけが今の私に支配された思い。

 

 

「(私の『境界線上(ホライゾン・スタート)』は指定した物体をどんな方向でも『直線上』に加速、失速させる能力。ただ、『直線上』だけが指定されていて、急に軌道が変えられた銃弾は無理。

明らかに私の能力の弱点をついてきた……相手の心を読む能力とか?)」

 

もしそんな能力であってもニュービーな筈がない。

名前を隠してる、変装してるような有名な人物が千葉で有名にならない訳が無い。

だとすれば……

 

「シギルだよね〜」

 

あの身体能力もシギル……な訳ないか。

シギル2つ持ちなんて知らないし、そもそもスマホで同時にダーウィンズゲーム起動しないとそんな事できないんじゃない?

まぁ、それが出来たら面白いけどね〜

お……足音が聞こえるね。

 

「そこ!」

「ぐっ!?」

 

やっぱり当たり。直線上とは言ったけど途中で『直角線』に変えれば追尾モドキは出来るんだよね〜

まぁ中々難しいんだけどね。外す確率高いし、相手の位置が分からないとキツイし……

そこまで接近するが、もういない。血の跡的に奥に行ったね。

 

 

「(けど間違いない。次で殺せる)」

 

 

多分負傷したのは腕部分。ビー玉を加速させてぶつけたのはだいぶ痛手になってるみたいだね。

『境界線上』は質量が関係してるから、軽い質量の物体だと加速も早くて簡単に飛ばせる。

逆に重かったら相当な力が必要なんだけど……

すると、遠方から銃声が聞こえてきた。

 

「(ふーん、何をしようとしているのかな!)」

 

『境界線上』で複数の工具を真っ直ぐ投げ、爆発音がした範囲に勢いよく工具達をぶつけていく……

あまり実感しないな。外れたか別の範囲かも。

となれば考えられるパターンは2つ。

機械を飛び越えたか機械の後ろにあるパネルなどに隠れてるか。

 

 

「隠れてるだけじゃ倒せないよ〜」

 

 

しかし彼は答えない。そこまで馬鹿じゃないのは流石だね、取り敢えず……

 

「(『境界線上』)」

 

金属のスパナを操作し、軽く上下させる。

金属の反射は様々な物を写してくれる。それは私でも彼でも……

いない?いや、そんなはずはない。逃げ口を潰しながらいるのは間違いない……何処だ?

私が踏み込みと同時に突撃しようとした瞬間、リボルバーのカチンという音と共にすぐに離れ、銃撃音が近くで響いた。

 

 

「(敵……?)」

 

 

銃声の方に連続で物体に攻撃したけど、何も無かった。リボルバーの銃撃音は何処から、

 

 

「!」

 

 

よく見ると、硝煙の匂いがしない!もしかしてこれは……

 

「騙されたな!」

「(携帯の録音!)」

 

 

すぐに背後を振り返ると、彼がもうこっちに向かって突撃していた。

突撃と同時に浮かせていたスパナに加速をつけて頭に当て、血が零れているが彼は全くそんな事を揺らがず……

彼の靴が見えたと思えば、激痛と共に簡単に視界が反転して地面に叩きつけられた。

視界を上に持っていった時、リボルバーが突きつけられていた。

 

「殺すつもりはない。ただ俺も殺される気はない」

「けどこのまま殺せないよ?分かってるでしょ」

「ああ、だから銃をフリックして撃つ。そうすればアンタに当たる」

「(……だよね。流石にバレてるか)」

「対戦を終わらせろ。殺し合いは避けたいだろ、バラバラになるのは嫌だろ」

 

ポイント全損処置の事かな、それは。

本当にこのゲームについて知らないんだね。

けど、間違いなくわかった事はある。

 

「(強いんだね、ハチマン君は)」

 

『The game is over!player“haruno”surrendered!』

 

「これで、終わったのか?」

「うん。私のポイントが少しそっちに移ったよ。確認できると思う」

「そうか……これで、やっと二人とも」

 

そう言って、彼はリボルバーを持ちながらそのまま大の字で倒れてきた。急に胸にあたってきてどうかしたと思ったら、彼はもう気絶していた。

しょうがないなぁ、と思いながら彼を抱えて移動し始めたのだった。

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

とある少女は、驚愕の表情を浮かべていた。

 

「嘘でしょ、『新人狩り』と『無敗の女王』を負けさせた……この人めちゃくちゃヤバいですよ!」

 

スマホのメモにポチポチ文字を打ち込む少女は、何とも洒落たパソコンと掛け布団のようなものとコンビニ飯、そして枕をクッション代わりにしながら少女漫画が積まれた机が見えてくる。

 

「能力なんだろー……身体強化は確定かもしれないけど拳銃の上手さも格別だったんですし、なんか他の能力……念動系かなぁ」

 

少女は頭に手を添えながら、一旦情報をまとめてメモを書き終えた。

 

「あの人の声、聞いたことあるんですよねー。

もし会った時は確実に同盟を組みたいなー!

是非クランに入れたい……むむむむ」

 

 

少女の願いが少しした後に叶うことになるのは、また別の話。






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