投降頻度は少し遅めの週一回予定で頑張りたいと思います。
今回から、AI添削なども導入して効率化や読みやすさなども改良していきます。
最近では、AIを使った挿絵まで作れるとかいろいろ初めての試みに挑戦予定です。
「個性」と呼ばれる異能が一般化して久しい。今や人類の約8割が何らかの能力を有しており、それは日常生活から軍事戦略に至るまで、あらゆる分野に影響を及ぼしている。多種多様な個性が発現した結果、強力な能力者一人で国軍の一個中隊を凌駕することすら珍しくなくなった。
当然、そんな力を持てば悪用する者も現れる。安易な金儲けを目論む者たちによる個性犯罪は、増加の一途を辿っていた。だが、それに対抗する存在もまた生まれた。個性を使って人助けをする者――ヒーローだ。
個性発生から長い年月が経過し、ヒーロー制度は成熟を迎えた。各国は国家予算を投入し、個性を扱う教育機関の設立、道徳教育の徹底、支援装備の開発を推進した。その結果、ヒーローは平和の象徴とまで呼ばれるようになった。
だが、予想を超える事態が起こった。ヒーローが強すぎたのだ。国家レベルのトップヒーローともなれば、戦略兵器級の力を持ち、実際にその気になれば国家転覆すら可能だった。事実、ある国ではトップヒーローがヴィラン化し、国家を掌握した事件が発生している。世界はそれを隠蔽し、周辺国家のヒーローを総動員して鎮圧した。表向きには「ヴィランによる国家転覆」とされたが、真相は闇に葬られた。
日本も例外ではない。毎年のように強個性の子供が生まれ、ヒーローを目指して教育機関に進学する。だが、日本の国土や民度の関係上、ヒーローの供給は過剰だった。若く容姿端麗な能力者は一時的に人気を博すが、翌年には同程度の人材が大量に輩出され、すぐに埋もれてしまう。
売れなくなったヒーローの末路は悲惨だ。一般企業に就職しようにも、過去の栄光が邪魔をし、すぐに解雇されることもある。強個性持ちであるがゆえに、癇癪を起こせば死亡事件に発展しかねない。だからこそ、最初から不採用とする企業も多い。
かつての栄光を忘れられず、「私は元プロヒーローで月収300万だった」と平然と言う者もいる。そんな者たちは、やがて生活のためにヴィラン化する。そちらの方が楽に稼げるからだ。人は大人になり、夢破れて現実を知る。これが、大半のヒーロー志望者の末路だった。
だが、日本や世界が崩壊していないのには理由がある。需要と供給の不均衡――それは制度設計によって解消可能な、極めて単純な問題である。政府主導でヴィランを準備し、ヒーローの力の矛先を用意することで、安定した社会を維持する。それが、現代のヒーロー制度の裏側だった。
そして誕生したのが、日本政府の内閣府直属機関「H・EROアカデミア」。日本に個性が初めて発現した頃に設立された由緒ある組織であり、表向きは吉原にある大人の社交場とされているが、内情は闇そのものだ。ここは、国家が管理する「演出された悪」と「制度化された正義」が交錯する場所。ヒーロー候補生たちは、ここで国家が用意した「ヴィラン」と戦い、実績を積み、社会的信用を得る。
この制度の中核を担うのが、神代家である。代々、H・EROアカデミアのトップを務めてきた一族であり、国家の裏側における「正義の演出者」として、制度の維持と進化を担ってきた。神代家は、ヒーロー制度の表と裏を知り尽くし、必要とあらば「悪」を創造することすら厭わない。
現在、神代家の次期当主として注目されている少年がいた。名を――神代 真一(かみしろ しんいち)。
彼の個性は、他者の「関係履歴」を可視化する能力。対象者が過去にどのような人間関係を築き、どれほどの信頼・裏切り・依存・支配を経験してきたかを、数値やグラフとして視認できる。まるで人間関係のステータス画面を覗くような能力だった。
この能力は、戦闘向きではない。だが、交渉・心理戦・組織運営においては絶大な威力を発揮する。誰が裏切るか、誰が忠誠を誓っているか、誰が過去にどんな闇を抱えているか――それらを一瞬で見抜ける彼は、H・EROアカデミアの中でも異質な存在だった。
真一は、ヒーローに憧れていたわけではない。彼の目的は「制度の最適化」だった。ヒーロー制度が腐敗し、ヴィランが演出され、国家がそれを管理する――この構造にこそ、彼は興味を抱いていた。自らが制度の頂点に立ち、より効率的で、より安定した社会モデルを構築する。それが、彼の野望だった。
その制度の一端として、雄英高校などのヒーロー専門学術機関には「救済枠」が存在する。プロヒーローになれなかった者たちは、国家公務員として雇用され、ヴィラン組織への潜入任務を与えられる。だが、その実態は架空のヴィラン組織であり、構成員の半数以上は政府傘下のH・EROアカデミア所属員である。
現在、最も注目されているヴィラン組織は「黒の組織」。H・EROアカデミアが最初に創設した架空のヴィラン組織だが、無駄に巨大化した結果、公安・FBI・KGBなど各国のスパイが入り乱れる混沌とした舞台となっている。
彼らは、自らが国家の演出する「悪役」であることを知らず、ヴィランとして活動する。犯罪行為を行っても、本物のヴィラン以外は逮捕されれば政府ルートで釈放される。記録は抹消され、社会的信用は維持される。これは、ヒーローに対する「適度な悪」を供給するための制度的装置であり、国家が管理する「演出された混乱」だった。
この制度により、ヒーローは常に戦う相手を持ち、社会は安定し、国家は秩序を維持する。だが、その裏側には、真一のような制度設計者の存在がある。
神代真一は、将来有望な構成員を見繕うため、雄英高校への入学を試みる。入学には高いハードルが存在する。学力と実技――特に実技において、彼の個性は不利としか言えなかった。だが、サポートアイテム持ち込み可という抜け道がある。これを活用するのは当然だ。
だからこそ、神代真一はサポートアイテム「アダムスマッシャー」を携えて、実技試験会場のスタートラインに立っていた。
「ちょちょちょ、ちょっと待てぇぇぇぇぇーー!! そこの受験生、お前なんつーものを持ち込んでやがる!」
「事前チェックを通過済みですが、何か問題でも?」
入学試験における実技は、サポート科の事情も踏まえ、アイテムの持ち込みが許可されている。ただし、殺傷能力など危険性の高い装備は不可とされ、事前に厳しい審査が行われる。その審査担当は、H・EROアカデミアと関りがある男であり、神代家とは長年の付き合いがある。真一が一言「よろしく」と伝えれば、二つ返事で通過するのは当然だった。
アダムスマッシャー――それは、日本政府が次期個性対策用の防衛兵器として採用を決定している治安維持装置である。倫理観を持たない天才技術者たちの集まりが、ガチヴィランの生体資源を再利用して作り上げた生体機械。素体はかつての凶悪犯であり、今は国家の資産として再定義されている。
「マジかよ!! じゃあ、問題ねーーー! お前ら、準備はいいな? スターーーート!!」
試験官の合図とともに、受験生たちは一斉に動き出す。各々の個性を駆使し、標的ロボットの排除に向かっていく。その様子を見送る真一は、静かにアダムスマッシャーに命じた。
「防衛省主催の次期主力兵器コンペと比べれば、子供のお遊戯レベルだと思います。圧倒してくださいね、アダムスマッシャー。」
『俺がガキのお守りをさせられるとはな……そこで見ておけ。依頼料分の仕事はこなしてやる。』
アダムスマッシャーは、かつてのヴィランから抽出した「加速」という個性を、機械的に再現・継続動作させることに成功した希少装備「サンデヴィスタン」を起動した。生体機械だからこそ可能な芸当。加速した世界に突入した彼を止められる者は、この場にはいない。
スマートショットガンを構え、標的ロボットを次々と粉砕していく。まるで、正義の象徴であるはずの試験会場が、戦場に変わったかのようだった。
「正義の門ですら、簡単に裏口入学できるとは……酷く脆い現実だ。」
そう呟いた彼の目は、すでにヒーロー制度の脆弱性を見抜いていた。
この物語は、ヒーロー制度の飽和と腐敗、そして制度設計者としての少年の成長と野望を描く、もう一つの『僕のヒーローアカデミア』である。
最後まで執筆頑張ろうと思います!
まだ、終わり方は決めていませんので、お許しください。
とりあえず、体育祭編を完了させる事を目的に頑張ります。
アニメもゆっくり視聴しながらやろうと思っています。