H・EROアカデミア   作:新グロモント

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34:インターン2

 神代真一は、従兄の代わりにインターン生である裏ビティを鍛える。『関係履歴』により、苦手分野や得意分野まで把握され、H・EROアカデミアの仲間と一緒に普通ではできないような経験をさせた。

 

 個性特訓においては、その道のプロであるAFO自ら指導するという誰にも真似できない経験を積む。AFOの遊び相手 兼 車いす係 兼 護衛になるべく鍛え上げられる。メキメキと仕上がる個性の使い方や応用に、雄英高校の教師とはレベルが段違いすぎると裏ビティさんは思ったが口に出さなかった。

 

 裏ビティがAFOの個性特訓で地獄を見ている頃――神代真一は、公安当局に足を運んでいた。案内されたのは、国家公安委員会委員長直轄の特別室。そこには、拘束された男が一人。

 

  珍しくもない犯罪者――だが、神代は呼ばれた理由が分からなかった。

 

「彼の身元や来歴が分からないってことではありませんよね?」

 

「勿論。神代論理次官には、彼がこの“弾”を手に入れた経緯を追って欲しいのです。最近裏社会で広まっている個性にダメージを与える危険物です。 現在のところ、効果は一時的であることまで判明しています。そして――原材料も」

 

「原材料も一緒に見せるということは……人由来ですね。人間を弾の材料にして、個性を不能にするとか馬鹿なんですか。そのくらいのことは、私にもできますよ」

 

 神代真一は、ドミネーターのグリップを握る。

 

『携帯型心理診断鎮圧執行システム。ドミネーター、起動しました。ユーザー認証:神代真一。論理次官。内閣府所属。使用許諾確認――適性ユーザーです。』

 

 起動したドミネーターを男に向ける。

 

『犯罪係数:オーバー300。執行対象です。セーフティ解除。執行モード:リーサル・エリミネーター。慎重に照準を定め、対象を排除してください。』

 

 男は口枷の中で命乞いをするように叫んでいた。だが、何を言っているかは分からない。命の危険を察し、背に腹は代えられないと悟ったのだろう。だが、すべてが遅かった。

 

 ドミネーターの引き金が引かれ、男は内側から綺麗に爆ぜた。公安の誰も止めない。

既に“慣れたやり取り”だった。

 

「誰でもお手軽の個性消失弾です。冗談はさておき、問題の出所までは彼は知りません。売人の連絡先や接触方法は見ました。そこから辿れるでしょうが――この現物がある以上、必要ありません。どうやら“個性消失弾”という名称らしいですよ。原材料の名前は、壊理。性別は女性。年齢6歳。誕生日12月21日。母親の苗字には、見覚えがあります」

 

「相変わらず、凄まじい個性ですね。神代論理次官。来たついでに、未解決案件で押収された生体パーツも見ていってください。それと本日は、少し行動が怪しい公安の者たちを“研修”という体裁で集めています。ピックアップも頼みます」

 

 組織とは、デカくなるほど虫が入り込む。その“虫”を敵的に排除して、健全性を保つ。その対価として、神代真一はドミネーターなどを受け取り、好きに動ける立場を得ていた。

 

「勿論。お互い、日本を支えるために不可欠な組織です。手を取り合うのは当然です。それで、壊理という少女の母親は――指定敵団体“死穢八斎會”の組長の娘です。正直、本腰を入れるべき案件です。壊理の個性は、今まで発見されていなかった第五世代の特異点と見て間違いありません。他国に奪われるなら、殺さないといけないほどに」

 

「それほどのものですか。一体どんな個性なんですか?」

 

 神代真一は、公安メンバーを一人ずつ確認する。死んでも喋らないか、裏切る可能性はあるか―― 四人いた国家公安委員会委員長の護衛から、一人を退出させた。

 

「個性は“巻き戻し”。触れた生物の体を“過去の状態”まで巻き戻します。もはや、神の領域ですよ。AFO殿の肉体も全盛期に戻せる。仮にこの個性がオールマイトに使われれば――それこそ、日本の未来は終わりです」

 

「ヒーローとヴィランの天秤がようやく均衡が取れ始めた矢先に、それは不味いですね。神代論理次官、女の子と言いましたね。……年頃の女性を落とすのは得意だと聞いております。敵ならば殺すしかありません。中立でも殺すしかありません。ですが、味方なら違います」

 

 神代真一は、国家公安委員会委員長の言葉に理解が追いつかなかった。まさか、自分が“ナンパ師”のように思われているのでは――と。それは、心外だった。

 

「出来る出来ないで言えば、出来る。私の個性を舐めないで欲しい。でも、これ以上刺されたら死にますよ」

 

「問題ないでしょう。だって、新しい彼女を作って巻き戻してもらえばいいんですから。それに私は、貴方が刺される方に退職金を賭けているんですから」

 

 悪びれもせずに、高校生が刺される方に賭ける国家公安委員会委員長。神代の眼で何度見ても――国家公安委員会委員長は、神代が刺されることを“当然”としか思っていなかった。

 

「人の心とかないんか?」

 

「あれば、公安なんてやってません」

 

………

……

 

 ラグドールならば、身体目当てでも通っただろう。だが、6歳相手にそれを言うのは、さすがに許されるのか。個性婚が存在する時代とはいえ、光源氏計画もいいところだ。

 

 15歳と6歳――年齢差は9歳。

 

 ラグドールと神代の年齢差は16歳。

 つまり、考え方次第では“セーフ”だ。

 

「私が嫌と言ったら?」

 

「何も問題ありません。AFOに個性を渡して、彼女には“事故死”してもらいます。巻き戻しの個性が後世に継がれるのはまずいですからね。それに、貴方も知る通り――既に日本には“第六世代の特異点”がいます。いざという時は、君の子……神代ハス太の力を貸してくださいね」

 

神代は、「喜んで」と言ってその場を切り上げる。公安を出たところで、携帯が鳴った。

 

画面には――本妻、神代 狂三(くるみ)からの着信。

 

旧姓:無貌 狂三(むぼう くるみ)。

 神代家は、若くして子作りを励み、他より世代を重ねていた。その名の通り、“神の依り代”となるべく存在する家系。そして、狂三は――神代真一の“最も危険な関係履歴”だった。

 




ちょこっと、本妻情報を出してみました。
狂三・・・"きょうぞう"ちゃんと呼びたくなるあの子いいよね。

ハス太君は、クトゥルフ的な個性持ちです。召喚的な。


さて、サードアイの事務所から助っ人要請にこたえて出動です。
インターン生だけでも別にいいよね。神代コナンヒーローは、今事件を起こすのに忙しいから。
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