H・EROアカデミア   作:新グロモント

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46:文化祭2

 地域の一大イベント――雄英高校の文化祭。

 

 体育祭ほど全国的な注目はないが、地域活性の祭りとしては十分すぎる規模だ。学生たちは昼夜問わず準備を重ね、神野区の一件以降、全寮制となった雄英では夜間作業も可能となっていた。

 

 1年A組の出し物は、ダンス&バンドステージ「Hero too」。ヴィラン連合の影に沈んだ空気を吹き飛ばす、力強くも優しいパフォーマンス。 個性ありきの演出は、観客の心を確かに揺さぶった。

 

 1年B組は、演劇『ロミオとジュリエットとアズカバンの囚人~王の帰還~』。名作をパロディで融合させた混沌の舞台。 タイトルからして混沌だが、B組らしい演出が観客を笑顔にした。

 

 生徒の家族、親戚、友人がごった返す中――神代一家は、親族チケットを使って自然に溶け込んでいた。入場チェックは形式的なもので、過去の罪歴照会などは行われていない。セキュリティの甘さに、神代は内心で苦笑する。

 

「ぱーぱ。ぱーーぱ」

 

「はいはい、焼きそばが食べたいんですね。すみません、焼きそば一つください」

 

 綿菓子、お好み焼き、ラムネ――祭りの定番を買い集め、家族全員で休憩所の椅子に座り、少しずつシェアする。それが、祭りの醍醐味だった。

 

………

……

 

 だが、その団らんを偶然見つけてしまう裏ビティ。A組の出し物準備で忙しく動いていた彼女は、移動中に“見てはいけないもの”を見てしまった。

 

「き、聞いてないわよーーー!! それに、壊理ちゃんはまずいって。あの一件で行方不明に…」

 

「なってませんよ。最初から“存在しない”ことになってます。壊理の姿を現場で見たのは、緑谷君、ルミリオン、イレイザーヘッド、故人のサー・ナイトアイだけ。世の中にはそっくりさんが三人いるらしいですよ。それに、戸籍謄本から全て偽造は完了済み。政府の力を甘く見ないでください」

 

 一番まずいのは、壊理と裏ビティが“顔見知り”であること。オーバーホール事件で二人は接触していないはず。だからこそ、裏ビティは壊理の事を“神代の実娘”として扱わないといけない。

 

「お茶子ちゃん、面白そうだからハス太君と壊理ちゃんを連れてA組に行こうよ。私も久しぶりにみんなに会いたくなったからさ。影薄かったから覚えてくれてるかな」

 

「葉隠さん、それギャグで言っているの?覚えているに決まっているでしょう。覚えてるどころか、私以外誰とも連絡ないからみんな心配してたんだって。というか、神代君もA組に顔を出そう。絶対に!私だけじゃ、ハス太君と壊理ちゃんの説明ができない。絶対にボロが出ちゃうから」

 

 それもそうだと神代は頷く。

 

 かつてのクラスメイトに文化祭で挨拶するのは自然な流れ。仮にヴィラン殺害でヒーロー資格を永久剥奪されていても――今や、神野区の一件など世間の記憶から薄れていた。

 

………

……

 

 A組控室。

 

 出し物直前、全員が気合を入れている。その空気をねぎらうため、神代は全員分の飲み物を差し入れ。まずは裏ビティが事前報告を入れる。

 

「みんな注目。差し入れに同級生が来てくれました。驚かないでね、葉隠さんでーーす。そして、神代論…じゃなかった神代君です」

 

「みんな、久しぶりだね。覚えてるかな?」

 

「お久しぶりです。あの時は、感じの悪い別れ方をしてしまい申し訳ありませんでした。今日は、家族を連れて文化祭を楽しみに来ました」

 

 神代が抱える神代ハス太に注目が集まる。葉隠の子にしては年齢が合わない。雄英の頭脳たちでも、答えに辿り着けない。

 

 だが、子供は可愛い。こういう時、ギャルは強い。芦戸三奈が旧友と握手し、子供の頭を撫でる。

 

「久しぶりーーー!! もう、連絡しても返事くれないから心配しちゃった。で…この子は二人の子供?」

 

(いきなり突っ込んだ――それは聞いちゃダメなやつじゃないのか!?)

 

 クラスメイトたちは固まる。あの爆豪ですら様子見なのに、ギャルのコミュ力はお化けだった。

 

「残念ながら違います。流石に私もそこまで節操なしではありません。えー、一人ずつ紹介しますね」

 

 ぞろぞろと控室に入ってくる美少女と美女たち。

 

 本妻・神代狂三、側室・神代アカネ、愛人1号・癒月静、愛人2号・知床知子、彼女・葉隠透。紹介が終わると、A組は沈黙する。同級生が彼女ポジションなのに、他が強すぎた。

 

「そして、最後に娘も紹介します。さぁ、おいで……この子は、神代壊理。今年6歳になる私の可愛い娘です」

 

「は、初めまして、神代壊理です」

 

 よくできましたと、神代が壊理の頭を撫でる。そして、息子の紹介も忘れずに。

 

(6歳!? だれか、年齢に突っ込め。ほら、お前だよ)

 

「この子が神代ハス太。3歳です。ほら、この人たちがパパの元・同級生たちですよ」

 

 ペコリと頭を下げる子供。

 

………

……

 

「ちょーーと待てやーー!! 神代、なんでラグドールまでお前んところにいるんだよ。今も行方不明ってなってんの知らねーのか」

 

「ちょっと爆豪。そんな大声出したら子供たちが驚くでしょう。ねぇ~、あの怖い顔した人は無視してお姉さんたちと遊ぼうよ」

 

「ちょっと芦戸さん。独り占めはずるいですわ。わたくしにも抱っこさせてください。神代さん、ハス太君を抱きしめさせて貰っても?」

 

 息子と娘は、A組女子のオモチャになる。そして神代家の女性陣は、夫がお世話になりましたと頭を下げて回っていた。

 

「爆豪君。久しぶりだね。物間君との一件は聞きました。彼の顔面を男前にしたとか。ありがとう。他人のために怒れる人は素敵だと思うよ。そういう行為は、いつか自分を助ける事になる。情けは人の為ならず…ってね」

 

「なめんな。俺は俺のやりたいようにやっただけだ。神代のことがどうとか関係ねー。ただ、あの嫌味野郎をボコボコにする良い機会だっただけだ」

 

 爆豪勝己は、静かに言い放った。その言葉に、神代は微笑む。

 

「闇堕ちしない男は、言うことが違いますね。……ありがとう、爆豪君」 

 

 爆豪は、神代真一の家族の方をちらりと見た。壊理は、A組女子に囲まれながら、綿菓子を頬張っていた。父親をしっかりとやれていると判断する。才能マンと呼ばれる爆豪ではあったが、同じことはできないと素直に認める。特定の分野とはいえ、爆豪に認められる才能を持つ神代真一。

 

 A組の男たちは、神代真一の身体に刻まれた傷の意味を理解する。あれだけの女性陣を抱えていれば、刺されるのも当然だ。むしろ、刺されない方がおかしい。

 

 峰田実は、神代に土下座して教えを乞う。

 

「頼む、神代……いいや、神代様。オイラにもモテ術を教えてくれ!」

 

「簡単ですよ。相手を本気で愛すること。そして、女性たちを養えるだけの財力。愛と財力があれば、凡そすべての問題は解決できます」

 

 身も蓋もない回答だった。だが、今の神代の言葉には、確かな説得力があった。

 

 その時、緑谷出久が口を開いた。

 

「壊理ちゃん!!」

 

 その声に、場の空気が一瞬で凍る。神代は、壊理を抱きかかえながら、静かに確認する。

 

「壊理。緑谷君のこと、知ってるかい?」

 

「知らない。今日初めて会ったよ、パパ」

 

 その言葉に、緑谷は言葉を失った。壊理にとって、救いの手を差し伸べなかったヒーローなど“いない”のだ。それを認めてしまえば、今の幸せが崩れてしまう。

 

 芦戸三奈が空気を変える。

 

「そうだ、この後、私たちの出し物があるんだ。特等席を用意するから見て行ってよ。当然、神代君と皆様も!」

 

「ありがとうございます、芦戸さん」

 

………

……

 

 だが、――A組に宣戦布告に現れる刺客。B組からわざわざやってきた男、物間寧人。

 

「A組の諸君!! 今回のB組の出し物は、A組とは比較にならないんだぜ。今日の主役は、B組……あれ? あれあれあれ? おいおい、まさか文化祭に…ぃ…」

 

 物間の言葉が止まる。

 

 神代狂三が長銃を側頭部に押し付け、

 神代アカネの怪獣が下半身に取りつき、

 癒月静がドミネーターを胸に押し当て、

 葉隠透が喉元にナイフを突きつけ、

 壊理が巻き戻しの準備をし、

 ハス太のクトゥルフ様がデフォルメ解除を準備し、

 知床知子が周囲が汚れないようにシーツを広げる。

 

 A組の誰よりも早く、物間は死の一歩手前に追い込まれていた。

 

「おや、B組の物間君じゃないですか。随分と男前になりましたね。どうしました、続きをどうぞ。私は一般人。君はヒーロー科。絡むのはまずいでしょう。問題が起これば、文化祭中止だけでは済みませんよ」

 

 麗日お茶子が冷静に指示を出す。

 

「飯田君、すぐにB組の保護者を呼んできて。物間君がまたやらかしそうだと。落ち着いてね。物間君は性格がゴミでクズでどうしようもない人間だけど、一応同じ学校の生徒です。A組全員から嫌われて、B組でも肩身が狭くて……そんな時に、自分より社会的立場が低いであろう神代君を見つけて優位性を確かめに来ただけのゴミなんです。そんなゴミと関わると、神代君たちまで品格が下がっちゃうよ」

 

「分かったよ、麗日さん!!」

 

 飯田天哉は、全速力で拳藤一佳を探しに行った。事の経緯を伝えた結果――B組が総出で現れ、地面に額を擦り付けて謝罪した。

 

 拳藤一佳は、必死に懇願する。

 

「本当にごめんなさい。この馬鹿がいつも問題ばかり起こして。先生たちには内緒にして欲しい。今、ピリピリしてて、文化祭が中止になる可能性もある。後で、こいつのことはB組総出で〆ておくから」

 

 神代は、静かに頷いた。

 

「私は文化祭が中止になっても痛くも痒くもありませんが、B組の未来のヒーローたちまで潰れて欲しいとは思っていません。今日は家族サービスで来ただけなので、これ以上邪魔をしないなら目をつぶります。物間を〆た動画や写真はA組にも共有してくださいね」

 

………

……

 

 文化祭は、無事に進行した。

 

 神代一家はA組の出し物を見て、B組の演劇を見て、校内を回り尽くした。そして、出口付近で待ち構えていたイレイザーヘッドとルミリオンとすれ違う。

 

「イレイザーヘッド。最近はよく会いますね。お約束通り、家族を連れて文化祭に遊びに来ました。流石は雄英高校の文化祭。普通の高校とは規模もスケールも違いました」

 

「言いたいことはそれだけか。6歳の娘……壊理ちゃんのことだったのか」

 

「壊理ちゃん。あの時、僕が助けられなかったから……ごめん!!」

 

 神代は、壊理を抱きかかえながら確認する。

 

「壊理。二人と会ったことあるかい?」

 

「知らない。今日初めて会った。パパ、それより早く帰ろう。今日は、ママたちと一緒に壊理もお手伝いするの」

 

「という訳で、失礼します。一般人の私には、ヒーロー業界のことは何もわかりませんし、知りません。ただ、家族が幸せに暮らせることだけが私の望みです。それと、B組の物間君。大きな問題を起こす前に何とかした方がいいですよ。彼、結構ヤバいですよ」

 

 イレイザーヘッドは、実力行使も考えた。壊理は、確かにそこにいる。だが、世間では“存在しない”ことになっている。今、無理に事を起こしても、正当性を証明する材料がない。 最後に個性抹消を壊理に使うが、洗脳の類ではないため解除もされない。

 

 一般人に対して、ヒーローは手を出してはいけない。今の個性抹消ですら、ばれれば厳罰ものだった。だから、イレイザーヘッドは最大限の手段を選ぶ。塚内警部に、改めて神代真一の身元調査を依頼する。




※まだ充電期間中※※

さて、文化祭編が終わりました。

インターン編 改め

「(閑話)大・爆・殺・神ダイナマイト レゼ篇」…やるしかない。

****たぶんこんな感じ1****

レ「そうかっかしない。君はヒーローでしょ?見覚えあるな~、雄英の体育祭で見た! 馬鹿豪君だっけ?」

爆「ちげーわ、ボケが。爆豪だ。覚えとけ。どこの世に“馬鹿”って名字があるんだよ」

レ「爆豪君みたいな面白い人、初めて」
*************


****たぶんこんな感じ2****
緑「かっちゃんに彼女!? いや、ないと思うよ。だって、かっちゃんだよ」

 緑谷は爆豪のほくろの位置まですべてを知っている。OFAの秘密まで共有する仲。だからこそ、彼女ができるはずがないと信じていた。

轟「緑谷、お前って爆豪のことになると時々口が悪いな。じゃあ、確かめに行こうぜ。後をつけりゃ一発だろ」

緑「わかったよ。でも、僕はかっちゃんを信じてるから」
**************


と言う感じで、2話分くらいは用意したんだが、長編になりそうなのでお待ちください。
色々修正中。漫画も買わないとな。


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