パーフェクトイケメン救世主(偽)   作:七夕ナタ

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 エーテリアスと暗黒の潮の造物とか鉄墓ノンって外見なんか似てるよね?という感想と今更ながらファイノン完凸記念というか衝動に身を任せて殴り書きました。後悔はしてないです。

 ・怪啖屋
 ・モッキンバード
 ・ヴィクトリア家政

 ゼンゼロ推し陣営はこの三つですね。
 つまりどういうことかって?次のバージョンで怪啖屋やキャラが3人実装されて私の財布が死ぬってことさ。うへへ、スタレには長夜月もたんたんもくるってのに恐ろしいぜ。

 ※1発ネタです





プロローグ
パーフェクトイケメン救世主(偽)


 

 

 

 

 吾輩は転生者である。因みに名前はもうあった。

 どこで生まれたかとんと見当がつかぬ、いやわりとマジで。なんか気がついたらあたり一面が焦土というか焼け野原というか、人気のない場所でポツンと目が覚めていたでござる。

 

 と言っても、それはもう何年か前の話なんだが……意思というか自我というべきか、自分の()()()()()なるものが戻ってから最初に目にした光景が夢かと疑うほどあまりにも悲惨な感じだったのでよく覚えている。

 

 そして先も述べた通り、自分は前世の記憶があり所謂“異世界転生者”というやつだ。

 

 なんの変哲もない現代社会から気がつけば剣と魔法のファンタジーな世界に転生するというアレだ。

 

 しかし異世界と言っても元の現代社会と文明レベル的にはあまり変わらなそうな平和で現代的な世界だ……いやそんなことないな、色々と崖っぷちな終わりかけの終末世界ですわここ。

 

 なにせ『Welcome to 終末世界!』が謳い文句の酷い世界だ。何を隠そう、ここはホヨバゲーと呼ばれるシリーズのひとつで自分もプレイした事があるゲーム。

 

 終末世界を舞台とした最新都市ファンタジーアクションRPG『ゼンレスゾーンゼロ』……通称ゼンゼロの世界に気がつけば転生していた。最悪ですねはい。

 

 なんでさ。

 

 転生だとか前世の記憶だとか、そういう二次的でオカルト的なやつは創作物くらいだと前から信じていなかった。が、まさか自分がそれを体験する側になるとは思いもしてなかった。

 

 転生したこと自体に対しては、まあラッキーくらいで考えて割り切るとしよう。

 

 だとしても、どうして転生した場所がゼンゼロ(ここ)なのか。“ホロウ”と呼ばれる災害によって壊滅したこの世界じゃ、未知の災害やら敵の陰謀やらで割と簡単に死ぬんだが?

 

 どうせ転生するならもっとのほほんとした優しめな世界だともっと嬉しかったんですけど、冗談抜きにこんなモブ厳な世界じゃ命がいくつあっても足りんて。

 

 まあ、だとしてもだ。

 いくらモブ厳な世界でも転生したこと自体については先ほども述べたように割と好意的というか、2度目の生という意味ではありがたいものだ。

 

 たとえ厳しい世界観であっても変にストーリーへ関わらず主要キャラたちを遠くから見守るなりちょっと美味しい思いしたり、知人程度のモブキャラに徹して普通に大人しく過ごしてれば良い。

 

 そうすれば少なくとも変な事件に巻き込まれる事なくこの『新エリー都』でも快適に暮らせるだろう。

 

 ……なんて思っていた時期が自分にもあったとです。

 転生した瞬間、というか目が覚めた瞬間から無理ゲーというか詰んでるなんて思いもしないじゃないですか。

 

 あはは、やだなぁもう『讃頌会』さんってばお茶目さんなんだから〜。まじでふざけんなよこのやろう。

 

 誰が讃頌会のモルモットくんスタートなんて予想できんねんクソゲーすぎるだろうが。まさかエーテリアスに変化する寸前で前世の記憶がフラッシュバックして自我が戻ったと思ったら、そのまま意識がブラックアウトなんて予想出来るわけないだろうが。

 

 だがしかし、未来のパエトーン信者のロリッ子姿を生で拝めたのは良しとしよう。うひょー、幼女の祝福授けられてエーテリアスになっちゃうううう!

 

 あ、因みに讃頌会というのはゼンゼロのストーリーに深く関わる謎の組織で、なんでも「無力なヒトの身を捨て、ホロウに適応した生命へと生まれ変わる」事を教義とした新興宗教団体だ。いやー素晴らしいですねほんとっ。

 

 しかもかなり思想が強く、お構いなしに一般市民を巻き込んだ事件を度々起こしていて、市当局から非合法組織と認定されている危険な集団ですね。讃頌会くんってばサイテー! 首洗って待ってろよ。

 

 誘拐やら人体実験とかを平気でやっちゃうとにかくヤベーイ奴らです。

 

 だが、しかし。

 この際、讃頌会のモルモットだったとかエーテリアスにさせられただとかそこら辺のその他諸々は結果的に()()であった為、まぁ許してやる。いや全然許せるレベルの話じゃないが、この借りはいずれという事で今は見逃してやろう。

 

 なにせそれとは別で見逃せない問題があるのだ。

 どうしても無視することのできないデカすぎる問題を抱えてる。

 

 今世でガキの頃から鏡で自分の顔を見るたびに妙な違和感というか既視感のようなものを覚えていたが、前世の記憶が戻った今ならその妙な感覚の理由がハッキリとわかるのだ。

 

 美しい銀色の髪に透き通るような空色の瞳。

 如何にも清廉潔白と言った爽やかな好青年の顔立ち。

 

 そして本来ならギリシャ風の建造物と文化が特徴的な別の世界。謎多き『オンパロス』という舞台で存在する『欠陥のない完璧なる神性の器』と評される人物の肉体、どこからどうみても見覚えしかない救世主顔。

 

 いやこれ、ファイノンやんけ。

 捨てられそうな子犬みたいな顔しやがって(褒め言葉)

 

 キアナ顔? ケビン顔?

 どっちが正しく当てはまるのかかわからないが、どっからどう見てもモブの顔立ちじゃない救世主顔なんですけど。アホ毛といい瞳の模様といい完全にファイノンです、イヤーホントアリガトウゴザイマシタ。

 

 なんかヘリオスも召喚出来るし、どうなっとんじゃこりゃ。

 

 しかもなんか讃頌会くんに目をつけられてるせいで原作云々とか既に無視できないようなポジションにいる気がするし……なんでさチクショウ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 「……っ!! ビビアン後ろッ!!?」

 

 「───ッッ!!!」

 

 

 それは一瞬の出来事だった。

 『サクリファイスを生み出す薬』を自らに投与した事により、エーテル結晶に浸蝕され瞬く間に巨大な怪物へと変貌してしまったかつての友人。

 

 彼女にとって初めての友達を眠らせてあげるのは自分でなければならない。そういって少女、ビビアン・バンシーは傍にいた自身が最も親愛する伝説のプロキシ『パエトーン』の片割れである少女、リンを下がらせて1人でエーテリアスとの戦いに挑んだ。

 

 そして己の手で変貌したかつての友人を相手に決着をつけた……筈だった。地に付した筈のエーテリアスが再び立ち上がると、戦いは終わったものだと油断してしまっていたビビアンに向けてエーテルを収束させた強烈な指向性を持った高エネルギーを放出した。

 

 白熱するエネルギーの奔流。

 反応が遅れ、背後に立つリンを守る為にも回避することは許されず、傘型ランスを展開して攻撃を受け止める選択肢しかビビアンには許されていなかった。

 

 それは僅かな拮抗。

 

 留まることなく押し寄せるエネルギーの波に体が吹き飛びそうになる。長くは耐えられずこのままでは時間の問題だと理解させられた。背後に立つ護るべき存在を傷つけて危険に晒してしまう。

 

 それだけではなく、『不幸を呼ぶ』自分が見た予兆通りにリンの命がここで失われてしまう。

 

 それだけは彼女にとって許されざる結末であった。その結末を変える為に自分はここにいるのだと。

 

 ビビアンは押しつぶされそうになるエネルギーの波を堪えながら、ここに来るまでの道中で“もしもの時の為”にこっそりと懐に隠し持ってきていた切り札。

 

 それはエーテリアスへと変貌してしまった友が投与されたものと同じ『サクリファイスを生み出す薬』。そんな取り返しのつかなくなるような激物を取り出すと、彼女は自分自身に躊躇いなく投与しようとして。

 

 ───妖しい輝きを放つを液体に満たされたシリンダーが無情にもその手から滑るようにこぼれ落ちてしまった。

 

 

 「ぇ……〜〜っ!!?」

 

 

 焦る余り彼女は手を滑らせてしまったのだ。

 その瞬間、彼女の目に映る景色はゆっくりと流れてゆき次第に表情が絶望に染まっていく。

 

 その身を犠牲にしてでも背後に立つ者を護る為、覚悟を決めて用意した結末を変える筈の手段が地面に叩きつけられ無惨な姿となり消えてしまった。

 

 結末を変えてみせると誓ったはずなのに何一つ変えられない。

 

 空気が萎むように全身から力が抜けていく。

 両目から溢れ出したものが堪えきれず頬を伝う。

 ジワジワと押し寄せてくる絶望が心と体を蝕んでくる。

 

 勢いを増したエネルギーに耐えきれず膝をつき吹き飛ばされる寸前。

 

 

 「……っビビアン!」

 

 「───大丈夫。君は下がってて、僕が行く」

 

 「……え?」

 

 

 ───それこそが正に一瞬の出来事だった。

 ビビアンの背後にて護られていたリン。戦う力を持たない彼女だったが、それでも目の前で必死に堪えているビビアンの姿にどうにか彼女を助けようと駆け出そうとした瞬間。

 

 ───ぽん、と肩に置かれた温かい手のひらの感触に思わず足を止めて振り返った瞬間。一筋の白い影がリンの視界を横切った。

 

 次の瞬間、轟音を響かせるような衝撃と突風に襲われたリンは堪らずと言った様子で両腕を顔の前に出して全身で浴びるような砂埃から身を守った。

 

 まるで爆弾でも落下して来たかと見紛う程の衝撃だった。

 膨れ上がり爆発したかのような砂埃の波に晒され耐える事数十秒、辺りを覆い尽くしていた土煙がゆっくり流れ去っていき視界が確保される。

 

 何が起きたのかわからず、ケホケホと咽込みながらもビビアンの無事を確かめようとした近寄ったリンは瞳に映し出された光景に目を見開く。

 

 それは夕焼けに照らされながら輝く銀色の髪、白いコートを靡かせる後ろ姿。

 

 疲弊して倒れそうになるビビアンを抱き止め守るように立ち、身の丈ほどはあろう大剣を構える青年。そして、状況からして恐らくこの青年によって吹き飛ばされたであろうエーテリアスが遠く離れた建造物に叩きつけられ瓦礫に埋もれながら倒れている姿があった。

 

 エーテリアスは沈黙したまま反撃は行われないと確認するとやがて青年は構えていた剣を下ろし、安堵するように息を小さく吐きゆっくりと振り返った。

 

 一瞬、知能水晶体の瞳と紋章が刻まれた空色の瞳と視線が交差する。

 間一髪とも言える状況に割り込んだ青年は2人に目立った怪我もなく無事である事を確認すると表情を崩すように笑みを浮かべた。

 

 

 「───ふぅ。結構ギリギリってところだったかな?」

 

 「な、んで……なぜ、あ、あなたがどうして……っ!?」

 

 「え?……えええっ!!? うっそ、なんでファイノンさんが!?」

 

 「やぁ! 久しぶりだね店長さんにビビアンも……2人共なんだかドキドキハラハラな場面だったね。いやー、よかったよかった」

 

 

 巨大なエーテリアスを吹き飛ばした銀髪の青年は、なんてことない気さくな挨拶でも交わすかのように小さく手を振って笑顔を見せる。

 

 そんな青年、ファイノンの姿にリンは思わず口を大きく開けてポカンとした表情を浮かべてしまうがすぐさま正気に戻ると、わなわなと胸中の疑問を口にしながら問いただすように彼に近づく。

 

 しかしリンの疑問は尤もなものであった。

 リンから見て目の前の青年、ファイノンという人間は命の危険が伴いホロウ内部で活動する“ホロウレイダー”と呼ばれる存在や関係とは程遠いような人物だと思っていたのだ。

 

 それなりに長い付き合いではあったが、あくまでプロキシとしての“裏の仕事”を挟まないビデオ屋の常連のお客様。時々よくわからない事を口走ったりするが、そんな彼をプロキシ兄妹揃って“一緒にいて楽しい気持ちの良い温和な青年”という程度の認識だったのだ。

 

 そんな彼が自分の目の前で大剣一つで巨大なエーテリアスを吹き飛ばした光景にリンは驚きを隠せない様子。そんな彼女の姿にファイノンはまるでイタズラが成功した子供のように歯を見せて笑う。

 

 

 「詳しい話は後にしよう。聞きたいことがあるのなら後でしっかり答えるよ。けど、ひとまずここは僕に任せてほしい」

 

 「任せてほしいって、そんな……」

 

 「大丈夫! これでも結構強いからさ。店長さんはビビアンと一緒に後ろに下がっててほしい」

 

 

 任せてほしいと言われても簡単に頷くことはできない。

 その言動から腕に自信があることは見てとれたが、眼前で沈黙したままのエーテリアスがどれだけ強力なのかを知っているリンは迷った様子を見せる。

 

 しかしどこか余裕を見せるような姿とその力強い言葉に、ファイノンを信じこの場を任せることにしたリンは固まったように動かないビビアンに肩を貸して安全な場所まで距離を取ろうとする。

 

 ───そこでふと、ファイノンの言葉とビビアンの様子に違和感を感じたリンは2人へ交互に視線を向けて軽い疑問を口にした。

 

 

 「う、うん……あれ? 2人ってもしかして知り合い、だったり……?」

 

 「パエトーン様……それは、その……ッ」

 

 「───その事も含めて後で話そう。もしくは、彼女が君に打ち明けるのを待ってあげてほしい」

 

 

 リンの言葉に、ビビアンはびくりと肩を震わせた。

 だがそれ以上の追求をする前にファイノンが強引に会話を打ち切るように、地面に突き刺していた大剣を引き抜いてエーテリアスに向かってゆっくりと歩みを進めていく。

 

 それから徐に足を止めると、背を向けたまま振り返る事なく言葉を発した。

 

 

 「───ビビアン」

 

 「ッ!……はい、なのです」

 

 「君に伝えたいことがあったんだ。何度か直接伝えようと思っていたけど、なんだか君からは避けられているみたいでそんな機会が中々なかったからさ」

 

 

 その言葉にビビアンは喉を震わせて小さく呻く。

 そんな彼女の姿はまるで叱られる事に怯える子供のようだと、リンには見てとれた。2人に何があったのかわからないが、彼女を傷つけるような一言を発するつもりなら自分が間に立とうと考えながら静かに彼の言葉を待つ。

 

 

 「僕は今でも、あの時と変わらず君を大切な友人だと思ってる」

 

 「っ!!」

 

 「あれは君が気に病むような事じゃない」

 

 

 その言葉に、俯いたままだったビビアンは顔を上げて驚いたように今にも泣き出してしまいそうな表情で瞳を震わせていた。

 

 それだけは分かってほしい、と短く伝えると今度こそ足を止める事なく歩み出す。

 

 視界の先では、意識を取り戻したかのように活動を再開したエーテリアスが、自分に強烈な攻撃を与えた敵に向かって怒りを露わにするように咆哮を上げて大気を震わせている。

 

 それを気に留める様子も見せずに、ファイノンは悠然とエーテリアスへ鋭い視線を向けて愛用の大剣、ヘリオスを握る手に力を込める。敵意はなく憐憫を含めたその瞳が自我などないエーテリアスの神経を逆撫でにし、激情に晒される。

 

 エーテリアスに視線を向けるその瞳が、黄金に変化して輝きを放つ。

 

 

 「さて、悪いが時間をかけるつもりはないんだ……一気に片付けよう」

 

 『■◾︎■■■◾︎◾︎!!!』

 

 

 観測データを通さずとも周囲のエーテルが急激に活性化していくのを肌で感じた。

 

 それはまるで身体中の血液が沸騰したかのように、グツグツと煮えたぎる溶岩の前に晒されたかのような熱に当てられて息苦しささえ感じるほどのプレッシャーだった。

 

 無意識のうちに唾を飲み込み、恐怖さえ感じてしまい足を引いてしまう。

 

 その膨大なエネルギーを、押しつぶされそうな程の威圧感を放っているのが目の前いる黄金の炎に包まれた青年であることはすぐに理解できた。そして()()が何なのかもすぐに理解させられた。

 

 

 「うそ。これって、サクリファイス───っ!?」

 

 「……いいえ、違います」

 

 

 その悍ましいほどの気配と反応に覚えのあったリンは驚愕を隠せない様子でファイノンに視線を向けるが、それを横にいたビビアンが静かに否定した。

 

 あれは自分たちが知るサクリファイスなどではなく、それを越えたもっと別の何かなのだと。そしてそれこそが、かつての自分が彼に悲劇をもたらした故の罪の証でもあると。

 

 高まり続けるエーテル。

 黄金に輝く繭の中で殻を破り、空間を引き裂くように2対のその翼をはためかせて姿を現した───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 

 

 正直言って焦った。

 マジでギリチョンセーフってというか。

 表情にこそ出さなかったが内心は心臓バックバクよ。

 

 いやマジでくそ焦ったんだが。

 ゼンゼロの個人的名シーンを生で拝めるかも、なんてのほほ〜んと遠くからビビアンたちの様子を応援しながら観戦していたんだが、まさかのトラブル発生でパエトーンとビビアンが物語から退場寸前とかいう笑えない場面に思わず介入してしまった。

 

 儀玄先生の仕事のお手伝いというか、こっちの案内を頼まれた時はどうしようかと思っていたんだが一緒にこっちに来ておいてよかったよマジで。

 

 この後の展開としては主人公のプチ覚醒イベント的な感動シーンがある為、パエトーンの成長の為にも手を出すつもりはなかったのだが彼女たちを助ける為にも介入せざるを得なかった。

 

 本当なら影ながら軽いアシストくらいが望ましかったのだが、こうなった以上はウダウダ言ってもしょうがない。パエトーンは前線で戦えないし、それに加えてビビアンもダメージが残ってるのか戦闘に復帰できる様子でもなさそうだ。

 

 現状、この場で眼前のエーテリアス。

 讃頌会のメンバーでありヤヌス区支部前司教ランドンの一人娘であるディナが『サクリファイスを生み出す薬』によって変貌してしまった姿。『ツェペシュ』と呼ばれるエーテリアスの相手を出来るのは俺だけだろう。

 

 介入してしまった以上は最後までキッチリやらせてもらおう。

 

 ……いやしかしゴッツいなこいつ。

 ゼンゼロをプレイしてた時は変身途中のスチルみたいな形態になるかと思ったらなんか想像と違うの出てきたンナ、なんてびっくりしたのが懐かしい。

 

 しかしカッコつけて前に出て来たが、戦闘に関してはからっきしというか全然パンピーで膝ガクブルなので油断せず最初から全力でやらせてもらおう。

 

 

 「───数多の火種の怒りに、この身を焼べよう!」

 

 

 スーパーファイノンモードどーん!!

 ふははは、これで勝つる!!

 

 ……いや痛い!

 これ全身が痛い! この変身に慣れてない、というか。このカスライナモード使うたびに身体中が引き裂かれそうな、肉体が隅々まで()()()()()()()()みたいな痛みと炎に焼かれてるみたいで泣きたくなってくるね!!

 

 いやまぁ、最初の頃と比べて慣れて来たというか()()()()()()というか。だいぶマシになったが、この感覚はどうも苦手だ。この力に関してもなんで使えるのかは知らん、深く考えてもわからんしとりあえず使えるから使ってる。

 

 それはそうと、なんだか視線を感じるのでこっそりそっちに目を向けてみればパエトーン様ことリンちゃんとビビアンがなんだか驚いたような顔と深刻そうな表情でこっちを見ている。

 

 なんか知らんがイエーイ、ピースピース。

 リンちゃんがどうして驚いているのかわからないが、ビビアンの反応に関しては理解できる。どうにもこのカスライナモードだが、サクリファイス関連だと思われている節があるというか妙な勘違いが発生してる気がする。

 

 ま、それも無理はないと言うべきか。

 

 なんだか記憶があやふやだが。

 前世の記憶が戻る前の俺が讃頌会でモルモットコースだったというか、幼女時代のビビアンから『祝福』で人体実験の対象として選ばれ。エーテリアス化した直後に自我が戻りこのカスライナモードの力に目覚めたので変な勘違いが発生してしまっても仕方ないというか。

 

 多分ビビアン視点からしたら『祝福』の真実を知った後で生贄にしてしまった筈の人間が人外になって戻って来た、みたいな感じか?

 

 結果論とはいえ俺は無事だったのと、人体実験のことに関しては讃頌会が悪いので利用されてたビビアンには過去のことはあんま気にしないでほしいんだが。

 

 ……とまあ、ふざけるのもここまでにしておこうか。

 

 

 「その程度か?」

 

 

 感覚が研ぎ澄まされる。

 視界の隅で火花が弾ける。

 

 連続で繰り出されるツェペシュの攻撃を見切り弾き返しながら、ヘリオスによってカウンターの斬撃を叩き込む。ビビアンとの戦闘もあり弱っていたのかは知らないが、エーテリアスの猛攻には勢いが感じられず容易く対処できる。

 

 それに加え速度や膂力ではこちらが優っている為、真正面からのタイマンなら圧倒的にこちらが有利だ。上段から叩きつけた攻撃をツェペシュが両腕で受け止め、衝撃で地面に罅が入り瓦礫が舞う。

 

 

 「ふん…抜け殻がっ」

 

 

 ヘリオスを突き刺し斬り刻む。

 更に鋒から壊滅のエネルギーを流し込み爆発させる。

 

 炎に焼かれる痛みに悲鳴をもらすかのように咆哮上げて動きを止めたツェペシュに接近、翼をはためかせ加速した勢いを乗せた蹴りを叩き込み怯んだ隙に追い打ちの斬撃を連続で浴びせる。

 

 うーん、なんだか一方的すぎるせいで弱いものイジメをしてるみたいでいい気分ではない。

 

 ディナとは面識はなくそこまで深い仲ではなかった為心が痛むというわけではないが、だからと言って相手を痛ぶるような趣味もないのでここは俺の精神衛生上の為に手っ取り早く片付けてしまおう。

 

 

 「往昔の余燼を以って、来世に暁を───ッ!!」

 

 

 背に浮かぶ『世を背負う』火種の紋章を模した光輪を広げて、虚空に波紋を発生させ無数の隕石を吐き出す。ふははは! 喰らうがいい! 逃げ場のない壊滅の隕石シャワーを全身で受け止めろ!ふはははは……あ、ヤッベなんか思ってたよりもデカいの出てきた。

 

 なんかヤバそうなのでリンちゃんとビビアンに壊滅バリア張っとこ。

 

 雨のように降り注ぐ隕石。

 衝撃と爆発による轟音は数十秒ほど絶えぬ事なく続き、隕石が収まった頃にはあたり一面は焦土とも言える更地と化してその悲惨な光景に思わず言葉を失うくらいだった……やべ、鉄墓フィールド使って被害抑えればよかった。ま、まあここホロウ内部だし大丈夫だよねっ!?

 

 浮遊して頭上から自分が作り上げた巨大なクレーターを見下ろす。クレーターの中心で『ツェペシュ』が粒子となり溶けるように消失したのを確認して、警戒を解き武器を下ろす。

 

 おやすみディナ。

 どうか安らかに眠ってくれ、心の中でそう唱えながらゆっくりと降下していき着地する。うん、とりあえず一件落着じゃないかな。そんな事を思いながらリンちゃんとビビアンのほうへ振り返ってみればなんだが表情が強張っている気がする。

 

 ……あっれ〜、もしかしてなんだが怖がられてたりしません?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






・ファイノン(偽)
 パーフェクトイケメン救世主ボディでゼンゼロ世界に生えてきたパンピーなニセノン。讃頌会の出身で幼女ビビアンと交流があったりする。

 前世の記憶を取り戻した当初は『もしや3000万回を越える輪廻に巻き込まれるのでは?』なんて無理ゲー状態に絶望していたがオンパロスではなく新エリー都だった為困惑した。安堵したのも束の間、結局ここもその辺に死亡フラグ転がってる終末世界なのでSAN値を減らしてる。

 一人称は本来『俺』なのだが肉体引っ張られて喋る時は『僕』になってる。性格は基本アホなのでシリアス顔で出てきても内心では(この子の服えっちじゃないか?)とか考えてる。

 実はイタズラ好きで赤い髪と傘が特徴的な妹分がいるとかいないとか。






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