スタレは3.8の情報が公開されましたね。
いやー、オンパロスのストーリーも3.8まで来ましたよ! 鉄墓も倒したし、今度はみんなと一緒に列車で旅に出るお話みたいですね!一気に列車の乗員も増えちゃって、 イヤー、ホントニタノシミダナー!!
ミンナデイロンナトコロニイコウネ!
───加速する。
曇天を切り裂く暁光が、一筋の光が稲妻のように軌跡を遺しながら白い影は火花を散らしてひたすらに加速していく。全身の力が脚部へと集中し踏み締めた地面が砕け、ワンテンポ遅れて突風と轟音が響いている。
呼吸することすら忘れてしまいそうになるほどの剣戟、視界の隅で弾ける閃光は目で追うことは出来ず肌で感じる威圧感を頼りに状況を理解するしかない。
視界の先で白い外套をはためかせながら猛追する剣士の姿とそれを入れ替わりでフォローする師匠に圧倒され、その後ろ姿を目で追うことがやっとと言えるような状況に福福は歯痒い思いを感じながらも、足手まといになるつもりはないと足を止めることなく駆けていた。
風圧が地面を抉り、剣圧が外壁を切り崩す。
(───わかってはいましたけれどここまでなんて、やっぱり
かつて自らの師が言っていた、「正面からの殴り合いじゃ私でも敵わんだろうさ」という言葉が嘘ではなかったのだと身をもって理解させられていた。
あの時は軽い調子で語る師匠の姿と困ったように謙遜する青年の姿に自分もなにをご冗談を、なんて笑いながら話を聞いていたがあれは冗談などではなく真の言葉だったのだと理解した。
戦場を支配する青年からヒシヒシと伝わってくる暴力的なまでの戦意に全身のうぶ毛が逆立ちそうになる。
これでまだ
不気味な輝きと共に司祭の身にまとわりついたミアズマ。常人にとっては触れることすらできない侵蝕物質を操り、瞬く間に眩く燃え盛る武器とその身を守る鎧へと変化させたミアズマの司祭。
それが並外れた力を有していることは福福だけではなく戦闘経験のないプロキシであっても察することは容易に出来た、だがそんなミアズマの司祭を純粋な身体能力と剣技のみで正面から凌駕している青年の姿に驚愕を禁じ得ない。
「始まりの主の意志に逆らうなど、愚の骨頂です…っ!」
「始まりの主の意志だと? そんなもの、世の人々を欺くための口実にすぎない!」
「本当にそうでしょうか? あなた達も見たはずです、理不尽な世界に苛まれ救世を渇望して主の祝福を求める人々の姿を……グゥッ!!」
「それは
黄金に輝くエネルギーを帯びた水墨状のような、玄墨と武術を織り交ぜた攻撃を繰り出す儀玄。そしてそれをカバーするかのように大剣へ輝きを放つ黄金の炎を纏わせたファイノンの斬撃が畳み掛けられる。
即席とは思えない息のあった連撃。
割り込む隙を与えないような攻撃にミアズマの司祭は防戦一方とも見える状況へ追い込まれているが、相手も未だに全力を出し切っておらずこちらも攻めあぐねている状況だと言葉はなくても2人は理解していた。
互いに腹の底を探り合うような様子見の攻防、この状況を打破せんと先に動いたのはミアズマの司祭メヴォラクだった。
「見届けよ…主の祝福を!」
徐に剣を掲げる。
肌を打つプレッシャーが膨れ上がり纏うミアズマのエネルギーが増長していく。
頭上に十字で区切られた丸い模様、蠢くミアズマの殻で形成されたステンドグラスを彷彿とさせる不気味な紋章を展開する。その吐き気を催す穢れの造物が輝きを放つ、周囲の意識が一瞬向けられた瞬間、ミアズマの司祭は目にも止まらぬ速さで突進してくる。
「ッ……避けろ、福福っ!」
(まずッ、はや───!!)
───その剣先が向けられたのは隙を窺っていた福福であった。
相手の動きの変化と奇怪な光景に動揺して足を止めてしまっていた彼女は喉元に迫る刃に反応が遅れてしまう。
「───福福さんっ!」
「え……ッ! ファイノンさ───」
だが、その狂刃が福福を貫く寸前、軌道上に割って入ったファイノンが福福を庇い一撃を受け止める。攻撃を受け止めた大剣に重くのしかかる衝撃が腕に伝わり、擦れ合う刃がギチギチと火花を散らす。
息を入れ、鍔迫り合いとなった相手を膂力で吹き飛ばそうとするファイノン。
しかし、それよりも速く剣を持つ片腕を引き絞られ、増長したミアズマのエネルギーを乗せたメヴォラクの剣戟が重ね合わせるように連続で繰り出された。
瞬時に反撃は間に合わないと判断したファイノン。
故に攻撃に転じるのではなく、冷静に襲い掛かる息を呑むような連撃を受け流し切ることに意識を切り替える。
ミアズマの司祭が繰り出す一撃、一撃が力も速度も先程までとは比べ物にならない程に強化されていた事に静かに目を見開く。受け止める度に吹き飛びそうな程の衝撃が全身に伝わり襲い掛かってくる。
気を抜けば剣を落として膝をついてしまいそうになる絶え間ない連撃、意識を研ぎ澄ませ怯むことなく全ての攻撃を受け止めていく。その表情に焦りはなく、冷静に繰り出される一撃に剣を合わせて撃ち落としていく。
(うおぉぉ、なんとか…なれーッ! あ、やべ腕がぢびれてきた……てかこの戦いって確か儀玄先生の過去のトラウマ克服?みたいなイベントじゃなかったっけ!? 本気でやろうにも俺が勝手にぶっ倒していいのかこれ!!?)
───訂正、実は結構必死だった。
というのも、ミアズマの司祭と儀玄の戦いで起こるイベントが彼女の過去の記憶に隠れた
本気で打ち倒そうと思えば容赦なく叩き伏せることはできるが、それを本当にやっちゃってもいいのかと様子見で手を抜き、加減しながら必死に脳内でどう行動すべきか考えを巡らせていた。
これって割と重要なイベントじゃね?
姉に関する過去の冷たい記憶に苦しむ儀玄の為にもそれをなかった事にするのはまずいのでは、とその苦しみを知る青年はメヴォラクを相手に責めきれずにいるのだった。
「この状況で考え事とは、随分と余裕があるようですね……ッ!」
「ッ!……ぐぅっ!!」
───だが、戦場ではその一瞬の迷いが明確な隙となってしまう。
最後の一撃を捌き切る瞬間、ファイノンの動きを見切ったメヴォラクが攻撃のタイミングを僅かにずらしたことによってファイノンの振り下ろした大剣は空を斬ることとなった。
予期せぬ搦手に思わず目を見開く。
空振りに終わりガラ空きとなった動体へと凶刃が吸い込まれていく直前、もはや肉を切らせて骨を立つ覚悟でカウンターを叩き込もうとするファイノンの前方へ小さな影が飛び込んで来たことによって事なきを得る。
「ふ、福福さん!?」
「うぎぎ……ッ、なんのこれしき! 今度は姉弟子があなたの盾になりますよ!!」
汚名返上と言わんばかりに『虎威』を構えた福福が割って入り攻撃を受け止めた。
火花が散る。
しかし純粋な膂力差からか拮抗は一瞬であり、踏ん張りが効かず背後にいたファイノンを巻き込む形で吹き飛ばされてしまい2人は地面を転がることとなってしまった。
飛んできた彼女を受け止めた青年は地面を滑るように転がりながらも、すぐさま体勢を立て直して剣を構える。
そこへ再び頭上に十字で区切られた丸い模様、ステンドグラスを彷彿とさせる不気味な紋章を展開したメヴォラクが追い討ちを掛けようとする姿を視認し迎撃に移ろうとヘリオスへと黄金の炎を灯す。
───玄墨を纏った影が視界の隅から飛び込んでくる。
「でかしたぞ、福福!」
「ぐ、次から次へと……雲嶽山は往生際の悪い者の集まりなようだ……いい加減身の程を弁えたらどうなんですっ!」
「それはこちらのセリフだ。貴様こそ身の程をわきまえろ……っ!」
「ありがとう。助かったよ2人とも───今度は、僕の番だ!」
高速で繰り出された刺突を、この場へ追い付いた儀玄が術法により弾き返しカウンターの掌底を叩き込んだ。吸い込まれる様に叩き込まれた一撃に、メヴォラクは怯み動きを止めてしまう。
そこへ更に儀玄の背後、死角から飛び出したファイノンが黄金の炎を纏わせたヘリオスを振り上げ、鋭い光波を放ち直撃させるとメヴォラクを一撃で吹き飛ばす。
轟音と共に広がる爆発に土煙が舞い上がる。
やったのか、などととはこの場にいる全員が安易に言葉にすることはなかった。この程度で終わるはずがないと確信にも近い警戒心を抱きながら様子を伺う。
そしてその予想通り、土煙が晴れた向こう側には直撃を喰らいながらも怯むことなくこちらを睨みつけるメヴォラクの姿があった。ダメージこそ喰らっているが、再起不能に至るほどではない様子であり敵意を向け剣を構えている。
「ふ、ふふふ……いまのは少し、危なかったですね」
「どうやら、奴さんはまだまだやる気があるみたいだな」
「まだ倒れないんですか。もー、しつこいですね!」
(あっぶね、やっちゃったかと思った…いやでも、割と頑丈そうだしギア上げるか〜)
そんなミアズマの司祭を視界に収めながら静かに構え直す雲嶽山宗主、そしてしぶとい相手に憤りを見せる少女、内心で未だ健在であったことホッと息を吐く青年と様々な反応を見せている。
不意に、周囲に漂うミアズマの気配が変化したことを察知した。
「雲嶽山…まつろわぬ者どもよ。さぁ…これで終わりにしましょう!!」
「っ!」
───空気が震えた。
ミアズマが活性化する。
脈打つように不気味な輝きが増していく。
広場を囲んでいた凝縮されたミアズマが、メヴォラクの意志に呼応するかのように空中に浮かんでいた球体状の無数のミアズマが司祭の元へ集まり漂うように展開される。
虚空へ伸ばされた手が、ゆっくりと下ろされた。
儀玄たちへ狙いを定めたソレは、容赦なく雨のように降り注いでくる。
凝集されたミアズマによる絨毯爆撃。
ミアズマが天空を覆う光景に、メヴォラクがなにをするつもりなのか察したファイノンは迎撃を選択していち早く前へ飛び出したが、対して儀玄は福福と後方に控えていたリンを守る為に術法による障壁を展開して防御を選択した。
「儀玄先生ッ!!」
展開した障壁ごとミアズマに飲み込まれていき、やがて姿が見えなくなる仲間たちの姿にファイノンが声を上げ救援に向かおうとするがが、頭上から斬り掛かってきたメヴォラクによって意識を引き戻される。
鋼鉄がぶつかり、軋み合う鈍い音。
仮面の奥に隠された素顔と視線が交差した気がした。
「ふふふ……その身に主からの祝福を受けし者よ。なぜあなたは我らの始まりの主のご意志に逆らうのです?」
「讃頌会の掲げる与太話には微塵も興味はないっ。たとえこの身に宿る烈火が壊滅へと導く力であろうと、僕はお前たちを焼き尽くし、そして彼らの前途を照らす為に存在している…!」
「……ふふっ、そうですか。ならばその命が尽きる最後まで、精々抗うといいッ!!」
「師匠!!」
「───……っ!」
背後から悲鳴にも近い声音で名を呼ぶ愛弟子に、言葉を返す余裕はいまの儀玄にはなかった。苦しげな表情で、噛み締めた唇の隙間から小さく息を吐く音だけが聞こえる。
『───儀玄…』
『───あなたは、私やみんなとは違う…』
「黙れ…姉様の声を真似るな!」
『───あなたの才は、みんなを守る武器になる』
『───いずれ私たちより遠くへ…』
「これは、ミアズマの見せる幻だ……!」
ミアズマに包まれた障壁内部。
降り注いだミアズマは形を変えて、押し寄せる濁流のように渦巻きながら障壁を包み込み彼女たちを押し潰さんとしていた。障壁の維持に意識を集中させる儀玄の脳裏には敬愛する亡き姉の声が響き、過去の悲劇とも言える光景が過っている。
その光景から目を逸らすかのように歯を食いしばり、瞼をキツく閉じて圧力を増す悍ましい瘴気の渦に抗っていた。ふと、目を開くとそこは穢れのない真っ白な空間に儀玄は立っていた。
静かに息を呑む。
『───見知らぬ人』
「これも、幻か……?」
『───妹に伝えてほしい』
「あるいは、記憶?」
目の前には背を向けて羽を広げる怪鳥の姿が映る。
どこか懐かしく優しい声音で語りかけてくる、玄墨に象れた黒く大きな怪鳥に亡き姉の面影が重なる。
『───あの子の姉は、偉大でも高潔でもなかったと…』
『今夜、悲劇を止めないと…私の儀玄がエリー都と共に散ってしまう…』
「姉様……!」
『───全ては世のためではなく、あの子のため…。儀玄のため…どうか生きて、それが私たちの約束……!』
儀玄たちがミアズマに飲み込まれてしまった状況。
メヴォラクと斬り合っていたファイノンはもはやここまでかと、物語の流れを無視して自らが全力で外敵を排除するべきかと思案していた。
この世界で生きる人々はプログラムされたキャラクターなどではなく、ホロウに侵される終末世界を必死に生きている血の通った温かな人間たちなのだと。いくら原作知識があろうと、この世界は全て決められた筋書き通りに進むわけではない。
自分が知る結末通りなら、何事もなく終わってよかったと胸を撫で下ろせたかもしれないが以前ビビアンが窮地に陥ったことからそうはならない可能性があると理解していた。
ならば全てが手遅れになる前に自分が決着をつけるべきか。
自分が手を抜かずに力を出し切っていれば救い出せた命を、妥協した浅はかな自分の考えで目の前で失ってしまうなんて、看過することは青年にはできない。
故に、青年は己の持てる全力で敵を排除しようと全身に力を込める。
「グッ…!?」
「悪いが、お遊びもここまでだ……ッ!」
鋭く細められた青年の瞳が黄金に輝く。
陽炎が揺らめき、銀色の髪が金色を帯びて変化していく。
自身に宿る壊滅の力を解放する寸前
───背後で膨れ上がった気配に振り返る。
「ばかな……!」
「っ!……これは、儀玄先生の」
ありえないと言わんばかりにメヴォラクが声を洩らす。
視線の先に存在するのはミアズマの濁流。
穢れの渦を内側から術法による輝きが貫き、強烈な光が濁流そのものを喰らい尽くすかのように飲み込んでいく。
ミアズマが霧散する。
穢れを祓い打ち消した中心に、儀玄は玄墨によって描き構築した
「姉様…こんな形であなたを識り、あなたになるとは」
「私こそが雲嶽山第十三代宗主…───儀玄!」
「世の諸悪を灰燼に帰すッ!!」
金色の光を帯びた黒い翼を背に、堂々とした佇まいに力強い声音で高らかに宣言した儀玄の姿に、どうやら上手く行ったようだとファイノンは思わず小さく笑みを浮かべてホッと胸を撫で下ろした。
そんな彼女の隣へと降り立ち、剣を構える。
「待たせたな」
「問題ないさ、それよりも憂いは晴れたかい?」
「ん?……く、はははっ、全くお前さんという奴は……ああ、もう雲一つないさ」
ファイノンの言葉にポカンとした表情を浮かべた後、笑みを深くして腹を抱えるように笑っていた。
この青年はどこまで見通していたいうのか、だがそんな疑問は彼女にとってはどうでもよく追求するつもりもない。信頼し背中を預けるに値する青年と共に、この戦いに決着をつける為に構える。
「行けるな、ファイノン」
「もちろん。そういう儀玄先生こそ、疲れたのなら後ろで休んでいても構わないよ」
「ふっ、ぬかせ…無用な心配だ。お前さんから労られるほど、やわな鍛え方はしてないさ」
言葉はなかった。
儀玄は軽く跳ねるような動作で静かに地面を蹴る。
次の瞬間、玄墨の翼を広げて加速すると目にも止まらぬ速度でメヴォラクへと接近して渾身の蹴りを放つ。反応の遅れたメヴォラクは回避すら許されず、胴体へと速度の乗った重い一撃を浴びせられ堪らず呻き声を洩らす。
だが瞬時に儀玄の足首を掴むと、剣を振り上げてカウンターの一撃を打ち出そうとする。
しかし、儀玄は慌てることなく掴まれた足を軸に身を捻る。
そして更に、素早い追い打ちの蹴りを顔面へと喰らわせて、怯んで仰け反ったメヴォラクを足場に空中へ飛び上がると広げた翼から玄墨のエネルギーを雨のように降り注がせる。
「ッッ……お、のれ…!」
「手癖の悪いやつだ…そら、よそ見をしてていいのか? キツい一撃が飛んでくるぞ」
「なにを……ッ!!」
───数多の火種の怒りに、この身を焼べよう。
全身の産毛が逆立つような感覚。
バッ、と弾かれたように空を見上げて見れば、儀玄の背後の遥か上空に烈火の化身がその身を変貌させ黄金と鉄紺の翼を広げながら自身を見下ろしていた。
視線が交差する。
「この痛みを、心に刻め───ッ!!!」
呼吸する事すら忘れ息を呑む。
ミアズマの司祭が最後に見た光景は、変貌したファイノンの力に感応して変化した『紛争』の力を宿す巨大な剣が天へ掲げられ、文字通り大地を斬り裂きながら進む刃の一片であった。
難産でした…。
戦闘描写ムズスギィ!
あ、ダイアリンGETしました。
餅も欲しいけど、バンガクせんせーもほしいし、けど瞬光もほしいからどうするべきか絶賛悩み中でござんす。石がないよぉ…!
更新も遅くなってすいません。
体調は順調に回復してますし、「雲霞の行き着く処」も今回で終わりかしら。