パーフェクトイケメン救世主(偽)   作:七夕ナタ

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 お待たせしやした。

 アリアはすり抜けました…!
 クレタとグレースがすり抜け完凸しそうです怖い。嘘だろ、猫又1凸に11号無凸にライカン配布凸を除けば実質無凸なんですけど? 片寄がエグすぎて笑えない。

 ガチで「何だよぉおもおおおまたかよぉおぉぉおおおお」状態ですわ。





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 「それじゃあ、お手並み拝見ね!」

 

 「───ええ、任せて」

 

  

 呼吸を整え、意識を研ぎ澄ませる。

 背後に立つ少女の生き生きとした声に応えるかのように胸の前で剣を構え、鋭い視線と共に眼前に立つセキュリティロボへと剣先を向ける。

 

 まるで騎士を彷彿とさせるようなブレのない凛とした構えと綺麗な立ち姿、僅かに腰を落とした騎士(しょうじょ)は一息で加速して懐へと飛び込むと素早い刺突を繰り出して敵を切り崩す。

 

 その姿に目を見開く。

 

 ───柚葉は剣術への深い知識があるわけでもないが、兄のように慕う人が戦う背中を見た事がある。

 

 あれはいつの事だっただろうか。迷い込んだホロウの中で自分の元へと駆けつけ守るように立ち塞がり、エーテリアスを斬り伏せた完璧に近いその剣術を間近で目に焼き付けた。

 

 ───暴力、と言ってもいいほどの圧倒的なまでの力量によってエーテリアスたちは崩れ去っていき。そして全ての敵を片付けた後で、隠れていた自分を見つけて安心したように表情を崩した兄の姿を今でも覚えている。

 

 その光景を、完璧に近いと言えるほどの剣術を知っている。

 

 それ故に目の前で少女が繰り出すその流麗な剣技は、素人の自分から見ても兄と同じようにきっと絶え間ない研鑽を積んだものだと賞賛できるものだった。彼女の腕前は努力を積み重ねた非の打ち所がない綺麗な剣術なのだと理解した。

 

 軽やかなステップを刻み、振り抜いた風切り音と共に勢い良く吹き飛んでいくセキュリティロボ。やがて事切れたかのように膝をついて動かなくなった姿を見届けると剣を払い、ホッと胸を撫で下ろして息を抜く少女の姿がそこにあった。

 

 その様に、思わず口元が弧を描く。

 ただの世間知らずなご令嬢かと思っていた少女は、戦い抜く為の牙を持つ存在だったのだから。

 

 

 「ひゅー! 箱入り娘かと思ってたら意外と戦えるじゃん!」

 

 「えっと……ありがとう、なのだわ」

 

 

 柚葉は茶化すように笑みを浮かべながら、どこかぎこちない様子で言葉を返す少女……アリスの元へと近づいていき蠱惑的な笑顔と共に覗き込むように視線を向ける。アリスはそんな柚葉の様子にどこか戸惑った様子を見せながらも、彼女なりの賞賛の言葉を素直に受け止めた。

 

 そしてそれを観察していたリンも同じように驚いていた。

 幼い頃からフェンシングとホロウでのサバイバル術を専門に叩き込まれていた、という情報をアリス本人の口から聞いていたが予想以上に腕が立つようでびっくりした。

 

 柚葉に戸惑うアリスの姿を尻目に、自分たちを影ながら尾行していた少女と合流した際のやり取りを思い出す。

 

 

 『わ、私にもオブスキュラの調査を手伝わせて欲しいのだわ! 戻ってからよく考えてみたのだけれど、せっかく調査チームに加わったのに何もできないままだなんて…そんな自分をどうしても許せなくて』

 

 『……ふーん。一応忠告してあげるけど、今のあなたはポーセルメックスに雇われてる身でしょ? どっちつかずなことしてると、碌なことにならないよ……人からどう思われるばっかり気にしてたら、将来何にもできない大人になっちゃうんだからね』

 

 『言い方はアレだが、柚葉はアンタがポーセルメックスに報復されんのを心配してんだ。そうは聞こえねえかもしんねえけどな』

 

 『は、はあ!? 真斗うるさい!……わぷ、ちょ、お兄は無言で頭撫でないでいいから! か、髪が崩れちゃうって……!』

 

 『ねえ、アリス…私たちと一緒に来ちゃって本当に大丈夫なの?』

 

 『……ありがとう。私は大丈夫だから、心配いらないのだわ』

 

 

 柔らかな声音でそう言ったアリスの瞳には揺るぎない決意のようなものが込められていた。真っ直ぐにこちらへ視線を向ける彼女はまるでその決意を宣言するかのように、声高らかに声を上げていた。

 

 

 『ブラックウッド氏は態度こそ強硬だけれど、少なくとも契約は守る人だと聞いているのだわ。私たちのやっていることが今回の安全調査に関わっていなければ、バレたとしても対処する方法はあるはず』

 

『それと、浮波さん?あなたの言葉は確かにもっともだけれど、私がそれに迎合していたら、結局“人からどう思われるか”を気にしていることになるのだわ』

 

 『タイムフィールド家を継ぐ者として、私は自分の選択に責任を持つ…皆さん、どうか心配はしないで』

 

 

 晩餐会で初めて顔を合わせた時や、適当観に助けを求めて来た時のような縮こまったような姿はなく、この自然体こそが彼女の本当の姿なのだろうと輝いて見えた。

 

  

 「柚葉の絡みがダルかったら、シカトしてもいいぞ。リンちゃんも遠慮すんなよ」

 

 「え…そ、そんなことは……」

 

 「ちょっと真斗!それってどーいう意味!?」

 

 「あ、あはは。私は別にそんなこと思ってな……ちょっ、柚葉!? 倒れてる警備ロボを掴んで真斗くんに投げつけようとしちゃダメだって! というか意外と力持ち!?」

 

 「偶に僕と一緒に筋トレしてるから、きっとその成果だね」

 

 「筋トレってすごい……!」

 

 

 柚葉たちのやり取りを側から眺めていたファイノンがこぼした言葉に、リンは驚愕の声を上げる。

 

 取っ組み合いを始めそうな2人の姿に若干遠い目をしている彼だがそれもそのはず、なにせあのガチムチと言っていいほどにガタイも良く膂力のある真斗と華奢な柚葉が全力腕相撲をして中々に良い勝負を出来ている妹の姿が脳裏を過っているのだから。

 

 軽い気持ちで短期間の妹魔改造計画を実施した結果、まさか攻撃力をモリモリに盛ったゴリラタイプ・マイシスターが爆誕するとは思わなかったファイノン。おかげで他の弟妹たちから『柚葉姉ちゃんを怒らせると物理的にヤバい』と苦情にも近い悲鳴混じりの報告が上がっていたりもするのだ。

 

 やはり筋肉、筋肉こそが全てを解決する……!

 なお、自分と腕相撲をした時は兄としての意地に賭けて全力で勝利を納めている。まるでNo.1ヒーローのように拳を突き上げる姿に柚葉に敗れた弟妹たちからは拍手喝采が送られていたりもした。

 

 その傍で「ぐぬぬ〜…!」と本気で悔しそうに視線を向けてくる妹の姿は記憶に新しい。

 

 ───なんて、どこか遠くを見つめるファイノンの姿に何かを察したリン。

 

 きっと突拍子もない思いつきで何かをやらかしたのだろうと。もし仮に、自分が柚葉の機嫌を損ねて怒らせてしまった時はすぐさまファイノンを身代わりにしようと心に決めておく。

 

 きっと彼なら喜んで盾になってくれるはずだ…うん…。

 

 ふと、リンの視線がファイノンの手元へと吸い寄せられる。

 先の戦闘ではアリスの方へと意識が向けられていた為に気が付かなかった。リンはまるで珍しいものでも見たかのように目を丸くして、疑問を口にすると共に彼の持つ武器へと指先を向ける。

 

 

 「……そういえば、いつものあの大きな剣はどうしたの?」

 

 「ん?……ああ! 『ヘリオス』のことかい?」

 

 「そうそう、ヘーリオ…ッじゃなかった!…へ、『ヘリオス』は使わないの?」

 

 「この程度の相手ならわざわざヘリオスを抜くまでもないさ。それにあまりに警備ロボの損傷が酷いと後々の処理が面倒だからね、今回はコイツを使って適度なフォローに回らせてもらうよ」

 

 

 なるほど、なんてファイノンの言葉に納得しながら思わず()()()()()()()()()()()リンは内心で安堵の息を吐いた。

 

 『()()()()()()()()』。

 かつて、今は亡き旧エリー都北部の「ミネルヴァ区」7番通りに存在していた研究施設。どうしてかファイノンが愛用する『太陽の剣』は昔に自分たちが恩師と共に生活していた研究所と同じ名を冠しているのだ。

 

 まさかファイノンはあの研究所と何かしらの繋がりがあったのか、そんな疑問と共にリンはそれとなく本人へ探りを入れてみたが、返ってきた答えは自分が望むようなものではなく疑問だけが残っているような状況だ。

 

 ───そんな思考を他所へと押しやり、ファイノンの持つ武器へと目をやる。

 

 彼の手に収まっているのは、神々しさを感じさせる煌びやかな装飾が施された身の丈ほどの大剣ではなく、派手な装飾もない黒と金のカラーリングで統一されたシンプルなバットだった。

 

 どうやら戦闘用に特注した物らしく、自慢げにバットを掲げるファインの姿にリンは感嘆と呆れ混じりな表情を浮かべている。どうやら彼は自分が思っていたよりも子供っぽいところがあるようだった。

 

 だがしかし、不思議なことにバットを構えて佇む彼の姿に違和感はなく、まるで最初から使いこなしていたかのように馴染んでいて様になっている。

 

 

 「いずれリンが前衛として肩を並べて立つようになったりしたら、その時はこれを貸してあげるよ」

 

 「えぇ〜、私の武器が金属バットっていうのはちょっとなー。どっちかというと私よりお兄ちゃんが振り回してる方が似合ってると思うけど……」

 

 「そうかな? 君がバットを振り回して戦う姿も似合ってると思うけど。それにほら、最近の戦場に立つ主人公(しょうじょ)の片手にはバットが流行りだろう?」

 

 「え、褒められてる気がしない」

 

 「というわけで、僕と一緒に銀河打者になろう!」

 

 「いやならないから……というか銀河打者ってなにさ」

 

 

 バットが似合いそうとは、随分と酷い褒め言葉な気がする。

 というかなぜ女の子の武器がバットなのだろう。もっとこう、他にも選択肢はあるんじゃなかろうか。というか彼が度々口にする銀河打者とはいったいなんなんだ……?いったい私は彼にどう思われているんだ?

 

 なんだか押しが強くキラキラした瞳を向けてくるファイノンの姿にリンは困惑を隠せない。

 

 今の所、自分が師匠たちや他のエージェントたちと共に肩を並べ、バット片手にエーテリアスをしばき回す姿は想像できないので、リンはそれとなくやんわりとお断りの返事を入れておく。

 

 しょんぼりとした顔のファイノンの姿は見なかったことにしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 そんなこんなでやって来ました泅瓏囲!

 

 いやー、この距離を徒歩で…しかも山道を歩いて来るのはとても険しい道のりでしたね! エレベーターを使えばあっという間に到着する距離だっていうのに、それもこれもダミアン・ブラックウッドって奴の仕業なんだ……!

 

 ぐぬぬ、許せねえよな!

 肉体的にというか体力的に長時間歩かされるのは別に余裕のよっちゃんなんだ、何せ高スペックな救世主ボディだからな。だがしかし、それとこれとは別でインドア派の俺には精神的にキツいってばよ……!

 

 泅瓏囲は、言ってしまえば崖の上にある澄輝坪の真下の海辺の存在している居住区だ。なので澄輝坪に設置されているロープウェイのデッキ付近から真下に飛び降りれば、あっという間に泅瓏囲へと辿り着けるのだがそれは流石に出来ないしな。

 

 勿論、真下と言っても澄輝坪から泅瓏囲まで高度はそれなりにあるのだがこのくらいの高さなら別に死にはしない。着地の時に足が少し痺れる程度で済むくらいにはこの救世主ボディは頑丈だ。

 

 だが俺は無事だとしても、柚葉たちはそうはいかないだろう。

 あの高さから落ちればタダじゃ済まないだろうし、大怪我なんてレベルで済めばいい方か。最悪の場合は勢いよく叩きつけられた真っ赤なザクロみたいになってしまう……ヒェ!

 

 とはいえ、この距離を徒歩で行かされるのはもう勘弁していただきたいので、もしもまたエレベーターが使えず澄輝坪から泅瓏囲へ向かうなんて事になれば俺が柚葉たちを順番で抱えて飛び降りるとしよう(真顔)。

 

 こう、地面スレスレで翼を出してふわっと着地すれば良かろう。

 もしくはカスライナウイングでそのまま飛行して、エッホエッホと往復すればいいだろう。

 

 ……いくらシンメトリーきちでも、俺の翼にケチ付けられたりしないよね? アリス嬢視点からしたらカスライナ状態は美しくない左右非対称の対象として映るのだろうか……ちょっと気になるな。

 

 

 「ここが泅瓏囲、素敵な眺めなのだわ……えっと、ファイノンさん? 何か考え込んでいるようだけれど、どうかしたのかしら?」

 

 「いや、もしかしたら近いうちに柚葉たちと一緒に紐なしバンジージャンプをやるかもしれないと思ってね。ところでアリスさんは高いところは苦手だったりするかい?」

 

 「え? その……恐らく問題ないと思うのだわ。どちらかと言うと、見晴らしの良い場所は好きだもの」

 

 「それはよかった、じゃあ問題ないかな。もしその時が来たら、ぜひともアリスさんも楽しんでくれ。スリル満点なのは保証するよ」

 

 「………え?」

 

 

 よっしゃ、言質とったぞ。

 流石はタイムフィールド家のご令嬢だ、アリス嬢は紐なしバンジーの心得もあるみたいだ。安心してほしい、壊滅パワーによる快適で愉快かつ安全な空の旅へとご招待しよう。

 

 ピシリ、と言っても岩のように固まってしまったアリス嬢を視界から外して、泅瓏囲に辿り着いてから海辺の砂浜に座り込んだまま動けずにいるリンちゃんに視線をやる。

 

 どうやら山道を歩いて来て相当バテてしまったらしい。全く、この運動不足のもやしっ子ちゃんめ!……なんて茶化すつもりはない、普通にあの距離の山道を歩かされるのはキツいよね。

 

 ワカルワカル、ワカルヨー。

 

 いや、でも、リンちゃんたちパエトーンの場合だとシンプルに運動してなくて体力無さすぎ問題もあるかもしれんが。

 

 まあ、つい最近までボンプを使って遠隔でホロウ探索をしていた所謂『イスの人』だから、生身でホロウ探索してバリバリに戦闘してるエージェント組と比べるのは酷か。

 

 

 「はぁ…はぁ…や、やっと着いたぁ…! もぉ、むり…山道…長すぎ……!!」

 

 「はは、僕もその気持ちはわかるよ。あの距離を歩くのは流石にしんどいからね。ほら、水でも飲んでゆっくり休んでくれ」

 

 「あ、ありがとう……っんく、ぷはぁー! あー、生き返る〜! はあー、足痛い……うぅ、なんでファイノンたちはそんな余裕そうにしてるのさ」

 

 「それは勿論、鍛えてるからね。それにリンの場合は運動不足が原因ってところじゃないかな。今度アキラくんも誘って一緒にトレーニングでも行くかい?」

 

 「うっ…か、考えておこっかな……!」

 

 

 おいこら、目線を逸らすんじゃありません。

 そのタイプの曖昧な返事は結局なぁなぁなにしてやらないやつでしょうが。

 

 まあキツくても歩き切ったガッツはとても素晴らしいと思いますよ私は!

 

 ここに来るまでの道中、かなりキツそうにしてたので一度抱えて行こうかと提案したのだが、それはそれで恥ずかしかったようで「戦闘の邪魔になっちゃうから!」とそんな理由で断られてしまったのだ。

 

 どうやらお米様だっこはお気に召さなかったらしい。柚葉からも「女の子を相手にそれはない」とリンちゃんを庇うように凄まれてしまった。

 

 な、なぜ?

 この抱え方なら比較的に安全というか楽に人間を運べるので理に適っていると思うのだが、この救世主ボディなら人ひとり背負ったまま武器を振り回すことくらいなんて造作もないぞい。

 

 ───思考を切り上げる。

 ひとまず、休憩しているリンちゃんはアリス嬢に任せて、自分は輝磁の材料を売っていた人を探して聞き込みを行っている柚葉と真斗きゅんの元へと足を運ぶ。

 

 海辺の隅で2人の姿を確認した時、小さな影が勢い良く飛びついて来た。遠慮のないタックルを受け止めながら抱え上げ、クルリと横に一回転しながら優しく地面へと降ろす。

 

 

 「ファイノンにーちゃんだ! 久しぶりじゃん、いつの間に帰って来てたんだよ!」

 

 「おっと、いきなり飛び込んでくるのは危ないって前にも言ったはずだろ?」

 

 「えへへ、ごめんごめん。それよりさ、聞いてくれよ! ファイノンにーちゃんに教えてもらった通りちゃんとトレーニングしてるんだ。背だって伸びたし、ダンテやメローたちよりもずっと力持ちになったんだぜ!」

 

 「おお、やるじゃないか! それならあっという間に、僕なんかよりもずっとすごい人間になれるはずさ。よし、それじゃあ僕との約束も覚えてるかい?」

 

 「もちろんだよ! 男と男の約束だからな!」

 

 「上出来だ。強くなっても、身につけた力の使い方というのはしっかりと考えなきゃいけないからね。それを理解出来ていれば、もっと強い人になれると約束するよ」

 

 

 そう言って笑う小さな子供の頭をわしゃわしゃと撫でてやれば嬉しそうに飛び跳ねている。たったいま飛びついて来たこの小さな子供は泅瓏囲で暮らしている(ユエ)くんだ。

 

 俺は心の中で(ライト)くんと呼んでいる。ヘヘ、ニンゲンッテオモシロ…!

 結構、というよりはかなり前か。柚葉と共に宝栄おじさんの手伝いで泅瓏囲に工芸品の材料集めに何度か訪れた事があるのだが、その際に遊び相手になった事によって懐かれてしまったというか、仲良くなった子供だ。

 

 それにトレーニングと言っても、ちょっとした体力づくりや、某Z戦士というか亀仙流に因んだ『よく動き よく学び よく遊び よく食べて よく休む』といった心身の鍛錬を教えたくらいだ。

 

 だが月くんが鍛錬の効果を実感出来ているのなら、きっとそのうちかめはめ波でも撃てるようになってくれているだろう……多分。

 

 

 「うわ、あの子ってば柚葉の時と態度がまったく違うんだけど……」

 

 「そりゃ、柚葉ねーちゃんは勝負のライバルだからな!」

 

 「あらら、そういうセリフは一度でも柚葉に勝ってから言ったほうがいいんじゃない? 腕相撲も怪談も、あなたの言う勝負は柚葉の方が勝ち越してるもんね〜」

 

 「む……腕相撲は柚葉ねーちゃんがゴリラなだけじゃん」

 

 「よーし、もう生意気な事は言えないように分からせないとだね。まずはいつも通り腕相撲からね、勿論罰ゲームはありだから。いやー、人間のお腹の中にフーセンガムって何個まで入るのか気になってたんだ。あなたもフーセンガムは大好きだから問題ないよね?」

 

 「ひぇ、助けてファイノンにーちゃん。腕力お化けがいじめてくる……!」

 

 「おい柚葉。遊んでねえで、とっとと本題をだな───」

 

 「お黙り真斗。柚葉に負け越してるパピーの癖に口挟まないで」

 

 「───やってやろうじゃねえか!

 

 

 おっと?

 なんか知らん方向でバチバチに飛び火してバトルが始まったぞ? 元気だな君たち、流石は学生組と言うべきか体力は有り余っているようだ。

 

 まあいいや、なんかプライドを賭けた戦いが始まったみたいだから聞き込みは俺のほうでやっておくか。というか我が妹分強くね、真斗きゅんが普通に押されてるんだが?

 

 とりあえず柚葉から離れてこっちの腕の中に飛び込んできた釜之助こと、かまちーの旦那を抱きかかえながら一緒にため息をついておく。へへへ、旦那は今日も毛並みがふわふわでやんすね…!

 

 ポーカーフェイスを維持して、かまちーの旦那の毛並みを堪能しながら月くんへと聞き込みを再開する。

 

 

 「以前、届けてくれた材料の中にこんなものが入っていたんだ。何か見覚えはないかい? もしくはこれを誰が持って来たかわかるかな」

 

 「うーん、ぼくのじゃないな。たぶん、メローか(ファン)おじさんじゃないかな?……あ、そうだ。柚葉ねーちゃんにはさっき話したんだけど、ポーセルメックスの荷物をホロウに運んでたらなぜかそこには輝磁の石が散らばってたんだ」

 

 「それを拾い集めてる時にさ、うちの兄ちゃんが髪の白い女の幽霊を見たんだ!」

 

 「はは、幽霊か。怪談は嫌いじゃないが、僕としては目に見えない霊的なものよりも生きている人間やエーテリアスのほうが怖いけどね」

 

 

 特に讃頌会(おまえ)

 あいつら何やらかすか分からんもん。次点で()()とかもしれん。だって原作でもあの人、謎が多すぎて全然情報ないんだもん。直接話した事あるのも数回程度で、まだ腹の底も見えない感じだし。

 

 以前、虚狩り云々のお誘いを仄めかすお話を受けたが……なんか怪しかったのでパスしたのよね。というかそんなお誘いをされる程の功績だって俺にはない、ただでさえ俺自身が厄ネタまみれだろうからそんなポジションについて目立ちたくない。

 

 それに俺が相手を警戒してるように、あっちも俺の事警戒してるように感じるし。まぁ、俺としても首輪つけられて飼い慣らされるのは御免被りたいのよね。

 

 しかし、白い女の幽霊か。

 うっすらとだが、覚えてる気がする。

 

 

 「そいつは真っ白な髪をした女で、鳥みたく金色の羽が生えてたんだ! それだけじゃない、黒い襤褸を纏って不気味な仮面で顔を隠してるらしいんだ!」

 

 

 へー、そうなんか。

 

 ……ん、何それ初耳なんですけど?

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 先日、閃ハサを見に行きました。
 宇宙世紀のMSなら私はクスィーが一番好きかもしれん。
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