パーフェクトイケメン救世主(偽)   作:七夕ナタ

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 な、なんだか思っていたよりも評価されてビビってます。
 完全に見切り発射で投稿していたのでプロットなんてないです。ないんです!とりあえずプロット組みながらというか組み直しながらちびちび執筆してます。

 
 それではこれにて失礼(義勇感)





02

 

 

 突然だが俺は童貞だ。

 大事な事だからもう一度言おう、俺は童貞だ。

 

 おいおい、いきなり何ぶっちゃけてるんだよyou。なんて思われてしまうかもしれないが、悲しいことにこれは否定しようがない事実なのだ。

 

 恋愛らしい恋愛もしたこともなく、童貞を捨てることなく大事に抱え続けていつの間にか現世とはさよならバイバイだった。前世と今世の年齢を合わせれば大魔法使いにジョブチェンジだってできるかもしれない。

 

 前世では何が死因だった、とかはよく覚えてない。

 なんかそこらへんの記憶は薄れていってるというか靄が掛かったようにあやふやだ。というか正直言って自分の死因なんてどうでもいい、という感情の方が大きいかもしれない。

 

 だってそれを思い出したところで今更どうこうできるわけでもないし忘れてるってことは俺にとってそれはたいした記憶じゃないってことだろう。

 

 ただ後悔があるとすれば童貞のまま死んだことくらいか。

 前世ではやりたくてもできなかった様々な事を今世ではチャレンジしていきたいと考えた事もありスポーツや勉学、その他の何やらに手を出してみたのはいいが、いかんせんこの救世主ボディ高スペックがすぎて割と簡単にこなせてしまい達成感がないのだ。

 

 別にそれは悪いことではないんだが、なんというかこう、納得がいかないのだ。他にチャレンジできることは何かないか、頭を捻りながらあやふやな記憶を探り思考を回している時にふと思い出したのだ。

 

 ───俺って童貞じゃんと。

 

 つまり何が言いたいかというと恋愛がしたい、そして童貞を捨てたい。

 

 死亡フラグの方から走って襲いかかってきてもおかしくない終末世界だが、この世界の住人所謂原作キャラは可愛い子ばかりでお近づきになりたいなんてムフフな邪な思いが芽生えてきてしまったりもする。

 

 自慢じゃないが俺の顔面偏差値は高い方だと自負している、なにせパーフェクトイケメンの救世主ボディだ。ナンパや恋愛のハードルだって下がるだろう……だがしかし、逆に考えてみればいやそれって無理じゃね?なんて思い始めてしまっている。

 

 そう、あの救世主ボディだ。

 なにが言いたいかというと、他人の身体で恋愛したりするのはちょっと謎の抵抗感があるというか。それは解釈違いだわ〜、と妙な感覚がどうしても残ってしまうのだ。

 

 今でさえ時たま普段生活してるタイミングで救世主ボディに『手足長ッ!?』なんて違和感覚えたりするのに……あと中身は童貞パンピーなのでそういう展開になっても日和っちゃうね。

 

 まあぶっちゃけると色々諦めているが彼女ほしいというのが本音ですけどねはい!

 

 

 「……どうして女の子の買い物って長いんだろうな」

 

 

 ───なんて、そんなくだらない事を現実逃避のように頭の片隅で思考しながらぼんやりと目の前の光景を眺めていた。

 

 現在の時間帯はもうすぐお昼時といったところか。

 そして現在地はヤヌス区の中心に位置する商業地帯ルミナスクエア。この新エリー都の中でも特に繁栄している場所の一つ。

 

 治安局ルミナ分署、HIAキャリアセンターなど港湾部でもあるため、貨物船やフェリー等が往来している……らしい。以前購入したガイドブックにはそう書かれていた。

 

 『ゼンゼロ』をプレイしていた時もストーリーやイベントでもよく訪れていた画面越しに見慣れていた光景が視界に広がる。

 

 だがしかしこの世界に転生して数年以上は経つが、買い物なんて手近な場所で軽く済ませてしまうタイプだったのであまりこういった場所には訪れないのでちょっと落ち着かない。

 

 

 「ふっふ〜ん。よし、それじゃあ次の行き先はあっちの大きいモールだからね!」

 

 「……え゛嘘だろまだ買うのかい? もう十分なくらい買い漁ったというか、もう僕の両腕は荷物で塞がってるんだけど」

 

 「もぉ〜、なんで女の子とのデート中にそういうこと言っちゃうのかなぁ。そんなだからモテないんだよファイノンはさ」

 

 「うぐっ……、やめてくれそれは普通に効く」

 

 

 目の前で楽しそうに笑う我が妹分の言葉が、まるでタイタンを貫く鋭利な刃のように突き刺り胸をえぐってくる。止めてくれカカシその術はオレに効く止めてくれ。

 

 ちゃ、ちゃうねん。

 別に彼女なんていつでも作れるけど今は独り身を優雅に楽しんでるだけだもんね〜、なんて心の中で涙目になりながら見苦しい言い訳を唱え足取りの軽い妹分に置いてかれないように速度を上げて隣を歩く。

 

 そんなこちらの心中もお構いなしに鼻歌でも歌い出しそうな妹分。いったいどれだけ散財するつもりだというのか、ここまでの出費はこちら持ちだというのに。まあディニーなら腐るほど、とは言わないがそれなりに蓄えがあるので構わないのだが。

 

 なんて思いながらもボリューミーな赤い髪のおさげを揺らしながら、表情をコロコロ変えて楽しそうに歩く彼女の姿にこちらもつられるようについ笑みを浮かべてしまう。

 

 あらやだ妹分が今日も可愛いザマス。

 これにはお兄ちゃんもニッコニコですわ。

 

 

 「()()

 

 「ん? なになに〜?」

 

 「……いや、ちょっと呼んだけさ」

 

 「え、なにそれ……もう、ほらさっさと行こうよ!」

 

 

 ───浮波柚葉、それが彼女の名前だ。

 

 休日には衛非地区に存在する実家の輝磁工芸品店『奇々解々』の看板娘として店のお手伝いをして、普段は学生寮で過ごしながら企業アカデミーに通う高校生。

 

 後のストーリー展開で衛非地区に住む犬のシリオンの青年とタイムフィールド家のご令嬢である兎のシリオンの少女たちと共に『怪啖屋』と呼ばれるグループを結成するメンバーの1人。

 

 簡単に言ってしまえばメインストーリーに主要人物として登場する重要な原作キャラだ。まあ、今のところは大のイタズラ好きな高校生といったところか。

 

 なぜそんな彼女がこんな所にいるのかと言うと、衛非地区に俺の活動拠点兼隠れ家が存在するのだがそれとは別で最近このヤヌス区近辺で手頃な物件を紹介され手に入れたのだが。

 

 そしてそれを何処からか聞きつけた我が妹分がこうして度々遊びに来るようになったのだ。多分、口を滑らせたのは宝栄おじさんあたりだろう。

 

 

 「じゃあ、ほい。次はこっちの服ね」

 

 「いやいや、僕じゃなくて君が欲しい物を選びなよ。それに僕は今のところ着る服には困ってないし、買うとしたら弟妹たちのお土産を選んだ方がいいんじゃないか」

 

 「そんな事言ってファイノンってばいつも似たようなコートばっかりでしょ。元の素材は良いんだからちゃんとオシャレしないと勿体無いって。それにお土産は後で見るから」

 

 「えぇ……よし、それならちょっと服を何着か選んでくるからここで待っ」

 

 「───それはダメ。どうせ変なクソダサTシャツ選んでくるんだから、大人しく柚葉にコーディネートされててよね。ほらこっちの上着も似合っててかっこいいじゃん」

 

 「クソダサ……っ!?

 

 

 こちらの様子を気にも止めない柚葉から何着か服を手渡されて試着室に押し込まれる。

 

 な、なんとも辛辣なお言葉である。

 可愛い顔してなんて事を言うのだこの妹分は……!俺の持っているコレクションたちの何処がクソダサいと言うのか。

 

 あの良さがわからないとは全くもって遺憾である、これにはいくら大切な妹分であろうと考えを改めるまでは徹底抗戦も辞さない覚悟だ。

 

 確かに最初こそ俺もダサいと思っていたが、なんかこう日々に自分の()()()()()()()()()()というか惹かれるようになってきたのだ。断じて俺のセンスが壊滅的というわけではないはずだ。

 

 しかしなんということだろうか、これが俗にいう反抗期というやつなのか。

 

 ほんのちょっと前までは『お兄ちゃん!』なんて俺の後ろをテクテクと小動物にようについて来ていたというのに……ぐぬぬ、兄貴分として妹分の成長を喜ぶべきなのだろうか。

 

 ……思い返してみれば、この子とも結構長い付き合いになるかもしれない。

 

 あれはいつだったか。

 俺が前世の記憶を取り戻して、この世界のあれこれを自覚して行く当てもなくブラブラしてたくらいの時か。

 

 なぜか讃頌会の奴らに目をつけられ、一種の逃亡劇を繰り広げていたのだ。多分だが俺の力の事をサクリファイス関連だと勘違いしてるっぽくてサンプル的な感じで狙われてるみたいだ。

 

 んでそれも限界が来たというか、相手するのも面倒になって来たのでそれならこっちから赴いて潰してやろうと行動していた。

 

 讃頌会のそれっぽい施設や構成員を見つけてはバトってスーパーファイノンモードで隕石を降らして更地にしていた。どれだけ潰しても色んなところから湧いてくるのであいつら害虫か何かだと思ってる。

 

 一仕事終えルンルン気分で歩いていた時に海辺で倒れている彼女を見つけたのが始まりというか、それが邂逅といったところか。

 

 彼女を見つけた時はもちろん動揺した、それと同時に既に救えない命もあったのだと痛感した。できる事なら彼女の『命の恩人』を助けたいとは思っていたがそれはできなかった。

 

 その後に彼女を養子として迎え入れてくれたり、行く宛のない俺のことまで気を使ってくれる宝栄おじさんには感謝してもしきれない。

 

 おかげで俺もこんなに大きくなりました。チュッ!

 まあ悩みがあるとすれば顔とガタイが良すぎるくらいかな!

 

 

 「ありゃりゃ、だいぶ暗くなって来ちゃったね。お夕飯どうしよっか?」

 

 「え、そうだな。家の冷蔵庫に材料が余ってた筈だから適当に炒飯とかサラダでも作って済ま……ん? 待ってくれ、まさかと思うがこっちに泊まるつもりなのかい」

 

 「えー、当たり前じゃん。今から澄輝坪まで帰るってなったら着く頃には朝になっちゃうよ」

 

 「いや、急げばそこまで時間は掛からないと思うけど」

 

 「そ、れ、に、柚葉ってば1日歩き回って疲れちゃったし、まさかとは思うけどこ〜んな可愛い妹が困ってるのに今から帰れだなんてそんな酷いことお兄ちゃんは言わない、よねぇ?」

 

 「……はぁ、宝栄おじさんに連絡は?」

 

 「それならもちろん大丈夫! ちゃんと泊まってくるって伝えてあるし明日は学校お休みだからね!」

 

 「ははっ、随分と用意周到じゃないかこやつめ」

 

 「ちょ、いひゃい、いひゃい! 柚葉のほっぺが取れひゃうってばあ!!」

 

 

 おいこら。

 イタズラ大成功と言わんばかりの笑顔を浮かべる柚葉の頬を引っ張る。彼女が遊びに来た時は妙に大荷物を持って来たなとは思っていたが、どうやら手の込んだ計画的犯行だったようだ。

 

 それならそうと最初から伝えてくれてればこっちも色々と準備できたというのに。てっきり俺はお土産買ってバイバイだと思ったから、迎え入れる準備なんかは出来てないんだが。

 

 大事な事を伝えずに隠していた罰としてちょっと強めに頬を引っ張っておく。だがしかし、困ったことに俺はこの後ちょっとだけ用事があるのでそちらへ出かけなければならないのだ。

 

 その事を伝えると、柚葉はヒリヒリと赤くなった頬に手を当てながら不思議そうに首を傾げていた。あらやだ可愛いじゃない。

 

 

 「え、ファイノンって友達居たんだ」

 

 「……なるほどね。どうやらイマイチお仕置きは効果なかったみたいだ、この際だ詳しく話し合おうじゃないか我が妹分」

 

 「じょ、冗談に決まってるじゃ〜ん。そ、それなら柚葉は先に戻ってようかな〜っと」

 

 

 なんて事を言い出すのだこやつは。

 そりゃ俺だって個人的な付き合いのある友達の1人や2人くらいいるっての……いや、大丈夫だよね? 向こうからは知り合いの友達、なんて思われてたりしないよね。

 

 ひとまず、『うげ』と逃げるかのように走り出そうとした柚葉を捕まえて家の鍵を渡しておく。家の鍵もないのにどうやって我が家に入ろうというのかね……え、合鍵持ってるって? いつの間にそんな物を手に入れていたんだ貴様。

 

 

 「ああ、それなら()()()()()お姉ちゃんも持ってたよ。この前遊びに来た時にお願いしたら柚葉の分もくれたし」

 

 「え、サラッと凄いこと言わなかったかい? たった今僕のプライベートが消し飛んだんだけど……!?」

 

 

 去り際にとんでもない爆弾を落とされた気がするンナ。

 いや、確かに()()()には他の地区にある使ってない拠点なんか自由に出入りして良いとは言ったが、まさか合鍵を複製されてるどころか俺の知らない所でトレードされていたなんて知りもしなかったんだが……!!?

 

 ひとまず、柚葉を見送ってから用事を済ませる為に目的地である『とあるビデオ屋』へ向かう事にする。

 

 そのとあるビデオ屋というのはもちろん。伝説のプロキシである我らがパエトーンが新エリー都ヤヌス区の六分街に店舗を構える個人経営のレンタルビデオ屋『Random_Play』だ。

 

 ビデオを借りに何度かお邪魔したことはあったが、今回はそうではなく別件だ。

 

 というのも前回ホロウ内でリンちゃんとビビアンと顔を合わせ『ツェペシュ』との戦闘に介入した後、リンちゃんはまだ慣れない生身によるホロウ内部での活動による疲弊、ビビアンは戦闘による負傷などを考慮して詳しい話は『ゆっくり休んでからまた今度』という形で一旦お開きとなっていたのだ。

 

 そして今回、向こうからお呼びが掛かり招待されたのでちょっとしたお話をする事となったのだ。と言っても俺個人としては話せることはあまりないというか、どう説明したものかと言った感じなので少し困ってる。

 

 

 「いっそのこと、儀玄先生から教わった術法の賜物ですって言って乗り切るか……? パッションで押し切ればなんとか」

 

 

 しかしあの人どこをほっつき歩いてるんだが。

 案内を頼むだけ頼んで用事が済んだからさっさと帰ったとかないよね?

 

 難しい話は正直言って苦手なのでご勘弁を、と言った感じだが主人公くんちゃん達に呼び出されたとあっては断るにも断れないので行くしかない。

 

 恐らく今回の当事者であるビビアンやヒューゴ、モッキンバードの面々やそれからヴィクトリア家政のライカンさんなんかもいるんだろうなと予想できる。

 

 それは構わないのだが、ヴィクトリア家政の雇い主である『メイフラワー家の現当主』。この新エリー都の市長は劇中でも謎が多い人物でもあり俺の知識でも知っている情報は少ない。

 

 完全に信用できるかもわからないので、あまりこっちの情報はホイホイ流したくないという気持ちもある……()()()は俺とお話ししたいみたいだが。

 

 

 「……まあ、行くしかないか」

 

 

 こうなったらなるようになれの精神で乗り切ろう。

 それはそうと、ついでにモッキンバードのリーダーことヒューゴにはサインを強請ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 柚葉可愛いよね。
 でも柚葉エミュむずかちい…。
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