パーフェクトイケメン救世主(偽)   作:七夕ナタ

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 ビビアンお前水着衣装来るんか?
 つまり柚葉アリスビビアンで水着パーティ組めって事なんだな!


 リュシアガチャ引きまくって水着ゲットした後に、真斗も脱がせればいいってことですね!





04

 

 

 

 ───ああ、これはいつもの夢だ。

 

 この夢を見るのも随分久しぶりな気がする。

 

 ふわふわと意識が沈んでいくような感覚。ぼんやりと浮かんでは消えていく泡沫のように俺の意識は記憶の奥底へと引き摺り込まれ、最後は波に飲まれて見えなくなっていく。

 

 徐々に手足の先へと血が通って行くように暖かな感覚と共に、自分が地に足を付けて立っている事を自覚する。まるでホロウの中へと入ったかのような眩暈に近いものを感じながら意識が鮮明になっていくのだ。

 

 ゆっくりと目を開けば、そこは自分にとっては馴染みある()()()()光景が広がっている。朽ちかけた建造物に飛散する瓦礫の山は、まるでホログラムのように透けていて肉付けされていないデータの骨組みであることが理解できた。

 

 原初の聖地と呼ばれる『創世の渦心』。

 

 自分は今そこに立っていた。

 ここに来るのは何度目だろうか。俺が前世の記憶というものを認識して、あの終末に包まれた世界で生活する内に気がつけば俺は度々この夢を見るようになっていた。この肉体にとっては切っても切り離せないであろう繋がりがある特別な場所の夢を。

 

 何かに引き寄せられるように階段を進む。

 中央には水盆が飾られ、壁面には12の火種の星座に灯された輝き。天蓋の星空のように輝く光の渦。そこには幻想的で息を呑んでしまう美しい光景が広がっていて……そして俺はその光景が苦手だった。

 

 階段を登り進めていくと、この空間にあるものはそれだけではないと気付かされるからだ。俺の記憶の中にある『創世の渦心』の姿とは異なり、この場所は目を背けたくなるくらいに痛々しい姿をしているのだ。

 

 長い階段を進んでいく、登り切って漸くこの空間の全てが見通せる。

 

 焼けるような熱と濃密な死の匂いがした。

 

 冷たい数字の羅列によって構成された世界。

 実体はあるものやホログラムのように半透明な一面の床。そしてガラス張りのようなオブジェクト越しに透けて見える、床の向こう側には埋め尽くさんばかりに積まれた夥しい程の骸の数々。

 

 眩暈がする。

 吐き気に襲われる。

 

 

 「悪趣味な空間だ……」

 

 

 その骸の全てが傷口からその身に流れる『壊滅』の祝福を受けた黄金の血を垂れ流し、全身で浴びるように体躯を汚してこの渦心の海を黄金の血で染めていた。

 

 『永夜の帳』

 『公正の秤』

 『万路の門』

 

 『晨昏の目』

 『堅磐の脊髄』

 『満たされた杯』

 

 『黄金の繭』

 『万象の座』

 『分裂する枝』

 

 『飛翔する幣』

 『天罰の矛』

 『暗澹たる手』

 

 (ぼく)の記憶の中に焼きついた黄金裔たち。

 

 屍山血河、とでも言えばいいのか。

 それぞれの権能と火種をその身に引き継いだ『半神』である英雄たちが無惨な姿で倒れ伏す光景がそこにはあった。それはきっと、3000万に及ぶ『徒労』の果てに築かれた悲惨な末路。

 

 その骸の全てが、力を失った光のない瞳で『僕/俺』を見ている。

 

 

 「目を逸らすな……ってか? でもそうでもしなきゃ、やってられないだろ」

 

 

 誰に聞かせるわけでもなく、独り言のように呟きながら体を引きずりながら歩みを進める。

 

 ああ、気が狂いそうになる。

 ジワジワと心が蝕まれていく、一刻も速くこの夢から覚めなければならない。でないと、きっと俺はこの夢に呑み込まれてしまう。その為にも俺は『創世の渦心』を進んでいく。

 

 全身に絡みついてくるような彼らの視線に気がつかないフリをしながら。いやほんとやめてください、下手なホラーよりも全然怖いです。今にも動いて足掴んできそうだもん。

 

 やがてこの空間の中央へと辿りつく。

 そこには本来ならば火種を返還する為の水盃が存在するのだが、目の前にある水盃は叩き壊されたかのように砕け散っていて見る影もない。

 

 そこには、ギリシア語で「太陽」の意味を持つ大剣がまるで墓標のように突き立てられていた。鼓動し続けているかのように熱を帯び、剣先から黄金の血を滴らせ小さな血溜まりを作っている。

 

 

 「───久しぶりって言うべきか……()()()

 

 

 突き立てられたヘリオスを引き抜き、肩越しに振り返る。

 

 気がつけば、そこには全身を黒衣で包んだ仮面の剣士が悠然と立っていた。

 

 彼こそがこの夢の世界の賓客にして、3355万336回に及ぶ火負いの旅に身を投じて自らを灰になるまで燃やし尽くし旅の果てを見届ける為に歩み続けた存在、『フレイムスティーラー』が俺の背後に立っていた。

 

 

 「この夢も3ヶ月ぶりくらいかな。こうして顔を合わせるのそれくらいだか……それはお前にとっても同じような感覚なのか?」

 

 

 黒衣の剣士は答えない。

 ただ沈黙を貫き、仮面の奥底からこちらをジッと見つめている気がする。返事もなく薄い反応に苦笑を浮かべてしまいそうになるが、別に彼と俺は仲良くお茶をしながら駄弁るような仲でもない。

 

 なにせ俺が()という存在を一方的に知っているだけだ。

 

 不気味なほど沈黙に包まれた空間だったが、不思議とそれが嫌だというわけではなかった。

 

 

 「……なら、始めようか。やられっぱなしってのは(おれ)も嫌いでね、そろそろアンタから一本取って寝覚めを良くしたいと思ってたんだ」

 

 

 何度かこの夢を見るように、こうして彼と戦うのも初めてではない。

 

 元々俺は前世では大した取り柄もなく、戦闘経験なんてこれっぽっちもないパンピーだったが……あの終末世界で剣を握りエーテリアスや敵対エージェントと命のやり取りをする為の技術や戦闘経験値を稼ぐことが出来たのはコイツの存在が大きい。

 

 何せ最初の頃は毎晩のように夢に現れては幾度となく戦り合う羽目になったのだから、それも一部の抵抗も許さないくらいに一方的に叩きのめされ続けた。

 

 最初こそビビり倒して逃げ惑う一歩だったが、ある時を境に吹っ切れたというべきか『なんで俺がビクビク後悔して逃げ回らなくっちゃあならないんだ? 』という康一くんメンタルバリに逆ギレしてやり返したのが始まりだ。

 

 そのおかげで戦闘の勘というのも鍛え上げられ、この身に宿る力の使い方もそれなりに理解は出来た。

 

 だとしてもスパルタ方式過ぎて何度も逃げ出したくなったが、そんなことはできなかった。なにせ、この夢から目覚める方法は一つしかない。

 

 ───三日月を模した形状の儀礼剣。歪な形に変化する程に磨耗したもう一本の『太陽』の剣先が向けられる。そして、それに応じるように俺もヘリオスを構えて彼に向き直る。

 

 

 『「この身を薪に…次の輪廻の暁を…燃やそう……ッ!」』

 

 

 意識したわけでもなく、俺の口から自然とその言葉が紡がれた。

 

 地面を蹴り、瞬時に駆け出す。

 後手に回るつもりもない、ヘリオスに黄金の炎を宿して斬り掛かる。

 

 うおおお、先手必勝じゃぼけええ!!

 

 しかし、先手を取り先に仕掛けた筈の俺の身体は容易く押し込まれ吹き飛ばされていた。地面を転がりながら息を整えようとして───ゾクリ、と全身の産毛が逆立つような感覚に襲われた。

 

 

 「っ……!」

 

 

 余計な思考を削ぎ落とす。

 ただ全力で警鐘を鳴り響かせる本能に従い、山勘混じりで剣を振るう。

 

 ───鈍い剣撃音が響く。

 

 それが功を奏した、というべか。

 気がつけば背後に立っていたフレイムスティーラーの攻撃を、ギリギリで剣を割り込ませる事で俺の首は地面に転がる事なく繋がっていた。

 

 しかし安心したのも束の間、奴の片手に持った儀礼剣が追い討ちを掛けるように振るわれる。暗い輝きを放つその刀身には目を見開いて焦った表情を浮かべる俺の姿が反射している。

 

 

 「グゥ……! お、おおおおおおっっ!!」

 

 

 回避も間に合わず肩が切り裂かれる。

 

 大きく裂かれた傷口は熱を持ち、栓を抜いたみたいに噴き出た()()()()がホログラム状の床を汚して血に染める。慣れぬ激痛に涙が出そうになるが、それでも怯む事なく反撃の刃を振り翳す。

 

 だがその一撃は容易く受け流される。

 

 正直に言ってこいつに勝てるとは思っていない。

 だがそれでもやられっぱなしは性に合わないというべきか、今まで散々ボコボコにされて来たのでいい加減やり返してやりたいという気持ちが痛みと恐怖を凌駕する。

 

 だがそれでも、どれほど剣を振るってもその刃が彼に届くことはない。

 

 どうしたって埋まらない実力と戦闘技術の差が俺とフレイムスティーラーの間にはあるのだ。長い年月の末に研かれた完璧に近いその剣技の前では俺の持つ剣技など、容易く封じることの出来るおままごとのようなものだろう。

 

 故にこの()()は必然だったと言える。

 抵抗できたのはほんの数分、切り結ぶ事すら出来なかったと思われる。

 

 気がつけば握りしめていたヘリオスを弾き落とされ、俺の身体はフレイムスティーラーの手によって地に足が届かない程の高さまで持ち上げられていた。首を締め付ける手を振り解こうにも、どれだけ足掻こうとビクともしない。

 

 やがて彼の持つ歪な黒い剣の剣先が向けられる。

 その刃は寸分の狂いもなく俺の胸を貫き力を失った体躯は宙へ掲げられる。

 

 

 「───ァ、ぁ」

 

 

 痛みはない。

 いや、胸を貫かれた痛みを知覚できないだけかもしれない。

 

 視界が霞んでいく。

 傷口から湯水のように真っ赤な血が流れ落ちていき、衣服を染めて直すかのように汚していき胸を貫く黒い剣から赤い雫が滴り落ちていく。

 

 そしてこの身から流れ落ちていく鮮血は、徐々に彼らと同じ()()()()()()()()()()()()()

 

 それはまるで身体の内側から俺という存在作り変えていくかのように、『黄金の血の祝福』が全身へ浸透していき痛みと共に力がこの身に馴染んでいくのだ。

 

 この夢の結末はいつも同じだ。

 こうして俺がフレイムスティーラーに敗れて、現実の世界で俺は目を覚ます。毎度のことだが、全く持って寝覚めが悪い朝になる。なにせ目が覚めても暫くは身体中の傷の痛みや胸に穴が開いた感覚が残っているのだから。

 

 ああ、全く持って腹立たしい。

 

 毎度毎度、完膚なきまでに叩きのめされる自分の弱さが。彼の、英雄の優れた肉体に魂を宿しながらその力を十分に活かすことのできない自分の無能さが───そして何より、どこか()()()()()()()()()()で俺に視線を向ける仮面の剣士の視線が……いや、もしかしたらそれは俺の気のせいかもしれないが。

 

 とりあえず、次は絶対に勝つ。

 喋る力も残ってないので、その仮面に血を吐きつけて中指を立てておく。

 

 ───お前まじ許さねえからな、これめちゃくちゃ痛いんだぞこのヤロー。次会う時はあれだ、執拗なくらいに金的を狙ってやろう。二重の意味で2度と立つことができないくらいに蹴り入れてやるからな覚悟しとけよマジで。

 

 そして俺の体は光の粒子となって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 ───ゆっくりと意識が覚醒する。

 朧げな意識で記憶を掘り返す。

 

 いま自分が居る場所は『雲嶽山』が衛非地区に所持する拠点『適当観』だ。

 

 数時間前にラマニアンホロウを抜けてここに辿り着いた。

 それから『適当観』に所属している個性的なお弟子さんたちに挨拶を交わした後、俺は貸し与えられた部屋で眠気に襲われて惰眠を貪っていたのだった。

 

 リンちゃんは儀玄先生や姉弟子さんたちからこの『適当観』の説明だったり、ビデオ屋やプロキシとしての仕事道具の荷解きで時間が掛かりそうだしちょっとくらいいいかなんて横になったが……まさかガッツリ眠ってしまうとは。

 

 やらかしたな、なんて思いながらベッドから体を起こす。

 

 それと同時に幻肢痛のような鈍い痛みに襲われてつい顔を顰めてしまう。胸に手を当ててみれば勿論そこには胸を貫かれた傷跡などはなく、ただ心臓が鼓動する感覚が手のひらから伝わってくるだけだ。

 

 しかし怪我がないというだけで、実際に胸を貫かれた痛みと感覚は残っているのだ。あの時は死に体だったというか、アドレナリンがドバドバだったから痛覚が機能してなかったというか。

 

 夢から覚めて現実に戻った時はいつもこの感覚に襲われるのだ。

 

 そのおかげであの夢を見た後はいつも寝覚めが悪いのだ、ほんと許さねえからなフレステさん。気持ちよくゆっくり寝させてください、せめてアポ取ってから殺しに来て。

 

 おろろ〜、マジでちょーいてぇー。

 ほら見ろよ、痛くて涙出てきたよ。あーやだやだ、中身は一般ピーポーなんだから手加減してくだちい。ほんと勘弁してくださいよ〜。

 

 わァ……ぁ……、なんてなんか小さくて可愛い生き物の泣き真似で内心ふざけていると。

 

 

 「───ファイノン大丈夫……!?」

 

 「え……っ」

 

 

 いつの間にかそこには我らが『パエトーン』こと新人修行者のリンちゃんが部屋の扉を開けてこちらを覗き込んでいた。

 

 いつから居たのだろうかお兄さん全く気が付かなかったよ、気配遮断上手いね君……いや俺がボケっとして気が付かなかっただけか。

 

 しかし何をそんなに慌てているのか。

 どこか焦ったような、いやこちらを心配そうに固い表情で見ている。だがなぜなのか見当が付かず首を傾げてしまう。それはそうと、年頃の女の子がそんな簡単に男の部屋に入って来ちゃいけませんよ。

 

 

 「あれ、どうしたんだい店長さん?」

 

 「どうしたって…それはこっちのセリフだよっ! 呼びに来てみたら返事はなかったし、それに何だか魘されてたみたいで心配になって」

 

 

 おっと、もしかしなくても俺が悪い感じかなこれは。

 魘されてたとなるとその原因は容易に浮かぶ。十中八九、夢の世界でフレステくんとやりあってたからだろう。いやアイツの所為じゃねえか、あんだけボコボコにされればそりゃ魘されますって。

 

 しかしここで変に誤解されるわけにもいかない。

 正直に『夢の中で黒衣の剣士にボコボコにされ串刺しにされてました〜』なんて言えるわけもないので、適当に誤魔化すしかないだろう。

 

 リンちゃんに嘘を付くのも申し訳ないが、ここは適当観の名の通り俺も適当にやらせてもらおう。

 

 

 「はは、なんだか余計な心配をさせたみたいだね。そんな顔しなくたって大丈夫さ。ただ夢見が悪かっただけだからね、僕にとってはいつものことさ」

 

 「夢見が悪いって、なんか怖い夢でも見ちゃったってこと?」

 

 「そっ…れは…うん、そうだね。ちょっと昔のことを思い出しただけだよ。ほら、店長さんだって経験したことあるだろ? 例えば子供の頃苦手だったものが夢に出て来たり……みたいな」

 

 「……うん。そう、かもね……ねえ、ファイノン…その…」

 

 

 おっと、なぜか妙な手応えだ。

 割と上手いアドリブ入れられたんじゃないかな。なんて思っていたが、なぜかリンちゃん表情は更に硬くなってしまった。え、なんでぇ?

 

 高スペック救世主ボディとはいえ俺はエスパーではないのでリンちゃんが何を思っているのかはわからない、が彼女の表情は何か言いたげだがそれを言葉にするべきか悩んでいるように見えた。

 

 ど、どないしたん?

 言いたい事があるならハッキリ伝えてくれた方が俺としても非常に助かるのだが……? 待つこと数秒、しかし彼女の口からは言葉は出てこず無理に問いただすようなことでもないかと判断して、話題を変える為にもリンちゃんがここに訪れた理由を聞いてみる。

 

 

 「そういえば店長さん、さっき僕を呼びに来たって言っていたけどどうかしたのかい?」

 

 「え?……あ! そうだった!実は───」

 

 

 どうやらTOPS傘下の特殊開発企業『ポーセルメックス』、その衛非地区における最高責任者であるにダミアン・ブラックウッドなる男がこの『適当観』に現れ接触して来たとのこと。

 

 儀玄先生はメイフラワーからの依頼でラマニアンホロウの調査を頼まれているのだが、ダミアン曰く今のラマニアンは特殊な状況にあるらしくホロウ内部の生産エリアにはポーセルメックスが所持する輝磁関連の設備があるようで……ホロウには立ち入らないようにと釘を刺されたらしい。

 

 しかしポーセルメックス社が輝磁採掘を主導している輝磁生産エリアでは事故が起きたようだが、その事を問い詰めても煙に撒かれダミアンはくれぐれも立ち入らないようにと忠告して去って行ったみたいだ。

 

 何やら怪しい気配を感じた儀玄先生たちは、ホロウ内であった事故と労災の事などを現場の労働者たちへの聞き込みを行おうとしていたところらしい。

 

 それでも俺もその聞き込みのお手伝い、ということか。

 

 

 「なるほど……ありがとう、状況はだいたい把握できたよ。それなら僕にちょっと考えがあるんだけど、いいかな?」

 

 「うん、もちろんいいよ! それでファイノンの考えって……?」

 

 「考えと言っても、別にそう難しいことじゃない。ちょっとした友人に話を聞きに行こうと思って、()は僕と違ってこの辺りでも交友関係が広いからね。きっと有益な情報がゲット出来るはずさ」

 

 「それってつまり、これからファイノンの友達に会いに行く…ってこと?」

 

 「ああ……どうかしたかい?」

 

 「え? いや、たいした事じゃないんだけど、あまり自分の事は話そうとしないから。ファイノンの友達って言われると珍しいっていうか、どんな人なんだろうなー、って思ってさ」

 

 「はは、それは僕ってあまり友達が居るような奴に見えないってことかな? 酷いな店長さん、悲しくて僕は胸が張り裂けそうだよ」

 

 

 突然、リンちゃんから繰り出された悪意のない言葉の暴力に襲われる。なんてこったクリティカルヒットだ、俺の心は硝子のように耐久なのでもう少し繊細に扱ってほしい。じゃないとお兄さん泣いちゃうぞ。

 

 そんな俺の反応に、リンちゃんは慌てふためきながら身振り手振りで必死に弁明しようとしている。あらやだ、この主人公かわいい。

 

 

 「ええ!? べ、別にそういう意味で言ったわけじゃなくて! ただ本当にびっくりしただけっていうか、それにほらファイノンってなんだか()()()()()()みたいに感じるっていうか……」

 

 「え? 別にそんなつもりはなかったんだけどな……一応参考までに聞いてみてもいいかな? 誤解されたままじゃ僕もやりづらいからね」

 

 「……んー、何て言うんだろう。偶に距離を感じるって言えばいいのかな、それ以上は踏み込んで来ないし踏み込ませてはくれない、みたいな。それにほら、ファイノンってばいつまで経っても他人行儀な感じだもん!」

 

 「な、なるほど。なんだか不快にさせてたみたいだね。これからは気をつけるよ店長さん」

 

 「ほら! それだよそれ! 私には堅苦しい呼び方じゃなくていい、なんて言ってたのに自分はずっと店長さんなんて呼び方してるしさ!」

 

 

 おっと、思ったよりも遠慮なしにザクザク刺してくるなこの娘。

 

 お、俺としては親しき仲にも礼儀あり、って感じで丁度いい気楽な距離感を保っていただけだったんだが……どうやらそれがお気に召さなかったようだ。

 

 ムッとした表情を浮かべて『この際だから色々言ってやろう』という気概を感じられる様子だ。

 

 

 「い、いや、これは僕の癖みたいなものっていうか……」

 

 「よし、じゃあ今から私のことはリンって呼んでね! 店長さんなんて他人行儀な呼び方はもうダメだからね」

 

 「……はぁ、わかったよリン。これでいいかい?」

 

 「そうそう、そんな感じでいいよ!」

 

 

 こちらをジッと見つめる視線に耐えかねて彼女の要望に応える。

 

 今度こそお気に召してくれたようで、名前を呼べば手を叩いて嬉しそうに笑っている。もしかしたら彼の兄上にも同じような事を思われているかもしれないので、今度会った時はアキラくんも名前で呼んでみるとしよう。

 

 しかし流石は天然人タラシなパエトーン。

 これまでいったい何人のエージェントたちを堕として来たのだろう。そのつよつよコミュニケーション能力は是非とも見習って行きたい所存だ。

 

 そんなこんなで、リンちゃんと共に俺は友人から何か情報が聞けないかと探しに行くとする。この時間帯ならバイト帰りで出くわせる可能性だってあるし、もし無理なら妹分から要件を伝えてもらうか俺がスマホで連絡して呼び出そう。

 

 ()はビビアンと同じでバイト戦士の気配を感じるから、そう言った人脈や交友関係は俺よりもずっと広いはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 心象映画イラスト妄想して遊んでました。
 ファイノンは完凸するとカスライナ状態で脱いでくれますよねきっと。

 評価、お気に入り、感想、ここ好きなどありがとうございます。誤字報告もとても感謝しております。
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