感想、評価、ここ好き、お気に入り登録、いつもありがとうやで。大変励みになっておりやす、誤字報告も助かってます、気がつかないうちにそんな誤字してたんかと毎回驚かされますわ。
……オンパロス、終わっちゃった。
しばらく引きずるというか、ロスっちゃうよね。まぢむり…(泣
ストーリーは普通に泣いた。
オンパロスの愛の光ってな、13色あんねん。
今回ちょっと時系列が飛んでるというか、原作と流れが変わらず短いシーンで組み込みにくいなと思ったシーンだったのでちょっとカットしてまうます。
適当観での半居候生活にも慣れてきたこの頃、現在はパンさんの美味しいお昼ご飯でお腹を満たした後の食後のおしゃべりタイムといったところだ。束の間の平穏というやつだろうか。
ちょっとしたイレギュラーもありここ最近は慌ただしかったのだが、僅かでものんびりと過ごせる時間というものはどんな時でも有り難いものだ。
まあ、この束の間の平穏が嵐前の静けさにならなければいいが……実を言うと、あのヲタクくんことロアの野郎が自爆特攻を仕掛けて来やがった事件から既に1〜2日程度の時間が流れているのだ。
え、自爆特攻喰らって大丈夫だったのかって?
あったりめえよ! まあ爆発の威力高すぎてお気にのコート吹き飛んだけど、あのヤロウぜって〜許さねえかんな。讃頌会に殴り込みに行って弁償させてやるって心に誓った、高かったんだぞあのコート。
軽い怪我程度だったが、火傷や白いコートが
特出すべき点もないので省かせてもらうが。
あの後の出来事といえば、狂人自爆特攻を喰らったあと衛非地区に戻ったタイミングで俺の数少ない原作知識通りに、讃頌会の儀式によって初期の『解悩水』服用者が一斉に侵蝕症状を発症する事件が発生した。
こちらもイレギュラーはありつつそれらを無事に乗り切ったのだが、現在はちょっとした問題ごとが発生していた。
「あ、あの〜……」
「おっと、みなまで言わさるな福姐。
「確かに福福さんの言わんとしてることは理解できているつもりだよ……けど、解決方法まで求められても僕が力になれるかどうかはわからないかな。こういう時は兄妹水入らずでアキラくんが適任じゃないか?」
「実は既に僕のほうでもリンに話を聞いてみたんだが、どうにもはぐらかされてしまってね。何かを思い悩んでいるようだが、わからず終いのままこの通りさ」
「うぅ〜……でも、流石にこの状況を見て見ぬフリは姉弟子としてできませんよ!」
「わかっているさ。それはきっと、みんな同じ気持ちだからね……あ、ところで3人ともお茶のおかわりはいるかい? ついさっき、紅豆さんからブレンドした茶葉をもらったんだ」
「クンクン……わっ、いい香りですね。えへへ、いただきます!」
「ははっ、そう言ってもらえるならあの人も喜ぶだろう。それなら少し待っていてくれ、儀玄先生やリンの分も用意して僕のほうからもリンにそれとなく話を聞いてみよう」
「おお! それなら、おれは茶菓子の用意でもするとしようか。先日買い出しに行った時のがまだ残ってた筈だからな」
「確かに、美味しいお茶やお菓子なんかはリラックスするには最適かもしれないな……あ、僕も手伝うよファイノンさん」
原作では儀玄先生と適当観のみんなで力を合わせ、とある術法で衛非地区にいる住人たちを救う場面があるのだ。
このシーンは印象深かったことも含めて、それから初めて見た時は「うお!なんか火影たちが十尾と戦ってた時のやつみたいでカッケェ!」と前世で読んでいた少年漫画のような技に興奮していたので、割と色濃く記憶に残っている。
そしてこの出来事や一連の流れも、概ね原作通りだった。
ただ原作知識と違う点を挙げるとすれば、この物語の中心人物であり主人公であるリンちゃんが事件の最中
あとは、儀玄先生の術法に干渉してミアズマに壊滅のエネルギーをぶつけて打ち消したことで負担を軽減させたくらいか。
この世界では、恐らく選択式だった主人公ポジはアキラくんというよりもリンちゃんがメインとして位置しているのだろう。これまでのパエトーンとしての活躍を聞いたり調べたりする感じ、目立つ行動をしているのはリンちゃんのほうだ。
そして、本来の流れならば適当観のメンバーたちと共に協力して儀玄先生の術法の儀式を成功させる為に行動している筈だったのだが……事件の最中に彼女の意識が戻ることはなかった。
それも丸一日は意識を失ったままだった。
原因は何かと考えれば、思い当たるものはやはりロアの自爆に巻き込まれた所為だろうか。爆発の影響でミアズマの汚染があったとはいえ、俺が咄嗟に庇った事もあり特に外傷もなく容体も安定していた筈なのだが。
うーん、やはり変にミアズマに汚染されたのがよくなかったのか?
俺は別に専門家でもないから詳しい知識があるわけでもないので、断言は出来ないがそれくらいしか予想がつかない。
───それにリンちゃんが目を覚ました際に、なんだか彼女の様子が変だったことも不可解なのだ。というかこれが一番の問題かもしれん。
彼女の意識が戻ったと報告を聞いて様子を見に行ったのだが、俺を見るなり悲痛な表情を浮かべて今にも泣きそうな様子を見せて来るもんだから訳が分からずこっちが焦ったもん。
いきなりどうしたのか聞いてみたが、ぎこちない様子ではぐらかされてしまったので答えは分からず終いだ。うーん、何もかもがわけわかめ状態だ。
彼女の様子をもう一度確認してこのぎこちない空気をどうにか解消しなければならん。なんか避けられてる気もするし、主人公に距離を置かれるのは悲しくて泣いちゃうよ。
他の人たちにはそこまで、といった感じだが俺が相手だとそれが顕著になるせいでみんなからは2人の間に何かあったのではと心配されてしまっているくらいだ。
とりあえず、誤解を解く為にも問題解決に行きますかァ!
……なんでか知らんけど、完全に俺が相談役として特攻する役目になってるし。後ろ振り返ってみればさっきまで一緒にお喋りしてたみんなが壁から顔を覗かせてサムズアップ向けてきてる。
仕方ねえ、一肌脱ぐとしますか!
よっしゃ、行くぜ。ノックしてもしもお~~~し!
「やぁ、リン! いま時間は大丈夫かい。君とお茶でもと思ってお菓子なんかも用意したんだけど、一緒にどうかな?」
「へ?……っ、うん。それならありがたくもらおうかな」
「ありがとう。それじゃ、お邪魔させてもらうよ」
あっぶね。
拒否られてたら普通にショックで寝込んでたよ。女の子にお茶のお誘いするなんて中々ないし、ハードル高いんだから正直言って勘弁してほしいがどうにかやりきるしかない。
リンちゃんが使って居るお部屋へとお邪魔させてもらい、彼女の部屋にあった小さなテーブルの上へと用意しておいたお茶とお菓子を並べていく。
こういう時、女の子用に何を用意すれば正解なのかわからんが、お茶は飲茶仙のふぉんどーちゃんからもらった物なので味は確かだろう。あの子とも普段から仲良くさせてもらってるし、こういった贈り物はありがたいことだ。
ひとまず準備は整ったので椅子へと腰を下ろしてリンちゃんに視線を向ける。
「急な訪問なのに、無理を言ったようですまない。実は───」
「───ううん。ファイノンがここへ来た理由はなんとなくわかってるから、寧ろ私のほうが謝るべきというか……やっぱり、ここ最近の私ってちょっと様子が変だったもんね?」
「いや、別にそれを責めるつもりはないんだ。ただアキラくんや福福さんたちも君を心配していて、僕だってそうさ。君さえよければ話を聞かせてくれないかな、もちろん無理強いをするつもりはないよ」
どうやら、俺がここへ訪れた目的はバレていたようだ。まあ聡い彼女なら、このタイミングで現れた相手の考えていることなどお見通しだろう。
だが最近避けていた相手を追い出す真似をせずに、こうやって部屋の中まで受け入れてくれたということは彼女の中で一通り整理がついたということだろう。
ならば自分はリンちゃんが話を切り出してくれるまで待つのみだ……あ、このお茶おいしい。
「───ねえ、ファイノンの家族って……故郷ってどんなところ?」
「へ?……僕の家族や故郷についてか、随分と急な質問だね」
「うん、ちょっと気になっちゃって……」
質問の意図を汲めず首を傾げてしまう。
よくわからないが、これって答えたほうがいい感じのやつか? いやまあ隠すような事でもないんだが、聞かせても気持ちのいい話でもないような気がするが……うーん、まぁええか。
なにやら必死に答えを求めている様子だし。
「僕の生まれ故郷はなんの変哲もない郊外にある小さな村だけど、辺り一面が輝いて見える金色の麦畑がとても綺麗だった事を今でも鮮明に覚えているよ」
「そして父さんや母さんも厳しいところもあったけど、どんな時でも背中を押してくれた暖かくて優しい心を持った立派な人たちだった。そんな2人を僕はいまでも誇りに思うよ」
「っ!……そっか、そうなんだ。優しいご両親だったんだね」
この言葉に嘘偽りはない。
俺が生まれ育った環境や故郷は
もちろん、その幸せな生活が崩れ去った結末も似通ったものだ。
両親も仲のいい友人たちも暗黒の潮の襲撃ではなく、発生したホロウによって全てが変貌して奪われたという些細な違いがあるだけだ。並行同位体あるある的な感じか。
……いや、俺の生まれ育った、というのは少し正しくないかもしれない。これは俺の記憶ではなく、前世の記憶が戻る前の俺……この肉体の持ち主である空白な少年の記憶だ。だから俺にとっては記憶というより
恐らく俺という存在は、この空白な少年と前世の記憶である異物、個の存在が上書きされたのではなく、意識的には二つの記憶と存在が統合されてアンバランスな形で生まれたような存在だだろう。確証こそないが、なんとなくそう感じている。
どういうこっちゃねんという感じだが、簡単に言えばカカ○ットとベ○ータが合体してベ○ットが誕生したみたいなもんだ。どちらも俺ではあるが、正確にはどちらも別人というか……説明難しいな。
……まあ、自分自身のことで色々と怪しいところや不明な点もあるが深く考えたところで答えがわからない以上は俺もいまはこれで納得するしかない。俺というイレギュラーな存在は自分でも説明できる点の方が少ないのだから。
「けど、どうして急に僕の過去なんかを……?」
「それは……ファイノンに伝えなくちゃならないことはあるというか。それを伝えた上で謝らなきゃって思って……」
「よくわからないけど、それはどうしてだい?」
「───ミアズマに汚染されて意識を失っている時に、ファイノンの過去の光景を覗いちゃったというか、ミアズマの見せる幻の中にファイノンがいたんだ」
「……え!?」
……What's?
えっと、なんだって? 俺の過去を覗いちゃったってどゆこと? なんかよくわからんが、適当観にはミアズマを祓う術法の中にそういうのがあるとかそんな感じなのか……? それを俺相手に使っちゃたとかそういう話ですかね。
いや、いやいや、ちょっと待とうか。
過去を覗かれるには別にいいんだが、プライベートで何かやましいことがあるわけじゃないし。けどそれとは別で問題はあるだろう、
え、俺が救世主ムーブしてる頭のおかしいパンピーってバレちゃったってコト……!?
そんな俺の焦りを感じとってか、リンちゃんは慌てた様子で身振り手振りを交えながら説明してくれる。あらやだかわいいじゃないの、あざといわねこの子。
「えっと、過去を覗いちゃったと言ってもそんなガッツリ全部を見ちゃったとかじゃなくてね!? なんかこう、断片的な感じでぼんやりと見えて来たというか、それでファイノンの故郷のことも知って……」
「はは……
な、なるほど?
リンちゃんの言動や様子から察するに、幼少期の思い出を見られちゃった感じだろうか。だとしたら最近の挙動不審な感じにも納得はいくというか、いきなり村が一つ滅ぶ光景なんて見せられたらあんな反応にもなるだろう。
守りたかった村の人間全員が化け物へと変貌して、空白な少年が自身の無力さと残酷な現実に慟哭を漏らしながら剣を振るったんだ。
そんな滅んだ村でただ1人の生き残ってしまったが人間が目の前にいるわけだし気まずくもなるもんだ。だがしかし、どういう原理で俺の過去を覗いちゃったんだ?
「師匠が言うには、ミアズマの浸蝕に当てられるとその人の温かな思い出と美しい過去の記憶が呼び起こされて幻影を見せられるみたいなの。美しい夢に囚われて自分の意思では抜け出せなくなるって」
「温かな思い出と美しい過去……そういうことか、ミアズマにはそんな厄介で趣味の悪い浸蝕症状があったのか」
「うん。師匠はそのことを知っていたから、解悩水とミアズマが繋がっているってすぐに結びつけられたみたいで。実際にその通りだったみたいだし」
ほえ〜、ミアズマ怖っ……。
ミアズマにあてられた人間は、温かな思い出と美しい過去の記憶が呼び起こされその幻影に囚われてミアズマの浸蝕から抜け出せなくなってしまうらしい。とんでもなく恐ろしい上に趣味の悪いトラップやでこれ。
だとすると“俺”にとっての温かな思い出と美しい過去、それに当て嵌まるのが幼い頃の故郷の記憶ということなのか。だとしても、なぜその温かな過去の幻影とやらに故郷が滅びゆく様が映し出されたのか?
リンちゃんは言葉こそしなかったが、その結末を見届けているのは明白だろう。
「実は師匠にミアズマの浸蝕を祓ってもらった時、師匠もミアズマに触れて君に記憶の断片を呼び起こされたみたいで……冷たい残酷な記憶が見せられたって。状況はファイノンとよく似てたみたい」
「となると、もしかして儀玄先生も僕の過去を?」
「ううん。ファイノンの記憶の断片が見えたのは私だけみたいで、師匠はファイノンのことについては何も言ってなかったよ」
謎は残るが、まあええか。リンちゃん自身もよくわかってないみたいだし。
俺も別に不幸自慢がしたいわけでもないし、自分の過去をひけらかすつもりもないので、よくわからん無自覚テロをリンちゃんのみで抑えられたとポジティブに考えることにしようか。
「───ねぇ、ファイノン」
「ん? どうかしたのかい、まだ何か僕に聞きたいことがあるならできる限りで答えるけど」
「……んー、やっぱナシ! なんでもない! あはは、なんだかごめんね? ファイノンや姉弟子たちにも変に気を遣わせちゃったみたいで。うん、もう大丈夫だから心配しなくていいよ!」
「はは、君が謝ることじゃないさ。寧ろ僕の不注意が事の発端だ、僕がもっと気をつけていればこんなことにはならなかったからね」
「いやいやいや! 私が変に突っ込んだ所為だから、ファイノンは悪くないでしょ。それに誰が一番悪いのかって言えば元はと言えば讃頌会が悪いんだからさ!」
「……確かに、それもそうか」
何はともあれ、リンちゃんのメンタル? を回復できたみたいでよかった。病は気からともいうし元気100倍状態が一番だ、それにこれで俺も周りから変に誤解されることもなくなるだろう。
「それじゃ、アキラくんや潘さんたちには僕から色々と伝えておくよ。急にお邪魔して悪かったね、リンも僕の過去なんかのことは気にせずに接してくれると嬉しいかな……ああ、それとみんなも心配していたから元気な姿を見せてあげてくれ」
「うん、わかった。後でお兄ちゃんたちにも顔を見せに行くよ、私はちょっとだけ纏めたいラマニアンの資料があるからもう少しだけ部屋に籠って作業してるね」
「そうか。僕はそういった機械にはあまり詳しくないから、リンやアキラくんのような君たちプロキシの技術や知識には助けられているよ。あまり根を詰めすぎず頑張ってくれ」
「もちろん、わかってるって……あ、さっきのお茶美味しかったから後で休憩するタイミングでまた持って来てくれると嬉しいかも!」
「え? はは、わかった。それなら頃合いを見てまたお邪魔させてもらうよ」
リンの言葉にファイノンはポカンとした表情を浮かべた後、どこか嬉しそうに柔らかい笑みを浮かべて片付けた食器を片手に部屋を去っていく。
白い外套に身を包んだ青年の遠ざかっていく後ろ姿を眺めながら、リンは部屋の扉を閉じると自分が適当観で生活するようになってから使用しているベッドへと背から倒れ込む。
その表情は先ほどまで談笑していた時とは違い、どこか暗く重たい憂いを帯びた表情を浮かべていた。
もちろん、彼女の胸中にあるのはついさっきまでこの部屋にいた銀髪の青年のことについてだ。胸の中で渦巻く感情は不安や後悔、自分は彼の前でいつも通りに笑えていただろうかという、仄暗いものだった。
頭の中を整理するように、ぼんやりと天井を眺める。
彼の過去は自分が思っていたよりも想像以上に残酷なものだった。故に今の彼の姿が痛々しくも見えてしまう、彼の分け隔てのない優しさは後悔や懺悔から来ているものでもあるのかもしれないと。
「
まだ幼い頃の少年と
青年がこの部屋を訪れた際、先の会話でリンはファイノンに
最初に見えた光景は、燃え上がる小さな村、焼け野原と化した麦畑、
次に見えたのは、“力を渇望し行く当てもなく、フラフラと幽鬼のように彷徨いながら、憎悪に突き動かされ飲まず食わずでただ
“だがどれだけ強大な力を手にしようと、既に守ろうとした者たちはおらず、自らが作り出した焦土の上で怪物と化した少年は喜ぶこともできず呆然と立ち尽くしていた。”
それがファイノンという青年が今に至るまでの道筋。
だがそれとは別で不可解なものをリンは垣間見たのだ。
靄がかかった視界の中で見つめ続けた、ファイノンにも儀玄にも伝えていないこれは彼女だけの隠し事。
気がつけばリンは不思議な場所に立っていた。
人の気配もなく温もりも感じさせない、冷たくて無機質な荒れ果てた不気味な墓所のような空間。
視界の先には黎明を求める青年は走っている。
無我夢中で、何かを振り切るかのように、何かに突き動かされるかのように、ただ一点を見つめて息を切らしながらも走り続けていた。
やがて足を止めた青年は憎悪を込めた瞳でヒビ割れた天蓋を睨みつけている。その隙間から覗き込む
ノイズが掛かったように、リンはそれを視認することはできなかった。
『覚悟はいいか? ■■■■!! お前に壊滅をくれてやるっ!!』
その直後、青年の孤独な戦いが始まった。
栓を抜いて溢れ出して来たかのように現れたエーテリアスのような怪物たちを相手に、ファイノンは剣を構えて走り出して突撃していく。ただ1人で視界を覆い尽くすような群勢を相手に斬り込み進んでいくのだ。
苦痛と怒りに飲まれた怪物が解き放たれたかのように、ファイノンは全てを焼き払い嗤いながら剣を振り敵を斬り刻む。息を呑んでしまう光景だった、黄金の返り血を浴びながらも猛進していく姿は恐怖すら覚えてしまうくらいだ。
だが、そんな青年の猛進も突然現れた
『ぐっ、ぬぅああッ!……くっ、はっはは───ッ!!』
その身を変貌させ、黄金と鉄紺の2色の翼を広げて
凄まじい剣戟の応酬を繰り広げる激しい戦闘を目で追うこともできず、瞬く間にファイノンの翼と片腕は白い怪物に斬り落とされてしまう。
翼を失ったファイノンは地面へと叩きつけられ地に伏せるが、夥しい程の骸の上でボロボロになりながらも立ち上がると牙を剥いて怪物へと喰らいつこうとする。
だが激闘の末に彼はその身を剣で貫かれ、自分自身を劫火で燃やし尽くしたその体は崩壊していき底の見えない暗闇へと落ちてナニかに呑み込まれてしまった。
これがリンの見た不可解な記憶。
ミアズマに汚染された彼と共鳴した彼女だけが知る記憶の断片、だがこれが本当にミアズマが見せた過去の記憶なのかリンには説明も判断もつかず、ただの幻覚だと言い聞かせて胸の中へと仕舞い込んでいる。
もしもこれがファイノンの過去の記憶ではなく、自分でも理解し得ない『涙で不幸を予知できる』力を持つ少女のように何かしらの力で見えた
あれが優しい青年の末路などと、信じたくはなかった。
「って、ダメダメ! こんなにしょぼくれてたらまたお兄ちゃんたちに心配されちゃうって、それにファイノンも過去の事は気にせずに接してほしいって言ってたんだから! 私が変に気にしてたらきっと失礼だもんね……よし、とりあえず師匠たちに顔見せに行かなきゃ!」
自らの頬を張り気合を入れ直したリンは部屋を飛び足して、この2日間ほど心配をかけてしまった仲間たちに謝りに行こうと足取りを軽くしてみんなが集まっているであろう玄関の方へと足を運ぶ。
どうかあの青年が幸福な道を歩めますようにと願いながら。
───だがリンも気づいていなかった。
ファイノンの過去の記憶の断片を覗き込み、夢から目覚め意識が薄れていく中、外部から干渉した自分を暗闇の中から黒衣の剣士が仮面の奥で眼光を輝かせ見つめていたことを。
補足というかちょいネタバレというか。
中身はパチモン、ガワは
今回リンが覗いたの
まあでも鉄墓に統合に倣って、ゼンゼロの今後の情報次第で始まりの主に統合されるニセモノンはやるかもしれないですけど、なにせ完璧な器ですしおすし。
ニセモノンのカスライナモードは『EvolutionKing』なキングフォームみたいなものなので……使い過ぎたら血の色も存在も変わっちゃうよねというお話。多分今はまだ変貌率3割くらい。