下拵え 休息 その7
ゾンビの化物を倒したカワサキはそのまま崩れ落ち、病院へと緊急搬送された。私とユメ先輩も同行したが、そこで医者のオートマタに聞かされたのは予想外の言葉だった。
「体力を極端に消耗しています。あと数分運び込まれるのが遅かったら死んでいました」
後数分遅ければ死んでいた……その言葉に私もユメ先輩も言葉を失った。そこからは良く覚えていないが、気がついたら私とユメ先輩はカワサキが眠っている病室にいた。自分で移動したはずなのにその道中を私は全く覚えていなかった。
「目を覚まさなければ植物状態を覚悟してください」
医者に言われた目を覚まさなければ植物状態になる……その絶望的な言葉が脳内をずっと繰り返していて、自分の行動さえ私は覚えていなかった。
「……ユメ先輩。私は間違ってなかったですよね? 下がれって言った私は間違ってないですよね?」
あの化物は間違いなく瀕死だった。カワサキがトドメを刺さなくても私のロケットランチャーで倒せた筈だ……だから下がれと叫んだ私は絶対に間違っていない筈だ。
「うん。間違ってないよ、私でもそうした」
「じゃあなんでカワサキは私の言葉を無視したんですか?」
なんで私じゃなくてユカリの言葉を聞いたのか、私は間違ってない。死に掛けているのに化物に挑んだカワサキも、その背中を押したユカリの方が間違っている筈だ。
「……む……んん? なんだ点滴? 病院か?」
私は間違ってない、自分に言い聞かせるように、そしてユメ先輩に肯定して欲しいと思っていた時にカワサキが意識を取り戻した。
「カワサキさん、大丈夫ですか!? ホシノちゃんナースコールッ!」
「は、はいッ!」
ユメ先輩の言葉に頷き、ナースコールを押すと数分の内に医者達が駆け込んできて、大丈夫というカワサキをストレッチャーに乗せて病室を出て行った。
「……死に掛けてたのか俺」
「そうですよ!? 本当に手遅れ1歩、いや半歩手前って言われて……目を覚まさなければ植物状態って言われて私もホシノちゃんも凄く怖かったんですよッ!!」
病室に戻って来たカワサキに言う事ではないと分ってはいる。分ってはいるがユメ先輩も抑え切れなかったのか怖かったと怒鳴るとカワサキはその身体を小さくする。
「すまん。心配を掛けた」
「本当ですよッ! 本当に心配を掛けて……で、でも目を覚まして……本当に良かったッ」
目を覚まさなければ植物状態になっていたかもしれないと言われていただけに、目を覚まして良かったと心からそう思った。
「あの……カワサキ様は……?」
だがその安堵はお見舞いに来たユカリの姿に消し飛んだ。百花繚乱の連中の誤射が無ければこんな事にならなかったかもしれない……そう思うと込み上げてくる怒りを抑えることが出来なかった。
「帰れ」
「え、あの……」
「帰れッ! 来るなッ! お前らのせいでカワサキが入院する事になったんだッ! 良く見舞いに来れたなッ!!!」
カワサキの頬を掠めた銃弾――あれが無ければカワサキはあの化物のシールドバッシュを受ける事はなかった。あれが無ければここまで怪我をおう事はなかった。ユカリの後ろの百花繚乱とかいう生徒の集まりを睨みつけながら私はユカリを怒鳴りつけた。
「ユカリちゃんこっち。ホシノちゃんはちょっと待ってて」
「は、はい……も、申し訳ありませんでしたの」
ユメ先輩がユカリを連れて病室を出て行く、1人になった病室で荒い呼吸を整えながら私は自分に言い聞かせるように間違っていないと繰り返し呟いていた。
「大袈裟だ。ちょっと疲れただけだというのに、1日入院しろと言われたが今すぐでも退院しても良いんだが」
「衰弱死一歩手前って言われてましたよね? 私もホシノちゃんも凄く怖かったんですよ」
「OK。俺が悪かった。大人しくしてる」
ユカリを帰して病室に帰ってきたユメ先輩の言葉にカワサキは一瞬驚いた表情をし、ベッドから身体を起こそうとしていたカワサキは素直にベッドに横になった。
「あの化物を呼び出した生徒をやけに気にしてましたよね? どうしてですか?」
「……似てたんだよ。俺の友達に……だからあいつが呼び出したデスナイトに誰かを殺させるわけにはいかなかった」
自分の友達に似ていた。それだけ、それだけの理由だった。殺されたらあれと同じ化物になるかもしれない相手に、それだけの理由で戦いを挑んだ。そんなふざけた理由で命を賭けたと知った瞬間私の目の前は真っ赤になった。
「今カワサキと一緒にいるのは私とユメ先輩でしょうッ!? カワサキの事も覚えていない人の為に命を賭ける理由なんてないッ! 百鬼夜行の為に命を賭ける理由だってないッ! そんな理由で、そんな理由で死ぬような真似はしないでください……お願いですから……ッ」
殆ど覚えていない友達に似ていた――それだけの理由で、たったそれだけの理由で死ぬかもしれない無茶をした。それが無性に腹が立った。百鬼夜行に来てからずっと面白くなかった。私達の知らないカワサキの過去、カワサキがキヴォトスを捨てて外に出た百鬼夜行の人間の家系かもしれない、川崎家の人間に嫁ぐために育てられたというユカリも、カワサキが死ぬかもしれない原因を作った鈴木モモも……その全部が私には気に食わなかった。
「……悪い。もうあんな無茶はしない、約束する。この通りだ本当に悪かった」
「ちが……ッ。違うんです……わかんない、わかんないです……私、私が分らない……」
カワサキの記憶は戻って欲しい。それは嘘じゃない、だけどその記憶が戻った時にカワサキがアビドスを離れるんじゃないか、考えないようにしていた事だが、それがカワサキが死ぬかもしれないという光景を目の当たりにしたことで爆発した。泣きたい訳じゃないのに溢れてくる涙を抑えることが出来ない。
「わかんない……わかんないんですよ……」
「大丈夫、大丈夫だよ。ホシノちゃん、おいで」
どうしてこんなにも悲しいのか、どうしてこんなに苦しいのか、どうしてこんなに怒っているのか、自分でも分からない。考えても、考えても答えは出ない。両手を広げておいでと笑うユメ先輩に抱きついて、自分でもなんで泣いているのか分らないままに、ユメ先輩の胸に顔を埋めて私は泣き続けるのだった……。
泣き疲れて眠ってしまったホシノちゃんの頭を撫でながらベッドの上のカワサキさんに視線を向ける。申し訳なさそうな表情を浮かべながらカワサキさんは頭を掻いていた。
「あの時はあれが最善だと思ったのは間違いない。ホシノやユメを悲しませるつもりはなかったんだ」
「分かっています。あれがあの時は最善だったのは私も分かります」
あの化物に銃弾は殆ど効いていなかった。カワサキさんが白兵戦を挑まなければ間違いなく全員死んでいた。だからカワサキさんの行動は間違いじゃない、間違いじゃないけれど……。
「私も正直怒ってます。こういっては悪いですが、カワサキさんが命を賭ける理由はありませんでした」
「……だろうな。だが「昔の友達に似てる生徒に悪評をつけさせないため……それを理由にして欲しくないです」……すまん」
謝って欲しいわけではない。カワサキさんが記憶を求めているのは分る……だけど……。
「カワサキさんは20代じゃないですか、キヴォトスの学生がカワサキさんのお友達に似ているとしても、それは気のせいですよ」
カワサキさんとは年齢が余りにも違う。だから気のせいだ。気のせいに決まっている。もしかしたらゲマトリアとかいう連中の実験のせいでカワサキさんが成長しているかもしれないとか、若返っているとかの可能性もあるけど、その可能性は考えないようにしよう。
「他人の空似です。そんな相手に命を賭けないでください。自分から死地に飛び込まないでください、お願いしますから」
カワサキさんが優しいのは知っている。だけど見ず知らずの相手の為に命を賭けないで欲しい、それにこういってはなんだが……あの事件はある意味百鬼夜行の生徒の自業自得だ。鈴木モモを馬鹿にしてからかっていた生徒によって切れた鈴木モモが起した事件――ようは虐めによって発生した事件だ。やりすぎではあるが、自業自得としか言いようが……いや、建前は止めよう。
(私が嫌なんだ)
カワサキさんに記憶が戻って欲しいのは嘘じゃない、だけどそれでカワサキさんがアビドスを離れるなんて冗談じゃない。
無い物を求めて命を賭けるなんて冗談じゃない、だって自分が言ったのだ。私、ホシノちゃん、カワサキさんが倒れたら終わりって、それなのに自分から死にに行くなんて認められるわけがない。
(ホシノちゃんもきっと私と同じだ)
私とホシノちゃんにとっては大人は敵だった。私はホシノちゃんより年上だからある程度はカワサキさんに対して冷静に対応出来たけど、大人は余り好きではない。それにカワサキさんは私にとって命の恩人だ。だからほかの大人とは違うと割り切れた。だけどホシノちゃんは違う、敵だった大人が助けてくれることが信じられなくて、でも信じたくて、でも裏切られるのが怖くて……そしてそれが死に掛けているカワサキさんの姿を見て弾けてしまったのだと思う。普段冷静なホシノちゃんはあれほど感情的に、そして泣き叫んで、疲れて眠って姿を見ればそれは明らかだ。
(カワサキさんは私達には大きすぎる。失いたくないんだ)
カワサキさんがいなければ私達は未来を考える余力もなかった。追詰められて、心も身体を磨耗させていくばかりだった筈。そんな私達を救って未来を示してくれたカワサキさんの存在はとても大きい。だから失いたくなかったし、奪われたくなかった。
「明日になったらアビドスに帰りましょう。私とホシノちゃんの羽休みを考えてくれたのは嬉しいですし、私達も楽しみにしてましたけど、アビドスでも遊べますし、プールのオープンの前に貸切とかも良いと思うんです」
ほかにも行きたい所はあったし、見たい映画もあった。だけどカワサキさんと秤にかけるようなものではない。早くアビドスに帰りたいと私は考えていた。
「……分った。また今度にしよう」
「ええ、また今度に、機会は幾らでもありますから」
機会はあっても、暫くは他の学区には行きたくない。今回の事で良く分ったゲヘナも、トリニティもミレニアムも、どこかにカワサキさんの過去を刺激する誰かがいる。その誰かがいるとカワサキさんが我を忘れてしまう。だから他の学区には暫く行かせないほうが良いと思う。そんな事を考えていると面会の時間は終わりだと看護師さんに言われる。
「それじゃあまた明日来ます。ホシノちゃん起きて、帰るよ」
「ユメ先輩……は、はい……分りました」
ホシノちゃんを起して病院を後にして旅館へと戻る。陰陽部の生徒が病院の周りにいるので百花繚乱や、マスコミがカワサキさんに接触する事はない。接触させる事はないと言ってくれたのでその言葉を信じようと思う。
「ホシノちゃん。この後の予定はキャンセルね」
「はい。分ってます」
アビドスに閉じ込めるつもりはない、だけど今回は時期尚早だった。カワサキさんの性格を考えれば問題事に自分から飛び込んでしまう……こんな事が続いていたらカワサキさんが死んでしまう……ぐったりとしているカワサキさんの姿は今も私の脳裏に焼きついている。大切な人が死んでしまう……その恐怖は間違いなく私とホシノちゃんの心に暗い影を落とすのだった……。
激しい後悔と焦燥感に突き動かされるままに俺は闇夜に紛れて病院まで来ていた。
(どうかしていた。俺はあの時おかしかった)
元々俺はかなり気性が激しいという自覚があるが、今回は今まで1番酷かった。本気で殺すつもりで神秘を解放し、その事を理解したと同時に俺は怖くて逃げ出した。
(俺は俺をコントロール出来ないんだ)
自分の感情を、神秘を俺はコントロール出来ない。一度切れてしまえば体力を使い切るまでは暴れ続ける……この厄介な性格のせいで百鬼夜行で指名手配されている。
(行かないと)
俺が呼び出した化物を倒した大人……その姿がどうしても脳裏に焼きついていて、俺のせいで入院させたのに会いたくて会いたくて折れはここに来てしまった。
「……恥知らずだな。俺」
自分で自分が嫌いになる。だけど会いたいという気持ちを抑えきれず、闇夜に紛れて俺は病院の屋根に飛び移り、警備している陰陽部の生徒や、陰陽部の会長が雇った傭兵の視界を潜り抜け、己の直感でここだと思った病室を外から覗き込むとベッドの上の男性と目があった。
「こ、こんばんわ」
俺は外から窓を開き病室の中へと滑り込みながら頭を下げる。
「あ、ああ。こんばんわ」
互いに引き攣った笑みを浮かべながら挨拶をかわし、ベッドの上の男性に姿勢を向ける。かなり筋肉質で、目付きが悪いのに何故か優しそうに見える男性の頭の上にはキヴォトス人ならあるヘイローが無かった。
「す、すみませんでした。お、俺のせいで、も、もし殴りたかったら殴ってくれても良いです、し、死にたくはないので殺すとか自殺しろとか以外ならなんでもします。それで許してください」
俺のせいで死んでいたかもしれなかった。自己満足でも謝りたかった罵倒されても良い、殴られても良い、それでもちゃんと謝りたかった。何をされても良い、そんな覚悟で俺はここに来た。
「見つかったら面倒事になる。俺も大した怪我じゃない。だから気にしてない。見つかる前に帰れ」
「え、え?」
だが男性の返答は俺を案ずる物だった。その事に驚き思わずもう1度顔に視線を向けると月の光で照らされた男性の顔が良く見えた。
「……カワサキ……さん?」
「あん? 俺名乗ってないよな? なんで俺の名前を知ってるんだ?」
分らない、分らないけど知ってる。この人はカワサキさんだと分った。
「お、俺夢で見て! 貴方はカワサキさんだ、料理が上手で、俺の相談に乗ってくれてッ! 俺の友達」
子供の時からずっと見ている夢。その中に出てくる人だ。俺の、俺の友達……だけど俺は俺の友達を殺そうと……。
「うっ……おえッ……ごめ、ごめんなさい! ごめんなさいッ! 許して……許してください……」
「どうどう、落ち着け」
「はっ……はっ……」
「ゆっくり、ゆっくりだ。深呼吸しろ」
深呼吸しろと言われながら背中を撫でられて、少しずつ呼吸が落ち着いてくる。だけど呼吸が落ち着いてくると俺が友達を殺そうとしていた事が脳裏にフラッシュバックする。
「
ここで俺に会ったことを忘れて貰わないと、俺の事なんて覚えていなくて良い、俺は俺の友達を、欲し続けていた人を殺そうとした……こんな人殺しの事なんか忘れて欲しい。神秘を発動させてぼんやりとしているカワサキさんに背を向けて窓から飛び出そうとするが……。
「ちょいまち」
「え、あ……な。なんで!?」
「それは対策出来る魔法だ。俺も当然してる」
「もしかして……?」
「おう、俺も使える」
罪悪感はまだある。だけど手首を完全に掴まれているし、無理に振り解けば怪我をさせるかもしれない。だから俺は動く事が出来なかった。
「もう1度言うが、俺は気にしてない」
「嘘だ! だって俺は」
殺そうとしたと言おうとしたが、喉につかえて言葉が出てこない。
「生きてるからそれで良い。まぁ俺の連れはお前を多分許さないが俺は許す」
許すと言われて俺は力が抜けてその場にへたり込み、俺は涙を流しながら壊れた機械のようにごめんなさいを繰りかえし呟く事しか出来なかった……。
夜に俺の病室に侵入して来た少女――鈴木モモを宥めてなんとか落ち着かせ、彼女に事情を聞いたが、彼女の話は要領を得ず分かった事はプッツンして神秘を暴走させたという事だけだった。
(神秘っていうか、ユグドラシルの魔法だよ……な? 完全に使いこなしている訳じゃないが……使えているのは間違いない)
「あ、あの……やっぱり怒ってますよね? ごめんなさいごめんなさい」
「どうどう、怒ってない」
(プッツンすると凶暴になるらしいが、普段は気弱で大人しい……モモンガさんにマジでそっくりだな)
魔王ロールしてる時とギルメンといる……ここまで考えた所で違和感に気付いた。
(なんでこんなにはっきり思い出してる?)
前はぼんやりと思い出しただけだったが、今ははっきりと思い出している。
「ありがとうな」
「え、えっと?」
「モモのおかげで大事なことを1つ思い出した。だからありがとう」
死に掛けたのはよろしくないが、自分の中で欠けている何かが埋まった感覚があった。その切っ掛けを与えてくれたモモに感謝する。
「魔法を1つ教えてやる。
「あ、ありがとうございます。そ、それとモモトークの交換を」
「あんまりは連絡出来んぞ。ユメとホシノに知られると不味いからな」
「そ、それは大丈夫です。連絡先があるだけでお守りになるので、そ、それじゃあ! おやすみなさい」
モモトークを交換し、異界門で帰っていくモモを見送り俺は小さく溜息を吐いて窓に視線を向けた。
「ようロリ婆」
「失礼な奴じゃ」
俺に百鬼夜行から去れと言いに来た狐の尻尾と耳を持つ少女がキセルを吹かしながら俺を見ていた。
「覗き見してるそっちの方が失礼だろ?」
俺の言葉に少女は誤魔化すようにキセルを口に咥え、再び紫煙を吐き出した。
「主のおかげであの娘の暴走も多少収まるじゃろう。じゃが、出て行けという妾の言葉は違えんぞ」
「言われなくとも明日には帰る。本当は今日帰る予定だったんだ。多少は目を瞑れ」
ふんっと鼻を鳴らした少女はそれなら良いと言って振り返り、俺もベッドに横になろうとし……その動きを止めた。
「与えるだけで貰おうとしないの、お前はそれほどまでに己が嫌いか? 己の罪ゆえに救われたいと願わぬ哀れな殉教者。そのあり方に惹かれた者をどれだけ地獄へ落とす? それがお前の望みか? 親の業を己の罪として背負う事はなかろう」
「あ゛」
覚えていない、俺の記憶ではない、だがそれでも、それでも……それは嫌なくらいに自分に嵌った気がする。自分の心臓ではない、何かが胸の奥で脈打つ気がした。
『お前は次期当主として川崎家を牽引するのだ。料理など下らぬ物は捨てろ』
『何故分らないッ! 我らは選ばれた者だ。下等な者とつるむなと何度言えば分るのだッ!!』
『貧民に人権はない、奴らはそもそも人間ですらないのだ。人ですらない者に情けなどをかけるなと何度言えば分かるッ!』
激しい鼓動は頭痛へと変わり、覚えていないのに覚えている謎の記憶があふれ出し、それが頭を締め付け、それは徐々に抑えることの出来ない怒りの炎へと変わる。
「思い出させた妾が憎いか? ならばこの細首圧し折って見せろ」
「てめぇッ!!」
怒りのままに飛び掛ろうとしたが、顔に紫煙を吐き出され……。
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「また来やれ。妾の名はクズノハ。この名覚えておくがよい。お前がお前を抑えきれなくなった時に尋ねて来い、力になろうぞ」
「お、おう? じゃあな」
なんだ。何か妙な……いや気のせいか? 帰ると言う少女クズノハを見送り、俺はベッドに横たわり目を閉じて眠りに落ちた。
「ギリギリといった所かの。あやつが反転すれば最早取り返しはつかぬ。その前に封をさせてもらったぞ、異界より落ちてきた神よ」
キセルを右手に持ったクズノハは病院の向かい側の屋根の上からカワサキに視線を向ける。その左手には赤黒い菱形の結晶が握られていた。
「善人であるのは己の罪の意識か……なんとも不憫な男じゃ。親の罪は子の罪ではないというのに……いや、それ故に黄昏に誘われたのかの?」
その結晶を握り潰したクズノハは屋根の上から飛び降り、地面に着地する前に風と共に消えて行くのだった……。
メニュー9 宝石肉の焼肉へ続く
という訳で休息は1度中断し、アビドスへ戻る事になりました。行かせたい所とかありましたがサイドストーリーばかりだと飯食え感が減るのではないかと思い暫く食事メインで話を書こうと思います。
それとブルアカ時空のカワサキさんは精神的に若いので、本編とはまた違う危うさがあります。これはオバロ版、ダンまち版、鬼滅版でもその片鱗がありましたが、カワサキさんは救いはしますが対価を求めない。所属する組織や、調理器具など料理に関係のある事は望みますが、カワサキさんだけとなると何も望まない。カワサキさんが富裕層を飛び出した理由や、別の世界線で殺される事も分っていてアーコロジーに居続けた理由などをブルアカ版では触れていこうと思います。
とりえあえず若く、まだ割り切れてないカワサキさんの内面をFate/EXTRA CCCのSG風に例えるとすると……
「自己嫌悪」
「奉仕願望」
「????」
「????」
「????」
ですかね。まだ沢山ありますが、1に川崎家であることにする嫌悪とその血を引いてる己への嫌悪感。そして1に関係する事で奉仕願望と繋がります、この2があるので肉体の限界だけが理由ではなくビナー戦の特攻に繋がっております。