メニュー11 プールご飯
ユカリに陰陽部への伝言を伝えておいたが、連絡があったのは俺が百鬼夜行を離れてから3日後の事だった。
「ユカリの警告を無視したな? 間抜けが」
『返す言葉もない』
俺は散々警告したのに陰陽部は百鬼夜行に鈴木モモの捕縛を命じ、その結果が百鬼夜行連合学院の校舎の半壊だ。人の話を聞かない馬鹿のいい見本だ。
『我々は話を聞こうとしただけなんだがね』
「大人数で囲んでそれはないだろうよ」
魔法を使える鈴木モモを囲い込もうとして発狂させた。これはデスナイトとの戦いを見せた俺の責任でもあるが、短絡的に行動に出た百鬼夜行にも責任はあるだろう。
『しかしずいぶんといい耳を持っているのだね。情報封鎖はしたんだが』
「ユカリと連絡を取り合ってるんだから知ってて当たり前だろ。まぁ負傷者が出なかっただけ感謝するんだな。悪いが俺は忙しい、もう切るぞ」
校舎は半壊したが、負傷者が出なかったことに感謝するんだなと言って、電話を切ろうとすると陰陽部の部長は待ってくれと言って無理に話しを続けてきた。
『どうにか説得は出来ないだろうか? 貴方の話ならば聞いてくれると思うのだが』
「生憎だがお断りだ。魔法を武力行使に使おうとしたな? そういう連中に付き合う趣味はない、向こうから接触してくるまでは関わるな。俺から言える事はそれだけだ」
待ってくれという声を無視して電話を切り、溜息を吐きながら振り返る。
「何か申し開きは?」
「な、ないです……ご、ごめんなさい。で、でも人に当らないように注意しました! 「当たり前だ。馬鹿野郎」ふぎゃっ!?」
人に当てないようにしましたと自身満々に言うモモの頭に拳骨を落とし、両手で頭を押さえて蹲ってる鈴木モモを見て、はぁと溜息を吐いた。
(まぁ、下級魔法の連打くらいで済んでるからまだ良いほうではあるんだが……想像以上にプッツンしやすいな、モモのやつは)
俺はモモから事情を聞いていたが、まさか3日でこうなるとは思っていなかった。それだけ陰陽部の部長が馬鹿だったのか、それとも不明瞭の魔法っていう情報が余りにも過大評価されているのか悩む所だ。
「モモ。お前頼れる奴とかいるのか?」
「痛い……うう……ワカちゃんがいますけど、彼女も指名手配ですよ?」
「なんでだよ」
なんで頼れる友人まで指名手配されてんだよ、キヴォトス人のモラルはどうなってんだよと思わず天を仰いだ。
「悪いがここで匿うのは無理だぞ? ユメとホシノがガチキレする」
「わ、分ってます」
俺を病院送りにする原因になったモモをアビドスで受け入れる選択肢はない。個人的に同情はするが、プッツンしたモモも悪い、陰陽部の部長に言った通り負傷者を出さないように立ち回った事は評価するが、完全にやりすぎな上にアビドスに逃げ込まれても困るというのが本音だ。ユメとホシノとの間に軋轢は作りたくない、特にホシノには目の敵にされているだろうから2人が登校してくる前に百鬼夜行に帰って欲しいが、何の対策もせずに送り返すのも可哀想だとアイテムをいくつかモモに貸し与える事にした。
「隠者のマント。これを着てると見つからなくなる、それとこれグリーンシークレットハウスの鍵。こうやって使えば家が召喚出来るから、これを持って帰れ」
「あ。ありがとうございます、助かります。そ、それじゃあ」
隠者のマントを着込み、鍵をペンダントのように下げて転移門を発動し帰っていくモモを見送るのと同時に扉が開いた。
「おはようございまーす!」
「おう。おはよう」
「あれ? 誰かいました?」
「いや、俺だけだぞ?」
訝しげな表情をしているユメとホシノに内心動揺しつつもへ平然を装う。
「それより今日は忙しいから早く朝飯にしよう。何か食べたい物はないか?」
「そうですねー。今日はベーコンエッグとか食べたいですね、ホシノちゃんは?」
「私もそれでいいですよ。コーンスープもお願いします」
ユメとホシノの朝食のリクエストに了解と言って立ち上がる。今日が忙しいのは事実で、プールの営業開始のための準備を本格的に始めるということはユメとホシノも知っているので、何か違和感を感じつつもそれ以上踏み込んで来なかったことに安堵しながら俺は朝食の準備をする為にユメとホシノと共に家庭科室にへと向かうのだった……。
アビドスの復興の為にカワサキが打った2つの手の1つ――どの学園にも負けない巨大プール。今は無理だがおいおいは温水プールも併設し、年中無休で遊べる施設にするとカワサキは言っていたのは知っていました。私とユメ先輩がモールの準備をしている間カワサキがプールの準備を進めていたのでどうなっているのかは私もユメ先輩も今日プールに足を踏み入れるまで知らなかった。
「これは凄いですね……これならどこの学区からも人を呼べますよ」
「本当だね。凄いよ……」
流れるプールに始まり、スライダーや、波の出るプールに、身体を動かすアトラクションも多数用意されている。特にキヴォトス人向けに身体を動かす施設が多く配置されていた。
「とりあえずこんなもんで考えているんだがどうだ? 何か意見があれば教えて欲しい」
「悪く……ってなんで水着じゃないんですか」
悪くないと言おうとしたのですが、どう見ても泳ぐ格好じゃないカワサキを思わず睨みつける。私は子供っぽいかもしれないがフリル付きのワンピースタイプ、ユメ先輩はビキニにパレオ、そして恥ずかしいという理由でTシャツを着ている。だがカワサキは半ズボン、半そでシャツでとても泳ぐ格好ではなかった。
「一応バミューダは履いてるが、傷が多いから見ても気持ちの良いものじゃないだろうからな。ユメとホシノの遊んだ感想でも纏めるつもりだ。それにユメだってシャツを着てるだろ? それと同じだ」
なるほどなるほど、私とユメ先輩を考慮して、泳ぐ格好ではないと……。
「ユメ先輩」
「うん。私も同じ意見」
「ん? なんだどうし……たぁッ!?」
不思議そうな顔をしているカワサキの腕を掴んで背中からプールに飛び込み、身構えていない上に純粋な力では私達キヴォトス人には遠く及ばないカワサキの身体が宙を浮き、私とユメ先輩がプールに飛び込んでからカワサキも水柱を上げながらプールの中へと落ちる。
「ぷはッ!? ば、馬鹿か!? 準備運動もせずに飛び込むとか正気か!?」
プールから顔を出して馬鹿かと私とユメ先輩を怒るカワサキだが、怒りたいのは私達の方だ。
「余計な気遣いをするからですよ!」
「ええ、いらない心配をするからです。私とユメ先輩はそんな事を気にしませんからカワサキも泳いでください」
私とユメ先輩を気にしてくれたのはいい。だけどそれは本当に余計な気遣いだ。
「私達の誰かが倒れても駄目なんですよね? つまりそれは一蓮托生ということです。だから余計な気遣いは止めて下さい、良いですね?」
「そういうことです! あと私がTシャツを着てるのはビキニしか合うサイズがなかったので恥ずかしいからなのでカワサキさんとは理由が違いますから!」
「……分った。俺が悪かった」
カワサキはそういうと着ていたシャツを脱いでプールサイドに投げた。前も見たがゲマトリアの実験と頭のおかしい女につけられた腕の傷が痛々しく今も残っているが、私とユメ先輩の視線は傷よりも筋肉に向けられていた。
(こ、これは凄いですね)
(細マッチョってやつかな)
(多分それが近いかと)
カワサキは中肉中背だが、服を脱ぐとその筋肉の密度が如実に分る。それにプールの水で濡れた髪をかきあげるその仕草は妙な色気があって……何か困る。
「まぁ俺も暑かったからプールは悪くないが、引きずり込むのは止めてくれ心臓に悪い」
「分りました。ですがカワサキが余計な気遣いをするのが悪いんです」
むしろ悪いのは黒服と頭のおかしい女であり、カワサキがそんな相手のせいで変に気にする方が私もユメ先輩も嫌だった。
「そ、そういうことです。ほら、カワサキさんも遊びましょう。やっぱりカワサキさんの意見も大事ですからね」
年上の異性とプールという事で若干の緊張があったのは間違いないですが、いざ遊び始めてしまえばそんな事は全然気にならなくなった。
「わっととと!? わぷっ!?」
波が出るプールの一部だけ設備が違っていて、そこで出来るサーフィン――板に乗るまでは出来るがその上に立つとバランスを崩して落水してしまう。
「簡単って言ったじゃないですか! どう見てもこれ難しいですよ!」
「ホシノなら出来ると思ったんだがな……」
「ぷはっ! サーフィンなんて経験ないですから、見本を見せてくださいよ。見本を」
私とユメ先輩は落水したが、そういうのならばカワサキはさぞ上手いのだろうと思い、見本を見せてくれと言うとカワサキはボードを手にした。
「まぁ嗜み程度だが、やってみるか」
嗜み程度と言ってボードの上に腹ばいになって泳ぎ出したカワサキはすぐに波の上に乗ってみせ、落水する事無く私とユメ先輩の前まで滑ってきた。
「まぁこんなもんだがどうだ?」
「全然参考にならないって事は分りました。もうサーフィンは良いです、私とユメ先輩は普通に波の出るプールで十分です」
「そうだね。じゃあ波の出るプールはこれで良いとして、今度はあれ! あれやりましょうスライダー! 全部回るだけでもきっと面白いですよ」
幾つもあるスライダーを全部制覇しようと提案するユメ先輩。オープンしてしまえば並ぶ事になるから、独占出来るうちに遊んでおいた方が良いだろう。
「きゃっああああああああッ!?」
「わああああああああッ!!?」
「うおおおッ!? こ、これは!? これはやばいぞッ!?」
どれもこれもキヴォトス人でも悲鳴を上げるレベルのスライダーばかり、特に浮き輪に乗って滑る物や、突然床が消えて滑り落ちていく物なんて私でも悲鳴を上げてしまった。
「あっはははははは! うん、うん! これ楽しいッ!」
「確かにええ、とても楽しいですね!」
「おっさんにはちときつい……」
「おっさんっていう歳じゃないでしょう! さあ次です! 次に行きましょう!」
「ほらほら早く行きましょう!」
「待て、マジで待て……元気すぎないか?」
フラフラのカワサキを引き摺りまわすのも、プールのスライダーで遊ぶのも楽しく、私とユメ先輩は心から笑いながらプールで遊びまわる。
「なら今度は少し変更だ。ウォーターブリッツだ」
「なんです? それは?」
「本来はチーム線だが、今回は1対1のタイマンでの水鉄砲を使った勝負だ。この紙の的をつけてそれを濡らされたら負け」
「なるほど単純で良いですね。良いですよ、やりましょう」
負けるはずがないと思いカワサキの提案を受け入れたのですが……。
「うそ、ホシノちゃんが負けた」
「そ、そんな馬鹿な……」
まさかの敗北を喫する事になるのだが、それもまた面白くて……。
「もう1回! もう1回です!」
もう1回勝負を挑んだのですが……上手い風に時間で水を撒き散らす噴水の近くに誘い込まれて敗北する。
「卑怯ですよ!? 真っ向勝負してください!」
「戦略と言って欲しいな。ホシノ」
「ならこっちはユメ先輩とコンビです! 行きますよ、ユメ先輩!」
「良いよー! 良し、覚悟してくださいね! カワサキさん!」
余りにもずるいというか、卑怯というか、大人気ない戦法をとるカワサキに痺れを切らしてユメ先輩にも協力してもらったのですが……。
「ほい、ゲームセット」
「っ! またそういう手を!」
「むう! ちょっと卑怯だと思います!」
「ルールの範囲だから卑怯じゃないぞ。それにユメとホシノも使って良いって説明したと思うが?」
私とユメ先輩の頭上で水風船が炸裂し、コンビを組んでも私はカワサキ相手に敗北することになった。
「もう良い! これ邪魔ッ!」
そして途中でユメ先輩が着ていた拘束具とも呼べるTシャツを脱ぎ捨て、ブルンっと揺れる豊か過ぎる胸部装甲が露になり、若干視線が泳いでいるカワサキを見て、これなら勝てると思ったのですが……。
「ひぃん……」
バルンバルン跳ねる胸のユメ先輩は善戦したが、それでも一瞬の隙を突かれてユメ先輩が脱落した後はすぐに私の的も破壊されてしまった。
「強すぎませんかね? カワサキ」
「ルールがあるからな。素の能力で負けていても戦術次第では勝てるさ」
身体能力でキヴォトス人に負けていても戦術次第で勝てると豪語するカワサキの姿に、変な話だが世界は広いとしみじみと思うのでした……あと、決してユメ先輩とは違いすぎる胸部装甲に複雑な感想を抱いたとかはないですが、少し理不尽を覚えることとなりました……。
水鉄砲を使ったサバイバルゲームや流れるプールにスライダーと色々と遊んだが私が個人的に気に入ったのはカワサキさんも名前のわからない物だった。
「良いですよー!」
「ちょ、ちょっと待ってください! わ、私は心の準備がッ!」
長い風船のような物に座り、反対側にカワサキさんが飛び降りるとその反動で宙へと浮かび上がる。
「あははははははッ!!」
「きゃああああッ!?」
ジェットコースターや、スライダーとも違う浮遊感と共に着水する。その独特な感覚がとても癖になる。カワサキさんの前でビキニを見せるのが恥ずかしくて着ていたTシャツを脱いだ時のドキドキも今は気にならないほどだ。
「はぁ……はぁ……これは心臓に悪いです」
「ホシノちゃんは軽いからね、私よりも飛ぶからじゃない?」
私よりも高い位置まで跳んでいたホシノちゃんがプールから這い出て心臓に悪いとぼやき、そんな姿を見て小さく笑っているとカワサキさんもプールから出てきた。
「そろそろ昼飯にするか」
そう言われて時計を見るともう12時を過ぎて1時になろうとしていた。
「もう4時間も遊んでたんだ。全然気付かなかった」
「私もです。楽しい時間はあっという間と言うのは本当ですね」
数々のアトラクションとアクティビティの数々に贔屓みに見てもこれはお客さんを集めれると確信した。
「それでお昼ですが今から作るんですか?」
「いや、もう準備してある。保存で状態を維持してあるから出来立てだ」
机の上に用意されているご飯を見て私もホシノちゃんも思わず首を傾げた。何故ならば……それはカワサキさんらしくない料理の数々だったからだ。
「なんかカワサキさんっぽくないですね」
フランクフルトにたこ焼き、カレーライスにうどんやそば……美味しそうなのはそうなんだけど、なんというか凄く雑って思える。
「手伝ってくれる犬人とか猫人でも作れるように考えたからな、それにこういう場所で食うのはちょっと雑な方が美味いんだよ」
そう笑ってフランクフルトを齧るカワサキさんの姿に、そうなのかな? と思いながらパックに入れられているフランクフルトに手を伸ばす。×の字に切れ込みが入っているフランクフルトを齧ると小気味いい音と共に少し濃い目の塩味と肉汁が口の中に溢れ出す。
「ん、美味しいです! 確かに普通に食べるよりも美味しく感じますね!」
「ええ。普段は脂っぽくて食べませんけど、これなら美味しく食べれます」
「だろ? 食べる環境ってのも大事なんだよ。これも美味いぞ、チキンオーバーライス」
チキンオーバーライス? 聞き覚えのない料理が私とホシノちゃんに差し出される。それはカレーに似た香りのする黄色いご飯の上に野菜と鶏肉が乗せられた料理だった。
「これはカレーですかね?」
「ちょっと違うな、ターメリックライスの上にサラダとヨーグルトとカレー粉を揉みこんだ鶏胸肉を焼いて乗せたもんだ。ホワイトソースやチリソースを掛けて全部を混ぜ合わせて食べる屋台飯だ」
へーそんな物もあるんだと思いながらプラスチックのスプーンでターメリックライスだけを掬って食べてみる。
「ん、ちょっと変わった味……土っぽいっていうのかな?」
「確かに少し変わった香りと苦味ですね」
そのまま食べるにはちょっと厳しいかなっていうのがターメリックライスを食べた感想だった。
「だから言っただろ? 混ぜ合わせて食べるって」
カワサキさんはサラダと鶏肉、そしてご飯を全部混ぜて、その上にチリソースとホワイトソースを掛けて頬張っている。私もそれを真似て良く混ぜ合わせてから上にホワイトースを掛けて恐る恐る頬張ってみると今度はさっき感じた土っぽい香りは余りに感じず、スパイスの爽やかな香りとカレー粉のピリっとした刺激、そして野菜のシャキシャキ感にジューシーな鶏肉の味、それらが口の中一杯に広がる。
「これも美味しいですね! 何か癖になる味です」
クリーミーなホワイトソースが具材を包み込み、噛み締めていると香辛料の香りや辛味が口の中に広がる。食べ勧めているうちに口の中で味が変化していく面白い料理だ。
「それにボリューミーで良いですね、しっかり食べたい人には向いてますね」
「それ分る。これは大分満足感があるよ」
試食も兼ねているので少量だけど、それでもかなりの満足感を覚えた。香辛料の影響もあると思うんだけど、少量でも満足感を覚える料理だ。
「昼飯を食った後も泳ぐだろ? だから少量でも満腹感を覚えるように工夫してるんだ」
お腹一杯食べた後は泳ぐのは危ない。だから値段を抑えて量も少なめにしてるというカワサキさんになるほどと納得する。
「このカレーに具材が少ないのもそういうわけですか」
「あんまりゴロゴロと具材を入れるのもな。そのかわり摩り下ろした野菜を使ってるから味は良いぞ」
見た目はあんまり具材が入ってないカレーも食べてみると見た目以上に色んな味が口の中に広がった。
「うん、美味しいですよ」
「そりゃあ味には妥協してないからな」
「でもその割にはこの焼きそば油っぽくないですか?」
「馬鹿だなホシノ。屋台の焼きそばは少し油っぽい位が良いんだよ。あと蛸が小さいたこ焼きな」
なんかカワサキさんの拘りなのかな? 変な拘りだけど、普通に食堂とかで食べるんじゃないし、こういう解放的な場所で食べるからこれくらい雑な方が美味しいっていうのはなんか分る気がする。
「唐揚げにフライドポテト……本当に色々作ってますね」
「食べれないなら保存を掛けて片付けるから残しても大丈夫だぞ? 家に持って帰って夕飯とかにしたらどうだ?」
「それなら私唐揚げ持って帰りますね!」
「じゃあ私は焼きそばを」
カワサキさんが夕食に持って帰ったらどうだと声を掛けて来たって事は何か夜にやるつもりなんだろう。本当は無理をせずに夜は寝て欲しいけど、多分私とホシノちゃんでは対処出来ない何かなのだろうと思って黙ることにする。
「ところでカワサキ。かき氷はありますか?」
一通り試食をして腹8分目という所でホシノちゃんがカワサキさんにかき氷はあるかと尋ねる。
「勿論あるぞ。作るかかき氷?」
「是非。ユメ先輩はどうします?」
「勿論食べるよー!」
「じゃあ作るとしようか」
私とホシノちゃんの前でかき氷機を準備し、大きな氷を削り始めるカワサキさん。その姿をホシノちゃんと並んで見る。ただかき氷が造られているのを見るだけなのに、それが何故だか妙に楽しく思える。
「シロップはどうする?」
「私はブルーハワイを」
「じゃあ私は苺でお願いします」
「了解」
そして完成したかき氷をプールサイドの椅子に腰掛けて3人で食べる。普通のなんでもないかき氷なのに、やけにその味は美味しくて忘れられないかき氷になったのでした。
メニュー12 天ぷら へ続く
プール開店前の話でした。後6話ほど挟んでプール開業をやり、連邦生徒会やハイランダーも少し出してみようと思います。
次回の天ぷらはカイザープレジデント再びとなりますので、どんな展開になるのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。