プリマビスタの広間。
夜の静寂が船内に広がる中、ラムザ・ベオルブは床に座り、遠くを見つめるような目で過去を振り返っていた。
慧、ジタン、ビビ、船長、そしてモーグリがその周囲に集まり、彼の言葉に耳を傾ける。
「僕自身…なんでこの世界に来たのか、その前に何が起こったのかわからない…。少なくとも、僕はアルマや仲間たちと一緒に、イヴァリースを出たはずだから…」
ラムザは先ほどまでのことの記憶をたどりながら、知る限りの真実を語る。
「ふむ…クリーチャーとしてこの世界に来る間近の記憶がない。ジタン君と似た現象ですね。それで、いつ憑依したのです?」
船長が地図帳を手に、静かに尋ねる。
「憑依したのは彼があなたが言っていた者を追いかけに行っていたときにです。肉体がない状態で、どうにかして情報を集めたかったので…」
ラムザは少し躊躇しながら答える。
「けどよぉ、ケイに憑依しても体が変化しなかったし、俺も気づかなかったぞ。なにしたんだ?」
ジタンが腕を組み、不信感を隠さず問い詰める。
「きっと、僕が持っていた聖石の力のおかげだと思う。はっきりとはわからないけれど…」
ラムザは懐に手を伸ばすが、何も取り出さない。
「聖石の干渉…それは間違いないでしょう。最も、ルカヴィになるのはごめんですので、私としてはすべて破壊することをおすすめしますが」
船長は冷静に言い放ち、懐から小さな金属製のキューブを取り出す。
その中には、ラムザが持っていたすべての聖石が封じ込まれている。
船長の発明品で、聖石の力を抑え込む効果があるという。
どういう理屈やシステムかについてはわからないが。
「ケイ、ごめん…了解もなく君に憑依してしまって…」
「それについてですが、プレインズウォーカーである彼に憑依できるクリーチャーは限られています。そして、ジタン君以外で憑依ができたのは君が初めてです。ただ…」
船長の言葉に、ラムザが鋭く反応する。
「ただ?」
「ジタン君についてはともかく、君の乗船は許可していません。許可なしに乗船したということになります。ですので…」
船長は懐から赤一色のカードを出す。ビビとモーグリが一斉におびえた表情を見せ、身を縮こまらせた。
「船長、これは?」
慧が驚いて尋ねると、船長は静かに答える。
「レッドカード…ですよ。これによって、招かれざる客を追い出すことになります。最も、今は久遠の闇の中。ここで追い出された場合、プレインズウォーカーでない君は…無事では済まないでしょう。むろん、このキューブとともに聖石はお返ししますが」
ラムザの顔が一瞬青ざめる。
自分が死んだら、元の世界で待っているであろうアルマたちはどうなる?
待っている人々のことを考えると、死ぬわけにはいかない。
「ただ…今は追跡しなければならない存在がいます。それが終わるまでは、君に対する判断は保留とします。ひとまず、外出は禁止ですよ。ケイ君は一度家へ戻りなさい」
レッドカードをしまった船長は、どこからかコンビニのレジ袋を取り出し、慧に手渡す。受け取った慧は袋の中を見ると、フライドチキン、修正テープ、電池、そしてそれらをさっき購入したことを示すレシートが入っていた。
「まぁ…アリバイです」
慧はレジ袋を手に、プリマビスタの扉を通って白鷺市に戻った。
家に戻ると、天音がカウンターで片付けをしていた。
「慧ちゃん、遅かったじゃない。電池、買えた?」
「う、うん。ついでにちょっと食料も…」
慧はレジ袋を見せ、苦笑する。天音はフライドチキンを見て笑った。
「まあ、いいけど。茜ちゃん、さっきまで待ってたけど帰っちゃったわ。明日また誘ってあげなさいね」
「分かった…。姉さん、ありがとう」
慧は部屋に戻り、ベッドに座ってデッキケースを見つめた。ジタンの声が頭に響く。
「ケイ、大丈夫か? 」
「うん、ただ…結局奴って、何を探していたんだろう?」
「なんだろうなぁ…お前を探していたって様子もなさそうだしな」
「この世界を狙っている、って船長が言っていたけど、その理由になるもの…かな?」
そういったものがあるように慧には思えない。
考えようと思ったが、ラムザが憑依していたせいなのか、疲れを感じる。
「ま、それは明日だ明日!ひとまず寝ようぜ」
「うん、お休み。ジタン」
広間にある窓から久遠の闇の景色を見つめるラムザ。
モーグリたちは広間の掃除を終え、自室へ戻っていく。
「モーグリ…本か、召喚獣でしか見たことがなかったけど…」
イヴァリースにも大昔にモーグリが実在したというが、絶滅したと聞く。
生で見るのは初めてで、気まぐれな旅なら喜べたかもしれない。
(彼も、きっとああいう気持ちだったのかも…)
イヴァリースでの旅で出会った剣士を思い出す。
自己を罰するかのような憔悴した様子ながら、剣の腕は抜群だった。
飛空艇の墓場で、聖大天使アルテマの爆発が起こった時、彼だけが行方をくらました。
イヴァリースを離れる前にできる限り手がかりを探したが何も見つからず、元の世界に帰ったことを願うしかなかった。
その時、広間の扉が開き、船長が地図帳を手に現れる。
「ラムザ君、考え事かね?」
「…ああ。イヴァリースの仲間のことを…」
船長は地図帳を開き、白鷺市の地図を指す。
「《進化した潜伏工作員》の動きはまだわかりません。ですが…必ず何か動きがあるはずです。まぁ…あなたには関係のないことかもしれませんが」
ラムザは頷き、拳を握る。
「関係がないなんてことはない。目の前で起こっていることに対して、目を背けない。何があっても…」
「ベオルブ家の誇り…ですか?まぁ、いいでしょう」
モーグリから出されたのはゴロゴロの大粒の具が入った五目チャーハンで、椅子に座った船長はそれを黙々と食べ始める。
窓から外の景色を眺めるラムザは握った拳を見る。
(この世界に来た時、僕は傭兵になったときの鎧姿だった。そして、わずかに感じた。彼の…ディリータの気配を…)
ジークデン砦での悲劇によって決別することとなったかつての親友、ディリータ。
イヴァリースで王となったはずの彼の気配がなぜ白鷺市で感じたのかはわからない。
自分と同じように、訳も分からずこの世界に飛ばされたのか。
その真相を確かめなければならない。
「きっと…理由があるはずだ。僕がここに来た理由が、ジタンのように彼に…ケイに憑依できた理由が」
翌朝、慧が目を覚ますと、デッキケースが微かに震えていた。ジタンの声が響く。
「ケイ! 起きたか? ケースがまた反応してるぜ!」
「え…また?」
慧がケースを手に取ると、部屋のドアにそれを向け、虹色の光を宿したドアを開く。
プリマビスタの広間に入った彼をビビ達が出迎える。
「慧! やっと来た!」
ビビが駆け寄り、モーグリが「クポ!」と元気に手を振る。船長が地図帳を手に、モニターに白鷺市の映像を表示する。
船長がモニターを操作し、《進化した潜伏工作員》が追いかける存在を見せる。
剃った左右の頭に茶色の束ねたドレッドヘアー、茶色いマントを身に着けた青年。
それを見たラムザがじっとその姿を見つめる。
「彼は…オーラン、オーラン・デュライだ! 僕の仲間だよ!」
船長がタブレットを操作し、映像をズームインする。
オーランは素早く路地の影に身を隠し、潜伏工作員の動きを警戒しているようだ。
「オーラン、君も白鷺市に。でも、この姿は…」
「どうかしたのか?ラムザ?」
「いや…なんでもない…」
ラムザが最後にオーランの姿を見たのは表向きは死亡扱いとなっていたアルマの葬儀の後、彼女の墓にオーランが来ていた時だ。
アルマと共に仲間たちの合流地点へ向かう中、そこにいるオーランと彼の妻になったと思われる女魔導士のバルマウフラの姿を見た。
別れの挨拶をしたかったが、オーランもバルマウフラもイヴァリースで重要な役職にいて、自分の生存を知られることでグレバドス教会に命を狙われる可能性もある。
いや、オーランだけでなく、隙あらば教皇をはじめ上層部の大部分を失って弱体化したグレバドス教会がディリータやオヴェリア、イヴァリースそのものを狙う危険もある。
だから、できたのは何も言わずにただの旅人として通り過ぎることだけだった。
その時の彼の姿と比べると、今の彼は背が伸びており、彼の養父であるオルランドゥに似た髭を生やしていた。
「こうしてはいられない!助けに…」
「お待ちなさい。昨日言ったことを忘れましたか?今のあなたは…外出禁止ですよ」
「だが、オーランが危険に晒されているなら…!」
船長は地図帳を閉じ、静かに続ける。
「焦りは禁物です。慧君、君は白鷺市に戻り、オーランを見守ってください。ジタン君は彼と共に」
慧はデッキケースを握り、頷く。
「その…任せて、僕たちでオーランを助けるよ、ラムザ」
ラムザは複雑な表情で頷き返す。
「…頼むよ、ケイ」
「ただ…慧君。出発前にこの服装はいただけませんね」
急ぎの呼び出しだったためやむを得ないが、今の慧はパジャマ姿だった。
「以前のゲームで分かったと思いますが、奴らとのゲームではダメージが実体化します。君の身を守るためにも、それに見合う鎧はつけておくべきでしょう」
船長が地図帳を閉じ、フィンガースナップをする。
どこからか麦わら帽子をかぶったモーグリがやってきて、慧にたたんだ服を手渡す。
「これは…?」
服は真っ黒な半袖のジャケットとシャツにズボン、そして左手にだけ装着する手袋で、慧には見覚えのある衣装だった。
「とある次元の王子が身に着けていた戦闘服を参考にしたものです。人目がある以上、普通の服に見えた方が都合がいい。必要なら、お好みに色も調整してあげますよ」
プリマビスタの扉から白鷺市の駅前へと出る。
「へえ、黒ずくめだけど…なんか、ホストみてえだな」
「でも、着心地はいいよ。ただ…着心地がいいというだけで、特に変わった感じはしないけど…」
本当にこれで身を守ることはできるのか?
そんな不安を抱きながら、プリマビスタで指定された場所へ移動する。
そこには灰色の光の球体が浮かんでいて、それを《潜伏工作員》が追いかけていた。
「くそ…こんな状態じゃ、魔法も何も出来ない!!」
肉体がないために、今のオーランには抵抗する手段がない。
敵対する相手の時間を止める術である星天停止も使えるはずがない。
昨日からずっと、この正体不明な存在に追いかけられていて、徐々に体が重たくなっていくのを感じる。
「こんなところで、何もできずに終わるのか、俺は…!」
ラムザと別れてから、5年の時をかけて執筆した獅子戦争の真実の記録であるデュライ白書。
新たな教皇を選出するクレメンス公会議において、オーランはそれを公開した。
だが、真相の暴露を恐れたグレバドス教会はその場でオーランを逮捕すると異端者として火刑に処した。
だが、オーランも火刑になることは想定しており、デュライ白書が闇に葬られる場合に備え、多くの写本を作って各地に隠した。
教会であっても、一度生まれた真実を永遠に闇に葬ることはできない。
何百年と時を費やしたとしても、必ず誰かの手で真実が明らかにされ、戦った者たちの魂が報われることを願いながら死んだ。
しかし、死んだはずの自分がなぜかこの町に飛ばされていて、魂だけの無力な存在となっていた。
一度死んだ身であるため、もうこの命に執着する理由はないが、何もできずに終わるのは何かが違う。
「待て!!」
どこからか声が響き、手を伸ばそうと下《潜伏工作員》が動きを止めてあたりを見渡す。
「どこ見てんだよ、俺はここだぜ!!」
オーランの視線が建物の屋上に向けられる。
そこにはジタンに憑依された状態の慧の姿があった。
ジタンは屋上から飛び降りると空中で体を回転させてからオーランと《潜伏工作員》の間に入るように着地する。
「君は…?」
「いったん隠れてろ、こいつの相手は…俺がするぜ!」
ジタンがデッキケースを《潜伏工作員》にかざしたことで、2人の周囲にバリアが展開されていく。
公園での戦いのように、バリアと共に宙に浮いた2人の正面にテーブルが現れ、2人のデッキが自動的にシャッフルされたうえでテーブルに置かれる。
「妨害者を確認、速やかに排除する」
「排除できるモンならやってみな!」
ジタン
手札7
LP20
潜伏工作員
手札7
LP20
「…こんな姿になっても、死んでも、まだ生きようとしているのか…」
ジタン達がゲームをしている様子を付近にあるビルの屋上から眺めるディリータ。
今のオーランには自分と同じだと、話を聞いたディリータはそう思っていた。
地位も名誉も、命もすべてを奪われ、このわけのわからない場所に飛ばされた彼には何もないはず。
なのに彼は生きようとし、自分はこうして世捨て人のようにさまよう。
その違いがディリータにはわからなかった。
ジタン8ターン目開始時
ジタン
手札4
LP20
場 陽気な義賊、ジタン 3/3(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)
土地(白/緑2 赤3 無1 緑1)
潜伏工作員
手札5
LP20
場 角海亀×2 1/4(クリーチャー・海亀)
土地(黒3、青5)
「いくぜ、俺のターン!」
ジタン
手札4→5
「俺は《G.F.イフリート》を召喚!」
火山のようにジタンのフィールドに火柱が上がり、その中から《イフリート》が姿を現す。
召喚:G.F.イフリート 3/2(クリーチャー・エンチャント・英雄譚・デーモン)②・赤
「《イフリート》は召喚した時と俺のドローステップ時に伝承カウンターを1つ置き、置いてある伝承カウンターの数によって効果を発動。1つ目の効果で、俺は手札を1枚捨て、1枚ドローだ!」
手札から墓地へ捨てられたカード
・秘技:めいわくをかける
(今のジタンの手札にはあの守りを突破できるカードがない…。ドロー加速して、いいカードを加えるしか)
幸い、相手フィールドには攻撃できるクリーチャーがいない。
無理に攻撃しても、自分が思わぬ一撃を受けることは相手も分かっているだろう。
(それに、墓地に《めいわくをかける》を落としたんだ。次のターン、その効果を墓地から発動すれば、《ジタン》が一気にパワーアップする)
「そして、俺は手札の《速足のブーツ》をフィールドへ!ターンエンド!」
ジタン
手札5→3
LP20
場 陽気な義賊、ジタン 3/3(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)
召喚:G.F.イフリート 3/2(クリーチャー・エンチャント・英雄譚・デーモン)伝承カウンター1
速足のブーツ(アーティファクト・装備品)
土地(白/緑2 赤3 無1 緑1) 赤2、無1、白/緑1、緑1 使用済み
潜伏工作員
手札5
LP20
場 角海亀×2 1/4(クリーチャー・海亀)
土地(黒3、青5)
「任務の邪魔を…するな。私のターン」
潜伏工作員
手札5→6
「《ワームとぐろエンジン》を召喚」
フィールドに地割れが発生するとともに、地中から2対の金属性ワームがとぐろを巻いて1体のワームを形勢したような姿のクリーチャーが出現する。
ワームとぐろエンジン 6/6(アーティファクトクリーチャー・ファイレクシアン・ワーム)接死・絆魂 ⑥
「ターンエンド」
ジタン
手札5→3
LP20
場 陽気な義賊、ジタン 3/3(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)
召喚:G.F.イフリート 3/2(クリーチャー・エンチャント・英雄譚・デーモン)伝承カウンター1
速足のブーツ(アーティファクト・装備品)
土地(白/緑2 赤3 無1 緑1) 赤2、無1、白/緑1、緑1 使用済み
潜伏工作員
手札5
LP20
場 角海亀×2 1/4(クリーチャー・海亀)
ワームとぐろエンジン 6/6(アーティファクトクリーチャー・ファイレクシアン・ワーム)接死・絆魂
土地(黒3、青5) 黒2、青4 使用済み
(《ワームとぐろエンジン》…!?まずいよ、ジタン!このカードは危ない!!)
「接死と絆魂にパワーもライフも6!?無茶苦茶だろ、そのカード!!」
無色6マナにも関わらず、破格の性能を誇るクリーチャーにジタンは冷や汗をかく。
《秘技:とんずら》があれば、そのクリーチャーを奪うこともできるが、あいにく手札にはない。
「でもよ、それで俺が負けるかよ!俺のターン!」
ジタン
手札3→4
「同時に、《イフリート》の効果発動!伝承カウンターを1つのせ、手札1枚を捨てて1枚ドロー!」
召喚:G.F.イフリート 3/2(クリーチャー・エンチャント・英雄譚・デーモン)伝承カウンター1→2
手札から墓地へ捨てられたカード
・燃え上がるニブルヘイム
「そして、俺は赤2マナを含む5マナを使い、墓地の《秘技:めいわくをかける》を《裏技:ストラサークル5》として発動!その効果で俺の分身に1/1カウンターを3つ置き、ターン終了時まで速攻と破壊不能の効果を追加だ!」
陽気な義賊、ジタン 3/3→6/6(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター0→3 なし→速攻・破壊不能(ターン終了時まで)
「何!?」
「バトルだ!俺は俺の分身で攻撃だ!!」
力を得た《陽気な義賊、ジタン》が盗賊刀を振り回しながら突撃する。
そして、その進路を阻むかのように《ワームとぐろエンジン》が地面を潜って移動し、再び姿を現す。
「ブロックしても、今の俺の分身は破壊不能がある!攻撃も接死も意味がないぜ!!」
姿を現した《ワームとぐろエンジン》が捕食しようと口を開くが、自慢の脚力で一気に上空へと飛ぶと盗賊刀から剣閃を放つ。
剣閃によって切り裂かれた《ワームとぐろエンジン》が爆発とともに消滅する。
「絆魂により、私のライフが回復する…」
潜伏工作員
LP20→26
「うっし、大したことは…」
相手クリーチャーが破壊されたことに安堵するはずだったジタンだが、爆発の煙が消えたときに表情が固まる。
フィールドには小型の《ワームとぐろエンジン》というべき2体のクリーチャーが姿を見せていたからだ。
「《ワームとぐろエンジン》は死ぬとき、2体のトークンを生み出す。それぞれが絆魂と接死を持つ」
ワームトークン 3/3(ファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン)接死 無
エンジントークン 3/3(ファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン)絆魂 無
「嘘だろ…?」
2体に分裂した《ワームとぐろエンジン》というべき2体の登場に焦るジタンだが、まだ焦るような状況ではないと自分を落ち着かせる。
「(今、俺の墓地には《燃え上がるニブルヘイム》が存在する。《イフリート》ごとになってしまうが、これであいつらを一掃できる…!)俺はこれで、ターンエンド!」
ジタン
手札4
LP20
場 陽気な義賊、ジタン 6/6(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター3
召喚:G.F.イフリート 3/2(クリーチャー・エンチャント・英雄譚・デーモン)伝承カウンター2
速足のブーツ(アーティファクト・装備品)
土地(白/緑2 赤3 無1 緑1) 赤2、無1、白/緑1、緑1 使用済み
潜伏工作員
手札5
LP26
場 角海亀×2 1/4(クリーチャー・海亀)
ワームトークン 3/3(ファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン)接死
エンジントークン 3/3(ファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン)絆魂
土地(黒3、青5) 黒2、青4 使用済み
「私の…ターン」
潜伏工作員
手札5→6
「クク…残念、だったな」
潜伏工作員が見せるカードにジタンは戦慄する。
それはもう1枚の《ワームとぐろエンジン》だった。
ワームとぐろエンジン 6/6(アーティファクトクリーチャー・ファイレクシアン・ワーム)接死・絆魂 ⑥
「2体目だって!?」
「2体のトークンで攻撃!」
《ワームトークン》と《エンジントークン》が一斉にジタンに向けてとびかかる。
「くっそぉ!《イフリート》で《ワームトークン》をブロック!」
《G.F.イフリート》と《ワームトークン》がぶつかり合い、互いに消滅する中で《エンジントークン》がジタンの腕に食らいつく。
「うわあああああ!!」
食らいつかれた左腕には大きな傷跡が残り、そこから流れる血に焦りに表情を見せる。
もし船長が用意してくれた服を着用していなければ、この程度では済まなかった。
ジタン
LP20→17
潜伏工作員
LP26→29
「私はこれで、ターンエンド…」
ジタン
手札4
LP17
場 陽気な義賊、ジタン 6/6(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター3
速足のブーツ(アーティファクト・装備品)
土地(白/緑2 赤3 無1 緑1) 赤2、無1、白/緑1、緑1 使用済み
潜伏工作員
手札5
LP29
場 角海亀×2 1/4(クリーチャー・海亀)
ワームとぐろエンジン 6/6(アーティファクトクリーチャー・ファイレクシアン・ワーム)接死・絆魂
エンジントークン 3/3(ファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン)絆魂
土地(黒3、青5) 黒2、青4 使用済み
「くっそ…このままだと、まずいぜ…」
この状態で《燃え上がるニブルヘイム》を発動しても、再び2体のトークンがフィールドに現れることになる。
考えようによっては、まだ《ワームとぐろエンジン》を複数持っているか、《ゾンビ化》のような復活のカードも持っている可能性もある。
このまま《ワームとぐろエンジン》とトークンたちの猛攻によってしのぎきれなくなるかもしれない。
「…」
プリマビスタのモニターでゲームの様子を見るラムザはこぶしを握り締める。
そして、急に立ち上がると出入口に向けて歩いていく。
「勝手な真似は許しませんよ、ラムザ君」
「でも…!」
「あなたは部外者です。そして、何より勝手な行動を起こしたらどうなるか、わかっているでしょう?」
懐から再び取り出したレッドカードを見せる船長。
「ベオルブ家の誇りのため、ですか?この世界で、その名前は通用しませんよ」
「…わかっています。もう、そもそも僕の世界では、既にベオルブ家は断絶している」
兄であるダイスダーグとザルバッグは獅子戦争の中で死に、唯一後継者となりえるアルマは公的には死亡扱いとなっている。
300年続いた家門としてのベオルブ家を途絶えさせる原因を作ってしまったことへの罪悪感を思い出す。
ルカヴィによる暗躍からイヴァリースと妹を守るためには致し方なかったとはいえだ。
だが、アルマや仲間たちとともにイヴァリースを離れることを決めたときに決めたことがある。
「だから、自由に生きると決めたんです。彼と、オーランを助けたい…。これが、自由になった僕自身の意思」
甘いと笑われるかもしれない。
部外者のくせにでしゃばるなとののしられるかもしれない。
だが、目の前で起こっていることを放っておけるほど冷徹になれない。
「…まったく、生きにくい生き方をする英雄…というわけですか。まぁ、いいでしょう。ジタン君、選手交代です」
「は…?選手交代ってどういう…うわっ!!」
急に聞こえてきた船長の声に動揺する中、急にジタンが慧の身体から追放され、デッキケースから出現する銀色の光の球体。
それが慧の身体にはいるとともに、三つ編みとなっていた髪が短くなっていく。
身に着けていた服の色がグレーとなり、瞳の色がアンバーへと変わる。
(これって、ラムザ…?)
「そうみたい…船長が、許してくれた」
(おい!勝手に変わんな!!)
デッキケースから聞こえるジタンの声。
ラムザの目には彼の魂に反応するかのように変化する手札の内容が見えた。
「ごめん、二人とも…。でも、放っておけないから」
「お前…まさか、ラムザなのか?」
憑依のからくりがどういうものか全くわからないオーランだが、なぜか目の前の人間の中にラムザがいることを確信できた。
変化した肉体の持ち主の雰囲気はまさしく、自分の知るラムザそのままだったから。
「久しぶりだね、オーラン。話したいことがいろいろあるけれど、今は…!僕のターン!」
ジタン→ラムザ
手札4→5
「僕は土地カードを置き…そして、僕自身を召喚!《見習い騎士、ラムザ・ベオルブ》!」
見習い騎士、ラムザ・ベオルブ 3/3(伝説のクリーチャー・人間・騎士) ②・青
「それがどうした…?その程度のクリーチャーでは《ワームとぐろエンジン》は止められん」
「僕自身にフィールドの《速足のブーツ》を装備!これにより、僕は呪禁と速攻を得る。更に、僕自身のタップトリガー、エールを発動!僕のメインフェイズ時に1度、僕のクリーチャー1体のパワーとタフネスをターン終了時まで1上昇させ、更にターン終了時まで先制攻撃を得る」
フィールドの《ラムザ》が腕を上げて《ジタン》を応援する。
応援を受けた《ジタン》はやる気を出したかのように盗賊刀を振るう。
陽気な義賊、ジタン 6/6→7/7(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター3 なし→先制攻撃
(どうしてラムザ!?相手フィールドには《ワームとぐろエンジン》と《エンジントークン》だけじゃなくて、《角海亀》が2体もいるんだよ!)
いくら先制攻撃を得たとしても、この2体によって攻撃を防がれてしまう。
それに、《ワームとぐろエンジン》がブロックをすることで再び2体のトークンが現れる可能性もある。
「かまわないよ!僕は手札からインスタントカード《自爆》を発動。僕がコントロールしているクリーチャーとそうでないクリーチャー1体ずつを選び、対象にした僕のクリーチャーパワー分のダメージをお互いに受ける。僕自身と《エンジントークン》を対象にする!」
「自分自身を!?」
エールを終えた《ラムザ》が呪文を唱えながら《エンジントークン》に向けて突っ込んでいく。
《エンジントークン》は絞め殺すべく蛇のような体で突撃する《ラムザ》を縛り上げるが、呪文を唱え終えたと同時に《ラムザ》が大爆発を起こし、《エンジントークン》を道連れにした。
「…なんのつもりだ?」
「僕がコントロールしているカードの効果によるダメージ、もしくはブロックされたことによる相手クリーチャーとの戦闘によって死んだとき、僕は再び戦場に現れる。そして、僕は《傭兵》になる」
爆発の煙が収まると、現れたのはジークデン砦での戦いから1年が経過した後の《ラムザ》だった。
(短く切った髪にこの鎧…あの1年を思い出す…)
ジークデン砦で、己のすべてを否定され、親友も失ったラムザはその喪失感に耐え切れずにベオルブ家を出奔した。
出奔してすぐは自分がやるべきことが見えず、盗賊として生きることもできず、廃人のようになっていた。
もし、誰かに拾われて傭兵としての生き方や戦い方を教えてもらわなければ、何も為すことなく死んでいただろう。
「傭兵となった僕の分身が存在する限り、伝説のクリーチャーの呪文を唱えるためのコストが1下がり、僕がコントロールしているすべての伝説のクリーチャーのパワーとタフネスは1アップする」
傭兵、ラムザ・ルグリア 4/4→5/5(伝説のクリーチャー・人間・騎士・傭兵)青・黒
陽気な義賊、ジタン 7/7→8/8(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター3 先制攻撃
「バトル!《ジタン》で攻撃!」
「ちぃ…《角海亀》でブロック!」
パワーが8に上昇した今の《ジタン》を《角海亀》の甲羅では耐え切れずはずがなく、たやすく一刀両断される。
だが、潜伏工作員にとっては守るクリーチャー1体が排除されただけで、《ワームとぐろエンジン》が残っていれば問題ない。
それに、そもそもライフが29もある。
多少ダメージを負っても問題ない状態でもある。
「僕はこれで、ターンエンド」
ラムザ
手札5→2
LP17
場 陽気な義賊、ジタン 8/8→7/7(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター3(タップ)
傭兵、ラムザ・ルグリア 5/5(伝説のクリーチャー・人間・騎士・傭兵)
速足のブーツ(アーティファクト・装備品)
土地(白/緑2 赤3 無1 緑1 水1) 赤2、無1、白/緑1、緑1、水1 使用済み
潜伏工作員
手札5
LP29
場 角海亀 1/4(クリーチャー・海亀)
ワームとぐろエンジン 6/6(アーティファクトクリーチャー・ファイレクシアン・ワーム)接死・絆魂
土地(黒3、青5) 黒2、青4 使用済み
「ラムザ、か…。お前まで、この世界に来ているとはな」
人間に憑依し、見知った姿と若干異なるとはいえ、別の世界に着たにもかかわらず変わらない彼の姿を見つめる。
彼の姿を見て、今のおのれをあざ笑うかのように感じる腹部の古傷。
同時に聞こえてくるのは彼女の悲痛に満ちた声。
(いつかラムザのように、私も見殺しにするのね…!)
ナイフで腹を貫くその手は震えていて、顔は涙と怒りで染まっていた。
ゼルテニア教会でラムザと密会をしていた時、ディリータは確かに彼に対して彼女の想いを口にした。
ラムザはそれを信じたが、それは彼が底抜けのお人よしだったからだ。
誰もがラムザのようにお人好しで慈悲に満ちているわけではない。
そして、そんな彼だからこそ何かを手に入れ、自分は…。
「…ディ、リータ…」
「…!?」
急に耳元に聞こえてくる彼女の声にディリータは戦慄した。
「私の、ターン」
潜伏工作員
手札5→6
「私は土地カードを置き、召喚。《ファイレクシアンの告発者》、《盲目の盲信者》、《ギックスの頭蓋剥ぎ》」
一気に3体のファイレクシアンがフィールドに出現し、《ワームとぐろエンジン》と共にラムザを威圧する。
ファイレクシアンの告発者 1/1(クリーチャー-キャリアー)①・黒
盲目の盲信者 2/2(クリーチャー-人間・クレリック) ①・黒・黒
ギックスの頭蓋剥ぎ 2/3(クリーチャー-ファイレクシアン・人間・暗殺者)②・黒
「ほぉ、これは…」
一機に出現した3体のクリーチャーをモニターで見つめる船長は声を漏らすが、特に動揺しているようには見えず、料理人のモーグリが持ってきてくれたデザートのクッキーを口にする。
「手札をほとんど使ってなかったけど、クリーチャーを使わずにため込んでいたなんて…!」
《ワームとぐろエンジン》を召喚するまでの間、潜伏工作員は《角海亀》をはじめとした防御クリーチャーを除いてはほとんどクリーチャーを召喚してこなかった。
(しかし、墓地には《燃え上がるニブルハイム》が存在することはわかっているはず。目論見があるに違いないでしょう)
「《ワームとぐろエンジン》で攻撃」
地面に再びもぐった《ワームとぐろエンジン》がラムザの目の前にその姿を現すと、口から赤黒いビームを発射する。
「うわあああああ!!」
ビームを受けたラムザが背中からバリアに激突し、全身から感じる痛みに耐える。
ラムザ
LP17→11
潜伏工作員
LP29→35
「私はこれで、ターンエンド…」
ラムザ
手札2
LP11
場 陽気な義賊、ジタン 7/7(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター3(タップ)
傭兵、ラムザ・ルグリア 5/5(伝説のクリーチャー・人間・騎士・傭兵)
速足のブーツ(アーティファクト・装備品)
土地(白/緑2 赤3 無1 緑1 水1) 赤2、無1、白/緑1、緑1、水1 使用済み
潜伏工作員
手札6→2
LP35
場 角海亀 1/4(クリーチャー・海亀)
ワームとぐろエンジン 6/6(アーティファクトクリーチャー・ファイレクシアン・ワーム)接死・絆魂
ファイレクシアンの告発者 1/1(クリーチャー-キャリアー)
盲目の盲信者 2/2(クリーチャー-人間・クレリック)
ギックスの頭蓋剥ぎ 2/3(クリーチャー-ファイレクシアン・人間・暗殺者)
土地(黒4、青5) すべて使用済み
「くっ…!」
5体のクリーチャーがフィールドに存在し、《ワームとぐろエンジン》を破壊したとしても、2体のトークンが出現するだけ。
残りライフ11であることを考えると、あのクリーチャーを止めることを考えると《ジタン》を犠牲にしなければならなくなる。
(墓地の《燃え上がるニブルヘイム》を発動すれば、僕の分身は犠牲になるけれど、相手のクリーチャーを全滅させることができて、手札を入れ替えることができる。でも…)
だが、それを成し遂げた後で待っているのは2体のトークンだ。
そして、9マナある潜伏工作員は次のターン、手札3枚となるとどのような動きを仕掛けてくるかわかったものではない。
「だとしたら…!」
望みの綱となるのはここでドローするカード。
そのカードが逆転のカードになるかどうかを願うだけ。
「僕の…ターン!!」
ラムザ
手札2→3
「このカードは…!」
ドローしたカードはラムザにとってはハイリスクになるカード。
当たれば逆転できるだろうが、はずせば待っているのは敗北のみ。
外した時にリカバリーする手段はない。
「…僕は、手札から《エンカウント》を発動!このカードはライブラリーをシャッフルし、そのあとでデッキの上から4枚を墓地へ送る。そして、その中にあるクリーチャーをすべて速攻を持った状態で戦場に出す。そして、その効果で戦場に出たクリーチャーは次の終了ステップ開始時に持ち主の手札に戻る」
再びシャッフルされ、ラムザの目の前へと移動するデッキ。
この4枚が勝利か敗北かを決める。
(僕はまだ…死ぬわけにはいかない。応えて…!)
一気に4枚のカードを指でつかみ、一気に引き抜く。
4枚のカードからそれぞれ茶、金、緑、オレンジの光が発生する。
「来た…!《雷神、シドルファス・オルランドゥ》!《忠義の聖騎士、アグリアス・オークス》!《神殿騎士、メリアドール・ティンジェル》、《魔法騎士、ベイオウーフ・カドモス》!!」
「4枚すべて伝説のクリーチャーだと!?」
強運というべきまさかの4体にさすがの潜伏工作員も声を上げずにはいられない。
元の世界でラムザとともに戦う道を選んでくれた4人の騎士たち。
地位も名誉もすべて失うだろうことも知りながら、最後までともに戦ってくれた仲間たちだ。
雷神、シドルファス・オルランドゥ 6/6(伝説のクリーチャー-人間・騎士・貴族)速攻・先制攻撃 ④・白・黒
忠義の聖騎士、アグリアス・オークス 3/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士)警戒→警戒・速攻
②・白・白
神殿騎士、メリアドール・ティンジェル 4/4(伝説のクリーチャー-人間・騎士・クレリック)なし→速攻 ④・白
魔法騎士、ベイオウーフ・カドモス 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・ウィザード・ならず者)絆魂→絆魂・速攻 ⑤・黒
「よし…僕は戦闘ステップへ移行すると同時に、《傭兵、ラムザ・ルグリア》の効果!戦闘ステップ開始時に僕のコントロールしている僕の分身以外の騎士または傭兵が3体以上存在する時、超変身できる!」
「超変身だと!?」
《傭兵、ラムザ・ルグリア》のカードが強い光を放ちながら開き、2枚分の大きさのカードとなってフィールドに置かれる。
今のラムザの分身は若干伸ばした金髪となり、父であるバルバネスと同じ鎧に身を包んだ、ルカヴィとの戦いからさらに成長したと思われる姿となっていた。
「超変身、《天騎士、ラムザ・ベオルブ》!」
天騎士、ラムザ・ベオルブ 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・傭兵・ならず者)絆魂 青・白・黒
「超変身した僕自身の能力によって、僕のコントロールするすべてのクリーチャーのパワーとタフネスが2アップする!」
陽気な義賊、ジタン 7/7→8/8(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)1/1カウンター3
雷神、シドルファス・オルランドゥ 6/6→8/8(伝説のクリーチャー-人間・騎士・貴族)速攻・先制攻撃
忠義の聖騎士、アグリアス・オークス 3/5→5/7(伝説のクリーチャー-人間・騎士)警戒・速攻
神殿騎士、メリアドール・ティンジェル 4/4→6/6(伝説のクリーチャー-人間・騎士・クレリック)速攻
魔法騎士、ベイオウーフ・カドモス 5/5→7/7(伝説のクリーチャー-人間・騎士・ウィザード・ならず者)絆魂・速攻
天騎士、ラムザ・ベオルブ 5/5→7/7(伝説のクリーチャー-人間・騎士・傭兵・ならず者)絆魂
「一斉攻撃!そして、《アグリアス》の効果発動!このクリーチャーが攻撃する時、僕のコントロールしているほかのクリーチャー1体にターン終了時まで破壊不能の効果を追加する!僕の分身にその効果を与える!」
「ラムザ!たとえ違う世界であろうと、私は何度でもお前の剣になり、盾になろう!」
「アグリアス…!」
《アグリアス》の剣が輝き、その光が《ラムザ》の肉体に宿る。
天騎士、ラムザ・ベオルブ 7/7(伝説のクリーチャー-人間・騎士・傭兵・ならず者)絆魂→絆魂・破壊不能
《ジタン》と5人の騎士による突撃。
《エンカウント》によるクリーチャー大量召喚してからの一斉攻撃は敵の冷静さを失わせるには十分だった。
「《オルランドゥ》の効果!《オルランドゥ》が攻撃する時、相手はこのクリーチャーをブロックしなければならない!」
「くっ…ならば、《角海亀》でブロック!!」
「覚悟せよ!聖光爆裂破!!」
《オルランドゥ》が愛剣であるエクスカリバーを天にかざし、刃から発生する聖なる光が空へと飛ぶ。
すると、上空から複数の光の矢が降り注ぎ、《角海亀》を貫いていった。
「更に《ベイオウーフ》の効果!このカードが攻撃かブロックをするとき、追加でマナコストを支払うことで魔法剣を発動できる!2マナを支払って、ショック剣を発動!相手のクリーチャーかプレインズウォーカーに3のダメージを与える!」
「覚悟せよ!ショック!!」
魔力を込めた刃を振るうと同時にその魔力が放出され、《ギックスの頭蓋剥ぎ》に襲い掛かる。
魔力に包まれたクリーチャーは爆発とともに消滅する。
「《ジタン》の攻撃を《ワームとぐろエンジン》でブロック、《アグリアス》を《ファイレクシアンの告発者》で、《ラムザ》を《盲目の盲信者》でブロック!!」
《ジタン》と《ワームとぐろエンジン》がぶつかり合って互いに爆散する。
そして、《ラムザ》、《アグリアス》の剣がそれぞれを阻む敵を切り捨て、《ベイオウーフ》、《メリアドール》が潜伏工作員に肉薄する。
「これが私の刃だ!!」
2人が振るう剛剣と魔法剣によって斬りつけられる潜伏工作員が後ろに下がり、深々と切り裂かれた己の胸を見る。
だが、《ワームとぐろエンジン》の絆魂の影響によってライフ回復されたことで、傷があっという間にふさがった。
「せっかくの一斉攻撃だが、これで再び私のフィールドに2体のトークンが現れる!」
潜伏工作員
LP35→28
ワームトークン 3/3(ファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン)接死 無
エンジントークン 3/3(ファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン)絆魂 無
「そして、《エンカウント》の効果により、ターン終了と同時に貴様が読んだ4体のクリーチャーはすべて手札に戻る!これで…」
「《オルランドゥ》の効果。このカードの戦闘によって相手クリーチャーが死亡した時、このカードをアンタップするとともに+1/+1カウンターが1つ置かれる」
雷神、シドルファス・オルランドゥ 8/8→9/9(伝説のクリーチャー-人間・騎士・貴族)速攻・先制攻撃 +1/+1カウンター0→1
「更に、《メリアドール》の効果!このカードが攻撃した戦闘ステップ終了時、このターンに攻撃した僕の騎士またはクレリックの数以下の装備品をデッキから直接《メリアドール》に装備できる!攻撃した騎士またはクレリックは5体。よって、デッキから《セイブザクイーン》を《メリアドール》に装備!」
デッキから飛び出した《セイブザクイーン》が《メリアドール》のカードの下に置かれ、同時に彼女の目の前に降りてきた愛剣を手にした《メリアドール》はその切っ先を敵に向ける。
「《セイブザクイーン》が場に出たとき、相手クリーチャー1体をタップする。そして、装備している《メリアドール》のパワーとタフネスは3アップする。これで、絆魂を持つトークンは封じる」
神殿騎士、メリアドール・ティンジェル 6/6→9/9(伝説のクリーチャー-人間・騎士・クレリック)速攻
「そして、僕の分身の効果、さけぶを発動!」
「さけぶ、だと…!?」
「戦闘ステップ終了時に、僕がコントロールしている騎士または傭兵が3体以上存在する時、僕のクリーチャーをすべてアンタップして、もう1度だけ続けて戦闘ステップを1回行うことができる!」
「な、なんだと!?」
《ラムザ》が剣を振るい、叫ぶとともに攻撃を終えたはずの仲間たちが再び刃を手に攻撃の構えを見せる。
もはや、潜伏工作員には何も守るすべがない。
「いけ!!一斉攻撃だ!!」
5人の騎士が一斉に潜伏工作員と唯一残ったトークンに向けて攻撃を仕掛ける。
一度の嵐に耐えた彼だが、再び襲い掛かる嵐に耐える力は残っておらず、ただじっと攻撃を受けるしかなかった。
「そんな…馬鹿、な…」
潜伏工作員
LP28→0
忠義の聖騎士、アグリアス・オークス ②・白・白 3/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士)
伝説のクリーチャー-人間・騎士
警戒
騎士の誓い-忠義の聖騎士、アグリアス・オークスが攻撃するたび、あなたがコントロールしていてこれでないクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは破壊不能を得る。
3/5
『今さら疑うものか! 私はおまえを信じる!!そうだろ、ーーラムザ・ベオルブ!』(忠義の聖騎士、アグリアス・オークス)
雷神、シドルファス・オルランドゥ ④・白・黒
伝説のクリーチャー-人間・騎士・貴族
速攻・先制攻撃
雷神、シドルファス・オルランドゥが攻撃しているかぎり、可能ならブロックされなければならない。
このカードの戦闘によって相手クリーチャーが死亡した時、これの上に+1/+1カウンターを1つ置き、タップされているのであればアンタップする。
6/6
『民あっての国家! 民あっての我々なのです!!』(雷神、シドルファス・オルランドゥ)
魔法騎士、ベイオウーフ・カドモス ⑤・黒
伝説のクリーチャー-人間・騎士・ウィザード・ならず者
絆魂
魔法剣-魔法騎士、ベイオウーフが攻撃またはブロックするたび、以下のいずれかの能力を1つ選び、追加のマナを支払って起動してもよい。この能力は各ターンにそれぞれ1度しか起動できない:
①黒 ドレイン剣: クリーチャー1体を対象とする。それに2点のダメージを与え、あなたは2点のライフを得る。
①白 ブレイク剣: クリーチャー1体を対象とする。それをタップし、ターン終了時まで-2/-0の修整を与える。
② ショック剣: クリーチャー1体またはプレインズウォーカー1体を対象とする。それに3点のダメージを与える。
5/5
『貴様を倒し、新たな旅に出かけるとしよう』(魔法騎士、ベイオウーフ・カドモス)
セイブザクイーン ③
伝説のアーティファクト - 装備品
装備しているクリーチャーは+3/+3の修整を受け、警戒を得る。
セイブザクイーンが戦場に出たとき、相手クリーチャー1体を対象とする。それをタップする。
装備しているクリーチャーが攻撃するたび、相手クリーチャー1体を対象とする。それをタップする。
装備 ③
『この名を持つ武器は常に守るべきものを持つ者の手に渡ってきた。お前はどうかな?』(謎の観測者の残した言葉)
神殿騎士、メリアドール・ティンジェル ④・白
(伝説のクリーチャー-人間・騎士・クレリック)
神殿騎士、メリアドール・ティンジェルが攻撃するたび、以下のいずれかを行う:
- アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。その後、このクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
- あなたのライブラリーから、このターンに攻撃したあなたの騎士またはクレリックの数に等しいかそれ以下のマナ・コストを持つ装備品アーティファクト・カードを1枚探し、それを戦場に出し、このクリーチャーに装備する。その後、ライブラリーをシャッフルする。
4/4
『この聖石を預けるわ。その代わりに、私も一緒に行かせて。父がどうしてそうなったのか、知りたいのよ』(神殿騎士、メリアドール・ティンジェル)
見習い騎士、ラムザ・ベオルブ ②・青
伝説のクリーチャー-人間・騎士
(T)エール:自分のターンのメインフェイズに1度、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時までそのクリーチャーは+1/+1の調整を受け、先制攻撃を得る。
あなたがコントロールする呪文や能力によるダメージ、またはこのクリーチャーが攻撃する時に相手のクリーチャーにブロックされることで発生した戦闘でこのカードが死亡した時、このカードを墓地から戦場へ戻す。その後、このカードを変身させる。
3/3
『僕がベオルブの名を継ぐ者なんだ』(見習い騎士、ラムザ・ベオルブ)
傭兵、ラムザ・ルグリア 青・黒
伝説のクリーチャー-人間・騎士・傭兵
このカードが戦場に存在する限り、伝説のクリーチャー呪文を唱えるためのコストは1少なくなる。
あなたがコントロールしているすべての伝説のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
あなたのターンの戦闘の開始時、あなたがこれでない騎士または傭兵のクリーチャーを3体以上コントロールしている場合、このカードを超変身させることができる。
4/4
『人間としてのその弱い心を克服せずに聖石の奇跡に頼る貴様は何なんだ?』(傭兵、ラムザ・ルグリア)
天騎士、ラムザ・ベオルブ 青・白・黒
伝説のクリーチャー-人間・騎士・傭兵・ならず者
絆魂
このカードが戦場に存在する限り、伝説のクリーチャー呪文を唱えるためのコストは1少なくなる。
あなたがコントロールしているすべての伝説のクリーチャーは+2/+2の修整を受ける。
さけぶ:あなたの戦闘ステップ終了時、あなたが騎士または傭兵のクリーチャーを3体以上コントロールしている場合、あなたのクリーチャーをすべてアンタップする。その後、1度だけ追加の戦闘フェイズを1つ行う。この効果はあなたのターンに1度だけ使用できる。
5/5
『愛にすべてを』(ブレイブストーリー本節第4章副題より-アラズラム・ジェノミス・デュライ)
ゲームが終わり、バリアが解除されるとともに潜伏工作員に憑依されていた人間が元に戻る。
ボサボサ頭のサラリーマンのようで、ラムザが様子を見るが気を失っているだけだった。
「はあ、はあ、はあ…ありがとう、みんな…」
体の痛みは残るが、それでもともに戦ってくれた仲間たちに感謝の言葉を言わずにはいられない。
(けど…今のゲームで、確かにアグリアス達の声が聞こえた。もしかしたら…)
「ラムザ、また助けられたな…」
「オーラン…」
後ろにいるオーランを見たラムザは改めて今のオーランと記憶の中にいる最後にあった日のオーランを比べる。
「久しぶりだね、オーラン。ただ…その…」
「驚いただろう。なんでこうなっているのか、俺もよくわからないが…。いや、俺のことはいい。それよりも…もう1人、いるぞ。俺以上に、お前が会うべき奴が」
「え…?」
「久しぶりだな、ラムザ。ゼルテニア教会以来、か」
「その声は…」
物陰から現れる、聖騎士の鎧を身にまとった親友。
オーランと同じく肉体がないためにうっすらとした姿ではあるが、その姿は間違いなくディリータのものだ。
「ディリータ…」
「俺がなぜここにいるのか、それをお前たちに明かすつもりはない」
(ディリータ…?どうしたというんだ?)
今のディリータはまるで獅子戦争時代に戻ったかのような言動で、この世界で会った時の世捨て人のような様相が感じられない。
ディリータと別れてから1日しか経っていないが、その間に何かあったのか?
「奴が追いかけているものを俺は知っている。そして、奴の仲間による追跡は続いている」
「仲間って…奴以外にもまだいるというのか?ディリータ」
「ああ…奴を追いかけたいなら、俺を仲間にしろ」
「仲間だと…!?お前、イヴァリースではあんなことを繰り返して…」
英雄王とたたえられているかもしれないが、彼が為してきたこと、王となるまでの間の悪行がオーランの脳裏によみがえる。
オヴェリア王女をゴルターナ公の陣営に連れていって彼の野心をあおる形で獅子戦争の引き金を引き、彼の右腕であったオルランドゥを讒言によって失脚させて南天騎士団の指揮権を奪った。
更にはベスラ要塞での混乱の中でゴルターナ公を殺害し、ラムザすら利用してついには王となった。
彼の過去を知ったことで複雑な感情があるものの、それでもディリータの提案には抵抗がある。
「俺は…俺の為してきたことに対して弁解するつもりはない。俺を信用できないなら、今ここで俺を斬れ。…抵抗はするがな」
「ディリータ…?」
「俺は、まだ死ぬわけにはいかない。その前に、やらなければならないことがある」
「…分かった。ケイ、プリマビスタへ2人を」
(いいの?)
「僕は信じるよ、ディリータを」
肉体の持ち主であろう誰かと会話をするラムザをよそに、ディリータは自分が立っていたビルの屋上を見つめる。
(お前もこの世界にいたんだな、オヴェリア…。きっと、あの時に…)
ディリータの脳裏に浮かんだのは獅子戦争終戦から数か月後の教会跡でのことだ。
イヴァリース王となったディリータは妻となったオヴェリアと2人きりの時間をつくることにした。
ろくに夫婦としての時間を作れず、王族としての責務で疲れているであろう彼女のために花束を用意し、永遠の愛を誓うはずだった。
だが、そんな彼に待っていたのは彼女のナイフで、それで腹を貫かれた。
そして、ディリータは刺されたナイフを抜き、彼女の腹部に刺し返した。
うめき声をあげて倒れる彼女から少し離れたところで意識を失ったディリータは気づくと肉体がない状態でここに来ていた。
きっと、オヴェリアも同じタイミングで。
(お前は望まないだろうな、俺がお前を助けることを…。だが、それでも、俺は…)