マジックザギャザリング:多元宇宙の守り手   作:ナタタク

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第8話 二度死んだ者

「ザルバック・ベオルブ…」

モニターに映る、召喚された《ザルバック》の姿にオルランドゥの脳裏に浮かんだのはイグーロス城での戦い、そして聖ミュロンド寺院での戦いだ。

イグーロス城で、ダイスダーグの悪行を知ったザルバックは現地に駆け付けたラムザ一行と共にベオルブ家による王朝を生み出すために父バルバネスを毒殺し、獅子戦争を引き起こした長男、ダイスダーグを討伐した。

しかし、死の間際にその野望をかなえたいという欲望に聖石カプリコーンが反応し、ルカヴィである憤怒の霊帝アドラメレクと化してしまう。

そのアドラメレクの一撃を受けたザルバックは一瞬で肉体が消滅してしまった。

そして、聖ミュロンド寺院でルカヴィである統制者ハシュマリムだった神殿騎士団長ヴォルマルフ・ティンジェルが足止めのためにザルバックを眷属として召喚した。

その時のザルバックの姿はまさに今モニターに映っているような姿で、その時の彼は自分の意思で肉体を動かすことすらできず、ただヴォルマルフの命令に操られる哀れな人形となっていた。

彼を救うには殺すしかなく、死の間際に彼は光が見えることを喜んでいた。

「なんということだ…3度も苦しむこととなり、挙句の果てには意思も奪われたというのか…」

ある意味では、それが幸せかもしれないと思う。

望まぬ戦いを強いられ、愛する弟のラムザを殺したくない、ラムザに兄殺しの十字架を背負わせたくないと戦いの中、自らに伝えていたのをオルランドゥは思い出す。

意思が失われた今は、その苦しみを感じずに済むだろう。

だが、それでもラムザを再び傷つける事態が今起こっている。

 

 

進化した潜伏工作員ターン終了時

進化した潜伏工作員

手札4→3

LP23

場 マラキールの放蕩貴族、カーライル 3/6(クリーチャー-吸血鬼・貴族)絆魂

  意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒

  白聖石(アーティファクト)(追放:《善意の騎士》)(タップ)

  土地(黒2 白3 白/黒1) すべてタップ

 

 

 

ラムザ

手札3

LP8

場 見習い騎士、ラムザ・ベオルブ 3/3(伝説のクリーチャー-人間・騎士)(タップ)

  ザックス・フェア(《マテリアブレイド改》装備) 5/5(伝説のクリーチャー-人間・兵士) 1/1カウンター1

  マテリアブレイド改(アーティファクト-装備品)

  リターン・ターミナス(伝説のアーティファクト-ターミナス・ストーン)(タップ)

  土地(水2 黒1 白2 《始まりの町》1 水/白1) 白1、水/白1、《始まりの街》1、水1タップ

 

「兄さん…そんな…」

うめき声しかあげない、再び見ることになった最愛の兄にラムザは落としたカードを拾う気力もない。

(ラムザ、ラムザ!!しっかりして!!)

 

「おい、何やってんだよラムザ!クソッ…今すぐ俺と代われ!俺が代わりに戦ってやる!いいよな、船長!」

焦るジタンが確認を取る中、一人冷静にチェリー入りのパフェを口にする船長はモニターを見つめる。

一口甘い味を楽しんだ後でフウと息を整える。

「いいでしょう、我々は勝たなければなりませんので」

 

(そういうことだ、ラムザ!お前は休んでろよ!)

「ジタン…ごめん…」

謝罪の言葉の後で慧の身体から離れたラムザが戻り、入れ替わるようにジタンが慧に憑依する。

カードを拾い、哀れなザルバックをにらむ。

「話はオルランドゥのおっさんから聞いたぜ…ひでえクリーチャーを出しやがる」

敵にどのような意図があったかどうかは知らないが、それでもラムザの心を傷つけた返礼はしなければならない。

「いくぜ、俺のターン!!」

 

ラムザ→ジタン

手札3→4

 

「俺は《閑静な中庭》を置く!こいつは場に出たとき、クリーチャーのタイプを一つ宣言して、そのクリーチャーを召喚するためにこいつをタップする時、好きな色のマナ1つを生み出せる。俺が宣言するのは人間。そして、《ラムザ》の効果、エールを発動!こいつをタップして、ターン終了時まで《ザックス》のパワーとタフネスを1アップさせて、先制攻撃の効果を与える!」

 

 ザックス・フェア(《マテリアブレイド改》装備) 5/5→6/6(伝説のクリーチャー-人間・兵士) 1/1カウンター1

 

「バトルだ!《ザックス》で攻撃!」

「…《カーライル》で《ザックス》をブロック」

《マラキールの放蕩貴族、カーライル》に向けて走りこんだ《ザックス》がその場で跳躍し、剣を振り上げ叩っ斬った。

真っ二つになった貴族は血を吸うことができずに消滅していく。

「(《ザルバック》でのブロックはしなかった。もう、こいつの切り札は《カーライル》じゃねえってことだな)俺は戦闘フェイズ終了の段階で手札から《プルート隊隊長、スタイナー》を召喚!」

 

プルート隊隊長、スタイナー 2/1→3/2(伝説のクリーチャー・人間・騎士)①・白

 

「《おっさん》は俺のフィールドに存在する俺がコントロールしている装備品1つにつき、パワーとタフネスが1上がる。更に俺は手札から装備カード《エクスカリバーⅡ》と《「白魔導士」の杖》を発動!これで装備カードが増えて、《おっさん》はパワーアップだ!」

 

プルート隊隊長、スタイナー 3/2→5/4(伝説のクリーチャー・人間・騎士)

 

「そして、《「白魔導士」の杖》の効果!英雄トークンを生み出して、そのトークンの装備カードになる!そして、3マナを使って杖を《おっさん》に装備させる。俺はこれで、ターンエンド!」

 

進化した潜伏工作員

手札3

LP23

場 意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒

  白聖石(アーティファクト)(追放:《善意の騎士》)(タップ)

  土地(黒2 白3 白/黒1) すべてタップ

 

 

 

ジタン

手札4→0

LP8

場 見習い騎士、ラムザ・ベオルブ 3/3(伝説のクリーチャー-人間・騎士)(タップ)

  ザックス・フェア(《マテリアブレイド改》装備) 5/5(伝説のクリーチャー-人間・兵士) 1/1カウンター1(タップ)

  プルート隊隊長、スタイナー(《「白魔導士」の杖》装備) 5/4→6/5(伝説のクリーチャー・人間・騎士・クレリック)絆魂

  英雄 1/1(クリーチャー・人間・英雄)

  マテリアブレイド改(アーティファクト-装備品)

  エクスカリバーⅡ(アーティファクト-装備品)

  「白魔導士」の杖(アーティファクト-装備品)

  リターン・ターミナス(伝説のアーティファクト-ターミナス・ストーン)(タップ)

  土地(水2 黒1 白2 《始まりの町》1 水/白1 《閑静な中庭》1(人間))すべてタップ

 

(これで、少なくとも今の《ザルバック・ベオルブ》が攻撃したとしても、《スタイナー》と相討ちに持ち込むことができる…だが…)

奥の席に座り、戦いの様子を見るディリータにはこれで事態が好転するとは思えなかった。

これでジタンは手札をすべて使い切り、まだ相手には3枚の手札がある。

おまけに、警戒を持つ《ザルバック・ベオルブ》は攻撃してもタップ状態にならず、ブロックに参加できる状態だ。

 

「私のターン」

 

進化した潜伏工作員

手札3→4

 

「私は手札よりもう1枚の《白聖石》を発動。そして、その効果により《ラムザ》を追放する」

「《おっさん》じゃなくて、《ラムザ》を!?」

もう1枚の《白聖石》に吸収される《ラムザ》だが、ブロックできる《スタイナー》を追放したほうがいいはずだ。

その意味が解らないまま、ゲームが進む。

「バトル。《ザルバック》で攻撃。そして、《ザルバック》の効果…望まぬ呪いを発動。貴様はこのクリーチャーの攻撃を可能ならブロックしなければならない!」

「何!?」

《スタイナー》が手にしている《「白魔導士」の杖》で《ザルバック》の剣を受けるが、同時に剣から黒いエネルギーが放出され、彼に襲い掛かる。

「そして、《ザルバック》の攻撃をブロックしたクリーチャーのコピーを生み出す。コピーは吸血鬼となり、黒へ堕ちる」

エネルギーが《スタイナー》の身体から離れ、敵の前に真っ黒なエネルギーが実体化する形で生み出された《スタイナー》のコピーが出現する。

 

プルート隊隊長、スタイナー 2/1(伝説のクリーチャー・人間・騎士→人間・騎士・吸血鬼)①・白→黒 絆魂

 

「そして、ブロックしたクリーチャーのパワーとタフネスは1となり、その戦闘で死ぬことは許されない」

「《おっさん》の力が…!」

力を根こそぎ奪われた《スタイナー》は手にした杖なしでは立つことができないほど衰弱する。

相手フィールドにいる自らの偽物を腹立たしそうに眺めていた。

「だが、《おっさん》の絆魂で、俺のライフは回復だ!」

「私はこれで、ターンエンド」

 

進化した潜伏工作員

手札4→3

LP23

場 意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒

  プルート隊隊長、スタイナー 2/1(人間・騎士・吸血鬼) 絆魂

  白聖石(アーティファクト)(追放:《善意の騎士》)

  白聖石(アーティファクト)(追放:《見習い騎士、ラムザ・ベオルブ》)

  土地(黒2 白3 白/黒1) 黒2・白2タップ

 

 

 

ジタン

手札0

LP8→14

場 ザックス・フェア(《マテリアブレイド改》装備) 5/5(伝説のクリーチャー-人間・兵士) 1/1カウンター1(タップ)

  プルート隊隊長、スタイナー(《「白魔導士」の杖》装備) 6/5→1/1(伝説のクリーチャー・人間・騎士・クレリック)絆魂

  英雄 1/1(クリーチャー・人間・英雄)

  マテリアブレイド改(アーティファクト-装備品)

  エクスカリバーⅡ(アーティファクト-装備品)蓄積カウンター0→1

  「白魔導士」の杖(アーティファクト-装備品)

  リターン・ターミナス(伝説のアーティファクト-ターミナス・ストーン)(タップ)

  土地(水2 黒1 白2 《始まりの町》1 水/白1 《閑静な中庭》1(人間))すべてタップ

 

「くっ…!!」

《スタイナー》の偽物とそれを生み出した《ザルバック》。

(どうしよう… ブロックしないようにすることを考えたら、みんな攻撃しないと!!)

ジタンは歯を食いしばり、デッキケースを強く握る。

手札はゼロ。

相手の手札はまだ3枚残っている。

《ザルバック》の警戒と《白聖石》の追放効果で、守りが崩壊しかけている。

「…まだだ!まだゲームは終わってねえ!俺のターン!!」

 

ジタン

手札0→1

 

「俺は《リターン・ターミナス》の効果発動!こいつをタップし、黒1つを含めた7マナを使うことで、俺のフィールドのクリーチャー1体を追放できる!俺は《英雄》を追放する!」

《リターン・ターミナス》の中に《英雄》が吸収され、カードが黒く光る。

「ラムザがフィールドに残してくれた《リターン・ターミナス》はこれで、装着された状態になる。そして、俺のターン開始時に俺の墓地のクリーチャー1体を復活できる。俺はこれで、ターンエンド」

 

進化した潜伏工作員

手札3

LP23

場 意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒

  プルート隊隊長、スタイナー 2/1(人間・騎士・吸血鬼) 絆魂

  白聖石(アーティファクト)(追放:《善意の騎士》)

  白聖石(アーティファクト)(追放:《見習い騎士、ラムザ・ベオルブ》)

  土地(黒2 白3 白/黒1) 黒2・白2タップ

 

 

 

ジタン

手札1

LP14

場 ザックス・フェア(《マテリアブレイド改》装備) 5/5(伝説のクリーチャー-人間・兵士) 1/1カウンター1

  プルート隊隊長、スタイナー(《「白魔導士」の杖》装備) 1/1(伝説のクリーチャー・人間・騎士・クレリック)絆魂

  マテリアブレイド改(アーティファクト-装備品)

  エクスカリバーⅡ(アーティファクト-装備品)蓄積カウンター1

  「白魔導士」の杖(アーティファクト-装備品)

  リターン・ターミナス(伝説のアーティファクト-ターミナス・ストーン)装着状態(タップ)

  土地(水2 黒1 白2 《始まりの町》1 水/白1 《閑静な中庭》1(人間))白1以外すべてタップ

 

「私のターン」

 

進化した潜伏工作員

手札3→4

 

「私は土地カードを1枚置き、《極悪なパンダ》を召喚」

 

極悪なパンダ 3/2(クリーチャー-熊・デーモン)②・白・黒

 

「このクリーチャーは私がライフを得るたびにパワーとタフネスが1増加する。そして、このクリーチャーが死亡した時、その時のこのクリーチャーのパワー以下で、熊でも《極悪なパンダ》でもない私のクリーチャー1体を復活させることができる。バトル。2体のクリーチャーで攻撃。さあ、貴様のクリーチャーの力を奪ってやろう」

《スタイナー》の偽物とともに再び襲い掛かってくる《ザルバック》。

ただ命令に従うだけの人形をこれ以上野放しにできない。

「俺は《偽物のおっさん》の攻撃を《おっさん》でブロック、そして《ザックス》で《ザルバック》をブロック!」

(そんなことしたら、《ザックス》が!!)

「そして、《ザックス》の効果発動!1マナを使うことで、《ザックス》を生贄にすることができる!そして、俺のクリーチャー1体をターン終了時まで破壊不能にし、乗っていたすべてのカウンターとすべての装備をそのクリーチャーに託す!」

《ザルバック》の刃が届く前に《ザックス》が消え、力を失っていた《スタイナー》の手に《マテリアブレイド改》がわたる。

《ザックス》から与えられた力で体力を取り戻した《スタイナー》はその剣で偽物の自分を切り捨てた。

 

 プルート隊隊長、スタイナー 1/1→2/2→6/5(伝説のクリーチャー・人間・騎士・クレリック)+1/+1カウンター0→1 絆魂→絆魂・破壊不能(ターン終了時まで)

 

進化した潜伏工作員

LP23→25

 

極悪なパンダ 3/2→4/3(クリーチャー-熊・デーモン)+1/+1カウンター0→1

 

ジタン

LP14→20

 

「はあ、はあ…このようなもので…この、アデルバート・スタイナーは倒せん…!」

「…!おっさん、もしかして…!」

「その声は、ジタン殿か!?姿が少し違うようだが…それに、ここはいったいどこなのだ?それに、私はなぜ、このような…」

《ザックス》から力を継承し、自らの偽物を打ち破ったことがきっかけなのか、それとも別の要因なのかはわからない。

一つ言えるのは、今スタイナーもこの白鷺市へ来てしまったということだ。

「ああーーー!説明はあとだ、スタイナーのおっさん!それよりも、今は集中してくれ!」

「こ、心得た!」

「私はソーサリーカード《ゾンビ化》を発動。その効果により、再び《マラキールの放蕩貴族、カーライル》は甦る。私はこれで、ターンエンド」

 

進化した潜伏工作員

手札4→1

LP25

場 意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒

  マラキールの放蕩貴族、カーライル 3/6(クリーチャー-吸血鬼・貴族)絆魂

  極悪なパンダ 4/3(クリーチャー-熊・デーモン)+1/+1カウンター1

  白聖石(アーティファクト)(追放:《善意の騎士》)タップ

  白聖石(アーティファクト)(追放:《見習い騎士、ラムザ・ベオルブ》)タップ

  土地(黒3 白3 白/黒1) すべてタップ

 

 

 

ジタン

手札1

LP20

場  プルート隊隊長、スタイナー(《「白魔導士」の杖》《マテリアブレイド改》装備) 6/5(伝説のクリーチャー・人間・騎士・クレリック)絆魂 +1/+1カウンター1

  マテリアブレイド改(アーティファクト-装備品)

  エクスカリバーⅡ(アーティファクト-装備品)蓄積カウンター1→2

  「白魔導士」の杖(アーティファクト-装備品)

  リターン・ターミナス(伝説のアーティファクト-ターミナス・ストーン)装着状態(タップ)

  土地(水2 黒1 白2 《始まりの町》1 水/白1 《閑静な中庭》1(人間))白1以外すべてタップ

 

「よっしゃあ!俺のターン!ターン開始時に《リターン・ターミナス》の効果発動!その効果で、墓地から《バハムートのドミナント、ディオン・ルサージュ》を召喚!」

 

ジタン

手札1→2

 

バハムートのドミナント、ディオン・ルサージュ 3/3(伝説のクリーチャー-人間・貴族・騎士)③・白

 

「《ディオン》は召喚されたとき、《騎士》を生み出す!」

召喚されたばかりの《ディオン》のそばに現れた騎士が彼にひざまずき、彼の槍を差し出す。

その容姿は彼の従者であるテランスとうり二つだ。

 

騎士 2/2(トークン・クリーチャー-騎士)白

 

「そして、俺はソーサリーカード《自ら運をつかめ》を発動!俺のデッキの上から3枚を確認して、その中の土地じゃないカード1枚を追放して計画を立て、残りを手札に加える」

せっかく5マナも消費してまで手にするカード。

その中に逆転の一手があることを願い、ジタンは確認する。

「…。俺はこの中の《俺自身》を追放し、残り2枚を手札に加える。そして、俺の場の《エクスカリバーⅡ》を《おっさん》に装備する。バトルだ!《おっさん》で攻撃だ!」

「ならば、《カーライル》で…」

「ダメだぜ!《ディオン》のドラゴンダイブの効果だ!俺のターンの間、俺のすべての騎士は飛行を手にする!飛行を持っているクリーチャーは飛行を持っているクリーチャーでしかブロックできない!」

「覚悟せよ!!」

旅の中で手にした伝説の剣である《エクスカリバーⅡ》を両手で握った《スタイナー》が大きく跳躍して《進化した潜伏工作員》を切り裂いた。

「よっしゃあ!俺はこれで、ターンエンド!」

 

進化した潜伏工作員

手札1

LP25→16

場 意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒

  マラキールの放蕩貴族、カーライル 3/6(クリーチャー-吸血鬼・貴族)絆魂

  極悪なパンダ 4/3(クリーチャー-熊・デーモン)+1/+1カウンター1

  白聖石(アーティファクト)(追放:《善意の騎士》)タップ

  白聖石(アーティファクト)(追放:《見習い騎士、ラムザ・ベオルブ》)タップ

  土地(黒3 白3 白/黒1) すべてタップ

 

 

 

ジタン

手札2→3

LP20→19→20→29

場  プルート隊隊長、スタイナー(《「白魔導士」の杖》《マテリアブレイド改》《エクスカリバーⅡ》装備) 6/5→8/7→9/8→10/9(伝説のクリーチャー・人間・騎士・クレリック)絆魂 +1/+1カウンター1 タップ

  騎士 2/2(トークン・クリーチャー-騎士)白

  バハムートのドミナント、ディオン・ルサージュ 3/3(伝説のクリーチャー-人間・貴族・騎士)

  マテリアブレイド改(アーティファクト-装備品)

  エクスカリバーⅡ(アーティファクト-装備品)蓄積カウンター2→4

  「白魔導士」の杖(アーティファクト-装備品)

  リターン・ターミナス(伝説のアーティファクト-ターミナス・ストーン)装着状態(タップ)

  土地(水2 黒1 白2 《始まりの町》1 水/白1 《閑静な中庭》1(人間))水2 黒1 白2 《始まりの街》1 《閑静な中庭》1 タップ

 

ライフは逆転し、フィールドだけで見ると状況が変わったように見える。

だが、《ザルバック》が健在であり、《ザルバック》の次の攻撃で《ディオン》か《騎士》がコピーを取られる恐れがある。

(トークンの《ディオン》は本物の《ディオン》とは違って、変身できない。ドラゴンダイブをうまく使われる可能性があるのは厄介だけどな…)

「私のターン…」

 

進化した潜伏工作員

手札1→2

 

「私…は、《偽りの姫君、オヴェリア・アトカージャ》を召喚」

「…!あ、あ、ああああ!!」

「くっ、まずい!!うわぁ!!」

いきなりオヴェリアに蹴りとばされたクラウドが地面を転がり、ナイフを手にした彼女がゆっくりと敵のフィールドへ向かっていく。

不意を突かれたこと、そしていきなり高まった彼女の身体能力にクラウドは対応できなかった。

両目からは赤い涙を流し、ナイフは血で濡れていた。

 

偽りの姫君、オヴェリア・アトカージャ 3/3(伝説のクリーチャー-人間・貴族・クレリック)④・黒・白 呪禁・防衛

 

「ちくしょう!!間に合わなかったのかよ!?」

「《オヴェリア》は攻撃を行えない代わりに、召喚時と私のターン開始時にデッキの上から3枚を確認し、1枚を裏向きでフィールドに置き、残り2枚をデッキの一番下に戻すことができる。そして、裏向きで置かれたカードはパワーとタフネスが2のクリーチャーとして扱われる」

顔のない仮面をつけた鎧姿の男がフィールドに現れ、彼女のそばに立つ。

ナイフを握る彼女はじっとそれを見つめるだけで、その男に対して何も感情を抱かない。

「そして、手札からエンチャントカード《幽霊による庇護》を発動。このカードは自分のクリーチャーに宿すことができ、その時に対戦相手の土地以外のパーマメント1つを追放する。《スタイナー》を追放する」

「くっ…!すまねえ、《おっさん》!!」

《スタイナー》の背後にいきなり現れた幽霊が彼の魂を奪い、《意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ》の下へ飛んでいく。

「そして、このカードを宿したクリーチャーのパワーが1増加し、絆魂と護法②を得る」

 

意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/5→6/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒→警戒・絆魂・護法②

 

「バトル。《ザルバック・ベオルブ》と《極悪なパンダ》で攻撃。さあ、ブロックしろ!!」

命令に縛られ、再び攻撃すべく歩き出す《ザルバック》。

やむなくその刃を従者たる騎士が受け、騎士の偽物がフィールドに出現する。

そして、《極悪なパンダ》の爪をジタンは受けることになる。

「うわああああ!!」

 

ジタン

LP29→25

 

進化した潜伏工作員

LP16→22

 

騎士 2/2(トークン・クリーチャー-騎士→トークン・クリーチャー-騎士・吸血鬼)白→黒

騎士 2/2→1/1(トークン・クリーチャー-騎士)白

極悪なパンダ 4/3→5/4(クリーチャー-熊・デーモン)+1/+1カウンター1→2

 

「私はこれで、ターンエンド」

 

進化した潜伏工作員

手札2→0

LP22

場 意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ(《幽霊による加護》装備) 6/5(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒・絆魂・護法②

  マラキールの放蕩貴族、カーライル 3/6(クリーチャー-吸血鬼・貴族)絆魂

  偽りの姫君、オヴェリア・アトカージャ 3/3(伝説のクリーチャー-人間・貴族・クレリック)④・黒・白 呪禁・防衛

  偽装(クリーチャー)2/2

  極悪なパンダ 5/4(クリーチャー-熊・デーモン)+1/+1カウンター2

  白聖石(アーティファクト)(追放:《善意の騎士》)タップ

  白聖石(アーティファクト)(追放:《見習い騎士、ラムザ・ベオルブ》)タップ

幽霊による加護(エンチャント-オーラ)(追放:《プルート隊隊長、スタイナー》)

  土地(黒3 白3 白/黒1) すべてタップ

 

 

 

ジタン

手札3

LP25

場 騎士 1/1(トークン・クリーチャー-騎士)白

  バハムートのドミナント、ディオン・ルサージュ 3/3(伝説のクリーチャー-人間・貴族・騎士)

  マテリアブレイド改(アーティファクト-装備品)

  エクスカリバーⅡ(アーティファクト-装備品)蓄積カウンター4

  「白魔導士」の杖(アーティファクト-装備品)

  リターン・ターミナス(伝説のアーティファクト-ターミナス・ストーン)装着状態(タップ)

  土地(水2 黒1 白2 《始まりの町》1 水/白1 《閑静な中庭》1(人間))水2 黒1 白2 《始まりの街》1 《閑静な中庭》1 タップ

 

「オヴェリア様…兄さん…」

船内でジタンの戦う様子を見るラムザは彼に甘えてここに入ったしまった自分に嫌気を感じていた。

ダイスダーグと戦った時は父の仇であることから、躊躇することがなく、聖ミュロンド寺院でも、覚悟を決めて戦ったというのに。

「結局、僕は…僕は…」

 

「いくぜ、俺のターン!!ターン開始と同時に《リターン・ターミナス》の効果発動!墓地の《暗黒騎士、セシル》を召喚!」

 

ジタン

手札3→4

 

暗黒騎士、セシル 2/3(伝説のクリーチャー-人間・騎士)黒

 

「俺は前のターンに計画した《俺自身》をコストなしで召喚!」

 

陽気な義賊、ジタン 3/3(伝説のクリーチャー・人間・ミュータント・スカウト)③・白・赤

 

「そして、《俺自身》の効果。相手クリーチャー1体のコントロールをターン終了時まで得る!俺は2マナを使って護法を突破して、《ザルバック》のコントロールを得る!」

自らの分身が盗賊刀の片方部分を投げ、それで《ザルバック》を拘束する。

拘束された拍子に剣を落とし、ジタンのフィールドに映ると同時に彼はなくした剣を探すかのようにあたりを見渡す。

「おっしゃあ、これで…」

(待って、ジタン。ここからは、ラムザに任せてあげて)

「え…?」

「ケイ…?」

(コントロールを奪った今なら、きっとラムザの声が聞こえるよ。あきらめないで、今ならきっと、助けられると思うから…)

再びの兄殺しではない、二流のハッピーエンド。

願望ともいえるそんな慧の言葉には確証なんてない。

ただ、ラムザとザルバックに悲しい別れをさせたくないだけ。

「…分かったぜ、いいよな?ラムザ」

(…ありがとう、二人とも、力を貸してくれて)

「それは成功してから言えよ!いくぜ!」

慧の身体に再び入り、改めて肉眼で見ることとなったザルバック。

このターンのみコントロールを奪っただけのため、どうなるかはわからない。

「僕は手札からインスタントカード《劇場艇の墜落》を発動!このカードはアーティファクトかエンチャント、もしくは飛行を持っていくクリーチャー1体を破壊できる!僕は《僕自身》が封じられている《白聖石》を破壊する!」

粉々に砕け散る《白聖石》。

その中に眠っていた《ラムザ》がフィールドに戻り、まだ囚われている兄の前に立つ。

 

見習い騎士、ラムザ・ベオルブ 3/3(伝説のクリーチャー・人間・騎士) ②・青

 

「《速足のブーツ》を発動!これを僕自身に装備する!そして、《僕自身》の効果であるエールを《兄さん》に対して発動!!」

 

意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ(《幽霊による加護》装備) 6/5→7/6(伝説のクリーチャー-人間・騎士・吸血鬼)警戒・絆魂・護法②→警戒・絆魂・護法②・先制攻撃

 

「兄さん、ザルバック兄さん!!聞いて、僕の声を!!」

エールの効果を受け、暴れだそうとしていた《ザルバック》の動きが収まっていく。

そして、ラムザは思いをぶつける。

「兄さん…ずっと、後悔しているんだ!あの時、兄さんを助けられなかったことを。もう、あんな後悔をしたくない!僕は、もう1度…もう1度、兄さんと話したい!会いたいんだ!ザルバック兄さん!!」

「ラム、ザ…」

「…!今、僕の名前を!!」

「ラム、ザ…私、は…そう、だ…私、は…」

消えてしまっていたはずの意識が目覚めていき、それと同時に灰色だった肌に彩が戻っていく。

ボロボロだった鎧も徐々にきれいになっていき、ラムザにとって見慣れた姿へと変わっていく。

「ああ…兄さん…」

「そうだ…私は、ザルバック・ベオルブ…ベオルブ家の次男にして、北天騎士団の団長、ラムザ…お前の、兄だ!」

(ラムザ、見て!《ザルバック》のカードが!)

慧の言葉を聞いたラムザが見たのは変わり果てた姿となっていた《ザルバック》のカードが変化していく様子だ。

《聖騎士、ザルバック・ベオルブ》。

ラムザの尊敬する兄の、本来あるべき姿がよみがえった。

 

聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/6 (伝説のクリーチャー-人間・騎士)④・白・白

 

「ラムザ、状況がまだ飲み込み切れていない。だが…奴を倒せばいいのだな?そして…」

ザルバックが目を向けるのは完全に敵の制御下に入ってしまったオヴェリアだ。

獅子戦争において、刃を向けることとなってしまった王女。

巻き込んだのはラーグ公と愚兄ダイスダーグだが、それでも自分に責任がなかったというわけにはいかない。

「私の力、存分に使ってくれ!」

「はい、まずは《マテリアブレイド改》を1マナで《兄さん》に装備する!」

《ザックス》、《スタイナー》と渡り続けた《マテリアブレイド改》が騎士としてのおのれを取り戻した《ザルバック》の手に握られる。

「なかなかな剣だな、これは」

 

聖騎士、ザルバック・ベオルブ 5/6→9/9 (伝説のクリーチャー-人間・騎士)④・白・白 なし→二段攻撃

 

「そして、《ディオン》のドラゴンダイブの効果。僕のコントロールしているすべての騎士は飛行を得る!」

《ディオン》が槍を構え、己に宿った魔力を2人の騎士に分け与える。

そして、3人は一斉に跳躍して壁となる相手クリーチャーを飛び越えていく。

自分に襲い掛かるそのクリーチャーたちを見る《進化した潜伏工作員》が小さくつぶやいた。

「任務完了…」

 

進化した潜伏工作員

LP22→13→4→3→0

 

意志奪われし聖騎士、ザルバック・ベオルブ ④・白・黒・黒

伝説のクリーチャー — 人間・騎士・吸血鬼

警戒

望まぬ呪い ― このクリーチャーが攻撃するたび、可能ならブロックされなければならない。

このクリーチャーが攻撃し、ブロックした相手クリーチャーは死亡しない。その代わりに、あなたはそれのコピーであるトークンを1体生成する。そのトークンは黒であり、吸血鬼としても扱われ、信心が黒となる。その後、ブロックした相手クリーチャーは1/1に調整される。

 

5/6

「ザルバックよ、目の前の小僧を殺せ!生かしてここから出してはならんぞ!!」(神殿騎士団長ヴォルマルフ・ティンジェルによるザルバック・ベオルブへの命令)

 

偽りの姫君、オヴェリア・アトカージャ  ④・黒・白

伝説のクリーチャー-人間・貴族・クレリック

呪禁・防衛

このカードの召喚時、または自分アップキープ開始時にあなたのライブラリーの一番上にあるカード3枚を見て、そのうちの1枚を偽装し、残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。(カードを偽装するとは、それを2/2のクリーチャーとして裏向きの状態で戦場に出すことである。それがクリーチャー・カードなら、そのマナ・コストで、いつでも表向きにしてよい。)

 

3/3

「今日はおまえの誕生日だろ?永遠の愛を込めてこの花束を──」(イヴァリース国王、ディリータ・ハイラル)

 

ゲームが終わると同時に、フィールドからクリーチャーたちが消えていき、《進化した潜伏工作員》も消えてしまう。

「オヴェリア様…」

任務完了という最後の言葉。

彼らの目的はあくまでのオヴェリアで、ザルバックはついででしかなかったのだろう。

(もしかして、ディリータは…)

「く、う…」

うめき声が聞こえた瞬間、ラムザの思考が今近くにいる存在に切り替わる。

アルマやディリータ、ベオルブ家、様々な問題を抱えて獅子戦争の影で戦い続けてきたラムザだが、そうした切り替えをすることができたから生き残ることができた。

同時にほかの問題を抱える羽目にもなったのだが。

「クラウド!クラウド大丈夫か!?」

「なんで、俺の名前を…それよりも、すまない…彼女を、止められずに…」

「急いで治療を!船長、彼の乗船の許可を!僕の仲間なんだ!」

 

プリマビスタの医務室で、白魔導士の格好をしたモーグリがベッドに横たわるクラウドの腕に注射をする。

そして、点滴を受けたことでようやく苦しそうにしていたクラウドの寝顔が穏やかになる。

「治療はこれで問題ないでしょう。除染も済んでいます」

「ありがとうございます。船長、クラウドの乗船も許可してくれて…」

「戦力が必要、それだけの話です」

席を立った船長が医務室をあとにし、残ったラムザと慧にしばらく沈黙が流れる。

沈黙を破ったのはラムザだ。

「クラウド…僕のことを覚えていないなんて…」

「確か、記憶喪失だった…のかな?君があった時のクラウドは。それだと、記憶を取り戻したことで逆に記憶喪失だった頃の記憶がなくなってしまう…とか」

「そういうこともあるのか…」

慧はこのクラウドとラムザの知るクラウドが別人だということを知っている。

ヴォルマルフが話していたクラウドの正体、それは元々のクラウドの魂を写本のようにコピーしたのであり、その肉体も聖石によって新たに構築されたもの。

だが、それを自分が話したからと言って混乱させるだけ。

なら、何かつじつまの合う理由をつけて、あくまでもそれを憶測として話すだけ。

少なくとも、ラムザはそれで納得したようだ。

「ラムザ、あとは僕一人でいいよ。ラムザは休んでいて」

「ケイだって、かなりダメージを負ってるでしょ?あんなに血を吸われて…」

「僕は、大丈夫だから…」

「…じゃあ、少しだけ」

医務室を出たラムザは壁に背を任せるディリータの姿を見る。

彼の隣に行き、わずかな静寂の後でラムザは口を開く。

「ディリータ…オヴェリア様を助けるために」

「…ああ」

「認めるんだ」

「お前には、隠す必要がない。そう思っただけだ。彼女を救うために、お前たちを利用する。それだけだ」

「ディリータ」

立ち去ろうとするディリータの背中にラムザの声がぶつかる。

振り返らないが、足を止める彼にラムザは言葉を続ける。

「ディリータ、言っていたよね。あの時、僕に言っていたことを覚えてる?利用され続けろって言っていたこと…」

教会でザルモゥと戦っていた時、ラムザは仲間であるムスタディオにディリータに裏切られることで傷つくかもしれないと心配してくれた。

心配ないと甘いことを話したラムザにぶつけた言葉を2人は思い出していた。

(ラムザ、そのヤローの言ってることは正しいぞ。オレに裏切られることも想定しやがれってんだ!オレは、おまえに利用価値がないと判断したら即座に教会や戦争している馬鹿どもにお前を売るッ!いいか、死にたくなかったらな、このオレに利用され続けろ! いいなッ!)

「僕を利用することで、オヴェリア様を救うことにつながるのなら、構わない。僕を君の道具として使ってくれ。それで構わない。だから…一人で戦おうとしないでほしい」

「…相変わらず、変わらないな、お前は」

足早にその場を後にするディリータ。

その後ろ姿をラムザは静かに見送った。

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