11月23日、勤労感謝の日。
王城と試合するまであと3日だと言うのに王城高校の学園祭へ行くとヒル魔が宣言して練習は休みとなった。
目的はバリスタの調査、アメフト部の公開練習があると言うので偵察目的だ。
「テメェはクソガキ共と一緒に居ろ」
「お前は?」
「別行動だ、テメェは精々目立って俺らの動向を探られねぇようにしろ」
「ら?……まぁいい、了解」
学園祭ってどんなのだろうな、普通に楽しみ!
―王城高校―
西洋の物語に出てきそうな古城みたいな校舎に石造りの地面、その上に赤絨毯を敷いて学園祭らしい雰囲気の中、適当に食べ物を買っては見て回ることにした。
「そんなに食べて大丈夫なの?」
「大丈夫だ、金なら用意してる。お前も食うか?」
さっき買った団子を2本姉崎へ向けると1本だけ手に取って食べた。
「結構美味しい」
「な、学園祭だからクオリティ低いのかと思ったけどちゃんと美味い。あっちに焼きそば売ってたし後で買うわ」
「何か楽しんでない…?」
「普通に楽しい」
アメフトの為に来てんだけどたまにはアメフトから離れて羽を伸ばしたい気分だ。
あっこの焼きそば美味っ!
姉崎も……食いたいのか?俺の食いかけだぞこれ……あっ食うんだ…………この箸……気にしたら負けだと思おう。
何か今更姉崎が恥ずかしがってるけど無視しよう、言ったらうるさいし。
姉崎と一緒に?焼きそばを食った後はバナナクレープとラムネを買って学園祭を見て回っていると、中央ステージでイベントが始まろうとしていた。
『王城祭ステージ班恒例のオープニングクイズ大会!ただ今出場者募集中!』
「クイズだとよ、出てみたら?」
「私が?蓮次君の方が賢いでしょ」
「優勝商品も無しじゃあなぁ」
『優勝して栄誉の聖剣エクスカリバーを手にする勇者は誰なのか!』
エクス、カリバー…かっけぇ。
「アーサー王伝説のエクスカリバーだって、いかにも王城って感じだね」
「…いいなぁ…」
「え…」
「欲しい」
「えぇ…」
何か瀧がセナを連れて参加してるし大田原と桜庭も出てるし俺も出たいな〜エクスカリバー欲しいなぁ。
「もしかして蓮次君アレ欲しいの?」
「欲しい」
「少年みたいにキラキラした目をしてまで!?」
「欲しい、クイズ大会出るぞ」
「え?えぇー!?」
なんせヒル魔から目立ってろって言われたしこれ以上分かりやすい目立ち方はねぇだろ!
エクスカリバーも手に入れて置けばヒル魔の指示も守れて一石二鳥だ!
「アハーハー!蓮次君とマドモアゼルも出るんだね!」
「どうしてこんなことに…」
「ばっはっは!優勝は俺と桜庭が貰う!」
「双葉…何かやる気すごくない?」
「エクスカリバー欲しい部屋に飾りてぇ!」
「誰か蓮次君の暴走の止め方を教えて…!」
「桜庭と双葉はん!ええ勝負しようや!」
「なんで俺がこいつと出てんだよ!」
セナ&瀧チーム、大田原&桜庭チーム、俺&姉崎チーム、虎吉&鬼平チームの4チームでクイズ大会が始まった。
『申し遅れましたが、ビリのチームには罰ゲーム!この後のメイド喫茶でメイドになっていただきます!』
「メイド!?…嫌だなぁ絶対恥ずかしいよ」
「は?瀧がいる時点で有り得ねぇだろ」
「そんなストレートに言わなくてもいいでしょ」
「それに、優勝すれば問題ない」
エクスカリバー手に入んねぇし。
『第一問!』
ゴシャア!!
……何か隣で台が壊れた。見れば大田原&桜庭チームが早押しと勘違いして力いっぱい押して壊してる。
「ばっはっはっ!見ろ桜庭!俺のパワーと桜庭のキャッチ力なら誰にも押し負けんわ!」
「それで俺をペアに選んだんですね…根本的に色々間違ってます…」
桜庭、苦労してんな…。
「瀧、問題をよく聞いてからやれよ」
「OK蓮次君!」
『それでは気を取り直して第一問!有名な雁屋のシュークリームに含まれて─』
ピンポーン!
「お前もかよ…!」
姉崎がものすごい形相でボタンを押した。
「バニラビーンズ、コラーゲン、ペプチド、小麦粉、鶏卵、マーガリン、バター、砂糖、生クリーム」
『原材料名を5つ以上…』
「コーンスターチ、メロンオイル、ベーキングパウダー、リキュール、塩、牛乳、アーモンド」
『せせ正解ですもういいです!』
「はーい落ち着こうなー」
「むぐっ…!」
思わず姉崎の口を塞いで黙らせた。
「恥ずかしいからやめろ」
「ごめんなさい」
「後で雁屋のシュークリーム買いに行こうな?」
「子供扱いしないで!でも欲しい!」
「チョロガキ、うちの妹でもマシな対応してくるぞ」
「うぐっ……恥ずかしい…」
「苦労してるな双葉」
「察してくれるか桜庭」
「あぁ」
「普段は気遣いが上手くて美人でいい女なんだがシュークリームになればこれなんだよ、どうにか出来ねぇか?」
「……ごめん」
「知ってた」
早押しクイズが続き、大田原と瀧が押しては間違いの連続。お手つきをした2組はマイナスになっていくのに対し、こっちは正解してどんどん増えていく。
とうとう埒が明かないと言うので、早押しクイズから○×クイズに変わった。
『それでは問題!ショーグンは若い頃意外とモテた、○か×か!!』
「どう思う蓮次君」
「〇だろ。ショーグンって現役時代アメフトの花形であるクォーターバックだ。それにどう見てもショーグンは硬派な男、厳しいながらも誠実な対応を常にしてたらモテただろうな」
「…分かる」
「なんで…?」
『正解は〇でした!』
この問題、ショーグンにダメージデカくないか?
若い頃の話を暴露されて問題にされて…めちゃくちゃ複雑な顔をしてるじゃねぇか。
『それでは次の問題!むがっ!』
突然司会の男が段上から降ろされ、変わりにメガネをかけた悪魔が現れた。
「さぁ皆さん最終問題も〇×クイズです!」
「何やってんだヒル魔…」
『問題!王城ホワイトナイツの新戦術バリスタとは、守備の進清十郎が攻撃にも参加する事だ』
なるほど、バリスタについて調べたのをここで確認しようって事か。
「〇か×か、さぁ正解は?高見伊知郎さん!」
王城のメンバーが沈黙を貫いた。
横を見れば桜庭が俺を見て表情に出さないようにしている。
「どうなんだ桜庭と大田原」
「……」
さすがの大田原も鼻をほじって沈黙をしている…というか何も考えてない雰囲気だ。
「その通りだヒル魔、バリスタは進も攻撃に加わる」
やがて進が高見を説得し自白。
保守的なディフェンスのチームから姿を大きく変え、バリスタを取り入れた最強の王城が誕生したと宣言したのだった。
クイズ大会が終わり、優勝商品であるエクスカリバーを片手で持ちながら人が少なくなった観客席に座った。
「これが調査結果だ」
ヒル魔が俺に携帯を投げて来たので受け取ると、画面には王城大と練習試合したスコアが写っていた。
「王城大相手にキック1本だけ?」
「あーそうだ、あの黄金世代がいる王城大を相手にだ。それだけじゃねぇ」
「攻撃力もアップしてるな、バリスタの強さが分かるスコアだ」
「そういうこった」
「具体的に進はどのポジションに着くんだ」
「進のランって言ってたからなぁランニングバックと見て間違いねぇだろう、奇しくもファッキンチビと同じポジションだ」
「40ヤード走4秒4という脚に俺と変わらない程のパワーでランニングバックか…進を使うなら中央突破の択も入るかもしれねぇ、1番嫌な戦術だ」
進を使うってシンプルな作戦、分かってても止めようがないってのは1番厄介で対策が難しい。
「つーかなんでテメェは変な剣を持ってんだ?」
「変な剣って言うなエクスカリバーだ、クイズ大会でゲットした。いいだろ」
「んなおもちゃのどこがいいんだよ」
「かっこいいからに決まってんだろぉ。埃被らないようケースに入れて保管する、和風の家に西洋文化が入って和洋折衷ってな!」
「…」
「なんで虫を見る目で俺を見んだよ」
「誰かファッキンセカンドの頭のネジを探せ、ぶっ飛んでるぞ」
「ぶっ飛んでねぇわ!」
ヒル魔達が調査した結果を聞いた後はアメフト部の公開練習の見学。
そこでは大田原がメイド服を着て練習しているおぞましい光景を見て背筋が凍ったとだけ言っておく。
そして公開練習が終わると、泥門高校へ戻って練習するのだった。
蓮次君、エクスカリバーがかっこいいと思う子でした(笑)
優勝して手に入れたエクスカリバーは宣言通り部屋に飾られ、エクスカリバーを見た兄弟達に少し引かれてしまいます( ˊᵕˋ ;)
仕方ないよね、だってエクスカリバーってかっこいいもん!
次回は試合前、そしてその次はいよいよ王城ホワイトナイツ戦!
それでは次回をお楽しみに!!