泥門の2番手   作:実らない稲穂

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王城ホワイトナイツ戦その2

 

 

 〜姉崎まもり視点〜

 

 

「やー!泥門先取てーん!!」

 

 3対0、タッチダウンは取れなかったけどムサシ君のキックで先制点を取れた泥門側の客席は鈴音ちゃんを中心に盛り上がっている。

 

「こりゃキツイな」

 

 盛り上がっている空気の中、どぶろく先生が呟いた。

 そしてどぶろく先生の後ろにいるセイジ君が反応し、カメラを持ったままどぶろく先生の隣に立った。

 

「タッチダウンを取れそうだったのを取り逃したからですか?」

「それ以上にセナが進に止められたって事だ」

 

「大丈夫です、セナさんなら最後には抜いて勝ちますよ」

「……だといいがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしていよいよ王城の攻撃がやってきた。

 

「予告しよう泥門の諸兄、王城最初の攻撃は中央突破だ」

 

 

 ラインバッカーの進君を両面起用した王城ホワイトナイツの新たな戦術バリスタが来る…!!

 

 

 

 『Set!Hut!』

 

 宣言通りに進君を先頭にした中央突破!

 

「小結!戸叶!進を止めろぉ!」

 

 どぶろく先生がベンチから叫び、2人が進君へ突っ込む。

 

 『!!』

 

 だけど2人を片手ずつで押さえ込んで突破!?

 

「く、栗田も止めろ!」

 

 体重145kg、密集地帯なら無敵の巨漢である栗田君なら!!

 

「ぉぉぉおおおお!!」

 

「うそ…!」「くりたんを!?」

 

 

 栗田君を押し上げた!?

 

 

 

 

 『13ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』

 

 ファーストダウンをいきなり取られてしまった。

 呆気なく、どこから攻撃すると宣言しての攻撃なのに止められなかった……。

 

 

「テクニックとか超反応とか関係ねぇ…純粋にスピードとパワーと鍛錬に裏打ちされた無敵の突破力じゃねぇか…」

「でもでも!蓮次兄ちゃんなら進さんを止められるでしょ!?」

「栗田の衝撃で見てなかったか?双葉はな……栗田を突破した後進に青天されてんだよ」

「!!?」

 

 フィールドでは蓮次君が仰向けに倒されている。

 栗田君を倒した後に止めに来た蓮次君だったけど、栗田君が倒れてきた時にバランスを崩してしまいそのまま青天……何とかみんなが止めてくれたから独走は免れた。

 

 

 

「次も予告しよう、バリスタを右サイドへ放つ」

 

 また予告だ。

 

 

 

「…………ポジション、変えっか」

「どういう意味だヒル魔」

「ケケケッ奴らは余っ程バリスタを印象付けてぇらしいからなぁ…先手を打っておくんだよ」

「?」

 

 

 

 『Set!』

 

 普段ラインバッカーの位置にいる蓮次君がセナと交代して今はヒル魔君の隣…セーフティのポジションにいた。

 

 『Hut!』

 

 宣言通りに進君を盾に右サイドへ走り出す。

 

「アリエナイイイイ!!」

 

 止めに来た瀧君を抑え、どんどんと進まれてしまう。

 

 

 『5ヤードゲイン!』

 

 セナがランニングバックの猫山君を止める事で何とかファーストダウンは阻止したが進まれてしまった。

 

 

「次は中央突破だ」

 

 また予告。

 

 『Set!Hut!』

 

 

 

「ぬんっ!」

「ぐはっ!!」

 

 進君がセナを吹き飛ばした…!!

 

「ああぁダメじゃねぇか!セナがラインバッカーなんて務まるわけがねぇ!」

 

 どぶろく先生の言う通りセナじゃ進君を止められない。

 

 『8ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』

 

 瀧君と黒木君が止めてくれたがファーストダウンを許してしまう。

 

「ムサシ!セナと交代してやれ!進となら当たり負けしねぇだろ!?」

「バカ言わないでくださいよ、選手交代はヒル魔と蓮次が決めてんすよ」

 

 どぶろく先生の言いたいことは分かるけど…。

 

 

「予告だ、左サイドへ放つ」

 

 

 『Set!HutHut!』

 

 今度は猫山君に渡さず高見さんがボールを持って走り出した。

 

「モン太ァー!桜庭につけぇ!!」

「!…ウッス!!」

 

 後ろから蓮次君が指示を出して桜庭君について行くモン太君だけど…桜庭君は40ヤード走4秒86、モン太君じゃ追いつけない!!

 

「2対1だ!」

 

 そこへ蓮次君も桜庭君へついてプレッシャーをかけてエベレストパスを阻止した!

 

「よしっ!桜庭よりも双葉の方が速い!独走は免れたぞ!」

 

 

「そう来ると思ってたよ……だが、桜庭を甘く見るな!」

 

 投げた!!?

 

「勝負だ双葉!」

「負けねぇぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「双葉先輩!この弾道ならかなり外へ行くッスよ!!」

「!」

 

 モン太君がボールを見ると蓮次君へ叫び、モン太君の声を聞いた蓮次君が桜庭君を抜いて外側についた!?

 

「何してんだ双葉!!」

「蓮兄のバカー!」

 

 

 

「なぜわかった…!?」

 

 

 

 

 

 

「モン太!………後は頼んだ!!」

 

 蓮次君が先に飛んでサイドラインを超えてジャンプ!

 

「うそだろ!?」

 

 最頂点から落ちてきたボールを飛んでいるうちに指先で内側に向けて弾いた!

 

「キャッチマーックス!!」

 

 弾かれたボールがフィールドに戻ってきたのをモン太君がスライディングしながら確保した!!

 

 

 『泥門ボール!』

 

 

「やー!!モン太ー!蓮兄ー!」

「よしっ!」

 

 インターセプト成功!タッチダウンを防ぐだけじゃなくて攻撃権もゲットした!

 

「いいよ蓮次君!モン太君!」

 

 思わず叫ぶと2人が私の方を見て笑顔を見せてくれて、蓮次君とモン太君がハイタッチを交わした。

 

 この2人ならエベレストパスを防げる!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケケケッ!テメェのそういう娑婆気が読める穴なんだよファッキンメガネ」

「…あぁその通りだ。俺は甘くヒル魔の様に勝利に徹しきれない。だからこそこれからも同じ事を何度もやろう、進を止めるか桜庭を止めるかずっと考え続ければいい」

「……」

 

「さぁ泥門、俺達の攻撃でどっちを選んで守るつもりだ?」

 

 不敵な笑みを浮かべる高見さんが静かにベンチへと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『Set!』

 

 インターセプトをした位置は王城ゴールラインまで後95ヤードでかなり遠くから、サックが決まってしまえば自殺点になってしまう状況の中、泥門はデビルボーンフォーメーションで攻撃を始める。

 

 『Hut!』

 

 ヒル魔君へボールが渡り、右サイドへ走る。

 

「進が中央を突破してブリッツ!?」

 

 進君がヒル魔君へタックルをしようとする前に石丸君を飛ばしてセナへパス!

 そのままセナは右サイドへ走って行き、ヒル魔君と石丸君が進君をブロック……だけど2人共直ぐに突破されてしまった。

 

「コンマ数秒でも稼げばファッキンチビが進を置いて行く!」

 

 ヒル魔君の言う通り、セナを捕まえる事が出来ずにどんどんと進んで行く。

 

 

「やー!セーナー!!」

 

 

 このまま独走……だと思っていたがもうディフェンスが詰めて来てる!

 

「いけっ!」

「はい!」

 

 最後の盾の蓮次君がディフェンスの1人を押し込んで大きく道を拓いてセナが更に進んで行く。

 

 

 

 『10ヤードゲイン!ファーストダウン獲得!!』

 

 結局後続のディフェンスに詰め寄られ、もう少しで進君に追いつかれてしまうところで、セナがサイドラインを超えて時計を止めつつ進むことが出来た。

 

 ここまで進めば自殺点のリスクは減り、泥門の攻撃パターンがより広がる。

 

 

 

 『Set!HutHutHut!』

 

 連続攻撃、デビルボーンフォーメーションでプレイが始まる。

 進君がブリッツで突っ込むと同時に蓮次君が左サイドへ走り、ヒル魔君が石丸君へボールを手渡した。

 

 『1ヤードゲイン!』

 

 直ぐに捕まってしまったが地味に進めた。

 

「さっきからずっとブリッツ来てんな」

「パスを警戒してるからでしょうか」

「だとしたらラン特化のデビルボーンは進を躱す良い作戦だが、それでも…」

「ですね、徐々にヒル魔君へのタックルするスピードが増してます」

 

 ベンチにいる雪光君も進君のスピードが増していると気付いた様子だった。

 

 

 

 『Set!Hut!』

 

 2度目の攻撃。

 また進君がブリッツへ来るとヒル魔君は躱す為に石丸君へ手渡そうとする。

 

「!」

 

 直前で石丸君へ向かうディフェンスを見つけたヒル魔君は渡すのを辞めて後ろへパス。

 控えていた蓮次君へとボールが渡り、蓮次君が投げる体勢に……だけどパスを投げる相手がピッタリマークされていて投げられない!

 

 セナへパスをしようにも進君がもう蓮次君を捉えてる!!

 

「!」

 

 蓮次君が片手で進君の腕を押さえて後ろに倒した!

 

「よしっ!そのまま走れ!!」

 

 蓮次君が右サイドへ走った!!

 

「逃がしはしない!!」

「かっ…!!」

 

 直ぐに体制を立て直した進君のトライデントタックルが蓮次君のお腹に…!!

 

 

「うおおおおっ!!」

 

 進君が蓮次君を持ち上げた!?いくらスピードに乗ったトライデントタックルだからって…!

 そんなの、有り得ない!

 

 

 ドチャ!!

 

 

 泥だらけのフィールドに蓮次君が倒され、倒れた衝撃で手からボールがこぼれた!!

 

 泥の上に落ちたボールは直ぐに止まり、誰の手も触れられていない。

 

「拾えぇー!!」

 

 ヒル魔君が叫ぶが、誰よりも先に動いたのは進君…ボールを拾って止まる事なくゴールラインへ向けて走っていた。

 

 

「セナ止めてー!!」

 

 鈴音ちゃんが叫ぶよりも早くにセナが進君を追い上げている!!

 

 

 

 

 

 

 

「追いつけない…!!」

 

 セナと進君の距離が縮まらない!?

 

 

 

 

「うそ、うそうそうそ!セナが追いつけないってどういうこと!?」

「お願いセナ!進君を止めて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 『タッチダウン!』

 

 セナが全力で追いかけても進君に追いつけずタッチダウンを許してしまった。

 

 

 

 

 進君がゴールラインを超えて間もなくセナが進君に追いついた。

 この結果に私もどぶろく先生も鈴音ちゃんも言葉が出ず……セイジ君がカメラを利用してタイムを出した。

 

「セナさんと同じ4秒2……間違いないです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうすんだよこんなバケモンよ…!」

 

 ヒル魔君がヘルメットを外し、進君を見ながら苦笑いを浮かべている。

 

「光速のアイシールド21に打ち勝つには己も光速の世界に入るしかない」

 

 

 

「それしか、道はなかった」

 

 

 

 

 

 

 

 ―進清十郎…ベンチプレス145kg 40ヤード走4秒2―

 

 蓮次君と変わらないパワーにセナと変わらない速さを兼ね備えた正真正銘の怪物がここにいた。

 

 

 

 






 春大会でセナに足で敗れ、パワーは蓮次と同じの進が急成長!

 セナと同じ速さでありながら蓮次と同じパワーを得ました(マジでバケモン…)

 こんなバケモン相手に泥門はどんな手を使うのか!?

 次回もお楽しみに!!
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