泥門の2番手   作:実らない稲穂

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日本代表決定戦

 

 

 つい先日春大会が終わった。

 決勝戦は王城ホワイトナイツ対西部ワイルドガンマンズ。

 前半押されていた王城だったが、後半になると西部の中心的レシーバーの鉄馬丈が離脱…その間に王城が逆転勝利したという結末。

 

 

 春大会が終わってメンバーが増えてきた新生泥門デビルバッツは今、部室の増築工事に参加していた。作るのはロッカールーム。カジノの隣に建て、部室と繋げる設計だ。

 何故増築?試合に勝つ度に増築するという約束だからだ。

 今更な話、カジノが出来た経緯は恋ケ浜に勝ち、校長とお話(意味深)して約束を果たしてもらい、部室兼カジノが出来たらしい。

 

 

 メンバー総出で工事をしている中、俺は病院でレントゲンを撮ってもらった。

 

「一体何をしたんだ?」

 

 医者がレントゲン写真を見て首を傾げている。

 

「1ヶ月か2ヶ月ぐらい?それで鎖骨が元通りってかなり早いよ、酸素カプセルの効果かな?」

「回復術が効いたみたいですね」

 

 医者が俺を化け物みたいな目で見るし、看護師長が骸骨に溶けていくロウソクを垂らしていた。

 

「凄いね人体」

「オマケでもう骨が折れないよう呪っておくわ」

 

 やめろ!絶対にそれは悪いやつだ!!

 

「も、もう試合に出ても良いんですよね?!」

「あ、あぁ……出てもいいけど無茶をしたらダメだよ」

「はい、お世話になりました!変なお祈りも辞めてください!」

 

「お大事に」

「次骨折したら本気で呪うから」

「しませんよ!!」

 

 

 

 

 何はともあれ、これで復活。試合にも出れるし太陽戦にも間に合う。

 

 

 

 

 

 

 

「久々のベンチプレスを測りまーす!」

 

 3週間後、ロッカールームの工事が終わった。

 部室へ行くと今日は筋トレメニューということでトレーニング室へ。

 

 全員ベンチプレスをすると言うので復帰した俺も参加し、MAX140kgを上げられるかどうか……。

 

「それは無理があるだろ」

「……しぬ、たすけて……ひるま、くりた」

「あわわわっ!今助けるよ蓮次!」

 

 無理、筋力落ちてる。

 他のメンバーは上がってるのに俺だけ下がってた……辛い。

 

 

「流石にいきなりは無茶だよ〜」

「鎖骨が治ってすぐに140kg上げれたらテメェはいよいよバケモンだっつーの」

「はぁー…凡人は凡人らしく地道にやってくか」

 

 先ずは軽い重量から上げていくとするか。

 ランメニューばっかりだから足の筋力は落ちてなくても上半身はどうしても落ちてしまう、なるべく上半身を重点的にやってかないとな。

 

「直ぐに戻せるだろ」

「しばらく筋トレに励む、全体練習は無しで」

「夜はやるぞ、その間全体練習は新フォーメーションと基礎練の繰り返しをしておく。置いてかれねぇようちゃんと頭に入れておけ」

「あいあいキャプテン」

 

 栗田とヒル魔に付き添ってもらい筋トレを続けていると、どこかへ行っていたハァハァ三兄弟がボロボロボロで帰って来た。

 栗田が嬉しそうにベンチプレスへ案内して筋トレを始めると、最大65kgだったのが85kgにまで上げられるようになっていた。

 

「教えてくれ」

 

 十文字が栗田へ問いかけた。

 

「どうしたらライン戦で勝てる?」

 

 何がきっかけは分からないがどうやら十文字の心に火がついたみたいだ。

 

「負けっぱなしは趣味じゃねぇんだ!」

 

 黒木と戸叶を見ると、同じように顔つきが変わっている。

 

 泥門デビルバッツのライン組が固まったと十文字達の顔を見て悟った。

 

 

 

 

 

「で?今日はどんな特訓を?」

 

 夜、俺とヒル魔以外のメンバーが帰った後ヒル魔へ聞くとテーブルに模型を並べた。

 

「このフォーメーションをやる」

「おいこれって…スプレッドフォーメーションか?西部の真似じゃねぇか」

 

 スプレッドフォーメーションとは……ラインを中心に左右対象で2人ずつレシーバーを配置し、クォーターバックの後ろには1人ランニングバックを配置したパスとラン両方に対応できるフォーメーションだ。

 

「俺をワイドレシーバー起用にするって魂胆だな?」

「違う、テメェのポジションはここだ!」

 

 俺の模型を手に取ったヒル魔が置いたのは、ヒル魔の後ろ。

 

「ランニングバック?」

「ファッキンチビをクソザルと隣にさせてパスを受けに走らせる。テメェは俺からのバックパスを貰ってパスを投げる。状況次第ではテメェを走らせる事もあるし、テメェを前に置いてパスを取らせる事もする」

「まさかとは思うが、このフォーメーションの為に前の特訓で俺にパスの練習をやらせたってか?」

 

 どうやら当たりみたいで、歯を見せるぐらいに口角を上げて笑っている。

 

「ケケケッ!ライス君がいて良かったなぁファッキンセカンド!もう役目は終わったからクソマネに処理させたら火炎放射で処刑しちまったがな!」

「ラ、ライスくーん!!」

 

 俺の知らない所で死んだなんて…!おのれ姉崎!俺の大事なライス君をよくも…!!

 

「…まぁ所詮ハリボテだし別にいいか。ヒル魔は俺を第2のクォーターバックに起用させるって解釈でいいか?」

「簡単に言えばそうだ、作戦によってはポジションをコロコロ変えてやるから楽しみにしておけ」

「スタミナ切れは必至か、こりゃ何とかスタミナを増やさねぇと厳しいか」

「安心して死ね」

「ひでぇこと言うなよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 6月5日

 東京から神奈川へ電車に乗って移動、県立太陽高校で太陽スフィンクスと試合する日だ。

 まだ6月というのに南神奈川駅ではセミが鳴く程暑く、それだけで体力を奪われるぐらいだ。

 

 太陽高校のグラウンド、通称砂漠グラウンドへ着くとより暑さを感じながらも早速櫓作りを始める。

 

「蓮次兄ちゃん、なんでこれ作ってんの?」

「高いところの方が上手く撮れるだろ?この前の賊学だって屋上で撮ったのと一緒」

「なるほど!撮影係の本領発揮!良い画を撮るから!」

「暑いから熱中症対策は怠るなよ」

「はーい!」

 

 

「泥門の櫓チビすぎ〜」

「チ〇ポサイズに比例してんじゃにーか?」

 

 ピラミッド型の櫓を立てている太陽陣営から煽る言葉が聞こえた。

 それを聞いたヒル魔が携帯を操作して誰かを呼び出す……するとすぐにはしご付きの消防車が到着し、セイジを乗せて太陽陣営よりも高く上げた。

 

「すごーい!めっちゃ高ーい!!」

「太陽の櫓チビすぎ〜で?何が比例してるって?」

 

 ヒル魔の煽りに太陽陣営は黙ってしまう。負けず嫌いがここまで来れば逆に清々しいまであるな。

 

 

 

「本気で出るつもり?」

 

 試合へ向けて準備を進めていると姉崎が聞いてきた。

 

「まだ病み上がりだし無理しない方が良いんじゃない?」

「じゃあいつが良いんだ?」

「え、えっと…秋大会とか」

「長い、そこまで先延ばしされると勘が鈍る」

「勘って…」

 

「秋大会ですぐに負けてしまえば俺達2年は終わり、クリスマスボウルへ出るなんて叶わない」

「そうだけど…」

「わかったならマネージャーの仕事しろ、撮影はセイジに任せてるからそれ以外を頼んだ。特に今日は暑いから水分は多めに用意しておけ」

「う、うん」

 

 

 

 

 

「ケケケッようやく今日からこのファッキンセカンドが復帰、地獄のショーの幕開けだ」

「いてぇから叩くな」

 

 試合開始前、ヒル魔が楽しそうに俺の頭をバシバシ叩かれ、ヒル魔の肩に軽く当たって無理やり止めた。

 

「で、作戦は?」

「いつも通りだ」

「超攻撃型の戦略か、了解」

「作戦は逐一言うが、先ずはファッキンセカンド!テメェのポジションをとことん変える!」

 

 事前に話をしていたから別に驚かねぇが、まさか他のメンバーに話してなかったのか?

 

「地獄のロシアンルーレット!色々やらせてやっから上手くやれよぉ?ケケケッ!」

「やっぱお前俺を殺す気だろ」

「死ね、これまでゆっくりしてた分死ね。ぶっ殺してやるから覚悟しろよ」

 

「ヒル魔さん楽しそう〜…」

「そりゃ王城戦で怪我してそれっきりだったもんなぁ」

「僕達も頑張ろうモン太!」

「おう!」

 

 この試合に勝てば日本代表でアメリカのチームと試合だ。圧勝は出来なくても勝つ、それだけだ。

 

 

 『ぶっころす!』

 『YEAHー!!』

 

 






 という訳で、次回から太陽スフィンクス戦!4話連続でお届けします。

 スプレッドフォーメーションってなんじゃい!?って方は『アメフト オフェンスフォーメーション』で検索してください( *´꒳`*)
 図と解説付きでありましたので是非それを……まぁ西部ワイルドガンマンズのショットガンフォーメーションとは少し違うフォーメーションでなので調べると結構面白かったです。



 それでは次回をお楽しみに!!

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